規格外‼︎全てを護る者(更新停止中です)   作:グリムリッパー02

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暴れます‼︎

イカレ神父をぶっ飛ばした翌日。

 

今日は学校が休みである。

 

今俺がいるのは、ちょっとした剣道場だ。

 

俺の目の前には時代劇に出てくるような男性が木刀を持っている。

 

「いやいや、夕弥君とこうして試合するのは久しぶりだね。」

 

この人は更識(さらしき) 鉄磨(てつま)

刀奈のお父さんだ。そしてここは更識家の中にある剣道場だ。

俺は週末を利用してこうやって稽古をつけてもらいに来た。

 

「お久しぶりです。鉄磨さん。」

 

「敬語はよしてくれよ。魔王相手にタメ口の君が僕なんかに敬語を使っていたらおかしいじゃないか。」

 

いやいや、鉄磨さんも十分強いですよ…

 

「それじゃぁ、よろしくお願いします」

 

「あぁ、やろうか」

 

そう言って鉄磨さんは抜刀の構えを取る。

俺も木刀を横に流す感じで構える。

 

しばしの静寂。

緊張で汗が流れる。

 

そして汗が床に落ちた瞬間。

 

パァン‼︎

 

二人の位置は一瞬で入れ替わる。

 

すると鉄磨さんが木刀を落とす。

俺の剣はしっかりと当たっていた。

 

「ーーッ痛ッテェェェエ‼︎」

 

だが声を出したのは俺。

少し遅れて痛みが首、横腹、足に響き渡る‼︎

 

本当にあの人の抜刀どんだけ速いんだよ⁉︎

常識を逸脱してる俺でもまだその剣筋を見たことがない。

 

「大丈夫?」

 

俺が痛みたでのたうち回ってると刀奈がタオルとスポーツドリンクを手渡してくれた。

俺はありがとうと一言告げスポーツドリンクを飲む。

 

「いやはや、刀奈は本当に夕弥君の事が大好きだね」

 

「ふぇ⁉︎ちょ、ちょっとお父さん⁉︎」

 

「俺も刀奈が大好きですよ。心配しないで下さい、俺が必ず幸せにします‼︎」

 

「あぅ…夕弥君まで…」

 

悶えて顔を真っ赤にする刀奈。うん、可愛い‼︎

 

「まったく、二人して刀奈を虐めて楽しいですか?」

 

と、そこへ刀奈の髪をそのまま腰まで伸ばしたような女性が現れる。

 

もちろん刀奈の母更識(さらしき) 柚羽(ゆずは)さんだ。

 

「いや、虐めて無いですよ。俺は愛をストレートに伝えてるだけですよ」

 

「ストレートすぎますよ」

 

「まあまあ、いいじゃ無いか、それに私も君に何時も愛を伝えてるじゃないか」

 

その瞬間さっきまでの和やかな空気からうって変わって殺気が充満する。今までの笑顔は氷の微笑みとかす。怖い…

 

「あなた…?」

 

「すいません調子こいてましたァァァァア‼︎」

 

さすが柚羽さん。この二人は本当に変わらないな。

 

 

 

 

閑話休題

 

 

 

「そういえば悪魔と会ったんだって?」

 

俺は今縁側で鉄磨さんと茶を飲んでいる。

 

「はい、まぁ成り行きで」

 

「やっぱり異常な体質は異様な者を呼び寄せるんだろうね」

 

鉄磨さんや柚羽さんは俺の体質を知ってる。もちろん異世界人ーー転生者だということも。

 

「確かに大変ですけど、刀奈や皆を守ることに変わりはありませんから」

 

どんなに力が強くても型にはまれば対策だって出てくる。

その時、俺は刀奈達を守れるか?

仲間は多い方が心強い。

 

「まったく、君は変わらないね」

 

「変わりませんよ、俺は俺です。拾える実があるなら全部拾うし、それを傷つかせるような敵がいるなら全部潰します」

 

今回の事もそうだ、堕天使共覚悟しとけよ。

 

「そうか、それを聞いて安心した。

 

ところで刀奈との挙式はいつになるんだい?」

 

この人ホントぶれないよな…

 

 

 

 

閑話休題

 

 

 

 

さて、部活だ。悪魔は年中無休。お呼びだしがあれば休みの日でも行く為部活はやっている。

今日は小猫にケーキを持ってきたから夜の部活にも来ている。

刀奈達も食べたいと言っていたので先に行かせた。

 

俺が部室のドアに手をかけ開けると

 

 

パァン‼︎

 

 

豪快な平手打ち現場に出くわした。

え?どういうこと?

