規格外‼︎全てを護る者(更新停止中です) 作:グリムリッパー02
その頃、俺は5歳だった。
まだ、レキはいなかったし、親はまだ家に居るほうだった。
そんなある日だ。俺は公園に来ていた。夕日が沈みかけていて辺りは真っ赤だった。
そんな時だ。刀奈に会ったのは。
「ったく、母さんは。あんなにベタベタされるとさすがに恥ずかしいって…どんだけ子煩悩なんだよ」
そう呟きながら俺は公園に来た。理由は無いが何と無く外の空気が吸いたかったからだ。母さんから逃げたいという気持ちもあった。
「……うっ…ひくっ…」
「ん?泣き声?」
どこからか泣いてる声がする。
どこだろう?
俺は耳を済ませた。
まだ能力は出て無いが身体的な五感は結構優れていた。
「いた、あそこだ」
遊具の裏、外から見たら分からないような所からその泣き声はきこえていた。
「や、こんにちは」
「ひっ…!」
近ずくとそこには女の子がいた。
水色の髪をして、真っ赤な瞳をした少女。
夕焼けに照らされた髪はキラキラと輝いて、真っ赤なカメリアの瞳には吸い込まれそうな気がした。
「…………可愛い」
「え?」
「あ、ごめん。驚かせるつもりはなかったんだ。俺は滝宮 夕弥。夕弥って呼んでくれ」
「私は…更識 刀奈……刀奈でいいよ」
刀奈⁉︎って事は特典の女の子⁉︎楯無って名前じゃ無いんだな。
「そっか、じゃあ刀奈ちゃんはなんで泣いてたの?」
そう聞くと彼女はビクッと身体を震わせた。直球すぎたかな?
「私……幼稚園でイジメられたの。髪とか目とか、キモチ悪いって…」
そう言って彼女はまた泣きそうな顔になった。
「そんなこと無いよ!刀奈ちゃんは可愛いよ!目も髪もとっても綺麗だ!」
って何言ってるんだ俺⁉︎少女口説くとか、アホか俺かッ‼︎
「と、とにかく。それは刀奈ちゃんが気にすることじゃ無い。堂々と生きていいんだよ。それに俺の目を見てみて」
そう言って俺はパーカーのフードをとる。
「あなたも、赤い目なの?」
俺の目は赤い。これは母さんからの遺伝だ。
「そ、だから俺と刀奈ちゃんは一緒だ。俺も色々言われるから気持ちは分かるよ」
「嫌じゃないの?……皆に言われるの」
「んー、確かに色々言われるのは嫌だけど、これは母さんの目と同じだから、だから怖く無いよ」
「私の目も、お母さんと同じ‼︎髪も‼︎」
「だったら怖がらなくて良いんだよ。もしも怖くなったら俺を呼んで、すぐに助けに行くから」
そういって頭を撫でる。最初は目を積むって怖がっていたが、次第に安心した顔になる。
「刀奈〜、向かいにきたわよ〜」
「お母さん‼︎」
そういって彼女は手を振り切って走っていく。
お母さんが来たなら安心だろう。
「またね!夕弥君‼︎ありがとう!」
そういって手を振る刀奈。俺も手を振り返した。
「にしても、本当に可愛い子だったな…」
また会えるだろうか。
〜・〜・〜〜・〜・〜・〜・〜・〜・
翌日、俺は昨日の公園に向かっていた。
理由は刀奈に会えるかなと思ったからだ。
家を出るとき母さんが「私の夕ちゃんが取られちゃう〜‼︎」なんて言ってたが無視した。
だって付き合うと長いんだよ。
と、公園に行く途中悲鳴のような物が聞こえた。
俺は嫌な予感がして公園まで全速力で走った。
「キモチ悪いんだよ‼︎」
「やーい‼︎化け物女‼︎」
「やめてよ‼︎返してよ‼︎」
「返すもんか‼︎」
公園では刀奈とその周りを男の子達が囲んでいた。
手には多分刀奈の物と思うぬいぐるみ。
アイツらが昨日言ってたイジメの主犯だろ。
俺はそのまま一人を殴り飛ばし刀奈と少年の間に入る。ちゃんと手加減したよ。
「お前ら‼︎よってたかって女の子イジメて楽しいかよ」
「な、なんだよ!お前下級生だろ!」
「チョーシ乗るなよ‼︎」
確かに相手は上級生だ。だからなんだ。
あぁやって地位を使って人を苦しめる奴を見るとイラつくんだよ!
