7月。
梅雨がようやく明けて、カラッと太陽が照りつける夏本番が到来した。
「一夏。ここの問題だが」
「ああ、そこはだな――」
月頭の期末試験はすでに終わったが、俺とラウラは日曜の昼間から勉強に励んでいた。
中3の夏、受験生の夏である。
「1年前の今頃は、まさか日本で高校受験に備えることになるとは思いもしなかった」
「はは、そりゃそうだろ」
最近、彼女は自分から過去を思い出すことに抵抗がなくなったように見える。本人なりに、切り替えがついたということなんだろうか……そんなことを考えながら、テキストに目を通す。
春からだいたいの考えはまとまっていたけど、ここに来て俺は第1志望を藍越学園に決めた。いろいろな条件を見て、やっぱりあそこに1番行きたいと思ったためだ。
「でも、本当にお前も藍越でいいのか? もっと他の高校を調べてからでも」
「この家から通える距離にある。校風は自由。学費も安い。そして、お前や枝理達が目指している学園だ。他を選ぶ理由はない」
「なら、いいんだけどな」
ラウラの学費については、軍隊にいた頃もらっていた給料を切り崩すつもりらしい。自分のためにほとんどお金を使ってこなかったので、たっぷり貯蓄が残っているとのこと。
千冬姉は中学や高校くらいただで通わせてやると言っていたが、ラウラが譲らないので彼女本人が払うことになっている。そこは最低限のけじめなのだと、強く訴えていた。
「しかし、ラウラは頭いいよなあ」
春まで軍隊にいて、日本の学校に通い始めてから1ヶ月も経っていない。
だというのに期末試験の成績は結構よかったし、数学なんかは学年でも上位に食いこんでいた。
文系科目は得意じゃないみたいだけど、そこも時間が経てば解消されていくんじゃないかと思う。俺も置いてかれないように頑張らないと。
「急に褒められると、戸惑うな」
「事実だしな」
互いに言葉を交わしながらも、それぞれ問題を解いたりテキストを読みこむ作業を続ける。
「……褒めるついでに」
ふと、ラウラのシャーペンを動かす手が止まった。
気になったので顔を見ると、視線がせわしなくあっちこっちに動いている。
「褒めるついでに、撫でてくれないか。頭」
それはひょんな出来事から始まった、通算何度目かのお願いだった。
「毎度毎度、そんなに照れなくてもいいと思うんだが」
「……うるさい」
「ほら、なでなで」
「ひうっ!? い、いきなり始めるな!」
頬を染めながら抗議の声をあげるラウラを無視して、小さな頭を優しく撫でる。
もとは俺の突発的衝動がきっかけだったこの行為だが、あれ以降は不定期にラウラが求めてきて、俺が応える感じになっている。
自分から頼むくせに撫でられることにいまだ抵抗があるらしい彼女の態度がいじらしく、ついつい積極的に動いてしまうのだ。でも、実際のところはこっちも結構恥ずかしい。
「しかし、本当にきれいな髪だよな」
「特別な手入れは何もしていないのだが……」
相変わらずの触り心地のよさ。ほのかに漂うシャンプーの香りが、いい具合に鼻腔をくすぐる。匂いを嗅ぐなんて行為は、変態チックなのでさすがにしない。
「そういえば、シャンプー変えたんだよな」
「ああ。花梨に薦められてな」
数日前まで俺や千冬姉と同じものを共有していたんだが、気がついたら浴槽にシャンプーの容器がひとつ増えていた。個人的には、こっちの香りの方がラウラに合っているように思える。