 

とりあえず俺は説明を求める。

 

「なぁ小猫これどうなってんの?」

 

「…兵藤先輩がデートしていたシスターさんが堕天使にさらわれたらしいです…」

 

その後をレキが続ける。

 

「……それを助けに行くといったイッセーさんを今部長が叩いたところです。」

 

な⁉︎もうそこまで話し進んでたのかよ、堕天使の方も若干焦ってる感じだな。

 

「なら、はぐれになっても助けに行きます‼︎」

 

「そんなこと出来るわけ無いでしょバカ言わないで!」

 

おぉ、イッセーが部長に食ってかかるなんて、珍しいな…

 

と、そこへ姫島先輩が部長に耳打ちする。

 

「私と朱乃はちょっと出てくるわ」

 

多分堕天使絡みだろうな。

 

「それとイッセー、兵士の駒は決して弱い駒じゃないわ。

兵士の駒は敵地に赴いた時に昇格(プロモーション)することが出来るの。

王以外の全ての駒になれるのよ。

今の貴方では女王の駒は無理でしょうけど」

 

「それと、もう一つ神器の力は想いの力。想いなさい。その想いが強ければ強いほど神器は答えるわ」

 

そう言って部長と朱乃さんは出て行った。

まったく、素直に行けといえば良いのに。

 

「さてと、皆、俺チラシ配りに行ってくるわ」

 

「おい、イッセー、いくらなんでもそれは行くとしか聞こえねぇぞ」

 

「あぁ、行く。行かないといけない。アーシアは俺の友達だからな。」

 

「そうかい、なら僕も行こう」

 

「なっ…」

 

「僕はアーシアさんをよくは知らないけど、キミは僕の仲間だ。それに個人的に堕天使や神父は好きじゃ無いんだ。憎いほどにね」

 

木場も過去に何かあったんだろうな。

 

「んじゃ、ここにいる全員で行くか」

 

「なっ!夕弥⁉︎」

 

「俺もあの堕天使には借りがあるんでな、それにあのシスターさんの事も心配だ」

 

「……私も行きます」

 

「そうね、それにその金髪シスターさんというのも興味があるわね」

 

「………お手伝いします」

 

「小猫ちゃん!刀奈さん!レキちゃん!……あぁ、アーシアを助けに行く!力を貸してくれ‼︎」

 

「「「あぁ‼︎」」」

 

 

 

 

閑話休題

 

 

 

すでに外は真っ暗、街灯が道を照らす時間帯だ。

 

俺たちは教会が見えるところで位置で様子を窺っていた。

 

「これ、図面だよ」

 

と、木場が教会の図面をイッセーに手渡す。どっから持って来たよそれ…

 

と、ふいに気配を察知する。

教会の外れに堕天使の気配が3つ

はぐれエクソシストと思われる気配が200といったところだ。

部長と姫島先輩の反応もあるが苦戦している様だ。

 

「イッセー、木場、小猫、教会の方は任せる。

俺達は外にいる奴らをやる」

 

一言言い残し俺と刀奈はその場を後にした。

 

 

 

閑話休題

 

 

 

教会の外れの方にー居た!やっぱり苦戦してるみたいだ。

 

「部長!姫島先輩!」

 

「夕弥⁉︎それに刀奈まで、どうしてここにいるの?」

 

「あらあら、黙って出て来たのに、作戦失敗ですわ」

 

「スマン、気配を感知したんで抜けて来た」

 

「ん、来たか小僧」

 

そう言ってスーツを着た堕天使の男が俺を睨む。

 

えっと…確かド、ドー、、、ドーナ、、、あ!

 

「ドーナツホール‼︎」

 

「ドーナシークだ!まったくどこまでも口の減らないガキが…」

 

そうそれそれ。

 

他の二人は知らないな。

まぁ、敵であることに違いは無いか。

 

「キャハハハ!こいつらがウチらに楯突いた人間?一人じゃ無いんッスか?」

 

「協力者がいたということなのだろうさ、どちらにしろ殺すことには変わりないがな‼︎」

 

おうおう、血の気が高いな。

 

「部長、悪いがここは任せて貰うぞ。こいつらには借りがあるんでな」

 

「何言ってるの!相手は200人のエクソシストに堕天使が三人もいるのよ‼︎いくら貴方でも…」

 

「いいから、部長達は結界張っててくれ、出来るだけ強固なやつな」

 

「ふん、我らが相手するまでも無い」

 

そう言うとぞろぞろとエクソシストが俺たちの周りを囲む。

 

「刀奈、任せていいか?」

 

「⁉︎ちょっと夕弥なに考えてるの?この数のエクソシストを刀奈一人に任せるなんて…」

 

アンタら…俺らを甘く見過ぎだ…

この街一帯のはぐれ悪魔を狩ってたのは俺たちだぞ…

 

「いいわ、お姉さんに任せなさい」

 

そう言って刀奈は神器を取り出す。

 

「な、神器持ちだと⁉︎」

 

「構わん!この数だ、負けることは無い!」

 

エクソシスト共が刀奈に斬りかかるがーー甘い!

