今回は海未編の第一話です。
ちょっと無理があるだろ
っていう突っ込みはあるとは思いますが、温かい目で見逃してください。
二期8話「私の望み」のBパート、映画のキスシーンですら顔を真っ赤にする海未ちゃんならいけるかな~って思って。
今作は、ただ単にキャラクターを愛でる為だけに書いているSSです
拙い文章ですが。どうか温かい目で見てください
海未編 第一話 微妙な距離感
夜 午後 ―20:32―
「夕食が出来ました。温かいうちに食べましょう」
「わかった」
テレビの電源を切り、ダイニングテーブルの椅子に座ると、四人用の広さのあるダイニングテーブルの上にはご飯、味噌汁、肉じゃが、きゅうりの浅漬け、焼き魚、だし巻き卵など、和食中心の豪華な食事が並んでいた。
「すいません…今日は作り過ぎてしまいました…」
申し訳なさそうな表情をして俯いてしまっているが、俺は凄く嬉しかった。
彼女…―
海未とは大学が一緒で、初めて知り合ったのも大学でのことだった。
俺と彼女が初めて話したのは、同じ2年の時の、とある講義の時だった。そして、たまたま隣に座っていたのが彼女だったというだけだ。
当時、バイトで夜勤が多かった俺は、その講義の時に寝ていることが多かった…というか、ほとんどで眠っていた。それに加えて、その講義を取っている友人はいなかった。
講義の内容も後半に入り、まとめの小テストが配られた。白紙の答案をみて絶望し、諦めようかとうなだれていると
「ノート…よかったら見てください」
といい、彼女はノートを貸してくれたのだ。そのおかげで俺は単位を無事に取得することが出来た。
そこからは、彼女とはいくつか講義が被っていることもあり、知らず知らずの内に会話が多くなっていった。
彼女から聞いた話だと
「当時の俺と、幼馴染が被って放っておけなかった」らしい。
告白しよう という事は何度かは考えたが、彼女に告白した強者は数多く存在し、見事なまでに撃沈したことを知っていた。なので俺は大人しく諦め、大学を卒業するまで「友達」のままでいるという関係を選んだ。
そのまま社会人になって数年が過ぎ、大学生活の楽しさを忘れて仕事に没頭している頃。
一本の電話が来た。
電話に出ると、聞いたことのない高齢の男性の声が聞こえてきた。
内容をまとめると、彼女はお見合い全て断り、交際経験が全くない(本人曰く)。ということで、それを危惧した海未の両親は、大学時代に仲の良かった俺に連絡してきたらしい。
その連絡以降はしばらく音信不通になったものの、その間に話が大幅に進められていたらしい、次に俺に連絡が来たときには、いろいろな段階をふっとばして同棲することになっていた。
当然、海未も反対し、俺も断ったのだが…一ヶ月前から同棲させられることになり…今に至る。
「そんなに落ち込まないで。それに、海未さんの料理はおいしいんだから」
「そっ…そうですか…あっ…ありがとう…ございます…っ!」
真っ赤になるのは相変わらずか~…でも、最初の頃よりは慣れてきているみたいだ
最初の一、二週間はことあるごとに真っ赤になり…いろいろ大変だったのを覚えている。
「それじゃあ食べようか、冷めたらもったいないし」
「そうですね…そうしましょう」
「「いただきます」」
箸を掴み、好物である肉じゃがをつつく。見た目もそうだ、彼女の作る料理は本当においしい。以前まではインスタントやコンビニ弁当が多かったが、もうあの生活には戻りたくないと思えるほどの美味しさだ。
「…美味しい」
「よかったです…今回は少し「はちみつ」を加えて見たのですが、お口にあっていたのなら何よりです」
ホッと胸を撫で下ろし、嬉しそうな表情で隠し味について話しはじめる。
「はちみつ…だからちょっと甘みがあるのか」
「バターなどいろいろ試してみたのですが、やっぱりはちみつが一番好みの味でした」
「他の隠し味か。今度お願いしてもいい?」
「もちろんです!」
海未の口調は自然と上機嫌になり、にっこりとうれしそうな笑みを浮かべた。
「ありがとう……ところで、明日の予定なんだけど…」
夕食を食べながら、明日の予定について話していると、程なくして夕食を完食、全ての皿は空になっていた。
箸をおき、両手の平を重ね、タイミングを合わせて
「「ごちそうさまでした」」
と言った。海未は椅子から立ち上がり、手慣れた手つきで皿をまとめ始める。
「皿は洗っておくけど…お風呂先にはいっちゃえば?」
「ですが…」
彼女はまとめたお皿を台所のシンクに置き、洗い物を始めようとした手を止めた。どうやら少し悩んでいるようだった。
昨日の夜に聞いた今日の彼女の予定は
午前中は「日舞」
午後は「書道教室の先生」があると言っていた。恥ずかしかったからなのか、「剣道の稽古」があることは教えてくれていなかった。
「いいよ。今日は日舞の稽古もあったみたいだし、それに…剣道もしてきたんでしょ?」
「なっ…なんで剣道の稽古をしていたことを知っているのですか!?」
彼女は大きく慌てる素振りを見せ、顔は真っ赤になっていた。
そりゃ…籠手の匂いは誤魔化せないよ…
幼いころから高校に入学するまで、惰性ではあったが剣道を続けていたことがある。だから防具特有の汗臭い匂いがあることも知っている。
「いいよいいよ。俺はそんなに疲れてないし」
「…わかりました。では…お先にいただきます…」
「どうぞ~」
俺は椅子から立ち上り、洗い物を始めた。
~25分後~
洗い物を片付け、「日舞」について少し勉強していると、彼女の声が聞こえてきた。
「お先にお風呂頂きました…すいません、気を使ってもらって」
バスタオルで濡れた髪の毛の拭きながら、寝間着のパジャマに身を包んだ彼女がリビングに上がってきた。
「いいよ。先に寝てる?」
少し考えた後、申し訳なさそうな表情で彼女は答えた。
「そうですね、また明日も早くなってしまうと思うので…」
「そっか…おやすみ」
「お休みなさい」
俺と彼女の寝室は別になっていて、微妙に距離感があるのだ。いろいろな段階を素っ飛ばしているんだから…当然と言えば当然なのかもしれない。
「さて…風呂だ」
その後、俺は風呂に入り、布団に入って眠りについた。
最後まで読んでくれてありがとうございます!
気が付いたら…今の所一番長いのは海未ですね、好きキャラ(特に)となると…やっぱり凄く書きやすいです。
他のメンバーについてですが、どんどん更新していきたいと思います。
ご意見(ご指摘)・ご感想、心よりお待ちしております。
それではノシ