どうも、毛虫二等兵です。
今回は絵里の誕生日という事で、即興で作りました。
正確には昨日なんですけどね~…出遅れたぁ~~~~~!!
絵里編 外伝もどき ~誕生日~
齊藤弘樹 10月21日 21:00
「ただいま~!お兄さんお兄さん!」
仕事を終えて自宅でくつろいでいると、スクールから帰ってきた有紗が元気よく話しかけてきた。
「ん…?」
「今日は絵里さんの誕生会だったのです!」
え…?
「…ん…?」
「だ か ら!絢瀬さんの誕生日は今日だったんだ!」
「…なに!!?!?」
衝撃の事実に驚きすぎた結果、家の中全体に響くくらい大きな声を張り上げてしまった。有紗は両手で耳を抑えながら、ゆっくりと言葉を続ける。
「えっとね…今日は絵里さんの誕生日なんだって、だからみんなが誕生会をひら…」
誕生日は今日であることは、俺は知らされていない。居ても立っても居られなくなり、気がついた時にはもう身体は動いていた。
「…いってくる!」
「あ…おにいさ…」
猛ダッシュで部屋に駆け上がり、目の前にあった私服に着替えて家を飛び出す。
なんで誕生日だって教えてくれなかったんだ…!
ケーキを買うために、俺は駅に向かってそのまま全力で走った。
齊藤弘樹 23:40
「はっ…はっ…!」
駅の周辺を走り周り、6店舗でようやくケーキを買うことが出来た俺は、彼女の家に向かって再び走っていた。
足は棒のよう 腕は上がらない 俺の速さ(全力疾走はだいたい13キロ)が 通じない
どこぞのジャンプアニメのOPを頭に浮かべながら、走り続ける。
この時期は…特に今日は天気予報で少し肌寒いといっていたはずだが、俺はそんなことない、むしろ暑いくらいだ。頼むから冷却剤をくれ。
彼女の住んでいるマンションに到着し、階段を駆け上がる。たしか彼女の部屋は3階だったはずだ。
動け俺の足、こんなところで止まるな
さながらチャンピオンの○虫ペダルだったら熱い感じに演出しているだろう。
ようやく階段を上り終わり、彼女の号室のドアをノックする。有紗いわく、この時間はもう家にいるらしい。以前こういう話をしたことがあったことを切実に感謝している。ナイスだ姪っ子。
「はぁ…はぁ…はぁ…っ!」
やっぱり文面にすると変態っぽいのはどうしようもないな、というか俺結構不審者なのかもしれない…?
そうこう考えているうちに、扉が開いた。ドアの奥から覗かせた絵里の表情は、驚いているようだった。
「弘樹じゃない…どうしたのこんな時間に…それにそんなに汗だくで…?」
「まったく…誕生日くらい教えてくれたっていいだろ…?はい、これ」
買ってきたケーキを手渡すと、彼女は目を輝かせた。
「えと…あの…ひとまず上がって!」
~10分後~
「…落ち着いた?」
彼女の部屋に入り、ひとまずアクオリアスを飲んで体力を回復、うなだれるように椅子に座っていた。
「…だいぶ」
「とりあえず誕生日用の、二人で食べきれる大きさで」ということを店員に伝えると、二人前のシンプルなショートケーキを買うことになっていた。お値段は2800円だったよ…
子供の様に年齢通りの数…じゃなくて、付いてきた6本のろうそくを差し、あとは部屋の電気を消すだけになった。
「消すぞ~」
「ちょっと待って!…ほんとうに消すの?」
「ん…?そうだけど」
質問してきた絵里の表情は、なぜか不安そうで、怯えていた。
「もしかして…暗いのが苦手?」
「っ!?」
試しに探りを入れて見ると、彼女は耳まで真っ赤にし、顔を隠すように俯いている。間違いない、これは図星を当てられた時の表情だ。ひとまず手に持っているチャッカマンに火が付くことを確認し、周りに危険なものがないかを確認する。
よし…大丈夫だな。ここで俺には二つ選択肢がある。
1、このまま暗くせず、雰囲気だけを味わうか
2、手が滑ったと言って電気を消し、恐がらせない様にすぐにろうそくに火をつけてあげる
そして答えは決まっている。
「消さないわよね…?」
彼女はまるでホラー映画を見て怯える子供のような瞳で見つめてくる。少し赤くなっている頬と、上目遣いも相まってか、一瞬で決意が崩れそうになる。
「…うん、しない、しないよ~」
「本当に…?」
あ~…めっちゃくちゃ可愛いこれはやばい奴や…でもな…俺は…俺は…!
