妖精の翼 ~新たなる空で彼は舞う~   作:SSQ

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会話を書くのって難しい。



第3話 pay back(下)

1930 全員で夕食を食べてその流れのまま今後の彼の処遇についての会議が始まった。メンバーはここワイト島分遣隊所属のウィッチの5人である。

「それでは、第1回戦略会議を始めたいと思います。」

わーわーパチパチパチ。

名前はいかにも作戦会議って感じなのに雰囲気が完全にお茶会なのが否めない。

というか机に紅茶、コーヒーにクッキーって完全に夜のお話し会ね、これ。

「コホン。さてこの会議の議題は言うまでもなくお昼に保護した身元不明のウィッチについてです。男性と言うこともあって慎重に進めていきたいと思います。ウィルマさん、彼について今解っていることを報告してください。」

私が彼女を指名すると元気よく返事をして立ち上がる。

その時、ちゃんと右手を上にピンと伸ばすのも忘れなかった。

「はい。まず所属から。フェアリィ空軍特殊戦第5飛行隊とのことです。ここで一応聞いておきたいのですが、フェアリィ空軍って名前聞いたことある人はいますか?」

首を傾げたり、無反応だったり、首を振ったりしている様子からないとみて間違いないだろう。フェアリィ空軍ね。そんな国名なんてあるのかしら?妖精の国なんてまるでおとぎ話に出てくるお花畑が広がるようなところかしら?

「ありがとう、では続けるね。名前はフレデリック・T・バーフォード。階級は大尉。すごいわね、今この基地で一番階級が高いのね。国籍はUK?どこかしら?年齢は35歳。」

「とても30代には見えなかったのですが…見た目では20代前半かと思ったのですが…。」

「もー隊長ってば見る目がないわよ?あれはどう見たって10代よ?身長が周りの人よりも大きいからってさすがにそこまで年を取っているようには見えないわよ。」

「私もそう思います。なんというか20代はないかな、と。」

「う・・・。」

すこしおどおどした感じで発言したのはアメリー。そんなこと言わなくても・・・。

確かに少し盛りすぎかなとは思っていたけど。

「確かにとてもじゃないけど30代には見えないよね。で次が問題なのだけど、生年月日が1990年2月7日ってことになっていることなの。」

皆が一様に首をかしげる。

「1990年?1890年の間違いじゃなくて?」

「1990年って、今年は1944年ですよ?46年後じゃないですか。」

フランがどうなのよ。と顔で訴えてくる。

仮に1890年の間違いだとしたら、それじゃいま54歳になっちゃうじゃないの。

「見間違いじゃないわよ。ほら、これが彼の身分証。」

そこには間違いなくいままでウィルマが報告してくれた通りの事が書いてあった。

しかし、ここにいる全員が疑問に思ったこと、それは

「この顔写真、すごく綺麗。白黒じゃなくてカラー写真。カラー写真なんて初めて見た。」

そう、現代じゃ当たり前のカラー写真は当時では珍しいもだった。確かにカラー映画というものはあったがそれ事態かなり高価なものであり、一兵士ごときにカラー写真を使うなんて考えられなかった。

「確かにね、この顔写真も彼にそっくりだからこの身分証も彼のものと見て間違いないでしょうね。話がそれちゃったけど取り敢えず、一旦整理してみましょうか。」

・所属はフェアリィ空軍特殊戦第5飛行隊

・年齢は35、生まれは1990年。

「それじゃあ彼は今から46年後に生まれるってこと?俗に言うタイムスリップってやつ?そんな馬鹿な」

「フランさん、すこし落ち着きなさい。それを含めての会議なんだから。」

うー。

フランはほっぺを膨らませながらうなり声を上げていた。

あっ怒られてふてくされてる。

「そう考えるのが妥当でしょ?現にフェアリィ空軍なん隊長ですら知らない空軍が存在するわけがないと思うし、国籍がUKというのも気になるし。」

「どっかの国が極秘に持っている空軍という可能性は?」

「もし、秘密利の空軍だとしたら身分証持たないと思いしストライカーユニットにもあんな堂々とかかないでしょ。」

「それもそうですね。」

というか、そんな極秘情報に私たちが関わっているとしたらもしかして今後ここの立場がかなり大変なことになってしまうのではないか、と思うと一瞬背中がぞくっとする。

あれ、私ってば本当に大変なものを持ち込ませちゃった?