 

刀奈は槍型の神器に水を纏わせ向かって来た奴らを吹き飛ばした。

 

霧纒の淑女(ミステリアス・レイディ)。能力は水と氷を操るシンプルな物だが、刀奈が使えば最強の槍だ」

 

絶えず向かってくる敵を水、又は氷を纏いなが潰して行く。

 

「はぁぁぁぁあ‼︎」

 

ドゴォォォオン

 

「すごいわね…っ!夕弥避けなさい‼︎」

 

見れば後ろから剣を振り下ろす男。

だが俺は避けない。いや、避ける必要がない。

 

パスン

 

乾いた音がなり男はその場に倒れ込む。

 

「ナイスショット、レキ」

 

急に倒れた敵をみて部長達は驚愕していた。

 

「今の狙撃、一帯どこから…」

 

「ん?学園の屋上だが?」

 

「学園⁉︎一帯どれだけ距離が」

 

「レキなら可能だ」

 

と、エクソシスト共が次々に倒れて行く。

 

強欲の魔射(アヴィド・ティロ)、撃ち出された弾の弾道を変化させたり、弾に特殊効果をつけることも出来る。これもレキが使えば最強の狙撃手だな」

 

説明している間にエクソシスト共は倒れる又は氷漬けにされていた。

 

そして俺は堕天使達に向き直る。

さっきまで余裕の表情だったこいつらも、あんだけの秒殺を見て驚愕の表情だ。

 

「さて始めようかおっさん、アンタには親友を貫かれた礼があったな。お前ら三人は直々に俺が殺してやんよ」

 

「「「「舐めるなよ、小僧ォォォオ‼︎‼︎」」」」

 

そう言って三人は光の槍を合体させ丸太くらいの光の槍を作り出す。

 

「くらえぇぇえ‼︎」

 

それを俺目掛けてぶん投げるが…

 

「しゃらくせえ‼︎」

 

俺は意図も簡単に足で叩き割った。

 

「んな…馬鹿な…」

 

「今のは良い一撃だった。だから冥土の土産に見せてやるよ。第四真祖の力をな‼︎」

 

そう言って俺は腕を前に突き出す。

腕は黒く染まり真っ赤な血管の様な紋様が浮かび上がる。

 

「“焔光の夜伯(カレイド・ブラッド)”の血を継ぎし者、滝宮 夕弥が汝の枷を解き放つ。来やがれ!5番目の眷獣、獅子の黄金(レグルス・アウルム)!」

 

「GuooooooO‼︎」

 

現れたのわ雷を纏った黄金の獅子。

 

「やれ獅子の黄金‼︎」

 

そう言うやいなや堕天使の頭上に高密度の雷撃が落ちる。

今の姫島先輩の100倍くらいはあるんじゃないだろうか。

 

その一撃を見て堕天使達は避けようとするが一人、長身の女性は反応が遅れた様だ。

 

「ギャャァァァァア‼︎」

 

「カラワーナ‼︎」

 

「お前よくもカラワーナを‼︎」

 

ゴスロリ服の少女が突貫してくるが、遅いな。

 

ズサッ

 

獅子の爪が少女に突き刺さる。

 

「グハァッ」

 

「ミッテルト‼︎」

 

ドーナシークが叫ぶがもう絶命してる。

 

「さて、後はおっさんだけだぜ」

 

「貴様ァ!よくも仲間を!」

 

「アンタらに仲間意識が有ったのは驚きだが、これは言っとくぜ。ーーーーアンタも一度俺の親友を殺したんだ‼︎」

 

 

 

「獅子の黄金…

 

 

喰らえ」

 

 

「やめろ…やめろォォォオ‼︎うわァァァァァア‼︎」

 

こうして俺の堕天使との戦いが終わった。

 

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜

 

「な、なかなか酷い事するのね…」

 

「私でも少し血が引きましたわ…」

 

堕天使との戦い後、部長達は顔を引き攣らせていた。

 

「俺そんなにおかしかったか?」

 

「夕弥君は敵には容赦ないものね」

 

「……残虐非道です。それに戦闘狂です」

 

