バカと俺達の召喚獣   作:ターダン8

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雄二の行動

~ SIDE IN 雄二 ~

 

《霧島さん?霧島翔子さーんっ!皆さん、花嫁を捜して下さい!》

 

スタッフがドタバタと駆け出す。

・・・・・・・ふむ。どうやらこのイベントは中止のようだな。

 

「さ、坂本雄二さん!霧島さんを一緒に捜して下さい!」

 

スタッフが1人、息を切らせてこちらにやってくる。

俺にアイツの行き先に心当たりがないか聞きたいのだろう。

 

雄二「悪いが、パスだ。面倒だし、便所にも行きたいしな」

 

「え?ちょ、ちょっと、坂本さん・・・・・!」

 

俺はスタッフを無視して出て行く

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

『・・・・・・・・クソォ、あのガキども・・・・・』

 

『リョータ、大丈夫だってすぐいいとこ見つかるよ』

 

『ああ、そうだな。俺ならすぐにいいとこ見つかるな』

 

それじゃ、とっとと用を済ませるか。

ゆっくりと歩み寄り、背後から声をかける。

 

雄二「なぁ、アンタら」

 

『ぁあ?ぁんだよ?』

 

2人組が真っ茶色な顔をこちらに向けてくる。

きちんと礼をしておかないとな。

 

『リョータ。コイツ、さっきのオトコじゃない?』

 

『みてぇだな。お前もさっきのガキどものお友達か?・・・・・んで、

 その新郎サマがオレたちになんか用か、あァ!?』

 

男の方が一歩前に出て、威嚇するような仕草を見せた。

 

雄二「いや。大したようじゃないんだが―――――」

 

借り物上着を脱ぎ、タイを緩める。不思議なことに、

身体は準備運動を必要としないほどに温まっていた。

 

雄二「―――ちょっとそこまでツラぁ貸せやぁ!!!」

 

 

       

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

             

雄二「よっ。随分と待たせてくれたな」

 

翔子「・・・・・雄二」

 

如月グランドパークの中にあるホテルの前で待つことしばし。

玄関から翔子がトボトボと俯きがちに出てきた。

 

雄二「さて。それじゃ、帰るとすっか」

 

似非野郎から受け取っておいた翔子の鞄を担ぎ直して、駅に向かって歩き出す。

 

翔子「・・・・・・・」

 

翔子はなにも言わず、静かに俺の少し後ろをついてきた。

夕暮れの中、黙々と駅に続く道を歩く。どのくらいそうしていたのだろうか。

如月グランドパークを出てあえて人気のない道を歩いていると、

翔子が聞き取れるからどうかギリギリの小さな声で呟いた。

 

翔子「・・・・・雄二」

 

雄二「ん、なんだ?」

 

翔子「・・・・・私の夢、変なの・・・・・・?」

 

例のバカップルに笑われたことをずっと気にしているのだろう。

翔子は足を止めていた。俯いているから表情は見えないが、長い付き合いだ。

どんな顔をしてるかぐらい見なくてもわかる。

 

雄二「まぁ、あまり一般的ではないかもしれないな」

 

俺は少し言葉を選んでからそう答えた。

 

翔子「・・・・・・・・・・・・・・」

 

再び黙り込む翔子。さっきの言葉を鵜呑みにするなら、

こいつは7年という時間をずっと揺るぎない夢を抱いて生きていたということになる。

それがあんな大勢の前で笑われ、否定された。

今の心情がどのようなものなのか、正直俺には想像もつかない。

だが、どこにもコイツが傷つく必要なんてない。

おかしいのはコイツの勘違いだけで、

1人の人間を長い間想い続けるという行為は胸を張れる誇らしいことのはずだ。

だから、これくらいは伝えてやりたい。

全てが間違いなのではなく、気持ちを抱く対象を勘違いしていただけで、

夢自体はおかしなものではないということを。

 

雄二「けどな、俺は・・・・・・・俺はお前の夢を絶対に笑わない。

   お前の夢は、大きく胸を貼れる、誰にも負けない立派なものだ。

   ――――まあ、相手を間違えていなければの話だけどな?」

 

翔子「・・・・・・・ゆう、じ・・・・・・」

 

雄二「翔子、よく聞け。お前の俺に対する気持ちは、

   過去の話に対する責任感を勘違いしたものだ。」

 

7年も前に起こった出来事。

 

翔子が俺に好意と勘違いした気持ちを抱くようになったきっかけ。

 

・・・・・・・今でもずっと、あの時のことを後悔している。

もっとうまくやれたんじゃないか、と。あんなことがあったせいで、

コイツは俺のようなロクデナシに時間を費やすことになってしまった。

 

雄二「だからお前がそうなった責任は俺にある」

 

翔子「・・・・・・雄二・・・・・・・?」

 

翔子が不思議そうにこちらを見上げる。

そりゃあそうだ、俺がこんな事言うなんてあまりないからな。

こいつはしっかり俺と向き合って本心を伝えてくれた。

だったら俺も向き合ってしっかり本心を伝えてやる。

・・・・・・・それは俺が生涯こいつにしか言わない言葉!

