今回はシリアスと桃色成分で溢れかえっています。
そういうのが苦手な人や嫌な人、嫌悪感を覚える人はここでブラウザバックか次の話に進めることをおすすめします。
取り合えず、帰ったら治療を受けた。
傷はそれほど深くはなかった。
それと隊長に怒られた。どうして、こうなったのかと。
ウィルマが油断して俺がかばったことにしておいたら、次からは気を付けてね。それとこんな無茶は二度としないようにとのことだった。
そのあと、ウィルマが謝ってきたが気にするなと言ってこの件は終了した。
そして、クリスマス。
戦時中でもやるらしい。まぁ誕生日会やっちゃうくらいだしな。
午前中に買い出しに言って軽くお昼を食べたら夜ご飯の支度をアメリーと始める。
ちなみに、スクランブルに備えてラウラが待機しているのだが今は椅子に座ってつまみ食いが出来ないかと狙っている。
「残念だが今は下ごしらえの段階だから、何も食えないぞ。」
すると、悲しい顔をして部屋を出ていった。
向かった先が格納庫だと信じたい。
生地を作ったり、下ごしらえが取り合えず一段落ついたところでアメリーが、話しかけてくる。結構真面目な顔をしているのでそういう話なのだろうか。
「バーフォードさん。まず初めに言っておきます。私はウィルマさんがもうシールドを張れないのは知っているんです。バーフォードさんも、もちろん知っているんですよね?」
「あぁ。」
アメリーはウィルマと同室だから、気づいていたのかも知れんな。
「ならなぜ、ウィルマさんを飛ばすのを許したのですか?」
「それが彼女の意思だからだ。なら俺はそれを最大限尊重する。」
「一歩、間違えば死ぬのをわかっていても許すのですか?」
「そうだ。」
「何でですか?」
一息おいて、答える。
「彼女の僚機として、一人の男として信じているからだ。」
「……信じている?」
「そうだ。彼女が他のだれの意思でもなく自分の意思で、自分で決めて飛ぼうとしている。なら俺はそれを尊重する。教えられることは何でも教える。危なそうにしていたら何度だって助ける。まぁ簡単にいえば飛びたいと思ってるなら飛ばせてあげたいってことだ。」
アメリーはため息をついて続ける。
「私としては出来ればもう飛んでもらいたくは無いのですが、何故かこの人に任せれば大丈夫って気がするんですよね。」
「その点は問題ない、と思う。」
「思うって…。とにかく、ウィルマさんをよろしくお願いしますね。私にとっての恩人の1人なんですから。この人が教えてくれたから私は自信を持って飛ぶことが出来るようになったんですから。」
「わかってる。任せろ。」
「それで、ウィルマさんのことどう思ってるんですか?」
「信じていると言ったはずだか?」
「そうじゃなくて、好きなんですか?」
一瞬なんて答えるか戸惑う。俺にとって彼女は。
腹を決めるか。迷ってもしょうがない、答えは決めていたはず。
「だろうな。」
「そうですか!それじゃあ、いつ伝えるんですか!まさか、今日ですか!?」
急に元気になったな、こいつは。
他人事だと思いやがって。
実際こいつにとっては他人事だしな。
「今日は、無理だろ。」
「なら、12/31にしましょう、迷っていてもしょうがありません。あと1週間で覚悟決めてください。」
「おい、ちょっと待て。」
「どうせなら、ロンドン行ったらどうですか?そこなら、日付変わった瞬間に花火が上がるんでチャンスですよ!」
まずい、流される。でも、こいつの意見を参考にする価値はあるよな。俺こういうの疎いし。
「じゃあどうやって抜け出すんだよ?」
「私が、隊長を説得します!何とかします!」
「わかった。考えておく。さて、続きを作ろうか。」
「はい!」
ここで切り上げないとこのまま暴走しそうなのでやめさせる。
そのあとずっとアメリーは機嫌がよかった。
「ウィルマには言うなよ?」
「言いませんよ、言ったら面白くないじゃないですか。」
1900
何とか全部出来たが大変だった。あのあとアメリーがちょくちょく失敗したり迫り来るラウラを阻止したり、突破されて欠片1つもっていかれたりなど色々あったが無事完成。
テーブルに乗っけて全員が集まったところで隊長が一言。
「無事に今年もクリスマスを迎えることが出来ました。まぁあと少し日付は残っていますが誰かさんみたいに怪我しないように注意していきましょう。それではメリークリスマス!」
隊長の誕生会でどれくらいが適量かは大まかに解っていたのがよかった。ぶっつけ本番はあまりしたくはないからな。てかなかなか早いペースで消えていくがあいつら平気なのか?