上級生だろうが先生だろうが王様だろうが女の子をイジメる奴はただのクズだ‼︎
「うるせんだよクズが‼︎お前ら全員まとめてぶん殴ってやる‼︎」
そういって俺は殺気をだす。5歳児が出せる殺気じゃ無い。相手は簡単にビビってくれたみたいだ。
「うわぁぁぁぁあ‼︎鬼だぁぁぁぁあ‼︎」
「逃げろぉぉぉお‼︎喰われる‼︎」
ハッ、俺は吸血鬼だよ。
少年達はぬいぐるみをほおりだし逃げ帰った。
それに安心したのか刀奈は腰が抜けたようにヘタリと膝を着いた。
「刀奈ちゃん大丈夫だった⁉︎怪我は無い?」
「本当に来てくれた……怖かったよぉ…‼︎」
そういって泣き出した。
俺は落ち着くまで頭を撫でてあげた。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
「もう大丈夫?」
「うん」
5分くらい撫でてると刀奈は泣き止んだみたいだ。
今は大事そうにぬいぐるみを抱えてる。
「そのぬいぐるみ大事な物なの?」
「うん!お母さんが昨日買ってくれたの!」
刀奈は嬉しそうに話す。
「良かったね」
「うん!」
それからは刀奈と遊び尽くし刀奈のお母さんが迎えに来るまで遊んだ。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
数日がたった。俺達は毎日のように遊んでる。実際に毎日遊んでるけど。
だけどその日はチョット違った。
刀奈がいくら待っても来ない。
家の用事かなと思いながらも公園で待ってると一人の女性が血相変えて飛び込んできた。
「ハァハァ……ここにもいない……一体どこに…」
アレは刀奈のお母さんだ。何か慌ててるみたいだ。
「あの…どうかしたんですか?」
「⁉︎、あなたよく刀奈と遊んでた…あなた刀奈見てない?今朝家を出てから戻ってないのよ!」
俺達は朝から遊び昼には飯を食いに戻りそれからまた遊ぶって感じのスケジュールをしていた。
今朝家を出た?ここには一度も来てないぞ。
「いえ、見ませんでしたけど…」
「そんな…もしかしたら誘拐⁉︎」
誘拐。その言葉だけで状況がヤバいのが分かる。
「俺も探すの手伝います‼︎見つけたら家に帰るように言いますから」
俺は返事も聞かず飛び出した。
無事でいてくれよ刀奈!
しばらく走ると道路に何か落ちて居るのに気がついた。
なんだアレ。ぬいぐるみか?ってアレは‼︎
駆け寄るとやっぱり、刀奈が大事にしてたぬいぐるみだ!
なんでこんな所に…此処は人通りも少なく昼でも暗い。
誘拐の線が濃ゆくなったな…クソッ‼︎
俺はそのぬいぐるみを持ち目をつぶる。
これに残ってる刀奈の気配を追うためだ。
俺はまだ、能力が発現してない。
それでも、今やらなくちゃいけないんだ‼︎
「頼む……見つかってくれ‼︎」
俺は必死に気配を探る。ーーー居た‼︎見つけた!此処から少し離れたとこの倉庫だ。
「待ってろよ刀奈‼︎今助けに行く」
俺は倉庫に向かって走り出した。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
「刀奈‼︎」
「夕弥君‼︎」
着いた倉庫は暗いが、吸血鬼の俺には関係ない。
「な、ガキだと⁉︎」
「なんで此処が‼︎」
刀奈の周りに居るのはおっさん3人。
俺でもなんとかなるだろう。
「お前ら‼︎刀奈を離しやがれ‼︎」
「ハッ!ガキが息巻きやがってコイツもひっ捕らえろ‼︎」
「「「おう!」」」
リーダー格のおっさんの命令で残り二人が突進してくるが。
「遅せぇ‼︎」
そのまま飛んで顔面に蹴りを入れる。
幼児体型でも力は中学生くらいはある。本当サンキューだよ神様‼︎
もう一人が腕を振りかぶって殴ってくるが片手で逸らし空いた溝に肘打ち。男はくの字に身体を曲げた。
ドサッと二人が倒れる。
「おっさん、あとはあんただけだ」
つくづく5歳児のセリフじゃねぇよな…母さんが見たら泣くかな?いや、テンション上がりそうだな。
「図に乗るなよガキ‼︎」
おっさんは怒りで突進してくるが、動きが見え見えなんだよ‼︎