 

雄二「翔子!俺と付き合え!!俺はお前のことが好きだ!!

   その責任をしっかり取ってやる!」

 

俺の言葉に翔子は少し戸惑う。・・・・・そして翔子の口が開く

 

翔子「・・・・・ほ、本当?」

 

雄二「ああ。これは1つも嘘の混じっていない俺の本心だ」

 

翔子「・・・・・・・・」

 

翔子が黙る。あんな事が逢った後だから自分が傷つかないように

言ってくれているとでも思っているのだろうか。

そう思われているとしたら心外だな。

・・・・・・そうだこれを渡すのを忘れてた。

 

翔子「っ!・・・・・これ・・・・・・さっきのヴェール・・・・・・」

 

会場で拾っておいた物を俯く翔子に被せてやる。

折角の体験だったんだ、これくらいの思い出は残しておいてやりたいよな。

っとそうだった、もう1つ――――

 

雄二「それと、翔子。・・・・・・弁当、旨かったぞ。

   ただ俺は良く食うからこれだけだとお前の分がなくなっちまうからな、

   今度はもうちょっと多めに作ってくれ」

 

翔子「・・・・・私のお弁当・・・・気付いて・・・・・くれたんだ・・・・・」

 

雄二「当たり前だ。さて。さっさと帰るぞ。遅くなると色々誤解されるからな」

 

俺はまた前を向いて歩き出す。・・・・・・・・今の顔はきっと真っ赤だろう///

良くあんなセリフを言えたな俺////

 

翔子「・・・・・・・雄二」

 

雄二「特におふくろの奴は、いくら言っても――――」

 

翔子「雄二っ!」

 

ここ最近では記憶にない翔子の大きな声を聞いて、思わず立ち止まってしまう。

 

雄二「な、なんだ?」

 

翔子「――――私、やっぱり何も間違っていなかった!」

 

俺は顔が赤くなったまま振り向く。

すると、満面の笑みを浮かべる幼なじみが俺に抱きついてきた。

 

 

 ~ SIDE OUT 雄二 ~

 

 

貴浩「はぁ、全く。・・・・・少しは落ち着け明久」

 

こいつはもうちょっと頭を使うとかしないのか。

こんなとこで暴れたって意味ねぇのに・・・まあこれが明久の良いところなんだけどな

 

「ちょっと、ダレよ~、アンタ」

 

命「た、貴浩君。なにやってるの!?」

 

貴浩「ん?この馬鹿が何の意味も無くそっちの男を殴ったからな。その制裁って事で」

 

といっても、こっちの馬鹿2人に手を貸すわけでもないからな。

それだけは分かっていてほしいな命

 

貴浩「優子、愛子。命と明久を連れて先行っててくれ。

   俺と光一はこいつらに話があるから」

 

優子「わかったわ。行きましょう命」

 

優子と愛子が命と気絶した明久を連れて出て行く。

 

貴浩「・・・・・・さてと、そっちの男。確か羽鳥グループで働いているんだったよな」

 

「はっ、俺はな天下の電機メーカーの羽鳥グループで働いてんだよ!

 いいか、お前らみたいなガキじゃぜってぇ入れねぇところだ」

 

「そうよ、リュータはねぇ羽鳥グループで働いているのよ」

 

それは日本でも五本指に入る大企業・・・・・羽鳥財閥。

また、その大企業の中の1つに霧島財閥も存在する。

この馬鹿2人はとんでもないところ相手に凄い事やったな

 

貴浩「ちなみにだが・・・さっきの新婦さんは、

   今言ってた日本で5本指に入る霧島財閥の社長のお孫さんだぜ。

   そして俺の隣にいる男はお前らがさっきから言ってた羽鳥財閥、社長の息子だ」

 

「「なっ!?」」

 

光一「このことは詳しく会社に伝えさせたもらう」

 

貴浩「お前も残念だよな。さっきから注意してやったのに。

   お客様のご迷惑になりますって。それをお前らは聞かなかったんだもんな。

   それに、ビデオ撮る人もいるぐらいだから音源なんてすぐ採取できるし、

   それを聞かせりゃあ、速達でクビの知らせが届くだろうな。

   それにそんなことしなくてもここに光一がいたからそれを伝えたらそれですむけどな」

 

俺の言葉を聞くとバカップルはそそくさと外に向かって行った。

 

ふぅ、とりあえずこれでこの男ももう終わりだな。

・・・・・雄二がもういなくなったことを考えると外で待ち伏せか。

まあこいつらの自業自得だな。

 

「くっそぉ・・・・・・・・」

 

男は地面を叩いてから、とぼとぼと出口に向かって歩いていく。

女の方もそれについていく・・・・・・・・そっちは地獄の三丁目だぞ・・・

 

貴浩「光一。後は頼むな」

 

光一「了解」  


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