「ア~テガ、テガスベッタ~」
「まっ…!!!」
「うおっ!?」
電気を消し、ろうそくに火をつけたと同じタイミングで、彼女がもう片方の腕にしがみついてきた。まるで命綱に掴まる救助者みたいに。
「…ばか」
「…え?」
「消さないって言ったのに…!」
子供のように怒り、半分泣きそうになっている絵里を見ていると……なんだろう、いつもより凄い可愛く思える。
「ごめんごめん。手が滑っちゃって…」
「絶対嘘よ…信じられない…!」
頬を膨らませ、震える声で怒鳴りながらも、彼女は決して俺の手を離そうとしない。
あー…やっぱりばれちゃってますよね~…
まさかここまで恐かるとは思っていなくて、なんていうか凄い反応に困ることをしてしまった。
…どうしよう、腕に当たってる柔らかいものと、彼女の温かさが気になってろくに思考が回らない。これは大ピンチだ
「ここまで嫌がると思ってなくて…ごめん」
「…ゆるさないんだから」
「だよね~…」
「だから…」
彼女はさっきよりも腕を強く掴み、ギリギリ聞こえるくらいの小さな声でつぶやいた。
「…?」
「炎が消えるまで…そばに居なさい」
「…っ!!?!?」
蝋燭の火で薄オレンジ色に照らされた表情とか…小刻みに震えているのが伝わってくるのもあるだろうけど…俺は彼女に見惚れてしまっていた。
「わ…わかりました」
~30分後~
部屋は暗く、明かりは揺れている蝋燭の光しかない。絢瀬さんは俺相変わらず俺の手を離そうとせず、ずっとくっついたままだ。
これ、消さないと意味ないよ
なんて空気ぶち壊しのことを言うべきなんだろうか?いや、やめておこう。このいい匂いと柔らかい感触は是非とも頭に焼き付けておくべきもののはずなんだ。
「…黙っていて…ごめんなさい」
静かな部屋の中で、彼女の穏やかな声が聞こえてくる。
「ホントだよ…おかげで走り回ったんだから」
「ふふふ…でも、嬉しかった。誰かに祝ってもらうのって…本当に久しぶりだから」
よし…ここはどっかで聞いたことあるイケメンの決め台詞を…!
「…まひゃ…」
あ…噛んだ
「ぷっ…!」
手は掴んでいるから、彼女が笑いをこらえているのがダイレクトに伝わってくる。
「くっ…しまったぁ…!」
「また…来年………」
何かを言っていたが、猛烈な後悔の海の飲まれていた俺は聞きのがしてしまっていた。
「はい…?」
「内緒よ、教えてあげないんだから」
「えぇ!?」
「しかも、もう誕生日は昨日よ?」
「え…?」
時計を見ると、00:35と表示していた。
「うわぁ…本当だ」
「内緒の言葉だけど、もう一回だけなら教えてあげる」
「…?」
髪を揺らし、いつもより綺麗な笑顔で彼女は話しはじめる。
「また来年も…隣に居るって約束してね」
いつもより駄文ですいません。
いつものパターンだと
書く⇒直す⇒完成したら2~3日寝かせる⇒見直し
みたいな流れなのですが、時間がないので今回は寝かせてもないし話も思いつきでした。
というのも。
12時頃 友達が「あれ?今日えりちの誕生日じゃん」といってので「まじかよ!」って思い、19時ごろからバイト前の40分で書きました。そしてかえってきてすぐ見直して、今に至ります。
ご意見、ご感想、感想など、心よりお待ちしています。
これでえりちが可愛くかけてたらいいなぁ…