 

「そういえば、ストライカーユニットと言えばラウラ、何か解ったことはない?」

いままでずっと黙っていたラウラだが隊長は事前にわかる範囲でいいから調べてほしい。特別に触るのも許可すると。自分でストライカーユニットの整備もしてしまうラウラなら何かわかるかもしれないと思ってそのような指示を出したのだ。しかし、

「なにも。中は調べられなかった。というか調べようとしても開かなかった。」

「そう、なら仕方ないわね。」

振り出しに戻っちゃうわね…とため息をついた隊長。

「いままでに見たこともない不思議な型をしたジェットストライカーユニットって事くらい。」

「………………………………?ジェットストライカーユニット?」

こくんとうなずくラウラ。

「物凄く重要じゃない‼」

思わず叫んでしまった隊長。

何故なら先日友人から来た手紙にジェットストライカーユニットの製作に難航している。詳しくは言えないがまだかなりの時間がかかりそう。どうしたものかというのを聞いたばかりであったからだ。各国で研究開発が進み、ようやく試験運用が始まったばかりの代物だ。それ自体が軍事機密の塊みたいなものだ。もしかしたらではなく本格的にまずいかもしれない。

「ジェットストライカーユニット?」

アメリーはどうやら知らない様子だ。ラウラが説明を始める。

「簡単に言えば噴流式魔導エンジンを積んだストライカーユニット。長所はその莫大な出力で普通のストライカーユニットより速く、高く飛べること。欠点はそれ故に莫大な魔力を消費することで、開発国はそこが一番悩んでいるみたい。こんな感じでしたっけ、隊長さん?」

「ええ、そのとおりよ。どうしてラウラさんは彼のユニットがジェットストライカーユニットだって解ったんですか?」

「昔、研究所で見たことがあるから。」

一同納得しているご様子。

いやまって、研究所に行ってみた事があるほうが逆に驚きなんだけど。

「じゃあ、彼は何らかの形で未来から来て怪我をして今も意識不明といったところかしら。」

「そう考えるしかないわよね。あれ?私、もしかしたら凄いものを拾っちゃったのかしら。」

そして、今回の問題を持ってきた張本人であるウィルマさんが急に慌てだした。彼女もようやく事の重大性に気付いたようだ。

「拾ったは失礼じゃない?ウィルマさん?」

「いや、拾ったとしかいい用がないんですよ。」

まぁ、そうなんだけどね。

「でもそんなバカなことってあり得るの?未来よ?未来。本じゃあるまいし。」

「だって1990年ですよ。人類が動力付きの飛行機で初飛行してからたったの数十年でそれを使ってネウロイとの戦争の主戦力としているくらいですしもしかしたらそんなことも可能になっているかもしれませんね。」

「どんなことしているんですかね?」

一瞬、皆で約50年後の未来を想像してみる。

「ネウロイはいるのかしら?」

「そのころには頑張って撃退してそう。」

「人類が負けているかも。」

「「「やめてよ、そんな不吉なこと!」」」

 

 

「さて彼の今後についてなんだけど目が覚めるまでは彼はここで保護したいと思います。その後の処遇については彼が目を覚ましたあとに話し合って決めたいと思うのだけどそれでいいかしら?」

本当はこれ以上関わらないほうがいいかもしれない。だけれど、だったら彼をどうする?捨てる?それこそ本当にまずい。だからしばらくは様子見。

「それしかないでしょ、捨てるわけにもいかないし。」

「わ、私もそれが一番だと思います。」

「かまわない」

「そーしましょ。」

こうして、暫くは保護するという形で決まった。

 

ラウラ、アメリー、フランには部屋に戻ってもらって食堂には隊長とウィルマが残った。

「隊長さんとしては、彼が目を覚ましたらどうするつもり?指令部に差し出すつもり?そんなことしたら……」

「わかっているわウィルマさん。男のウィッチを見つけたなんて報告したら彼は連れていかれて一生太陽の光を見れないかもしれない。」

本当は私たちが聞いたことがないかもしれないだけでこの世界に何人かはいるのかもしれない。だけれど私がそれを知らないのはきっと絶対数が少ないからだ。もしかしたら研究で使われるかもしれない。私としてもそんなことに協力するくらいなら保護して(もしかしたら重要な戦力になるかもしれないし)活用したほうがいい。そう考えるようにした。

「じゃあどうするの?」

「それはね……………」

隊長の出した案はとても奇想天外で一瞬開いた口がふさがらなかった。

 

こうして夜は更けていく。

 

 

 

 

0600に起床、いつもと変わらない朝日からの心地よさに目を覚ます。

 

