ソードアートオンライン‐快楽主義者の生き方‐   作:810先輩

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第3話

リンゴーン。リンゴーン。その音が鳴り響くと、俺たちは『始まりの町』に強制転移されていた。多くの人はそのことに運営側からのお詫び、お知らせなどと考えたようだがただ一人結城狂矢―キョウヤ―は違うかった。

 

(お詫びなら発覚した時、直ぐ行うはず。だからそれはあり得ない。何より俺の勘がおもしろいことが起きるといってやがるしな)

 

キョウヤは、現実世界では面白いことが起きる場所を当てることが出来るほどの面白いことへの嗅覚を持っていた。その嗅覚が仮想世界のはずの、この世界にも通用しキョウヤに告げていた。『面白いことが起きる』と。

 

そしてそれは、

「諸君。私が…

的中する。

 

 

「茅場晶彦だ」

 

 

(あいつは俺と同じ快楽主義だ。雰囲気を見ればわかる。面白い、かなり面白いぞ!)

ざわめきが、始まりの町の広場に広がるなか、キョウヤの興奮はかなり上がっていた。

自分と同じものがゲームを作ったのだ。なら、これから起きることには当たり前のように面白いことが起きるだろう。キョウヤはそう期待しながら、ほかのプレイヤーと同じように成り行きを見守る。

 

「諸君ら。私のゲームへようこそ」

 

茅場と名乗った体が無く服だけのものが語る。

 

「諸君らは、もうログアウトボタンが無いのに気付いただろう。しかしそれはバグなどではない。ゲーム本来の仕様である。もう一度繰り返す。ゲーム本来の仕様である」

「仕様…だ、と…」

 

キリトは、茅場の言ったことが信じられないといったかのようにつぶやく。それは、クラインも同じことだったようでいまだ唖然としている。

 

「これで、諸君らは自発的ログアウトは不可能になった。外部から強制的にログアウトさせようとした場合高出力マイクロウェーブが発生し、君たちの脳を焼き切る」

 

その言葉に、多くの人は理解できないようだったが、理解できた人もいたが、信じることが出来ないといったような顔だった。その中でキョウヤは誰よりもそのことを理解し、誰よりも先に思考することが出来た。

 

(おいおい。そりゃ、俺に対するご褒美かなんかなのか?そんな面白いことをするなんて最高だろ。茅場ぁ!)

 

「諸君らがここを脱出する方法はひとつ。ここ『アインクラッド』を100層まで上り詰めることだ」

 

その言葉を聞いて他の奴らもようやく頭が回り始めたようで、ふざけんな。助けて。などと口ぐちでしゃべり始めたが、キョウヤはそいつらに対する怒りがふつふつとわきあがってきた。

(面白くねぇ事いうなよ。てめぇら、今ここでてめぇらの首を切るぞ)

ただその言葉が、口に出なかったのはキョウヤの気紛れだろう。

 

「ふざけんな。βテストの時もまともに登れなかったって来てるぞ!」

「おい、クライン黙れ」

「あぁ!?お前は不あ

「黙れと言ったろ。殺すぞ」

「!」

「すまん。興奮した」

 

キョウヤは、クラインがまったく面白くないことをわめきたてるのでつい殺気を出してしまった。初めて殺気にさらされたクラインは、何もしゃべることが出来なくなってしまっていた。そのことをまずいと思ったキョウヤはすぐに謝った。

 

「諸君らに、私からプレゼントがある。受け取ってくれたまえ」

「『手鏡』?」

 

プレセントと聞いてキョウヤとクライン、キリトはオブジェ化させて鏡を覗きこむと

「うおっ!?」

光があふれ、自分のアバターの姿かたちが変わった。

「なっ、お前クラインか?」

「そう言うお前はなんで顔が変わってないんだよ!?」

そしてキリトのいた場所には

「え?なんで現実の姿に?」

美人の女の子がいた。


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