クリスマス回の感想、ありがとうございます!
後程修正加えます
さて、今回は海未編、真姫編、にこ編の混成の話です。
こういった形の構成は初めてなので上手くいくかはわかりませんが…温かい目でお願いします
私は少し出かけてしまうので、今回は予約投稿機能を使っています
今回出てくる主人公たちのプロフィールについては、来年に加筆したいとおもってます
元旦
白と青を基調とした朝顔模様の刺繍の入った和服に身を包み、園田海未は玄関から出てきた。
「お待たせしました…それでは行きましょう…えっと…その着物は…?』
「
着物の着付けだと察したのか、彼女の顔が真剣な顔になった。歩波さんとは、海未の母親のことだ。彼女の母…園田歩波は日舞の師匠、父は会社経営者兼、剣道の師範で、よく暇さえあれば稽古をつけてもらっている仲になった。
「その時母は何と…!?」
海未は俺の肩を掴み、顔を目の前まで一気に近づけてきた。今着ているのは、歩波さんから貰った紺色の羽織と、「梅」と呼ばれる着物で、表は白、裏地は蘇芳(すおう)と呼ばれる赤を薄くしたような色をした着物だ。数時間前の話だが、歩波さんに呼び出されるやいなや着物を渡された。困惑しながらも頑張ったつもりだ。
「特に何も言ってなかったよ。ただ「よくできました」って褒めてもらったくらいかな」
さっきあったことを伝えると、海未は俺の両手を掴み、目を輝かせながら喜んでいた。
「凄いです!本当にすごいです!」
「え…ちょ…そんなに驚くこと?」
「母は着付けに関してはすごくうるさいんです!その母が褒めるなんて、本当にすごいことなんですよ!私もいままで数えるほどしか褒められたことがないのに…」
「…海未がそこまで言うってことは…相当厳しかったんだろうな~。ここではなしてるのもあれだから…そろそろ行かない?」
「待ってください」
歩き出そうとすると、海未が肩を叩いた。足を止めて振り返ると、首のあたりに温かい何かが巻かれる。
「ん…?」
「首元が寒いでしょうから、これを」
何かと思えば…青と白のストライブのマフラーだ。今まで使っていた市販ものよりも、温かくて柔らかい気がする。もしかしたらお高いものなんだろうか。
「あ…ありがとう、でもマフラーって巻いていいの?」
「ある程度の防寒対策は必要です。出来ましたよ」
「ありがとう、場所は神田明神?」
「はい、えっと…」
「…?」
海未はそっぽを向き、無言で手を差し出してきた。
「こっ…こういう時は!男性がエスコートするものです」
「…はいはい」
二人で手を繋ぎ、家の門を出て神田明神へ向かった。
真姫 編
「早くしないと、置いてくわよ?」
「ごめん今行く!真姫はすごいね、一人で着物着れるなんて…僕なんか手伝ってもらってるのにこんなに時間かかっちゃったよ…」
似合っているかは別として、小百合さん(お手伝い)さんに手伝ってもらってどうにか着ることができた。
「当然でしょ、私を誰だと思ってるの?」
「今度教えてね、場所は神田明神?」
「そう、みんなと約束してるの」
慣れない下駄に苦戦しながらも、下駄に苦戦しながらも、ようやく彼女に追いついた。彼女の歩く速度がいつもより少しだけ早い。
「真姫…もしかして早く会いたい人がいる?」
「なっ…!?私は別にそんなこと思ってないわよ!」
「いつもより少し早く歩いてる」
指摘されて気が付いたのか、彼女は顔を真っ赤にして歩く速度を緩めた。
「たまたまよ!今日はたまたま早く歩きたい気分なの!別に楽しみだからとかじゃないわ!」
癖である横髪をいじりながら否定するが…実は今度はいつもよりも遅くなっている。こういうときは彼女の意志を「自分の意見」にして、遠回しに言ってあげればいい。彼女は俗にいう「ツンデレ」なんだろうし。
「そっか…僕は早く行きたいし、出来ることならタクシーに乗っていきたいんだけど……真姫はどう思う?」
「わっ…私は別に…」
「決まりだね」
大通りに出てタクシーを拾い、神田明神にむかった。