0700朝御飯。

「で、彼はまだ目を覚まさないの?」

みなで食べているときフランが聞いた来た。

「ドクターの話じゃ容態も大分よくなってきているから今日か明日には目を覚ますとのことよ。」

「そう。」

相変わらず、自分のほしい情報が手に入るとそれ以上のことは話そうとしないラウラ。もう少しほかの人と会話をしてくれると少しは隊長としても楽になるのだけれど。

「それじゃあ皆さん、いつも通り張り切っていきましょうか。」

はーい。

今日もいつもと変わらない、のんびりした日が過ぎる。

 

と思っていた。

1043 ネウロイ空襲警報。

全機スクランブル。敵は中型1、小型2。

今の私たちなら十分驚異だった。501の基地に行ってくれればよかったのにとぼやくラウラをなだめ、今日やるべきことが先延ばしになったと嘆くウィルマさんをなだめ皆で出撃する。

1050 スクランブル発進完了。

1105 交戦開始

「ラウラは中型を、私とフランが右の小型を、ウィルマとアメリーが、左の大型をお願い。無理せずに焦らずに確実によ、みんな!いい?」

「「「「了解!」」」」

 

それにしてもすばしっこい上になかなかコアが見当たらない。 フランはまだ実戦に慣れていないから無理もないが、敵の攻撃を回避するのに精一杯。ラウラは腕は確かだから任せられる。ウィルマたちもなんとかやってくれると信じている。

なら私は私の戦いに集中するのみ。

「フラン、弾幕を張ってネウロイの進度を右にずらして!」

「わかった!」

フランがけん制射撃をフルオートで行うことで敵ネウロイはこれを回避しようと逆方向に旋回する。

よし、奴は誘いに乗った。ネウロイの進路の先をすこし先回りして攻撃する!

ユニットの回転数を上げて速度を上げる。

よし、フラン。いい感じ。まずは攻撃しようとしてくるフランに狙いをつけたネウロイに一瞬の隙が生まれる。

速度を上げて敵の少し前に出ることでおそらくコアがあるであろう場所を攻撃するための最もいいポディションを確保する。

「今!」

まるでコックピットのように少し盛り上がったところに必中の狙いを定めた角丸の銃、M1919A6が火を吹く。毎分600発の7.62mmが一気に発射され、ここぞとばかりに根雨リオの装甲を削っていく。

そして弾丸が切れると同時に光るコアが露出した。

「コアが見えた!機体の中央すこし右上を狙って!」

「了解!」

最高のタイミングを逃したことに悔やむがすかさず腰から予備の小型拳銃を取り出し発砲する。やはり腕のいいフランがとどめを刺し、よし!撃墜!

爆発し、破片を散らしながら落ちていくネウロイを横目に残りの娘の状況を確認する。

「援護が必要な人は?」

「ラウラの援護に回ってあげて、すこしきつそうみたい!」

「わかった、ありがとう!」

ウィルマさんの報告だとあっちは少し押されているみたいだ。こっちが援護に到着するまでなんとしても持ちこたえてほしい、そう願いながらフランについてくるように指示を出す。

 

ラウラのところに向かうとかなり厳しそうだった。中型ゆえに敵の攻撃も激しく見た目より速い。

おまけにラウラは魔力をかなり消費している。私たちも消費しているとはいえ、ラウラは私たちよりもかなり厳しい。このままじゃまずい。

なら短期決戦で攻める。

「ラウラ、援護して!私が攻めるから!」

「必要ない。」

またこの子ったら!

ラウラは1人で十分だと思っていた。

援護なんて要らない。

あともう少し、それで落とせれば十分。

いける。

確かに彼女の腕は確かだ。

昔501にいただけに相当だ。本来ならこの程度のネウロイだって彼女一人でも落とそうと思えば落とせる。だがそれも細心の注意をしたうえで彼女が本来の力を出せればの話だ。

それゆえの慢心。

 

ここで予想外の事が起きる。

中型のネウロイが2つに分裂したのだ。

「な!!」

片方が彼女の前に飛び、もう一方が後ろで減速した状態となった。

結果としてラウラは2つのネウロイに挟まれた形となる。

前方と後方のネウロイが絶好の機会と言わんばかりにラウラに対し砲火を向け撃墜しようとする。

もちろんラウラだってそれなりの腕を持っている。第1射はシールドと回避運動で素早くよけた。その2秒後に撃たれた第2射はシールドと彼女の能力をもってよけて見せた。

だがそこまでだった。

第2射をよけたその瞬間、ユニットの出力が一気に失われるのが分かった。

魔力切れだ。先ほどから素早い飛行を行っていた上にあんなに激しい回避運動と魔力消費の激しい能力を使ったのだ。それも当然といえばそうかもしれない。

そしてその瞬間を今度こそ、ネウロイは逃さない。

第3射をネウロイが行おうとしたその瞬間

 