「……不思議なものだ」
さわさわと右手を動かし続けていると、ラウラが感慨深げなため息とともにぽつりとつぶやきを漏らした。
「不思議?」
「ただ頭を撫でられているだけなのに、どうしてこうも心が落ち着くのだろう」
「そんなにいいのか」
「でなければ、何度も頼んだりはしない」
そう言って、ラウラは困ったように笑う。自分でも抑えがきかないとか、そんな感じなのだろうか。
「ちなみに、他の人に撫でてもらったりしたことはあるのか?」
ふと気になったので、率直に尋ねてみた。
「………」
「あれ? なんか変なこと聞いたか?」
なぜか呆れたような顔をされてしまったので、少し困惑する。
「こんな恥をしのばなければならないこと、お前以外に頼むわけがないだろう」
「あ……そ、そうか」
ぶっきらぼうな口調で、そっぽを向いて答えるラウラ。心なしか、耳が赤くなっていた。
そうか、俺だけに撫ででもらってるのか。
……なぜかはわからないけど、うれしいことだと思う自分がいた。
「おっ」
ちょうどその時、玄関の鍵が開けられる音が聞こえてきた。
同僚の先生とお茶をしてくると言って、昼前に出かけた千冬姉が帰ってきたのだろう。
今回のなでなではここまでだな。
そう思ってラウラの頭から手を離すと、彼女は名残惜しそうに俺の手の動きを見つめていた。
でもそれも一瞬のことで、千冬姉がリビングに入ってくると笑顔で出迎えていた。
「おかえりなさい、姉さん」
「おかえり」
「ただいま。勉強していたのか、感心だな」
満足げに微笑みながら、千冬姉はこじゃれた模様入りの紙箱を机の上に置いた。
「行ってきたカフェのケーキがおいしかったから、お前達にも買ってきた」
「おお、ケーキか! ちょうど甘い物が欲しかったところなんだ」
「ありがとうございます」
時計を見るともうすぐ3時になるし、一息入れるとしよう。おやつのケーキをいただいて英気を養うのである。
「そういえば、同僚の先生ってどんな人なんだ?」
「IS学園に行く以前から面識のあった女性だ。年下だが、教師としてはあちらが先輩だな」
「へえ。IS学園の先生やってるってことは、その人もすごかったりするのか」
「日本の代表候補生だった時期もあるほどの実力者だ。ただ、普段は多少気が弱すぎるのが弱点だな」
代表候補生って、あれだよな。字面からしてトップクラスの実力者ってことだよな。
うーん、やっぱり俺とは住む世界が違う感じがする。
「IS学園って、職員にも男の人はいないのか?」
「教職員は全員女性だが、一部の用務員などは男性だ」
「そっか。じゃあまるっきり出会いの可能性がないわけじゃないんだな」
「……全員いい歳したオジサマ達だがな」
ありゃ、それは残念。
「一夏は本当に姉さんの恋愛事情を気にしているのだな」
「そりゃあ心配もするだろ。今まで彼氏のひとりもできたことないんだぜ?」
「だが、半端な男なら姉さんと付き合うことを認めないのだろう?」
「当然だ。俺が任せられると判断した人じゃないと駄目だ」
「面倒くさいなこの弟は……」
肩をすくめてため息をつく千冬姉。そんなこと言っても、放っておいたら一生独身で過ごしてしまいそうな生活を送っているそっちにも責任はあるんだぞ?