刀奈と転移させたレキが言うが、残虐非道とは言い過ぎじゃありませんかね、蕾姫さん…戦闘狂はまぁ否定しませんけども。

 

「はあ、つくづく規格外ね、ホントに協力者だったことに安心するわ」

 

規格外とまで言われるとわ…はぁ、もうなんでもいいや。

 

「それより、そろそろ行こうぜあっちも終わってんだろ」

 

俺が声をかけると同時にレイナーレがこっちに吹っ飛ばされて来た。

 

 

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜

 

俺は気絶しているレイナーレを引きずってイッセー達の前に来た。

 

「よぉ、イッセーお疲れさん。元カノに一発入れられたみたいじゃないか」

 

「あぁ、そっちも、でもアーシアは……」

 

「まぁ、その話は後だ、今はこのカラスの方が先だ、刀奈頼む」

 

「了解よ」

 

刀奈は手元の神器から水を作り出しレイナーレへ被せる。

 

レイナーレは「ゴホッゴホッ!」と咳き込んでいるが御構い無しだ。

 

「ごきげんよう、堕天使レイナーレ」

 

「……グレモリー一族の娘か……」

 

「はじめまして、私はリアス・グレモリー。グレモリー家の次期当主よ。短い間でしょうけど、お見知りおきを」

 

笑顔で言い渡す部長を、レイナーレは嘲笑う。

 

「……してやったりと思っているんでしょうけど、残念。今回の計画は上には内緒ではあるけれど、私に同調し、協力してくれている堕天使もいるわ。私が危うくなったとき、彼らは私を――」

 

「助けならこないぞ」

 

俺が部長との会話に割り込む。

 

「堕天使カラワーナ、堕天使ドーナシーク、堕天使ミッテルトなら俺が殺したからな」

 

「嘘よ!」

 

レイナーレは俺の言葉を強く否定するがーーー

俺が懐から三枚の黒い羽を取り出すとその表情は青ざめた。

 

「これは彼らの羽。同族のあなたなら見ただけでもわかるわね?」

 

部長の説明。イッセーは部長が動いていた事に驚いていた。

 

部長は今度はイッセーに目を向ける。

 

「……赤い龍。この間までこんな紋章はなかったはず……。そう、そういうことなのね。イッセーが堕天使に勝てた最大の理由がわかったわ。堕天使レイナーレ。この子、兵藤一誠の神器はただの神器じゃないわ。それがあなたの敗因よ」

 

 部長の言葉に、レイナーレは怪訝そうに片方の眉を吊り上げる。

 

 あいつは気づかないままイッセーと戦ったってたって事なのか。

流石にアレだけ力が膨れ上がれば気づきそうなもんだがな

 

「――『赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)』、神器のなかでもレア中のレア。篭手に浮かんでいる赤い龍の紋章がその証拠。あなたでも名前くらいは知っているでしょう?」

 

 レイナーレは驚愕の表情を浮かべる。

 

「ブ、ブーステッド・ギア……。『神滅具』のひとつ……。一時的にとはいえ、魔王や神すら超える力が得られるという……あの忌まわしき神器がこんな子供の手に宿っていたというの!?」

 

「言い伝え通りなら、人間界の時間で十秒ごとに持ち主の力を倍にしていくのが『赤龍帝の篭手』の能力。時間が経てば経つほど力は倍になり、いずれは上級悪魔や堕天使の幹部クラスに届くようになる。それに極めれば、神を屠ることだってできると言われている」

 

これは俺の説明。俺はイッセーの神器の正体知ってたしな。

 

「夕弥、貴方知っていたの?」

 

「まぁな、でも後から分かった方がサプライズ的に良いかなと思ったんだよ」

 

部長は頭を抱えるがイッセーに赤龍帝の籠手があるなんて言ってもにわかには信じないだろう。

 

「じゃあ、最後のお勤めをしようかしらね」

 

途端に部長の目が鋭くなる。

 

「消えてもらうわ、堕天使さん」

 

部長はレイナーレに近づきそう言い放った。

 

冷たく、殺意のこもった一言だ。

 

「じょ、冗談じゃないわ! こ、この癒しの力はアザゼルさまとシェムハザさまに――」

 

と、そこで俺は頼まれごとを思い出す。

 

『アザゼルからの伝言だ。「お前にやる愛はない。そこで大人しく消滅されろ」だとさ』

 

他には聞こえないように耳元で囁くとレイナーレの顔はもう絶望に染まっていた。

 

そのレイナーレの瞳に、イッセーの姿が映ると、途端に媚びたような目つきになる。

 

「イッセーくん! 私を助けて! この悪魔が私を殺そうとしているの! 私、あなたのことが大好きよ! 愛してる! だから、一緒にこの悪魔を倒しましょう!」

 

こいつ…どこまで外道なんだ…‼︎

 

あぁ、こいつがこれ以上言葉を発する前に消してやる…!

