黒子のバスケ ―太陽のColor Creation―   作:縦横夢人

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 お待たせしました。そして遅くなり申し訳ありませんでした!!!!
 あたらしくSAOの小説書いたんですが、一区切りついたのでこっちも更新再開します。

 今回のは前の1、2話を合わせて改良しました。プロローグもまた改良しましたのでぜ見てください。

 ではどうぞ


第1Q 始まりの出会い

 

 

 

 私立誠凜高等学校

 

 そこでは今二、三年生達が新入生を祝福すると共に自分達の戦力とするための活動――――「部活勧誘」を行っていた 。一年生にとってもこれからの学園生活を楽しくするためにも、学生の青春とも言える部活動には大変興味があるだろう。

 しかし興味の対象は人それぞれ。体を動かすことが好きな体育会系。文章を書く、読むことが好きな文学系。責任感に燃える委員会系。そこからさらに数々の部活へと別れていく。

 そのため目的の場所を目指す、または部活に入らない人にとって勧誘は自分の道を阻むまさに荒波のようだった。

 その荒波に上手く乗れずに流される二人が我慢の限界か叫ぶ。

 

「だぁーーーーくそっ!! 全っ然、進めん!! ラッセル車持って来い!!」

 

「まぁ確かにさっきから10分で5mくらいしか進んでないけど、さすがにそこまでは・・・・・・」

 

「もういっそのことバーソロミュー○まかラ○ウ連れて来い!! 文字通りポンポン飛ばすかこの人波ごと天割ってもらえ!!」

 

「いや無理だろっ!? あれ漫画のキャラだから!?」

 

「え? だってこれもマン「言わせねぇよっ!? あと一応これ小説だから!!」どっちにしてもフィクションだろ?」

 

「・・・・・・ノーコメントで」

 

 

 

 

 

「・・・・・・」

 

 そこに一人の男子が本を読みながら二人の後ろを歩いて来た。

 薄水色をさらに薄くしたような髪のショートヘアで普通の人よりも白い肌、まさに普通という顔立ちをして感情を見せない無表情をしていた。

 話している二人は、いや周り全てが彼に気づかず、また彼も気にせずにひょいと抜かしていき、勧誘の荒波の中をまるでサーファーのようにすいすいと歩いていく。

 誰にも気づかれていない(・・・・・・・・)かのように。

 

「おい、聞いたか?」

 

「あぁ」

 

「?」

 

 そんな彼の耳にふと、ある会話が入り込んできた。そちらに顔を向ける。

 

「なんでも部活荒らしが出たって!!」

 

「あぁ、全ての部活に参加しては記録を塗り替えていくやつだろ?」

 

「あっ、そいつウチにも来たぜ!! ただ、どの部活の勧誘も蹴ったらしい。もう決めてる部活があるとか・・・・・・」

 

「マジでっ!? くそぉっ、うちに誘おうと思ったのに・・・・・・」

 

 彼はその話を聞き、ある一人の男子を思い描いた

 

(部活荒らし・・・・・・、記録の塗り替え・・・・・・、こんなに目立つことをするなんて・・・・・・まるで≪彼≫みたいだ)

 

 とそこまで考え、フッとその思いを一笑した。

 

(まさか。≪彼≫がここにいるわけがない。今は向こうで生活しているはずだ)

 

 

 ふと≪彼≫について考えていると、昔を思い出した。

 ≪彼≫を中心に皆が、自分が笑いあっていたあの頃を――――

 とそこで考えをやめた。あの頃は良くも悪くも(・・・・・・)いろいろあった時だ。思い出したいが思い出したくない。そんな相反する二つの思いを心にしまい、彼は読みかけの本を開いて歩き出す。

 

 

 ――――そんな去っていく彼の後ろを、小さい人影が横切っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ったく、少し感傷的になっちまった」

 

 そう言って歩く彼≪火神 大我(かがみ たいが)≫は、吐き捨てるように言った。

 先程までバスケ部にいた彼は、マネージャーと思わしき女性に入部用紙に書かなかった志望動機を聞かれたのだ。それに対して少し昔のことを思い出してしまい、「どーせ日本のバスケなんてどこも一緒だろ」と見下すように言ってしまった。

 

(けど日本のバスケが弱ぇのは確かだろ)

 

 火神が日本に帰ってきた中学三年の時。最後の一年を中学バスケで過ごそうと思い入ったのだが、そのレベルの違いに愕然とした。

 

(フルはまだしも、第1Qももたねーとは)

 

 1対3で挑んだのに、相手三人の方があまりの点数差に音を上げたのだ。

 

(あいつらが弱いってのもあるが、やる気が全く見えなっかった)

 

 10点差をつけた時点で相手は追いつく気がなく、諦めていた。

 

(高校なら強い奴がいるだろうが、やっぱり・・・)

 

 とそこでふと肩に重みを感じた。誰か後ろから押してるのかと思ったが、それにしては重い。

 

「おー、高い高い! 遠くまでよく見えるぞー!」

 

 とそこに上から声が聞こえた。まさかと思い上を見ると――――

 

「ウェーイ!」

 

 そこには子供が肩に乗っていた。

 

「どわぁっ!? てっ、てめぇいつの間に!?」

 

「おー、悪い悪い。ちょっと道に迷ってしまってな! 大きい奴いたからつい登ってしまった!」

 

「俺は灯台じゃねぇぞっ!? てかいい加減降りろっ!!」

 

「うぇーいっと」

 

 火神は肩に乗る相手を体ごと使って振り払うと、相手は飛び上がりクルクルと地面に着地した。相手は振り払われたことを気にせず、すまんすまんと笑う。

 