「しかし、代表候補生ですか。生徒にも一定数はいるのでしょう?」
「そうだな。私が担当しているクラスにも、生意気なのがひとりいる。粗削りな部分も多いが、実力は確かだ。順調に伸びるといいのだが」
「なるほど」
一方ラウラは、千冬姉からIS学園の生徒についての話を聞いていた。
ISに関する話題も問題ないらしく、最近はよくこういった会話をしているのを耳にする。
千冬姉もそんなラウラの態度がうれしいのか、普段よりも饒舌気味に答えるのがお決まりになっていた。
*
そうこうしているうちに夏休みに入った。
3年に進級した時点でかなり量を減らしていたアルバイトも完全に辞めて、いよいよ受験勉強に本腰を入れる時期がやってきたのである。
毎日毎日、長時間机に向かってテキストを読んだり問題を解いたりする日々の繰り返し。もちろん、食べて風呂入って寝る時間以外は全部勉強! なんて極端なことはしていないが……普通の中学生にとっては、十二分に辛い。
「ホント、だるいよなー」
「まあまあ。そういう日頃の鬱憤を晴らすために祭りに来たんだし、今日は受験の話はなしにしようぜ」
「ん、そうだな」
虚空に向かってつぶやく弾を諭すと、あっちも気持ちを切り替えて明るい表情になった。
夏休みも折り返し近くに差し掛かった8月中盤。毎年この時期に近所の神社で開催される夏祭りに、俺達は足を運んでいた。
すでに夕陽が沈んでからそこそこ時間が経っており、境内のあたりはどんどん人が増え始めている。
その人混みをきょろきょろ眺めながら、数馬が口を開いた。
「女子達はまだかねえ」
「あっちは浴衣着てくるんだろ? 多少時間がかかるのは仕方ないさ」
待ち合わせをしているのは、灯下さん、人里さん、中入江さんと、そしてラウラ。
なぜ同じ家に住んでいる俺とラウラが一緒に来ていないのかというと、彼女の浴衣選びを女子達が手伝いたいとお願いしてきたのが発端である。
初めて日本で夏を過ごすラウラは、当たり前だが浴衣を持っていなかった。最初は事前に俺と2人で買いに行こうということになっていたのだが、話を聞いた灯下さん達が任せろと言ってきたので予定変更。ちょっと慌ただしいが、当日の昼間に買って祭りでお披露目、という形になったのだ。
なので俺も、ラウラがどんな姿でやって来るのかはまったくわからないのだが……
「お、あれじゃないか?」
「みたいだな。おーい!」
まだ見ぬ妹分の浴衣姿に思いを馳せていると、弾と数馬が彼女達を発見したらしい。
「ちょっと遅れちゃったね。ごめんなさい」
人の波を抜けて、謝りながら人里さんが現れる。それに続くように、残りの3人も次々と出てきた。
「おおっ、これは……!」
「毎年見てるけど、やっぱ女子の浴衣はいいなあ」
「そこのふたりー、あんまり露骨にジロジロ見てると引いちゃうよ?」
夏にしか見られない服装を目にして鼻の下を伸ばす弾と数馬に対して、灯下さんから厳しいお言葉が飛んできた。
でも実際、2人の行動を馬鹿にできないくらい、彼女達の浴衣姿はよく似合っていた。
その中でも特に俺の目をひいたのは、やっぱり。
「どうだ一夏。似合っているか」
ちょっとはしゃいだ風に尋ねてくる、透き通った白い肌を持つ少女。
3人が派手目の色の浴衣を着ているのに対し、彼女は花柄で彩られた濃い藍色のものを身につけていた。落ち着いた色合いが、彼女自身のイメージに合っていてとてもいい。
いつもは真っ直ぐ伸ばしている銀色の髪は、頭の上でおだんごヘアーにまとめられていた。
「………」
普段とまったく異なる新鮮な姿に、思わず言葉を失ってしまう。
「一夏?」
「ああ……うん。すごく似合ってるぞ。その、きれいだ」
「ふふ、そうだろう。3人が頑張って用意してくれたのだ」
「ラウラちゃんは元がいいから、おしゃれのしがいがあるんだよね」
満足げな表情を浮かべるラウラと灯下さん。褒めてもらえてうれしいようだ。
……でも本当に、思わずドキッとしてしまうくらいきれいだ。
「男子は相変わらず地味な格好だね」
「毎年のことなんだから、気にしないでよ」
