規格外‼︎全てを護る者(更新停止中です) 作:グリムリッパー02
さてさて、球技大会当日。
もう直ぐでテニスの試合が始まるのだが…
「成る程、人間はこうやって玉を使い競い合うのですね」
「なんでいるんだよ…」
俺の隣にはなぜかジブリールがいた。
あの後、やっぱり俺はたっぷり絞られた。
なんとか天使長様からのお頼みという事で説得出来たのだが問題はその後だった。
『…なんで天使が此処に‼︎』
そう小猫だ。
黒歌は昔からの付き合いで俺の地位とかもよく知っている。なので天使に対して嫌悪感とかは特に無い。
だが小猫はグレモリー眷属であり現役悪魔だ。
そりゃ主の根城に天使が無断で入れば色々と問題が出てくるだろう。
小猫を説得来るのが一番疲れた。
なんとか一週間分のお菓子を作ってやる事で場を収めることが出来た。
だが問題はまだ残っていた。オーフィスである。
無限の龍神であり渦の団の元トップ。
オーフィスが渦の団を抜けたことはまだ知らされてないのでジブリールが見たら確実にアウトだと思っていたのだが……
『お、お、お、オーフィス‼︎まさかこんな所で未知の存在に出会えるとわ!』
まぁ、ジブリールの好奇心が爆発しました。
当初とは別の意味で大変だった。
「何故と言われましても黒歌さんやティアさんに誘われたからとしか言いようがないのでございますが」
「それ以前にここは悪魔の根城だぞ!お前が入っていいのかを聞いてんだよ!」
「あら、その為にこの腕輪を下さったんじゃないですか?」
ジブリールが手首に付けられている腕輪を見せる。
それは以前俺がかけていた『気配を人の物と変える魔法』を腕輪にした物だ。
お陰でまだ部長や会長にはバレていない。
「それは生活の為にやった物だ、流石に近づき過ぎたらバレるぞ」
「心配ございません!私自身も気配を最小限に抑えておりますから」
そう胸を張るジブリール。バレて面倒くさいのは俺なんだがな…
まぁ、後からバレることにはなる訳だけど。
そんなこんなジブリールと話している内テニスの時間になった。
テニスでは刀奈が出るのだ。
「俺は刀奈のテニスを見に行くが、お前はどうする?」
「私はもう少し人間観察をしています」
そう言って涎を垂らすジブリール。こいつの好奇心は止まることを知らないらしい。
俺は「程々にしてくれ」と呟きジブリールと別れた。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・
〜
「夕弥君〜!」
テニスコートへ着くとすぐさま刀奈に呼ばれた。
「試合はこれからか?」
「えぇ。リアスやソーナも参加している以上手を抜くなんてあり得ないわ!」
刀奈の目はメラメラと燃えいる。
やり過ぎには注意してくれよ。身体能力とか常人を超えてるんだから…
と、俺と刀奈が会話していると周りから奇声が飛び交った。
「キャー!夕弥くんと更識さんが会話してるわ!やっぱり二人は付き合ってるのね!」
「イヤイヤ!さっき夕弥くんが見知らぬ女の人と一緒に歩いているのをみたわ!」
「そ、そんな!嘘だろ!やっぱりイケメンだからなのか!?」
「私もハーレムに入れてー!」
「寧ろ奴隷にしてー!」
「刀奈さぁん!愛してます!」
最後のやつはO★HA★NA★SHIしようか♪
「あら、夕弥君の奴隷は私だけよ」
また余計な事を…完全に悪戯心MAXな刀奈の言葉に生徒達が更に燃え上がった。
「両者位置についてください」
おっと、そろそろ試合が始まるようだ。
「それじゃ頑張れよ」
「任せなさい!」
そう言ってコートから離れる俺。男子からの目線が痛い。
刀奈はコートにつき、数回ボールを手元でリバウンドさせる。
そして高く上げサーブを打ちこんだ。……ってあれ?なんで相手は動かないんだ?
「はぁぁぁあ!刀奈お姉様にサーブしてもらえるなんて……感激」
ドサッ
「おい!倒れた生徒を保健室に運べ更識は不戦勝だ!」
………そんなのありですか?
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
さて、テニスの試合も終わり今度は部活対抗戦だ。内容はドッチボールらしい。
テニスに至っては刀奈は決勝まで進みはしたのだが、準決勝の部長対会長戦にてラケットがぶっ壊れるまで試合するというハチャメチャ展開の結果引き分けに終わった事から有耶無耶となってしまった。
今は部活対抗戦まえのウォーミングアップをしている。
「夕弥ー!」
ドンッと俺の背中にぶつかる何か。見れば猫耳と猫尻尾を消した黒歌だった。
「お、黒歌、今まで何処に行ってたんだ?」
「白音の試合を見てたにゃ」
成る程。通りで見かけなかった訳だ。
「夕弥、私も来たぞ!」
「おぉティア。黒歌のお守りお疲れさん」
「お守りは酷くないかにゃ⁉︎」
「いいのだ。私も楽しめたからな」
「ティアもなんか言ってくれにゃ!」
案外良いコンビだよなこの二人。
いつも家で一緒に居るからか結構仲が良かったりする。
「……先輩」
「ん?小猫どうした?」
「実は…この機会に部長にお姉ちゃんを紹介しようと思いまして」
あ、そういえばまだ紹介してなかったな…
うん。確かにいい機会だし紹介しておこう。
「分かった。付き合うよ。おーい黒歌、ちょっと来てくれ」
そうして黒歌を呼び部長の元へいく俺たち。
途中イッセーから何か色々と言われたが大体は無視した。
「あら、夕弥と小猫どうしたの?──ってその人は?」
部長は一人ストレッチをしていた。
部長の問いに小猫が答える。
「…部長、この人は私の姉の黒歌です」
その言葉に部長は目を見開いた。
部長は眷属の長だ。当然小猫の過去もある程度知ってるだろう。
「そう…あなたが…」
黒歌を見れば若干バツが悪そうな顔をしたが意を決し、部長の前に立った。
「始めましてリアス・グレモリー。私は小猫の、白音の姉の黒歌です」
「黒歌さん、いいえ黒歌と呼ばせてもらうわ。それで黒歌。私は一番小猫を見てきた。あなたが小猫に何をしたか分かってるの?」
「分かってます‼︎私は、私は白音を置いていった。それが白音の為になると思ったから。でもそれは違った。結果白音を傷付けてしまった!白音にも貴方にも謝っても謝りきれない。ごめんなさい!そして、今まで白音を支えてくれてありがとうございました!」
何時もの語尾の無い口調で深々と頭を下げる黒歌。
部長はそれを見て微笑んだ。
「良いのよ。私は別に怒ったりはしてないわ。小猫が良いのならもう良いの。ただ小猫と同じ妹として言わせてもらうわ。一生一緒にいてあげなさい。それが償いでもあり小猫の為でもあるわ」
頭を下げる黒歌に優しく微笑む部長、そして涙を貯めながら暖かく見守る小猫。
うん感動の図だね!
