規格外‼︎全てを護る者(更新停止中です)   作:グリムリッパー02

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テストなんて知らない。
そんな物無かったんやーーー



分からせてやりましょう!

俺たちは場所を移し、以前、野球の練習をしていた旧校舎の裏手へ来ていた。

周りは紅い魔力の結界で囲まれていて、被害がでないようにされている。

少し離れたところに祐斗が、横にはイッセーがいて、他の部員のみんなは結界の外で俺たちを見守っている。

 

「イッセー、今回は譲ってやるよ。お前も言いたいことあるただろ?」

 

「いいのか?」

 

「ま、負けたら交代するからな。祐斗もだ」

 

「別にいいさ。負けないからね」

 

今のお前なら勝つことはあり得ないと思うがな。

 

そうやってイッセーが結界の中に入る。

祐斗にはゼノヴィア。イッセーにはイリナが相手をするらしい。

 

「お前はやらないのか?」

 

ジブリールに聞く。なんでもこれは私的な決闘らしいのでジブリールがやっても問題は無いらしいのだが、

 

「今回は見学させていただきます。貴方様の力も拝見してみたいですし」

 

イッセー達が負けるのは前提かよ。

 

「散々大口を叩いた割にキミは出てこないのか?」

 

ゼノヴィアが挑戦的に言う。

 

「ちょっと暴れたい奴がいるらしいからな。そっちが先だ。ま、俺が相手しない方が今後の任務に支障が出なくていいと思うぜ?」

 

その言葉にゼノヴィアは目を鋭くするが直ぐに前の祐斗に向き合い白いローブを脱ぎ去った。下はボンテージのような黒い戦闘服だ。イリナも同じ物を着ていてイッセーが釘付けになっている。確かに身体のラインがはっきりしていて───

 

グサッ‼︎

 

「グァァア⁈目がァ目がァァア‼︎」

 

なんだ⁈急に景色が真っ暗に!つか目が痛い‼︎‼︎

 

「夕弥さんには目に毒です」

「先輩は見ちゃいけません」

 

見えないが後輩二人組の声が聞こえる。どうやら目潰しされたらしい。

 

「クソッ!マジで見えねぇ…」

 

あたり一面真っ暗。これ眼球傷ついてないよね?

小猫の力とレキの正確無慈悲な突きは俺の目を完全に機能停止させた。

 

他の部員は只々苦笑いを浮かべていた。

 

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜

 

「剥ぎ取りゴメン!」

「卑猥な!」

 

目が見えるようになるとイッセーがいやらしい顔でイリナに飛びついていた。なにやってんだバカが…

 

「もう見えるようになったんですか?」

 

小猫が聞いてくる。真祖の治癒力なめんなよ?

 

俺は小猫とレキにチョップを入れながらも祐斗の方を見る。祐斗は二振りの剣をゼノヴィアのエクスカリバーによって粉砕されていた。成る程あれが破壊の聖剣の能力って訳か。

見れば所々クレーターが出来ている。

 

「木場君は酷い状況ね。自分を見失ってる」

 

刀奈が説明してくれる。声は聞こえていたが大抵が「はぁ!」とかの声だったんでイマイチ状況が分からなかったんだ。

どうやら結構無茶苦茶に暴れたらしな。

 

「まだまだ!」

 

イッセーは絶えずイリナを追っかけていた。視点変えるだけで雰囲気違い過ぎるだろ。

 

「はぁぁぁぁああああっ!」

 

祐斗が気合を込め剣を創り出すが、それじゃダメだ。お前はそっちじゃない。

 

「その聖剣の破壊力と僕の魔剣の破壊力!どちらが上か勝負だ!」

 

手に握られた一本の巨大な剣を持ち振るう祐斗。

 

「なっ!」

 

今度はイッセー。ルパンジャンプの如くイリナに飛びついたがイリナがしゃがんだ。

そのまま勢いを持ったまま、止まることなく小猫とアーシアに飛んでいくイッセー。馬鹿野郎!こっち来ると小猫達の服が大変な事になんだろうが!如何にかしてイッセーも祐斗も止めねぇと…

 

ピコン!

 

いい事思いついた!これならイッセーも祐斗も止められる。

俺は飛んでくるイッセーの腕を掴む。『洋服破壊破(ドレスブレイク)』は女性限定の技らしいので男性(誰がなんと言おうと男性)の俺には効かない。

 

そのままイッセーの腕を掴み振りかぶって───

 

「飛んでけ!」

「ウッ、うわぁぁぁぁああああ!」

 

祐斗の方へ投げる。瞬間的に方向を変えられ更にかなりのスピードで投げられたGは相当な物だろうが、イッセーだから気にしない。

 

そのままイッセーは今正にゼノヴィアと衝突しようとする祐斗の方へとんで──

 

ドンッッッッ!

「グフゥッ‼︎」

 

見事祐斗諸共吹っ飛んだ。これにはゼノヴィアも目を丸くした。

イッセーは投擲武器に向いているかもしれない。

そのまま動かなくなってしまったが。死んでないよな?