思いっきり普段着の俺達に人里さんがツッコミを入れるが、数馬が苦笑を浮かべながら軽く流した。
ラウラを除くここの6人は、中学に入ってから毎年一緒に夏祭りに来ている。理由は2つのグループにまたがって存在していた女の子がいたから。当人は引っ越してしまったけど、彼女が作ったつながりは今年も健在だ。
「いつまでも立ち止まってないで、そろそろ移動しないか?」
弾の呼びかけに従って、俺達は思い思いにしゃべりながらゆっくり歩き出した。
*
パン、とコルク銃から弾丸が発射される。
3等の的が倒れる。
パン、とコルク銃から弾丸が発射される。
2等の的が倒れる。
パン、とコルク銃から弾丸が発射される。
1等の的が倒れる。
「ほら、全弾命中だ」
「くう~、もってけドロボー!」
コルク銃を返還するラウラと、悲鳴をあげながら景品を手渡す射的屋のおじさん。
「すごいなお前」
「この程度、造作もない。それより、ルールを守っただけなのになぜ泥棒呼ばわりされたのだ?」
「ははっ、あれはノリみたいなもんだから気にするな」
不思議そうに首をかしげる彼女に対して説明しながら、とぼとぼと倒れた的を戻しに向かうおじさんの背中を眺める。……景品コーナーの顔ぶれ、随分寂しくなったな。
「うわ、このソフト俺が5000円払って買ったやつだ」
「弾だと手に入れるのに5000円かかるところを200円でとったわけだな」
「ラウラちゃんうますぎでしょ! スナイパーだよスナイパー!」
「あ、ああ。射撃には自信があるからな」
盛り上がるギャラリーにちょっと面食らいながらも、笑顔を返すラウラだった。元軍人の面目躍如ってところだろうか。
「次は輪投げでもやってみるか?」
「ん、どんな遊びだ?」
「行けばわかるよ」
その後もいろんな屋台をまわって、ラウラは景品をゲットし続けた。ちょっとした祭り荒らしである。
「おい坊主。なんでお前が連れてくるお嬢ちゃんは決まってああなんだ」
げっそりした顔で恨み言を吐いてきたのは、2件目の射的屋の店主。そういえば、鈴のやつもこういう遊びは大の得意だったよな。
「えらく大荷物になっちまったな」
「すまない。少し手加減するべきだったか」
「いいんだよ、祭りは楽しんでナンボだ」
「そうか。……うむ、この飴は甘くてうまい」
リンゴ飴をぺろぺろと舐めながら歩く姿を見ていると、なんだか心が癒される。
初めて会った時からは想像もできなかった光景だ。普通に喜怒哀楽を顔に出して、普通に学校に通って、普通に友達を作って。
「……あれ」
そこまで考えたところで、その友達の姿が見えないことに気づいた。
俺達2人は最前列を歩いていたはずだが、どこかではぐれてしまったらしい。
ラウラも事態を把握したようで、俺の判断を仰ぐようにこちらを見る。
「とりあえず、ちょっと休憩するか」
こうも周りが騒がしいと、電話しても声が聞きとりづらいだろう。
屋台が並ぶ通りを外れて、俺達は人の少ない場所まで移動する。
ちょうどいいところに芝生があったので、そこに腰を下ろした。
「歩きっぱなしだったし、休むにはいいタイミングだったかもな」
とりあえず弾に電話したところ、ここから結構離れたところにいることがわかった。
向こうがこっちに来てくれるらしいので、しばらくゆっくりしていよう。
「足、痛くないか」
「ん……少し、親指の付け根辺りが。だが大したことはない」
「下駄なんて初めてだろうからな」
鼻緒でこすれてしまったのだろう。
下駄を脱いでもらって確認したところ、それほど足が赤くなっていたわけでもないので大丈夫っぽい。
「あんまり痛いようだったら、また言ってくれ」
「ああ」
そう答えて、微笑みを浮かべるラウラ。
「………」
「どうかしたか? ジロジロと見て」
「いや、今さらなんだけどさ……本当、よく笑うようになったなって」
人形のようだと評していた頃が、もはや懐かしいくらいだ。
変わったと思う。もちろん、いい意味で。
「お前のおかげだ」
目を細めて、ラウラは俺の瞳を見つめ返す。
なんていうか、今までにないほど優しい声だった。
「あの日のお前の言葉が、私を救ってくれた」
あの日、か。