 

「……来い!5ばーーー」

 

だが俺が眷獣を呼ぶより先に、イッセーが言葉を紡いだ。

 

「グッバイ。俺の恋。部長、もう限界っス……。頼みます……」

 

それを聞いた途端、レイナーレは表情を凍らせた。

 

俺は静かに、手を下ろした。もう、俺の出番は必要ないようだ。

 

「……私のかわいい下僕に言い寄るな。消し飛べ」

 

 部長から放たれた魔力の一撃により、堕天使は跡形もなく吹き飛んだ。

 

イッセー…ホントお疲れ様。

 

 

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜

 

「これはね、イッセー。『僧侶(ビショップ)』の駒よ」

 

レイナーレを消し飛ばしたあと、沈んでいるイッセーに部長が見せたのは悪魔の駒だった。

 

「あなたに説明してなかったわね。爵位持ちの悪魔が手にできる駒の数は、『兵士』が八つ、『騎士』『僧侶』がそれぞれ二つずつ、『女王』がひとつの計十五体なの。私は『僧侶』の駒をひとつ使ってしまっているけれど、もうひとつだけ『僧侶』の駒があるわ」

 

なるほど、アーシアを転生させるつもりなのか。

 

 そう言い、眠るように死んでいるアーシアの胸に紅い駒を置く。

 

「はい、ちょい待ち」

 

俺は転生の間に割り込む。

 

「なによ、邪魔するって言うの?」

 

皆怪訝の目だ、イッセーに至っては若干キレてる。

 

「あぁ、違う違う。ただ悪魔に転生することを本人に聞いといた方が良いだろ?」

 

「な…!生き返らせられるのか⁉︎」

 

「まぁ、出来ないこともないけど、それより簡単な事だ。まぁ見ててくれよ」

 

そう言い俺は皆から少し離れて異空間からお札を取り出す。

そして自分の血で五芒星を描く。

 

『我望むは少女との対話。星々の神よ、地に還りし少女をかの地へ引き上げたまへ‼︎』

 

カッ

 

五芒星が光を上げるとそこにはーーー足の無い状態でフヨフヨと浮くシスターの姿があった。

 

「アーシア‼︎」

 

『⁉︎、イッセーさん⁉︎』

 

二人は抱き合おうとする。が、相手は幽体。すり抜ける。

 

「滝宮君は陰陽術も使えるのかい?」

 

「夕弥でいいぜ、それにアレはどちらかと言うとイタコ、シャーマン的な術だ。まぁ、見よう見まねだったけどな」

 

「アハハハ、それは凄いね。あと僕も祐斗でいいよ」

 

木場ーー改め祐斗との進展の最中もイッセーとアーシアは涙を流しあっていた。

本題覚えてんのかね?

 

「あー、イッセー。そろそろ本題に行かねえか?これもそこまで続く術じゃねぇ」

 

「そ、そうか。分かった。なぁ、アーシア。」

 

イッセーはアーシアへ向き直る。

 

「俺はアーシアを生き返らせたい。でもそれはアーシアを悪魔に転生することなんだ。今の君からしたら敵だ。それでも「私、転生します!」良いのか?」

 

「はい。確かに私にとって悪魔は敵なのかもしれません。それでも私はイッセーさんと一緒がいいです!イッセーさんと一緒にいたいです!」

 

その言葉にイッセーは涙する。刀奈もちょっと泣いてる。

 

やろうと思えばこのまま人として生き返らせる事も出来ただろう。でもこれは彼女が望んだことだ。俺の出る幕じゃないな。

 

そのあとは部長が悪魔の駒を使ってアーシアを転生させ、二人は抱き合うことが出来た。

 

 

 

閑話休題

 

 

 

次の日俺たちは早めに部室に来ていた。

 

「おはようございます。夕弥先輩、更識先輩、レキちゃん」

 

「おはよう。夕弥君、更識さん、蕾姫さん」

 

「あぁ、おはよう。二人とも」

 

「おはようございます」

 

俺たちは並んで部室へ行く。途中姫島先輩にもあった。

 

部室の前につくと楽しげな会話が聞こえる。

 

俺たちは皆で顔を見合わせた。

 

「もう少し外で待ってるか」

 

「……ですね」

 

そう言って皆で笑あった。


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