バカと俺達の召喚獣   作:ターダン8

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パラダイス

プールサイドにて。

 

貴浩「やっぱり女子はまだ着替え終わっていないか」

 

明久「そうみたいだね」

 

康太「…………(コクリ)」

 

雄二「ま、女性が準備に時間がかかるってのは、当然だからな」

 

刀麻「ところで秀吉は?」

 

貴浩「まだ着替えてる。俺が着替えている時もまだ落ち込んでいたからな。

   俺が着替え終わった時に何とか気を取り戻したみたいだから、俺は先に来たわけ」

 

雄二「……秀吉も大変だな」

 

明久「ムッツリーニ、心の準備は良いかい?」

 

康太「…………まかせろ。すでにイメージトレーニング512パターン済ましてある」

 

その言葉に俺と明久が、目を見開いて驚愕する。

 

康太「…………そして512パターンの出血を確認した」

 

明久「……致死率100%だね」

 

力強い康太の言葉に、明久の目が虚ろになる。

 

雄二「ん?誰か来たみたいだな」

 

不意に雄二が呟き、全員が顔を向けると小さな人影が駆け寄ってくるのが見えた。

その姿は紺色の水着を着た少女、葉月ちゃんが……

 

炭酸飲料の蓋を開けたような音と共に、康太の鼻下に、赤く細い線が刻まれる。

 

康太「…………弁護士を呼んで欲しい」

 

鼻血を垂らしながら呟くムッツリーニ。それを聞いて俺と明久が苦笑いする。

 

葉月「お兄ちゃんたち、お待たせですっ」

 

息を弾ませ駆け寄ってきた葉月の姿を見て、明久が微笑む。

 

貴浩「懲役は2年で済みそうだな、ムッツリーニ」

 

康太「…………実刑はやむをえない(ポタポタポタ)」

 

雄二「というかムッツリーニ、小学生相手に鼻血垂らすな」

 

雄二は康太にツッコむ。それを聞いて明久が苦笑い。

と、さらなる人影が更衣室から飛び出してくる。

 

島田「こ、こらぁあっ?!お姉ちゃんのソレ、

   勝手に持って行っちゃあダメでしょっ?!返しなさい葉月っ!?」

 

明久「ソレ?……何のことだろ?」

 

葉月「あぅっ、ズレちゃいました」

 

ムッツリーニを動揺させていた、小学生とは思えない胸のふくらみ。

それがいつの間にか、そのふくらみがおなかの方へ行っている。

 

明久「ん?今美波が返しなさいって言っていたのは、葉月ちゃんが付けている胸パッ……」

 

島田「この1撃に、ウチの全てを賭けるわ……!」

 

貴浩「落ち着け島田。その1撃で明久の記憶諸共に存在すら消し去りかねない」

 

と、明久と島田の間に入って、俺は島田を宥める。

 

優子「そうよ島田さん、折角のプールで暴力沙汰なんて起こす物じゃないわ」

 

愛子「そうだよ島田さん」

 

明久「あっ、優子さん、工藤さん。その水着、似合うね」

 

優子「そっそう?///」

 

愛子「ありがとう吉井君///」

 

と、いつの間にか来ていた優子と愛子も同様になだめる。

ついでだが、明久に褒められて頬を赤らめた。

もしかしてこの2人も明久の事が?…明久はもてるな…チクショーめ、羨ましい…

 

島田「うぅ……折角用意して来たのに、葉月のバカ」

 

貴浩「スレンダーにはスレンダーの良さってものがある物なんだよ、そうだろ明久?」

 

明久「まあ、そうだね。手も足も胸もバストもほっそりしてて、

   凄くきれいだと脚の親指が踏みぬかれた様に痛いいいい!!」

 

島田「今ウチの胸が小さいって2回言わなかった!?」

 

うっかり発言をした明久は、島田に思いきり足を踏みつけられていた。

俺はそれより、優子の薄い緑のワンピースと

愛子は下はジーンズを短くカットしたようなパンツで

上は普通の水着だけどおそらく水泳部の水着とサイズがだいぶ違うのか、

日焼けの境界線が見えてしまい目を奪われている。

 