ネウロイが両方とも爆発した。

 

 

時系列はすこし遡る。

1100

彼、フレデリック・T・バーフォードはようやく目を覚ました。

起きた瞬間に自分が知っている場所とは異なるところにいる、という経験は初めてではないがやはりいいものではないな。

右を見て左を見て体を起こす。ベットで寝ている、いや、寝かされていたか。右手を見ると針が刺さっている。点滴をされているのということはここはただの病院か診療室か何かでとにかく、生きてるということか。

「ま、点滴してくれる天国なんてあってたまるかって話だよな。」

そう判断した俺は体を起こした。多少痛みもあるがそこまで支障はない。服を置いてあったものに着替え、机の上にあった自分の所持品を身に着ける。そして身分証がなくなっていたことに気が付いた。

「あれ、どこいった?」

机やベッドの下、机の中をあさってみたがそれらしきものは見つからなかった。

「フムン。」

まぁなくなって困るようなものでは、、、あるか。どうやら写真はなくなっていないようだ。

取り合えず部屋の外にでも出てみる、それに愛機も探さなくては。拳銃に初弾を装填。

ここはどこからわからない場所。前に零が経験したあのジャムの作り上げた空間の話を思い出し、ここももしかしてと警戒しながら進むことにする。

もっとも、俺にジャム人間と人の区別がつかないと話にならないがね。

そしてドアを開けるとさっそく、人がいた。

「「あ。」」

たまたま、様子を見に来たドクターと蜂あわせてしまった。

思わず、殺気全開で「誰だ」と聞いてしまった。

ドクターは、その殺気に驚いてしどろもどろに「き、君を助けたものだ。」と答えた。

よかった。

俺は拳銃を下げて敵意を既に持っていないことを彼女に示す。

「すまない、いきなりでこちらも驚いてしまったものでな。それと、助けてくれてありがとう。お陰でまた太陽を見れたよ。」

「そ、そうか。体調に問題ないか?」

体調?体は少し痛むし頭は少し理解が追い付けず困惑しているのだがそれをひっくるめたこう答える。

「問題ない。」

「そうか、よかった。」

こんなところで足を止めていても何も始まらない。そう考えるようにした俺はまず、自分の機体の所に戻ることにする。

「それじゃあ、俺の愛機のところに案内してもらいたいのだが。頼めるか?」

「もちろん、こっちだ。ついてきてくれ。」

ドクターの案内の下、俺は今まで見たこともないような光景を目にする。

雰囲気からして軍事基地っぽいが地面が木の板、外には舗装もされていない道が遠くまで伸びている。普通、こんな古臭い設備なんかを維持するはずがないのにな、と驚きを隠せない。

目の前の彼女、ドクターは長い髪をゆらしながら俺の前を進む。何も話しかけてこなく、自分としても現状を知りたいためこちらから話しかける。

「そういえば、ここはどこなんだ?」

「ブリタニア、ワイト島の分遣隊基地だ。」

「ブリタニア・・・?」

どこだ、そこは?

「君はあの空域で何をしていたんだ?」

「さぁな、俺も良くわかっていない。」

「記憶に異常が見られるのか?」

そこでようやく俺に興味がわいたのか後ろを振り返り、俺の顔を覗き込んでくる。

「あぁ、すこし思い出せないことがある。」

ドクターがいい感じに勘違いしてくれたおかげでこの場は何とか誤魔化すことができた。

「なるほど。ここの隊長は君を休ませておいてあげて、といっていた。まだ時間はあるからゆっくり思い出すといい。」

「なるほど、ありがとう。」

「別に、かまわないさ。」

 

5分ほど歩くと入り口についた。

「ここが、格納庫だ」

そう言ってなかに入ると目に飛び込んできたのはよくわからない形のなにかだった。

「これは?」

「?なんのことだ?これが君の愛機じゃないのか?ウィルマ君の話じゃ保護された時これを履いてたとのことだよ。」

俺は手に持っていた本(ブリタニアガイドブック、先ほど渡されて読んでいた。)を思わず手から離してしまった。

「まじかよ。」

馬鹿な、あり得ない。

こんなことがあっていいのか。

あの先進的なフォルムは見る影もなく失われ、よくわからないものになっていた。

しかし本能的にわかっていた。これが自分の愛機だと。FAFや特殊戦のエンブレム、そして自分の機体番号514とかかれているのだから間違いない。

そういえば、気を失ったときこれをはいていた気がする。

 

