今回も忙しく、結局即興になっちゃいました。すいません
凛ちゃんの口調が違うのは成長したからです。(さすがに20代で にゃ~ はちょっとな~と思いまして)
今回の凛の私服は、スクフェスSR 星空凛7月人魚姫編の覚醒前のものでイメージしています。
ミニスカートの袖にカットワーク、ネックレスとブレスレットの重ね掛けのやつです。
11月1日 ~18時24分~ 渋谷駅 ハチ公前 古泉 春遂(こいずみ はると)
(あと…10秒で5分前…)
待ち合わせの時間は19時30分。俺はその十分前に着き、腕時計を何度も確認しながら時間が来るのを待っている。デートの経験が皆無に等しい俺にとって、この10分は鬼のように長い時間に感じた。
(そういえば…凛の私服はみたことないな。一体どんな格好なんだろう…?やっぱりいつもみたいにジャージ?いやいやそれはないとしても…)
「はぁ~…」
深く大きなため息を吐き、強張っている身体を落ち着かせる。いつも30人程度の生徒たちの前で話すから慣れているとは思っていたが、それとはまた違った緊張感を感じていた。
(…やっぱり落ち着かない。飲み物でも買ってくるか…?いやでも…)
「みぃつけた~!!」
「ふぉっ!?」
甘えるような声と、衝突したような衝撃と共に、何かが後ろから飛びついて来た。
「りっ……凛!?」
後ろを振り返ると、オレンジ色の髪を揺らし、彼女はひょこっと身体をずらして視線から逃げる。
「だれでしょーか♪」
「星空…凛さん?」
「正解っ!油断大敵だよ♪」
彼女は掴んでいた手を離し、いたずらをしてくる子供のような無邪気な笑顔を見せた。
ふわっと揺れる肩まで掛かっているオレンジ色の髪。胸はすらっと控えめながらも、体育教師らしい健康的な身体つきだと思う。いや…もうちょっと欲しいなしいていうならあと3センチ…
「どこを見てるのかな~?」
さっきまでにっこりしていた凛の表情は引きつり、威嚇をしている猫のような雰囲気を帯びている。
「あ…なんでもないです」
「そ・れ・よ・り!何かいう事はないのかな~…って」
声は少しずつ小さくなり、彼女は落ち着かない様子で身体を揺らしている。少しだけだが、頬は赤くなっているように見えた。
上から下まで舐めまわす…いや、上から下へゆっくりと見ていくと、いつもと大きく異なっている服装であることに気付いた。私服だから、ではない…いつもはジャージかズボンなはずなのに…今日の彼女は…
「スッ…スカート…だと…!?」
スカート…それは、腰より下を覆う筒状の衣服である。単に「スカート」と言うと女性用のスカートをさすことが多い。ズボンと異なり、筒が股の所で分かれておらず、両脚が1つの筒に包まれる(ただし、股の所で分かれているキュロットをスカートに入れることがある)。※wikiより引用
それだけではない。彼女は今日、ミニスカートを着用しているのだ。ミニスカート…「見えそうで見えない」絶対の防御力を誇る。だがしかし、それがいいのだ。
そして!いつも彼女は長い丈のズボンを履いている。つまり逆を言ってしまえば、今履いているような丈の短い物には慣れていないという事だ…!
ということは…風に煽られて「きゃっ!」的な目の保養になることもあるんじゃ…!
「はぁ~…気持ち悪いことを考えているのはわかるけど、凛的にはそれを表情に出さない方がいいと思うな~」
「うぐっ…!」
呆れるような表情、深いため息、さらっと吐かれた毒舌が俺のメンタルにクリティカルヒットする。
「まあいいや、それじゃあ行っくよ~♪」
彼女は俺の右手を両手で掴み、走り始めた。
「ちょっ…凛!?」
仕事を終え、疲れ切った顔で駅に向かうサラリーマン。遊び終え、大きな声で楽しそうにはしゃいでいる学生。彼女は猫のような滑らかな動きでその人たちの間をすり抜け、人混みの中を突き進んでいく。
「早く♪早く♪」
「凛…!危ないって…おっとすいません!?」
「危険だってb……はっ!」
これは…!
その時、その瞬間に、俺の視点は彼女の衣服の一点に絞られた。
(彼女は俺の手を引き、目の前を走っている。そして走っているのはミニスカートじゃないか…!)
揺れるスカート。身体に当たり、少しずつ強くなっている微かな風。そしてここは大都会渋谷……さぁ来いビル風よ!
「みえっ…!」
スカートが浮いた瞬間だった。視点を一転に絞っていた俺は凛の動きについていくことが出来ず、少し背の低い見知らぬおっさんと衝突した。
「うごっ…!」
「ごばっ…!」
交差点を渡りきるほんの少し手前、俺は今世紀最大のチャンスを逃がした。もちろんこの後、おっさんとの謝り合戦を繰り広げることになったのは言うまでもない。
~20分後~
「よそ見ばっかりしてるからだよ~」
「…すいません」
謝り合戦を終えた後。投影時間ギリギリに、目的地であるコスモプラネタリウム渋谷に到着し、案内された席に座っていた。
「いや~今世紀最大のおいしい場面だとは思ったんだけどな~」
「そんな事ばっかり言ってると、私もうスカート履いて来なくなっちゃうからね?」
「…それはやめてください」
「わかればよろしい。あ、始まるよ!」
部屋の明かりが消え、凛々しい女性のアナウンスが流れ始める。まず始まったのは春の星座の説明だ。
「…だめだ。わからん」
天体に興味がない…わけではないけど、どこがどうとか言われても違いがわからない。
「なあ…り…」
声を出来るだけ小さくし、凛に話しかけようとしたが…俺は途中でやめることにした。
「凄い…!」
映し出された星に負けないくらいに瞳を輝かせ、彼女は星を眺めていた。
(まあ…いいか)
春の星座の説明が終わり、夏の星座の説明が始まった時だった。
「…?」
自分の右手に、小さくて柔らかい、温かいもう一人の手が重なった。そして、隣にいた彼女が小さな声で呟く。
「誕生日…ありがとう」
彼女の手に力が加わり、細く、小さな指が絡まる。隣を見ると、彼女もこっちを見ていた。
「…喜んでくれてよかった」
「凛もね、昔は星に興味なんてなかったんだ」
「え…?」
「昔…私に言ってくれた人がいたんだ。星はいつも自分の事を見ていてくれる。私の名前…星空凛の星空っていうくらいだから、好きになった方がいいって」
懐かしい思い出を語るように、彼女はゆっくりと、優しい声色で語り続ける。
「いつも…どんな時も、私はあなたを見てる。だから…春遂もわたしを見逃さないでね」
重なっている手から伝わってくる温もり、投影された無数の星々が煌々と光り、暗い部屋を彩っていく。真剣に目を見つめ、彼女は思いを伝えてくれた。
「…約束する」
「うん…♪」
こぼれるような満面の笑みを浮かべながら、彼女はもう一度だけ強く手を握った。
「…スカート、また履いてくれるならね」
「…はいはい♪」
そして、一時間ものプラネタリウムは幕を閉じた。
最後目で読んでくださり、ありがとうございます!
というわけで誕生日おめでとう!
ぎりぎりセーフ!
そんなこんなで、次回は絵里編を書きますので、少々お待ちください
あと、今度からは活動報告も活用していきたいと思います。