優子「……何よ、じろじろ見て」

 

貴浩「え?あっ、悪い」

 

男というのは、特に女性の水着姿に見惚れるものである。

 

愛子「もしかして僕と優子の水着姿に見とれてたのかな?」

 

貴浩「●☆♪▼◇$(2人共最高だっ)!」

 

愛子「貴浩君何言ってるのかわからないよ」

 

優子「……のよ?」

 

貴浩「え?」

 

優子「だからアタシの水着の……」

 

雄二「ぐああああああっ!目が、目がぁっ!!」

 

優子の蚊の泣くような声を遮るかのように、雄二の悲鳴が響き渡った。

俺と優子、愛子が何事かと思い見てみると、そこには目を潰されのた打ち回る雄二の姿。

そして手をチョキにしている、大人しめな白のビキニに水着用のミニスカートを

組み合わせた格好の霧島が立っていた。

 

島田「すごいわ……坂本の目を潰す仕草まで綺麗だなんて」

 

明久「うん……あの姿を見られるのなら、雄二の目なんて惜しくないね」

 

雄二「そりゃお前らに実害がないからな!」

 

優子「……代表まで」

 

Fクラスではなく、Aクラスの代表である霧島さんの行動に、尚更疑問を持つ優子だった。

しかしのた打ち回る雄二を見て、俺は霧島さんに駆け寄る。

 

貴浩「霧島、雄二の目を潰したら水着の感想が聞けないぞ?」

 

翔子「・・・・・・それは失敗だった」

 

貴浩「というか、目を潰さなくても塞げばよかったんじゃないか?」

 

翔子「・・・・・・ふさぐ・・・・そう」

 

と、何か思いついたのか、頷いて雄二の元へ。

 

楓「すみません。お待たせしました」

 

命「ごめんね。待ちましたか?」

 

明久「●☆♪▼◇(2人共最高だよっ)!」

 

貴浩「●☆♪▼◇(落ち着け明久)!」

 

刀麻「お前ら2人とも落ち着けよ!」

 

明久「2人とも似合ってるよ」

 

命「ありがとう明久君」

 

楓「兄さん、ヒデ君は?」

 

貴浩「ん?ああ、お前の彼氏さんはまだ着替え中だ」

 

楓「に、兄さん////」

 

貴浩「さて……後は姫路となのは、秀吉、砂原と椎名ってところか」

 

優子「……」

 

ふと、姫路の名を出してから落ち込む優子を見て、俺は疑問に思う。

 

貴浩「ん?どうした優子?」

 

優子「“人生は戦い、力こそが正義”……この学園の正義を今日初めて呪ったわ」

 

貴浩「は?」

 

訳がわからない……といった表情で優子を見る俺。

そこへ……

 

姫路「すみません! 背中の紐を結ぶのに、時間がかかっちゃって……!」

 

なのは「ごめんね皆。ちょっと遅れちゃった」

 

駆け足でこちらに来る姫路の姿があった。

それを見て、大量の出血をして倒れるムッツリーニと、それと同様に出血多量で倒れた明久。

 

そして……

 

島田「Worauf fur einem Standard hat Gott jene unterschieden, die haden,

   und jene. Die nicht haben!? Was war fur mich ungenugend!

   (神様は何を基準に、持つ人と持たざる人を区別しているの!?

    ウチに何が足りないっていうのよ!)」

 

貴浩「……えーっと、英語、じゃないな。ドイツ語か?」

 

優子「確か島田さんって、ドイツからの帰国子女だったわね?