まぁ元気みたいだしいいか。
最後、ケーキを食べ終わったあと、全員に前に買ったプレゼントを渡した。結果は上々。喜んでもらえてよかった。
それから1時間後、隊長以外がソファーで並んで寝ていた。平和だな。
食器を洗って、仕舞い終わったのが1100だった。
「お疲れさま。今日はありがとうね。あっ、コーヒー淹れましょうか?」
「頼む、少し疲れたから休ませてくれ。」
隊長の優しさには感謝だな。
「はい、どうぞ。」
「ありがとう。で、何か話があるのか?」
「解っちゃった?ええっとね、………」
内容はアメリーが聞いてきたのとほとんど変わらなかった。なんだ、しっかり見ているじゃないか。
それで、一応全てを話しておいた。
すこし、3分くらい黙ったあと。
「大晦日、行ってらっしゃい。特別に許可するから。」
「いいのか、そんなことして。」
「休暇は出せるのよ?軍人でも。それにこの基地の決定権は私にあるからいいの。」
「わかった。ありがとう。」
「いいのよ、これくらいしかできないし。」
それで隊長とは別れる。この基地のみんなには助けてもらいっぱなしだな。
次の日今年最後の501との情報交換に向けての資料を取りに行くためにロンドンに向かった。今回は直接来てほしいとのこと。
昼を現地で済ませて司令部に向かう。
部屋に入るなりジャックに冷やかされた。
「聞いたぞ、大晦日にプロポーズするんだってな。」
「………………誰に聞いた?」
「ワイト島の指揮官が直接連絡をくれてな。よろしく頼むだそうだ。」
隊長…………
「それで、どういうプランでいくのか?」
「まだ、決めていない。」
「なら、参考までにこいつを見ておけ、きっと役に立つはずだ。」
なんかいろんなイベントの時間が書いてある。てか仕事しろや。ありがたいけどさ。
「あと、悪いが大晦日の日は彼女もつれてきてくれ。話がある。」
「何を話すのか?」
「マロニーの計画についてだ。」
「彼女を巻き込むのか?」
「いや、身内になるなら教えておいて損はないだろう。どうせいつかは話さなきゃいけないんだ。」
「だからって、その日に話す必要はないだろう。」
「まぁ、それは建前で本音は彼女をここに呼び寄せるためだ。」
ずっこけそうになる。
「休暇をもらったんだろ?年越しくらいこっちでゆっくりしろよ。ホテルはとってやったから。金は給料から引いておいたからな。」
「手際がいいのか悪いのか。まぁそれは感謝するよ。こいつをもとに計画を立てる。」
「頑張れよ。くれぐれも、彼女を退屈させるようなプランは立てるな。後で見せろよな。既婚者として評価してや?。」
「わかったよ。」
「ただ、もう3日からは仕事に戻ってもらうからそのつもりで。」
「了解。それで、資料の方は?」
「これだ。あとあちらさんからも資料をもらうと思うから31日に持ってきてくれ。以上だ。何か質問は?」
「ない。」
「なら結構。頑張れよ。」
わかってるよ。
その晩、いつも通り資料を受け取り、また渡して終える。
「次は来年の5日だそうだ。」
「了解しました。」
「あと、奴等はこっちの予定関係なく来ると思うから気をつけて。よいお年を。」
「よいお年を。」
そうして別れる。今日は電波の照射はなかった。
そして、決戦の日。12/31。
どう出るかは俺もわからない。だが、やるしかないよな。
隊長はウィルマには交代で休暇が取れるようになったのでまずあなたたちからと説明したらしい。
怪しまれることなく、出掛けられた。
部屋を出て、アメリーとハイタッチをして、フランには頑張ってきなさいと言われ、ラウラにはbと無言で励まされ、隊長には肩を叩かれ頑張ってねと言われた。
てか、みんなに言ったのかよ。
「行ってくる。」
なんか、フラグみたいだな。
そして、荷物を積んでロンドンに向かう。
「今日は、何があるの?」
「ジャックが、話すことがあるらしい。ウィルマが一番知りたがっていることだ。」
「前に言ってた計画?」
「そうだ。」