その時、近くから声が聞こえてきた。

《……は援護して!》

《当たらない!》

《誰か援護頼めない!?》

どうやら無線機からのようだ。緊迫した様子がはっきりとわかるがドクターは全く気にかける様子すら見せない。

「あの声の主は?相当まずいようだが」

「ここ所属のウィッチだよ」

「俺を助けてくれた?」

「あぁ。あの様子じゃかなりまずいようだが・・・。ところで、君はウィッチなんだろう?」

ウィッチ?見慣れない単語に思わず首をかしげる。

「まぁ、いいさ。君が何者であろうがもういいことだ。判断はここの隊長がするべきことだしな。問題はいま、彼女らが危険にさらされているということだ。あいにくと私はここでできることといえば彼女らの無事を祈ること。だけれど君はどうだ?何かしてやれるんじゃないか?」

「俺が・・・?」

ドクターがその指さす先にはなんとなくだがわかるメイヴがいた。全くをもって変わってしまった目の前の機体にさらなる驚きと困惑を隠せないが今の流れからすると、おそらく助けに行けるのは俺だけ、ということなのだろう。

「・・・わかった。出撃の準備をする。そっちも離陸許可やその他もろもろ頼めるか?」

「もちろんだ。わが隊の皆を助ける人の頼みを断れるか?」

「頼んだ」

ドクターはうなずくと建物へと走っていった。さて、

「Garuda、もしお前が俺の愛機だというのならそれを証明してくれ。お前ならできるはずだ。」

そういって自分の足をユニットに入れてみる。

起動したのか自分を中心に不思議な模様の円ができた。

ユニットからは聞きなれた音が聴こえてきた。

そして目の前には

"Ready for battle Barford."と出た。

やっぱりこれは愛機だったのか。

心にすこし残っていた不安がようやく解消してほっとできた。

『準備はいいかい?』

無線から彼女の声が聞こえた。

「あぁ、問題ない。そちらが連絡をくれたということはもういつでも問題ないということか?」

『そうだ、なら急いでくれ。彼女らを助けてやってくれ。』

「もちろん。恩は早めに返すに越したことはないからな。」

俺はそう言い残し、機体を動かし始める。

ユニットはまるでいつものような感覚で動かすことができた。まるでコックピットにいるかのような感覚。

滑走路までタキシング、出力最大。

《ガルーダ、出撃する。》

爆音を響かせ空の女王は飛んでいく。

"まったく、あんな馬鹿は嫌いじゃないよ。"

元ウィッチのドクターが壁に寄り添いながらそう呟いた。

 

無線の通信ポイントまで向かう途中、Garudaが収集した情報を確認していた。いまは1944年だということ。この世界の敵はネウロイだということ。ジャムがいるかは不明だということ。背負っている武装の詳細。助けてくれた人たちのこと。そして、この新しく生まれかわったメイブのこと。燃料は必要なく、魔力それもパイロット自身から吸収するとのこと。なんてハイブリッドなんだ。

魔力をつかってミサイルを打てること、ただし1回の出撃ではや8発が限度とのこと。

ただ、情報流出の観点からあまり使う気はなかった。

もう少しで射程圏内か。

シーカーオープン。

敵ネウロイにロックオン。

小型に2人、中型に3人か、しかし1人ずば抜けて攻撃しているやつがいるな。

一部高熱源反応あり、動力源と推測。

優先目標とする。

敵分裂、再度ロックオン。開始。

まずい、間に合わない。

バーフォードはとっさに判断し、ミサイルに対しLOAL(発射後ロックオン)を命令。

承認、Fire.

ロックオン、着弾まで5

間に合え‼

4

3

2 ずば抜けて攻撃しているやつが驚いた顔をしている、回避は間に合わないだろう。

1

hit

目標 クリア

 

 

・・・・間に合ったか。取り合えず、彼女らが俺を助けてくれた人達か。

なんとかネウロイとやらは撃墜できたみたいだ。それにしても分裂しながらもまだ飛行できるとは、いったいどういった構造や飛び方をすればあんなことが地球重力圏でできるのやら。ジャムだってあんな芸当は不可能だろう。

さて、せっかく危機を排除したんだ。けがや消耗もなく無事だろうか。

近づくと驚いた顔をしてこちらを見ている。

こんな若い女の子を戦場に出すのか、それにしても

何で、パンツなんだ?

そこはポーカーフェイスでごまかしてまずは挨拶をしなきゃな。

 

「フェアリィ空軍特殊戦第5飛行隊14番機。B-14ガルーダ。パイロット、フレデリック・T・バーフォード大尉だ。助けてくれたことに感謝する。」

 

 





次からはもっと細かくかけるようにしたい。

ご指摘、ご感想、誤字報告があればよろしくお願いします。

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