 ぜぇぜぇと息を整え改めて相手を見た。身長が160cmあるかないかというくらいで、中学生よりむしろ小学生だと言われた方が納得する。髪は黄色から先に向けて赤に近いオレンジ色になっており、ツンツンとししているが硬いと言われればそうでもなく、ところどころ先が垂れ下がっている。さらに後ろの髪を人房にまとめていて、それはまさに犬の尻尾のように見えた。そして天辺にはアホ毛がピコンと立っている。目は丸く、まさに子供と言える特徴だった。

 

(ちっ、ちっちぇーーーーっ!! ちいさすぎだろこいつ!? 小学生じゃねぇのか!? てか何でここに子供が・・・・・・いやけどここの制服着てるからウチの生徒みたいだし・・・・・・)

 

 そこまで考えて火神は違和感を覚えた。

 

(てかまてよ? こいつ考え事してたとはいえ、俺に気づかれず人の肩に乗るとか・・・・・・おいおい、つまりこいつはよじ登らずに一回のジャンプ(・・・・・・・)で俺の上に乗っかったってことかっ!?)

 

 そして改めて火神は相手を見据え、ふと強烈な匂いを感じた。

 表面上は笑ってるただのガキだが、その奥の奥。笑顔とは裏腹の、まるで闘争本能むき出しの≪ケモノ≫のような――――

 そこでハッと意識を戻し、前を見ると相手がこっちの顔を覗き込んでいた。

 

「おーい、大丈夫か?」

 

「あ、あぁ」

 

 いつの間にか汗をかいていた自分に気づき、ふぅ、と一息つきながら袖で汗を拭う。

 もう一度鼻で相手の強さ確かめるが、しかし先程の匂いは無くなっており、相手もそれに気づいていないようだ。

 

「なんだ、お腹でも下したの?自分はちゃんと毎日出してるから大丈夫だぞ!」

 

「ちげーよっ!!」

 

「うぇーい?」

 

 ムフーと胸を張る子供に火神はツッコむ。首を傾げているのを見て、からかった訳ではなさそうだ。

 つまり・・・・・・

 

(こいつ、天然か・・・)

 

 火神はガクッと首を落とし、ため息を吐いた。

 さっきのは自分の勘違いだったのか。いやしかし・・・・・・

 

「っと、自分はもういかなきゃ。悪かったな」

 

「ん? あぁ、もういいよ」

 

「そっか、また会えたらいいな。んじゃな!」

 

「あ、おい待て」

 

「ん?」

 

 去ろうとしていた彼に、火神はさっきのことが妙に引っかかって思わず去ろうとした彼を呼び止めた。

 

 

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「あー怖かった」

 

 誠凛高校バスケ部の勧誘拠点地。そこでは先程までいた火神に連れて来た、いや連れて来られた生徒が恐怖を吐き出すように一息吐きながら倒れるように椅子に座り込んでいた。

 そしてもう一人。マネージャーと思わしき女生徒が、先程火神と話していたことについて考えていた。

 

(さっきの彼の目、どこか怒りと哀しみが混ざったような顔をしてた。・・・・・・過去に何かあったのかしら?)

 

 頭で悩んでいたがが所詮他人の過去。考えても仕方ないと思い、話を変えようと横の彼に尋ねる。

 

「てゆーか首根っこ掴まれて帰ってきた理由が知りたいわ」

 

「あぁ、それか・・・・・・」

 

 そこで男子生徒はフッと笑い――――

 

「いろいろあったんだよ・・・」

 

「そ、そう」

 

 明後日の方を向いて感傷にひたる彼にそれ以上何も言えなかった。その目の端にはかすかに光るものが見えた気がした。

 

 と、そこで彼は集めた入部用紙とは別にはみ出していた一枚の紙に気づいた。

 

「一枚入部届け集め忘れてるっスよ」

 

「え? いけない。えーと・・・≪黒子(くろこ)≫・・・≪テツヤ≫・・・?」

 

 受け取った女性徒は名前を確かめるが、何故か覚えがなかった。

 

(あれ~? ずっと机番してたのに、全く覚えてない?)

 

 そうして考えながら下を見ていくと、綺麗に書かれた“帝光中学出身”の名前に引っかかりを覚えた。

 ていこう、帝光、バスケ・・・・・・

 

「・・・・・・って、帝光バスケ部出身!?」

 

「え? どったの?」

 

 女生徒の驚きが気になり男子生徒も覗き込むと、彼も驚いて思わず後ずさった。

 

「ええっ!? 帝光中学って全中3連覇で有名なあの!?」

 

「しかも今年一年ってことは≪キセキの世代≫の!? なんでそんな金の卵の顔忘れてたんだろ私!!」

 

 ぐわ~っと頭を抱え悔しがる女生徒。

 

「しかも、二人目(・・・)のなんて・・・・・・」

 

「さっきの奴はアメリカ帰りだし、今年一年ヤバぃ、って二人目ぇ!?」

 

 男子生徒は初耳だっ!! と言うような表情をして女生徒に詰め寄る。そして彼女は語りだした。

 

「あぁ、一人目の子はね? 中学一年までは帝光中学にいて、中二の始まり頃に親の都合でアフリカの方に留学したらしいの。そして高校入学を機に日本に戻って来てここ誠凜に入学した、って聞いたわ。≪キセキの世代≫と一緒の年だけど、彼らが活躍する前だから実力は未知数。本人はたいしたことないって言ってたけど・・・・・・」

 

「そいつの名前は?」

 

「彼の名前は―――――――

 

 

------------------------

 

「お前、名前は?」

 

 

「自分か? 自分の名前は――――――

 

 

 

《虹織 太陽》

(にじしき たいよう)だ!!!!」

 

 

 

 

 

 


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