 

「選手交代だ。刀奈、祐斗の奴氷漬けにしといてくれ。頭冷やさせる」

 

苦笑しながらも応じてくれる刀奈。

他の部員もポカーンとしていた。これについてこれるのは昔から馴染みのある奴くらいだろう。

 

「相変わらず無茶苦茶ね」

 

イリナが顔を引きつらせながらも言う。

 

「幼馴染みが変わってなくて嬉しいだろ?」

 

「むしろ悪化してるんじゃないかしら?」

 

「成長したと言ってくれ」

 

俺は結界に入り首をゴキゴキと鳴らす。

 

「さて、二人同時で構わないぞ。じゃないと俺がつまらないからな」

 

その言葉に二人が反応する。

二人は頷きあい間合いを取った。俺も漆龍王の煌尾(チェンド・エンシス)を出す。

 

「夕弥君も神滅具持ちなの⁈」

 

「まさか漆龍王の煌尾とは…赤龍帝の籠手に聖母の微笑み、そして魔剣創造か。我々の中でも異端としてあげられる物がこうも揃うとは。しかし幾ら神滅具を持っていてもさっきの彼の二の前になるんじゃないか?」

 

「アホ、アレはアイツが弱いだけだ。俺を一緒にすんなよ。それよりこなくて良いのか?先手は譲るぞ」

 

「フッ…言われなくても!」

 

後方からゼノヴィアが飛び出す。中々のスピードだ。そのまま剣を振るうが俺はそれを躱す。躱された剣は地面にあたりクレーターを生み出した。

 

「破壊の聖剣の名前は伊達じゃ無いって事か」

 

「余所見しちゃダメよ!」

 

そこへ間髪入れずイリナが剣を振るう。剣は形を変え鞭の様に伸びしなる。漆龍王の煌尾みたいな能力だな。

 

『あんなボンクラと俺を一緒にするな我が主』

 

おっとガイアスが拗ねてしまった。分かってるよ。お前が最高だ。

 

さて、戦闘に戻りますか。

 

「形質変化には驚いたけど、まだ甘いぜ!」

 

横から薙ぎ払ってくるイリナの聖剣をジャンプで躱し更にその上に乗る。

 

「なっ⁉︎」

 

「こうやって伸ばしちまったら縮めんのに時間がかかんだろ?」

 

そのまま剣の上を走る俺。

 

「舐めないで!」

 

イリナが力を込めると聖剣は枝分かれし襲ってくる。

それも体を捻ったりジャンプしたりで躱していきどんどんイリナに近ずく。

 

「クッ!器用ね!」

「こちらを忘れて貰っては困る!」

 

横からゼノヴィアが追いついた。そのまま剣の振るって来るが遅い!

俺は瞬動を使い一気にイリナの懐に入る。

 

「え?」

「悪いな」

 

そのままイリナに手を当て、双撞掌を放つ。相手を無力化するだけで、殴る訳ではなく吹き飛ばす技なので結構気に入ってる。

 

「きゃっ!」

 

とりあえずイリナは無力化。お次はゼノヴィアか。

 

「はぁぁぁぁあ!」

 

ブンッと振るわれる聖剣。幾ら俺でも聖剣に斬られるとヤバイ。吸血鬼にも聖剣は効くからな。

消滅する可能性もある。まぁエクスカリバーとかくらいのレベルじゃないと無理だが。

 

「クッ!何故当たらない!」

 

そりゃお前が遅いからだ。でも避けてるだけじゃつまらないし、そろそろこっちも攻めるか。

 

接近での剣戟を止め上へ飛び上がるゼノヴィア。

破壊の聖剣の能力で避けられても余波で吹き飛ばす気のようだ。

だが俺はあえて避けない。避ける必要が無いならな。

俺は言霊を発する。

 

「── 我は最強にして、全ての勝利を掴む者なり。人と悪魔、全ての敵と敵意を挫く者なり。我は立ちふさがる全ての敵を打ち破らん! ──」

 

雄牛の権能の能力で力が湧き出る。そして漆龍王の煌尾の能力も発動。

 

『FormChanger‼︎』

 

「くらえ!」

 

ゴォォオオオンッ‼︎

 

土煙が舞うがもちろん俺は死んでいない。俺は聖剣を受け止めていた。

 

「何ッ⁈」

 

もちろん触ると危ないので剣を籠手に変え受け止めている。

完全に受け止めているのでゼノヴィアは今空中に浮かんでいる状態だ。

 

「は、離せ‼︎」

 

「オッケー。そらよ‼︎」

 

剣を振るってイリナの方向へゼノヴィアを吹っ飛ばす。

ゼノヴィアはイリナにぶつかった。

 

「大丈夫⁈ゼノヴィア」

「あぁ、大丈夫だ。しかし聖剣を奪われた…」

「大丈夫よ。アレは素質がある人じゃないと使えないから」

 

なんだ使えないのかよ。まぁ意味無いけどね。

 

「さて、そろそろ終わらせるか」

 

俺は破壊の聖剣を持って駆け出す。

イリナが四方八方から剣の鞭を操ってくるが剣でいなし、弾く。

そして直ぐ近くに来たところで剣を振り上げる。

雄牛の権能の能力なら聖剣が使えなくとも──

 

「オラァァァァア‼︎」

 

ズガァァァァァァァアンッ‼︎

 

「「…………え?」」

この位の威力普通に出せるのだ。

剣は二人の横の地面に激突。ゼノヴィアの破壊の聖剣よりも巨大なクレーターを残した。

 

「……そんな…使え無い筈では…」

「………まさか単純な腕力でコレを…」

 

二人はヘタリと地面に崩れ落ちた。

 

「んで?まだやるか?次は当てるぞ?」

 

二人は震えていた。

 

「いや、これでやめておくよ…」

「そうね…任務前に行動不能とかにはなりたくないもの…」

 

そう言ってそそくさと荷物を纏める二人。なんだよてっきり死ぬまでやるかと思ったんだがな。

 

「次あったら絶対断罪してやるからな!」

「次は勝つわよ!」

 

そんな捨て台詞まで残し去っていく。

 

はぁ、次は祐斗か。


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