「良かったな小猫」
「ッ!…はい!」
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
イッセーサイド
さて、やっとお待ちかね部活対抗戦が始まったぜ!
さっきまで夕弥達がなんか話してたみたいだけどなんかあったのか?
今は体育館でドッジボールをしている。
オカルト研究部の一回戦の相手は野球部だなんだけど…
「狙え!兵藤を狙うんだぁぁ!」
「うおっ!てめえらふざけるな!」
飛んでくる豪速球をよけながら俺は叫んでいた。
開始そうそう俺だけが狙われていた。
単純だ、俺以外には当てられないんだ!このチキンどもめ!
部長、朱乃さん、刀奈さん、学園のアイドル。当てられない。
アーシア、二年生の癒し系ナンバーワン。当てられない。
小猫ちゃん、レキちゃん、学園のマスコット。当てたらかわいそう。
木場、当てたら女子に恨まれる。当てられない。
夕弥、前の理由+当てたら命は無い。当てられない。
俺ことイッセー、当てろ!むしろ殺せ!
「イッセーを殺せぇぇぇぇ!」
究極の消去法で全校の悪意が集中していた。
これがエロレクイエムなのか⁉
「奴を殺せぇぇぇぇ!」
「お願い!お姉様達のためにも」
「殺せぇぇえ!徹底的に殺るんだ!」
「殺すだけじゃ生温い!」
「眉間を狙えよ。それ以外の当たり判定はなしと思え」
ギャラリーからの死ね死ねコール。
同じ学園の生徒なのにアウェイかよ!
あと、最後の夕弥⁉︎
なんでコールに混ざってんの⁈
「恨まれてもいい!イケメン死ねぇぇぇぇ!」
豪胆な野球少年が木場に向かってボールを投げた。
そのままあてられちまえ!───ってぼーっとしすぎだろ!
「なにぼーっとしてんだ!」
「あ、イッセーくん」
俺が腕を伸ばしボールを取ろうとしたが…
くっ!弾いちまった!
そして、取り損なったボールの行く先は─────
バシィッ!
夕弥の顔!とっさのことだったが見事に片手でボールをキャッチした。流石夕弥だ!
けど……
「「「「……………」」」」
体育館が異様な沈黙に包まれる。
他のコートで試合をしていた生徒やギャラリーもすべてが夕弥に注目している。
「ったく、ちゃんととらねぇとダメだろ?イッセー?」
ガタ……ガタガタガタガタガタ‼
体が尋常じゃない程震える。
怒ってらっしゃる!怒ってらっしゃるゥゥゥゥウ‼︎
「あ、あの夕弥…」
「とは言え、ボールを投げたのは相手だよなぁ」
ニコリと夕弥が微笑む。あんな顔見たことない!
相手のチーム全員の身体が震えてる。
「まぁ、これは試合だし。ルールに則った行為だしな」
夕弥が言葉を一旦とめ、相手のチームを見渡す。もしかして怒ってないのか?
「夕弥、お前…怒って───」
「だから俺が
「「「「怒ってるゥ‼︎」」」」
体育館にいた相手チーム以外の生徒全員が叫んだ。
だって夕弥、めっちゃ笑顔だもん!
喧嘩とかバトルとか、そーゆー時の顔だよ!目ギラギラしてるゥ!
「オラァァァッ!」
ドンッッッッ!
「グボォッ‼︎」
…………………。
あれ?今って球技大会だよね?戦争とかそんなんじゃないよね?
ボールって当たった人を場外まで吹き飛ばしたっけ?
ボールは相手の腹に当たり更に回転して夕弥の手元に戻ってきた。
コレもう終わったんじゃね?
「安心しろ、一人づつ送ってやる」
「う、うわぁぁぁぁあ!」
ドンッッッッ!
夕弥のボールは一人また一人と当たっていく。それはもう、地獄絵図と言うべき他に無かった。ボールは操られているかの如く夕弥の手元へ戻っていく。
「オイオイどうしたァ‼︎早く逃げねぇと当たっちまうぞ‼︎」
「「「ギャァァァァァァァァァ‼」」」
魔王だ。本物の魔王よりよっぽど魔王らしい奴がいる!
俺達の球技大会は相手チームの悲鳴を聞きながら終了した。
尚、部活対抗戦は他のチームの棄権によって我らオカルト研究部の優勝となった。
表彰台に上がった部長の顔は生気が抜けていた。
今回の夕弥の活躍は『駒王の魔王』として他県にまで伝わったと言う。