「オラッ‼︎」
正面からおっさんの顔をぶん殴る。
ぐしゃって音がしたけど気にしない。
おっさんは吹っ飛んだ。
「刀奈‼︎」
俺は刀奈に駆け寄り結ばれていた、紐をほどく。
「ふぇぇぇぇぇえん‼︎怖かった。怖かったよぉぉぉお‼︎」
「よしよし。もう大丈夫だ」
そういって頭を撫でる。
「でも信じてたよ‼︎夕弥君絶対助けに来てくれるって‼︎」
涙をいっぱい貯めた目で俺を見上げる。
「あぁ、刀奈は俺が絶対守る」
そういって抱きしめた。
「うん……っ‼︎夕弥君後ろ‼︎」
刀奈の言葉で振り向くがーーー遅かった。
バンッ‼︎
「がっ……‼︎」
吹っ飛ばしたおっさんは片手で鼻を抑えながら銃を此方に向けていた。
弾は俺の右腹を撃ち抜いていた。
血が流れる。
「夕弥君‼︎夕弥君‼︎しっかりして‼︎」
痛い!痛い痛い痛い‼︎声にならない痛みが全身に響く。
「こんな所に来なければ死なずに済んだのに、なッ‼︎」
おっさんが傷を蹴り上げる。
途端に口からも血が吹き出す。
ヤバいなこれは死ぬ。
俺には今は能力が無い。ウルスラグナの『雄羊』も使えないし、治癒魔法も無い。吸血鬼の能力も中途半端で少し怪我の治りが早いくらい。
その前に出血多量で死ぬ。
そして何より。このままじゃ刀奈も危ない。
どうにかして逃がさなきゃいけない。
おっさんは他の二人を起こしに行ってる。今なら…
「か…たな…」
「⁉︎何夕弥君‼︎大丈夫⁉︎」
「あぁ………でもこのままじゃ二人とも死ぬ………だから……少し手伝ってくれないか…」
「それで夕弥君は助かるの⁉︎」
「あぁ……上手く行けば二人とも助かる……けどそれをすると……君はもう普通には戻れない……怖い物と関わって行かなきゃならなくなるんだ………」
最大の賭け。上手く行く保証は五分五分だ。
刀奈が拒否しても刀奈だけは此処から逃がす。命に代えてでも。
だが刀奈は真っ直ぐ俺を見て行った。
「夕弥君が助かるなら私はなんでもする!私は夕弥君ともっと一緒に居たい‼︎」
その目は覚悟が決まった目だ。
やっぱりどこの世界でもこの人は凄いなと思った。
「分かった。それじゃ、先に謝っとくね」
「え?」
「ごめん」そう言って俺は刀奈の首筋に噛み付き血を吸う。
血を吸うのは始めてだ。これで吸血鬼の力が解除されれば此処から出られる。
血を吸われている刀奈は俺の服にしがみついていた。
多分真祖だから痛く無いと思うけど。
血を吸うと俺の傷口は閉じた。血も巻き戻すように戻っていく。
「ぷはっ」
首筋から離れると刀奈は顔を真っ赤にしていた。
なぜ?
ドクン
俺の中に力を感じる。
俺はその場を立ち上がった。
「んな…‼︎お前は殺したはずだ‼︎」
「なぜ生きてる‼︎」
「御託はどうでもいい……刀奈を泣かした借り…きっちり返させてもらう‼︎」
俺は手を天に掲げる。
「“
「GuooooooO‼︎」
目の前にはどでかい黄金のライオン。
第四真祖の眷獣だ。
「落とせ‼︎」
俺の声と共に倉庫に極大の雷が落ちた。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
「そのあとは、刀奈を家に返した。おっさん達3人は警察に捕まって俺は刀奈の両親に凄い感謝されたよ」
あの後の騒動は凄かった。鉄磨さんは泣きながら御礼行ってくるし、お金まで渡そうとしてくるし…勿論貰わなかった。
助けたのは俺の意思だ。
「お前の能力はバレなかったのか?」
「5歳児にぶちのめされた挙句、黄金のライオンに雷落とされたなんて誰が信じるかよ。
男達は誘拐成功で酒飲んで、酔っ払った所を通りすがりの誰かにやられたってことで処理されたよ。
刀奈の両親も黙っててくれたしな」
世界って案外丈夫に出来てんだよと言って俺は笑った。
「じゃあ、今回も助けないとね」
「当たり前だ。あの焼き鳥野郎に俺の家族を触らせるかよ。それに部長の婚約も絶対破断にさせないとな」
あの焼き鳥野郎は絶対ぶん殴る‼︎
「「「絶対勝つ‼︎‼︎」」」
グレモリー男組は声を揃え叫んだ。