「そのあとは?適当に。ただ、大晦日だけあっていろんなイベントやってるみたいだからまわるか?」
「まわりたい!」
その後も適当に雑談して前回同様車を一旦司令部において現地で昼を済ませる。
ジャックの部屋についたのは1330だった。
「お忙しいところ、申し訳ありません。」
「かまわんよ、どうせ今日はもうやることはほとんどないからな。さて、大まかには聞いていると思うが………」
ジャックの説明は3時間にも及んだ。501の得た情報や俺がまだ知らない情報を交えて話してくれた。
「以上が、すべてだ。納得してくれたかな?」
「ええ。本当はまだ信じられないのですが、事実なら許せないですね。」
「信じていもらえたなら助かったよ。あと、彼の立場も理解してくれると。」
「わかってます。」
「よろしい。それじゃあ、これで解散だ。」
「今日はありがとうございました。」
「いやいや、一人でも仲間が増えてくれるのはこっちとしてもありがたいしな。あと、バーフォード大尉。一旦残ってくれるか、今後の作戦で話したいことがある。」
「ということだ、ウィルマ。すまないが下がってくれ。」
「了解です。」
ドアが完全に閉まったところでジャックが話始める。
「さて、どうだ?緊張してるか。」
「すこしな、俺のこの世界での人生がかかってるからな。」
「違いない。とりあえず、荷物を置いてから行くといい。これが予約表だ。」
「ありがとう、いってくる。」
「まるで息子の旅だちを見ている気分だ。」
「俺はダチだと思っているがな。」
「頑張れよ。最後に、」
「?」
「ホテルの部屋は防音だぞ。」
「やかましいわ」
バタン。
「ウィルマ、行こうか。」
「どんな話だったの?」
「下らない世間話だった。」
「へー。」
そのままホテルに向かい、当たり前のように同じ部屋だった。ウィルマは気にしてないみたいなのが救いだ。
1700
「さて、町にでもいきますか。」
「そうだね。」
ロンドンは意外なほど賑やかだった。ネウロイと戦っているようには思えない。いや、敢えてこんな空気を作ってるのかもしれないな。
少しでも元気を出してもらえるようにと。
「なんかいいね、この空気。」
「そうだな。」
「けど、私たちがひとつでもミスしちゃえばこの人たちの笑顔が無くなっちゃうかもしれないんだよね。」
「そうならないように訓練して戦ってるんだろ。」
「そうだよね。頑張らないとね。」
「無理しすぎるなよ。」
こんな雑談をして途中変なバーで夜食を済ませて広場で催し物をやっているのを見てたら時間は2330になっていた。時間がたつのが早いな。
花火が見やすいと言うテムズ川の街道で芝生に腰を落とす。
「ねぇ、バーフォード。前に言ってたリョウって名前。教えてくれない?」
「そうだな。一応、国の名前はこっちに会わせて話すから心配しないでくれ。
俺の両親は父親がブリタニア人、それも扶桑人のハーフ。母親が扶桑人だった。だから俺はクウォーターなんだよ。それで、生まれた時につけてもらったときの本名があるんだがそれは今は隠してる。一応本当に親しいやつにだけリョウと呼んでもらっている。ちなみに名前の一部だ。」
「なんで、そっちで名乗らないの?」
「父親の仕事の関係でブリタニアに移り住むことになったんだ。ここの国籍も取って平穏に暮らしてた。俺が8の時、父親の会社がリベリオンにも出ることになってな。その支店長に父親がなることになった。大騒ぎして親戚も呼んでいいとのことになって親戚も全員呼んでパーティーを開いたんだ。会社の人も呼んで。けど、それが仇になった。」
「というと?」
「あとは昔話した通りだ。そのパーティーを開いていたビルに飛行機が突っ込んでな。俺は冒険とか好きだったからパーティー抜け出してたまたま来たエレベーターで下に降りたんだ。受付の人と話してたらものすごい衝撃が来てな。あとはもう滅茶苦茶だった。家族全員が死んで本国に送還された。そこに目をつけたのがMI5。どうせ、身寄りがいないのなら小さいうちから教育させる極秘のプログラムがあって、そこで俺はあらゆる術を学んだ。諜報、戦闘術、心理学、サバイバル術、何でもだ。そこで、今の名前が与えられた。