ラウラを外に連れ出し、女子達に振り回されて、最後に公園に行って。
そこでの会話が、俺達の距離を大きく変えた。
「わからないことの方が多かった。初対面の私に楽しそうに話しかけてくる枝理達、それを後ろから見ているだけの弾と数馬。そして、私にあんなことを言ってきた一夏。みな、その意図が理解できないものばかりだった」
「でも、お前は俺の言葉に応えてくれた」
「……不思議と、響いてきたのだ。その理解できない言葉が」
空を見上げる彼女につられ、俺も頭上に広がる星空を眺める。
雲ひとつないおかげで、元気よく輝く星達がたくさん見えた。
「知りたいと思った。お前や姉さんのこと、周りの人間のこと。だから私は、いろいろなものに目を向けようと決めた。理解できないものを、理解するために」
「それで、どうだった?」
お互いに、相手の顔は視界に入っていない。
それでも俺は、多分ラウラは穏やかな表情をしているんだろうなと、なんとなくわかった。
「なかなか、わかってきた気がする」
「そうか。よかった」
「そうだな……よかった」
そこでいったん、会話が止まる。
しばらくの間、2人とも無言で空を見つめていた。
「一夏」
「ん?」
沈黙を破ったのは、さっきよりもなんだか弱々しいラウラの声だった。
「私は、ここにいていいのだろうか」
びっくりして、ほとんど反射で彼女の方に振り向いた。
向こうも、俺の顔をじっと見つめている。冗談とかではなく、真剣な眼差しだった。
「ここは……織斑の家は、居心地がよすぎる。それゆえに、考えてしまうのだ。今の時間は、何かの間違いで生まれたものではないのかと。夢みたいなものではないのかと」
「ラウラ……」
不安を隠せない顔つきを見た途端、気づけば俺の口は勝手に動いていた。
「そんなわけないだろ。お前はもう、織斑家の一員だ。心配なんてしないで、ずっとここにいればいい」
「本当か」
「本当だ」
「本当に、本当か」
「何度聞いても同じだぞ。本当だ――っ!?」
本当に、突然だった。
念を押すようなラウラの問いにうなずいた瞬間、右肩に重みを感じた。
「安心した」
彼女が、俺に体を預けている。
もたれかかって、頭を俺の肩にくっつけていた。
「ら、ラウラ?」
「撫でて、ほしい」
どぎまぎしている俺に向かって、ラウラは甘い声でお願いをしてくる。
密着具合はかなりのもので、女の子特有の香りがさらに心臓の鼓動を速めていた。
「………」
本当は、もっといろいろ考えるべきことがあるんだと思う。
ラウラには、進む道がきっといくつもある。心の傷が完全に癒えたら、ドイツに戻るという選択肢だってある。
今まで一緒に過ごしてきて、彼女には特別な才能があるのもなんとなくわかっている。俺のような普通の中学生以上に、たくさんの可能性を持っている。
だから、今の穏やかな日々はどこかで終わってしまうのかもしれない。
「一夏?」
でもこの時の俺は、そういう頭を使うようなことは全然考えられなくて。
「ああ、わかった」
いつものように、ラウラの頭を優しく撫でる。違うのは、彼女の髪型と近づき具合だけ。
だというのに、俺はどうしようもなくドキドキしてしまっていた。
逆に、普段照れている彼女の方は、ものすごく安らいだ感じの表情を浮かべている。
「やはり……お前の手は、落ち着く」
こっちは全然落ち着けない。
いつもは見えないラウラのうなじに視線を向けただけで、また体温が上がった気がした。
「そ、そうか」
体が熱い。
火照った頭は、とりとめのない思考を組み上げようとしては消し去っていく。
そんな状態の俺は、ただ隣の少女の温もりを感じているだけだった。
――ほどなくして弾達が到着し、俺達は寄り添っている姿をバッチリ目撃された。めちゃくちゃ冷やかされて恥ずかしい思いをしたのだが、それはまた別の話。
浴衣は胸のない女性によく似合うそうです。
6話まで終わって、残すは終盤のみとなりました。あと少しの間ですが、お付き合いいただけたらと思います。
感想や評価等あれば、気軽に送ってもらえるとうれしいです。
では、次回もよろしくお願いします。