   今度教えてもらおうかしら?」

 

聞き慣れない言語に戸惑うが、何となく言っている事が実感が出来た俺と優子だった。

 

貴浩「確かにあれはすごいな……さて、後は秀吉に砂原と椎名だな」

 

愛子「本当にアレは凄いね」

 

優子「……何だか遊ぶ前から疲れる展開ばかりね。

   これで秀吉まで妙な事したら、本気で骨の2、30本は覚悟して貰わないと」

 

優子も十分非常識だ……と言ったら俺のの骨がやられてしまうんじゃないかと

思い俺は口を閉じた。

秀吉もトランクスだと言ってた事を思い出し、まあこれ以上刺激する事はないはずだと……。

 

秀吉「遅れてすまぬ。着替えはさほど手間取らんかったのじゃが、

   落ち込んでいた時間が長くてはの」

 

思っていたが、それは見事なまでに裏切られた。

 

明久「☆●◆▽□♪◎×(ううん、そんなに待ってないよ秀吉)」

 

刀麻「落ち着け明久、ここは地球だぞ」

 

秀吉の格好は、確かにトランクスである。

ただし、構成は美波と同じようなスポーツタイプであり、

上は肌に張り付く様なショートタンクトップ。

下は飾り気のない普通のパンツの上に、

ショートパンツのようなズボンを一番上のボタンを外した状態で重ねている。

 

……つまりは、女物のトランクスタイプ。

 

貴浩「お前も落ち着け優子!秀吉に悪気はない筈なんだ!!……多分」

 

優子「離しなさい貴浩!あのバカの格好もそうだけど何でアタシよりも評価が高いのよ!?」

 

明久の態度が火に油を注いだのか、今にも秀吉を血祭りにあげんばかりに優子が暴れだす。

俺はとっさに優子を羽交い絞めにして、それを止めようとする。

 

貴浩「ちょっ、誰か抑えるの手伝ってくれ!!

   というか秀吉、お前男物と女物の区別位つけろよ!!」

 

秀吉「ち、違うのじゃ!ワシは本当に男物を買った筈なのじゃ!

   きちんと店員にも“普通のトランクスタイプが欲しい”と言ったのじゃぞ!?」

 

貴浩「上がある時点でおかしい事に気付けよ!……今度は俺も着いていくから」

 

雄二「何だ……?一体、何が起こってるんだ?」

 

翔子「雄二」

 

雄二「わっ! なっ、何だ!?この柔らかい感触は、一体!? 

   ……って翔子!? お前、何してやがる!?」

 

翔子「目隠し」

 

雄二「何で抱きかかえてやるんだ!!?」

 

まだプールにすら入っていないというのに、カオスがその場を支配した。

 

そして、そのカオスもようやく落ち着いたころ。

 

砂原「ごめんねぇ皆お待たせ!」

 

椎名「お待たせしました」

 

そこへ砂原さんと椎名さんがやってきた

 

貴・明・雄・刀「「「「・・・・・・・・・・・・」」」」

 

康太「・・・・・・・・・・・・・・・(ドバドバ)」

 

俺たちは砂原の水着をみて見とれていた。

椎名は薄い水色のワンピースの水着で砂原は赤のビキニだった。

色が色だけに凄く目についてしまう。

 

砂原「あらぁ?もしかして私に見とれていたのかな♪」

 

俺たちは一斉に顔を背けた。

 

砂原「でどうなのかな?ター君、アッキー?」

 

しかもよりにもよって俺と明久に照準をあわせてきやがった。

雄二と刀麻にしろよと思っていると刀麻の姿はなく(おそらく逃げた)

雄二は霧島さんにより捕まっていた。

 

島田「アキ~覚悟しなさいよ!」

 

姫路「明久君少しOHANASIが」

 

命「鈴歌ちゃんスタイル良くていいなぁ」

 

命は砂原のスタイルにみとれており、姫路と島田は明久に制裁を加えようとしていた。

 

砂原「で、どうなのかな?ター君?」

 

もうターゲットを俺に定めたか

 

貴浩「……いいんじゃないか。似合ってると思うよ。椎名も似合ってるよ」

 

椎名「どうもです」

 

砂原「ありがとねん♪さてター君をからかった事だし泳ごうかな」

 

貴浩「はぁっ……」

 

俺はプールに入る前に大半の体力を費やす事となり(ツッコミとかで)

飛び込むことはせずゆっくりとプールに入った。

それを見て、勢いよく飛びこんだ明久は俺に近寄った。

 

明久「お疲れだね、貴浩?」

 

貴浩「そりゃあな……」

 

何となく俺の苦労を、身体(にしみ込まれた痛み)的に共感してしまう明久だった。

 

 


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