結局10年くらいたってパイロットになった。その1年後にジャムが来た。俺は条約に乗っ取ってFAFに、送り込まれてあとはずっと戦っていた。そこでジャックに会った。これがすべてだ。」
「…………………」
ウィルマも黙ってる。せっかくの雰囲気を台無しにしちゃったな。まぁこれも話すべきことだったしな。それに、
「だけど、俺の人生はまったく嫌なものではなかったよ。」
「…………?」
「この世界に来てようやく、時分がどうして生まれてきたのかわかった気がするんだ。」
周りがあと60秒!と騒ぎ始める。
もうそんな時間か。
「立って、それとこっち来て。」
ウィルマに促されて川の近くまで来る。
「ここなら花火も綺麗に見れるから。」
そっか。なるほどね。
むかいあわせに立って両手を握られる。
彼女の体温が手を経由して伝わってくる。
30秒
「あのね、私も貴方に色々教えてもらった。
そして、初めてこの人とならずっと飛びたいと思えるようになった。」
15秒
「来年も飛びたいな。一緒に。」
「飛べるさ、僚機なんだから。」
5秒
「来年もよろしくね。」
あぁよろしく言おうとした瞬間。
キスされた。
時間にして数秒。
そして花火が上がる。
まわりは歓声に包まれるがどこか遠くから聞こえてくるようにしか思えない。
「ウィルマ?」
「やっぱり、来年だけなんて嫌だよ。私は貴方とずっといたい。ずっと貴方と一緒に空を飛びたい。もうシールドも使えなくなるけどそれでも貴方とできるだけ時間を共有したい。ずっと隣にいたい。
だから
私を守るナイトになってくれませんか?」
すこし、涙声でいってきた。
俺は何も言えなかった。もちろん嫌なわけがない。
だが、なんと言えばいいのかわからなかった。
ウィルマは待ってくれている。
もしかしたら、生まれて以来一番焦っているかもしれない。
と、そのとき、周りがヤジを飛ばしてきた。
『待たせるなんてどうしたんだー!』
『早く返答してやれよ!』
あわてて回りを見るとなんか俺たちを中心に少しだけど人だかりができてる。気づかなかった。
だがお陰で緊張はしなくなった。それに覚悟はできた。
俺は膝をついて、ウィルマの左手を取る。
そして、誓う。
「ウィルマが望むなら、俺は君を守ってみせる。何があっても例え誰もが君を見放したとしても俺だけは君を守る。だから、」
立ち上がって手をとり、目を見つめる。そして
「ずっと俺のそばにいてくれますか?」
静寂が訪れて
「はいっ!」
笑顔でうなずいてくれた。
彼女を抱きしめてありがとう、と呟く。
泣きながら頷いてくれた。
もう、周りは大騒ぎ、てかやかましい!!
もう一度こっちからキスをして、ウィルマを離すと知らない奴らが一斉に話しかけてきた、肩を組まれたり揉みくちゃにされながら抜け出せたのはその30分後だった。
ホテルに戻って顔を見合わせる。
「なんか、今日は大変だったね。あとさこれからもよろしくね。」
「うん。」
会話が続かない。
いつもならスラッとなにか話すことが浮かぶのに。
「ひとつお願いがあるの。」
「ん?」
「わたしを、抱いてくれない?」
吹いた。
「意味わかってていってる?
「もちろん。むしろ、今日だから。この気持ちを忘れたくないから。お願い。」
「本当に?」
「うん。」
「後悔はしない?」
「あなたなら絶対に。」
「………………わかった。」
「あとひとつだけ、リョウって呼んでもいい?なんか、本当の名前を聞いちゃったらそっちで呼びたくなっちゃた。そっちの方が安心する。」
「わかった。よろしくね、ウィルマ。」
「ふつつかものですがよろしくね、リョウ。」
これは構想の段階から絶対にやりたかったことでどうしても譲れないイベントでした。
やれてよかった。
ワイト島編もあと10話以内で終わりかな。