今回は、二年生組であり、μ'sの初期メンバ―であることりの話です。
ことりとの接点を作るために、今回の主人公はちょっと特殊な設定です。
ことり編の主人公は、幼いころからデザイナーという夢を抱いていましたが、挫折し、デザイナーの夢を諦めようとしているが…未だに未練が残ってしまっている。
という設定です。
拙い文章ではあると思いますが、温かい目で見てくれると嬉しいです。
それではノシ
ことり編 第一話 夢
(次は~秋葉原~秋葉原~)
俺は運転の荒い電車に揺られながら、次の就職先のことを考えていた。今は無職ではないが、おそらくあとちょっと、近い未来に俺は無職になる。この契約が上手く行かなければ…業績の芳しくない俺はクビになるだろう。
やる気のない奴は…いらないよな…
上司からのメールには
「南 ことり」と専属の契約を結ぶこと
という文面が書かれていた。
「南 ことり」といえば、世界の中で10本指に入るほどの有名デザイナーに弟子入りし、独創的なセンスと発想力、そして優れた容姿を生かして自らモデルを務めるなど、ファッション界に大きな衝撃を与えた人物だ。年齢は俺と同じ25歳…期待の新星というわけだ。
彼女が日本人という事もあるのか、すでに多くの大手企業が契約を持ち掛けたらしい。
こういった場合、もうすでに大手が契約を結んでいるため、俺の所属している小さな会社なんかに契約の順番は回ってこない。
しかし今回は、俺の会社に回ってきたのだ。理由はわからないが、これは彼女が大手との契約をすべて断っている…ということになる。
そして、そんな大物を相手にし、俺は契約を持ち掛けなければならない。
大手でも駄目な相手にこんな小さな会社と契約してくれるとは思えない。それが俺の感想だった。
神田駅を過ぎると、電車は目的の駅である有楽町駅に到着した。彼女はここの駅の近くのビルを借りているらしい。
…行くか
電車を降り、俺は彼女のいるビルへ向かった。
夕方 ―17:10―
「ですから、今回の契約では…」
ビルに到着し、俺は係員に応接間のような部屋に案内された。エレベータを上がって8階に昇り、少し長い廊下を歩いていくと、「南 ことり」はいた。彼女は紺色のYシャツと白色のスーツに身を包んでいる。
ブラウン色の瞳と、透き通ったベージュ色の髪とワンドアップの髪型。スタイルもいい、彼女時自身がモデルを務めている時があるというの話は、あながちウソではない様に思えた。
部屋に入り、お互いに挨拶を交わした後。1メートルくらいの大きさの円形の机を挟みんでソファーに座っていた。
「説明は以上です。何か質問はありますか?」
初めて会った時に思ったが、やはり写真で見るのとは全然違ってみえた。契約書を見つめる瞳は、真剣そのものだ。
スリーサイズは上から―B:80前後-W:60くらい―H:70より上…といったところだろうか。おっとりした感じの雰囲気をもっているから…少し趣向を変えてメイド服のようなひらひらした感じの……おっといけない。今はデザイナーなんかじゃない……ただの社員だ
―君のデザインからは…そうだな、何かが足りないんだ、すまないね…よく言って”平凡”目を引くものがない。残念だが…今回は…―
―う~ん…うちでは雇えないよ、また頑張りたまえ―
どれだけ頑張っても…届かない場所がある。それを痛感した。“夢”なんて…才能がなければ叶えることは出来ない。
…ただの社員だ
「あの~…聞いていますか?」
「はっはい!」
少し昔の事を思い出してしまい、彼女の言ったことを聞き逃してしまっていた。
しまった…!これで機嫌を悪くしたら契約なんて……まぁ…いいか
「何か考え事ですか?」
彼女は微笑みながら、おっとりとした口調で質問してきた。
「えっと…」
「?」
きっとさほど興味をもってないかもしれないが、彼女は少し不思議そうな表情をしている。
どうせ契約してくれないならいいか。という思いから、俺は八つ当たりのような質問を彼女にぶつけた。
「…どうして、大手の専属契約を断ったんですか?」
「どうして…ですか?」
さっきよりも不思議そうな表情をし、間の抜けたような表情をしている彼女を見ているうちに、自分の発する言葉に力が籠っていった。
「他の人より圧倒的な才能もあって…自分が期待の新星って言われていることくらい知ってますよね?大手と契約すれば生活も安定するし、これからどんどん夢を掴んでいけるかもしれない…!!それなのにどうして断るんですか!?」
「それは…」
俺はソファーから立ち上がり、困惑している彼女の言葉を遮って言葉をぶつける。
「掴みたくても…!あんたみたいに…自分の“夢”を掴めないやつだっているんだよ!」
彼女はムッとした表情で俺を睨みつける。俺はハッと我に帰り、すぐに頭を下げた。
「はっ…!?すいませんでした!!!」
何言ってんだよ…俺!
冷静になって考えて見れば、失礼極まりない上に、彼女の才能に対する一方的な嫉妬でしかない。何度も頭を下げる。
「ホントにすいませんでした!」
「頭を上げてください。…契約については、今夜中にご連絡します。今日はもう帰って下さい」
一息ついた後、彼女は資料をファイルの中に入れ、ソファーから立ち上がった。口調は少し怒っているように聞こえた。
「…はい。すいませんでした。失礼します」
その後俺はもう一度だけ頭を下げ、応接間を出た。今は電車に揺られ、真っ暗で何も見えない将来の不安をひしひしと感じている真っ最中だ。
クビは確定……でも、自業自得だ。今度は…デザインとは一切関係ない所に就職しよう
朝 ―08:30―
クビ宣告を覚悟し、いつもより重たい会社ドアを開けると…想像もしていなかった結果が、俺を待っていた。
最後まで読んでくれてありがとうございます!
今回はちょっと引っ張ってみました。
なんとなくわかっている人もいるかと思いますが、このあと主人公に転機が訪れます。
軽いQ&A
Q、主人公何でキレたん?
A、本文にあるとおり、主人公にとっては大事な「夢」だっだのですが。夢を諦めきれずにいました。
主人公から見れば、喉から手が欲しい才能を持っているにもかかわらず、ことりはその才能を生かそうとしない。
という風に見えてしまったと解釈してください
それ以外にも理由はあるのですが。それはまた次回に書いていきたいと思います。
注意書きに書き足した項目があるので、よかったら確認してください。
ご意見(ご指摘)・ご感想、心よりお待ちしております。
それではノシ