海未編 宮坂 八雲
「人多かったな~…足が疲れた…」
「こんなことで疲れていては、園田家を継ぐのはまだまだ先の話になりますよ?毎年そうでしたが、今年は特に賑わっているみたいですからね」
「そうなの…うわっ!?」
「きゃっ!?ごめんなさい!」
海未との話に夢中になってよそ見をしていると、中学生くらいの女の子にぶつかってしまった。軽い接触だったので、二人とも大きな怪我はなかった。
「ごめん!怪我はない?」
「大丈夫です!すいません!ごめんなさい!」
会社の上司に謝るみたいな勢いで謝られてるけど…年が10くらい離れた女の子に謝られるのは…なんかこう犯罪チックだから嫌だな。
「お~い!有紗~!すいません!」
父親(?)とは思えないが、同い年くらいの男性が彼女のもとに駆け寄り、謝ってきた。
「気にしないでください。自分もよそ見をしてしまったので…」
「すいませんでした。失礼します…いいか、これで甘酒はなしだからな」
「すいません……そんなのひどいです!甘酒じゃんけんは私が勝ったのに~!」
「年越しアイスと称してハーゲンダッツを奪っていくような姪っ子なんて知りません」
「うぅ…お兄さんの悪魔!貧乏神~!」
「なんか…仲のよさそうな家族だな」
怪我がないかを見届けるため、少し遠くまで彼らを見ていたが…なんかとんでもないイチャコラを見せられた気分になった。おかげでこっちまでついにニヤニヤしてしまうじゃないか。
初詣を終えたので、特に人の多い御殿を抜け、人の少ないところに移動していると、遠くから海未の名前が聞こえてきた。
「海未ちゃ~ん!!」
「穂乃果とことりさん…?」
「ここですよ~!」
彼女たちは二人しかいないらしく、すぐにこっちに合流できた。穂乃果はいつも通りの私服で、ことりさんはスーツの上にコートを着ていた。
「宮坂…着物すごい似合ってる!」
「海未ちゃんで見慣れていたつもりだけど、これが「和」…!今度お写真を依頼してもいいですか?」
瞳を輝かせながら仕事の炎に燃えることりさんと、まるで物珍しいものを見るかのようにじろじろと見てくる穂乃果。なんかこの格好でいるのが恥ずかしくなってきた。
「ありがとう…って穂乃果は相変わらず近いし…写真は時間があればで」
「穂乃果~!」
穂乃果の名前を呼ばれ、人混みの中からにょきっと手が生えると、彼女はそれに気づき、走って行った。
「ごめんね海未ちゃん!またあとでね~!」
「こら穂乃果!走ってはダメです!危ないですよ!」
「は~い♪」
いつものように海未の忠告をスルーし、彼女は人混みの中に消えていった。少しして、スーツの男性がことりに駆け寄ってきた。どうやら人混みの中を捜索していたらしく、スーツも乱れ、息も少し荒くなっていた。
「はぁ…はぁ…ようやく見つかった~!」
「ごめんね!つい走っちゃって…」
「いえ…!はぁ…海未さん、お久しぶりです…えっと…」
「隣の方は、海未ちゃんの旦那さんだよ♪」
ことりさんのまさかの説明によって、俺と海未の顔は真っ赤になった。
「なっ…!?」「何を言っているのですか!?」
ことりはマフラーを軽く掴み、少しの間じっと見つめていた。
「えっと…」
ことりさんはようやくマフラーを離すと、にっこり笑いながら人差し指で横腹を軽くつついてきた。
「手作りマフラーなんて幸せオーラ全開にしちゃって、私の眼は誤魔化せないんだよ♪それじゃあまたあとで♪」
「「!?」」
海未の顔がさっきよりも赤くなりついに耳まで茹でたタコみたいな色になった。一方そんな俺たちを置き去りにし、ことりさんはさっきの男性を連れ去ってどこかへ行ってしまった。
「な…なぁ海未…」
「あ…あの…はい…」
「ありがとう…」
「いえ…暇だったので…つい…」
お互い話す言葉も見つからないまま…しばらくの間二人は顔を真っ赤にしていた。時間が経って落ち着いた後も、今まで通りに俺と海未は口を聞くことができなかった。
というわけで前編です
後編は明日の20時に予約投稿します。