バカと俺達の召喚獣   作:ターダン8

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ウエディング体験(裏)

~ SIDE IN 明久 ~

 

命「ねぇ、明久君、会場ってここで良いんだよね?」

 

命「うん、貴浩から聞いたんだけどここのはずだよ・・・・・・・・・多分」

 

僕らが不思議そうにそこをみている・・・・・・・・・・クイズ会場?

でも、他のお客さんも来ているのでここで間違いはなさそうだ。

 

「いらっしゃいませ、お2人様でよろしいでしょうか?席へご案内します」

 

明久「あ、はい」

 

僕と命は案内人に連れられて会場の中を移動する。

 

光一「お客様は未成年だと思いますので、こちらを用意させて頂きました」

 

席に着くと、ボーイの格好をした光一がグラスにノンアルコールのシャンパンを注いでくれる。

おお、しっかりラベルが見えるように持っている。

凄いな光一はこれも勉強したのかな。

 

光一「オードブルでございます」

 

グラスを置くと、すかさず運ばれてくる料理。

それは豪華絢爛という言葉にふさわしい物だった。

ただナイフとかフォークってあんまり使い慣れてないんだよなぁ。

今度マナーとかもしっかり勉強しようかな

 

命「なんか食べにくいね」

 

明久「しょうがないよ、僕達高校生でこういう場所には

   特に縁とかも無いんだしさ。でも霧島さんや光一とかだったらなれてるかもね」

 

しばらく食べ続けていると・・・・・・・・

 

雄二『―――――――――――――にしぎゃあああああああああああああ!!!』

 

・・・・・・ん?

 

命「今の声・・・・・・・・坂本君だよね・・・・・・・・・」

 

明久「・・・・そうだね、きっと霧島さんが怒るような事でもやったんじゃない?」

 

命「・・・・そうかもしれないね」

 

 

 

 

 

ふう、食べた食べた。周りをよく見てみると、さっきの外国人たち、

アトラクションに乗っていたカップル、と色々な人たちが集まっていた。

・・・・・・・FFF団に関わりを持つ人や姫路さんや美波はいないみたいだ。

よかったぁ、僕達だけならともかく霧島さんの邪魔なんて

今回だけはさせたくないからね。おっ始まるみたいだ。

 

砂原《皆様、本日は如月グランドパークのプレオープンイベントに

   ご参加いただき、誠にありがとうございます!なんと、本日ですが、

   この会場には結婚を前提としてお付き合いを始めようとしている

   高校生のカップルがいらっしゃっているのです!――――――――――》

 

明久「ようやく始まったね命」

 

雄二たちは、スタッフの人たちに誘導されて解答者の席のようなところに登った。

 

 

 

 

 

砂原《――――正解です!それでは最終問題です!》

 

明久「・・・・・・・命どう思う?」

 

命「・・・うーん、これを考えた人は本当にこれで結びつくと思ってるのかな?」

 

はっきりいって同感だ。今までの問題はすべて出来レースだろう、

結婚式場が鯖の味噌煮って・・・・・・・流石に雄二が不憫になってきた。

そして最後の問題に移ろうとしたとき・・・・・

 

『ちょっとおかしくな~い?アタシらも結婚する予定なのに、

 どうしてそんなコーコーセーだけがトクベツ扱いなワケ~?』

 

砂原『あの、お客様。イベントの最中ですので、どうか――――』

 

『あぁっ!?グダグダとうるせーんだよ!オレたちはオキャクサマだぞコルァ!』

 

不愉快な口調のやつらがづかづかと、ステージに上がる。

あの時のバカップルだ・・・・・・

 

『アタシらもウエディング体験ってヤツ、やってみたいんだけど~?』

 

砂原『で、ですが――――』

 

『ゴチャゴチャ抜かすなってんだコルァ!

 オレたちもクイズに参加してやるって言ってんだボケがっ!』

 

明久「・・・・・あのバカップル・・・」

 

命「お、落ち着いて明久君」

 

明久「・・・・・・・・・分かったよ」 

 

『うんうんっ!じゃあ、こうしよーよ!アタシらがあの二人に問題出すから、

 答えられたらあの二人の勝ち、間違えたらアタシらの勝ちってコトで!』

 

なんだか勝手に話をどんどん進めていってるバカップル。

そもそも、お前らはそんなこと言える立場じゃねーだろうが。

・・・・・おっと危ない、声にでそうだった

 

『じゃあ、問題だ』

 

バカップルの男の方がわざわざ巻き舌の聞き取りにくい発音で言う。

・・・・・・・雄二絶対間違えるんじゃねぇぞ!

 

『ヨーロッパの首都はどこだか答えろっ!』

 

明久「・・・・・・・・・・・・・・」

 

言葉を、失った。

 

『オラ、答えろよ。わかんねぇのか?』

 

いや、その解答は百人中百人がわからないよね。

なぜなら僕の悪い記憶でも、ヨーロッパは国というカテゴリーに属してはいないはず。

だから、その首都を答えろだなんて不可能なはずだ。

 

砂原《・・・・・・坂本雄二さん、翔子さん。おめでとうございます。

   【如月グランドパークウエディング体験】をプレゼントいたします》

 

『おい待てよ!こいつら答えられなかっただろ!?

 オレたちの勝ちじゃねぇかコルァ!』

 

『マジありえなくない!?この司会バカなんじゃないの!?』

 

やばいこの人たち、多分だけど昔の僕より馬鹿だ・・・・・早くなんとかしないと

 

 

 

 

砂原《それではいよいよ本日のメインイベント、ウエディング体験です!

   皆様、まずは新郎の入場を拍手でお迎えください!》

 

そうアナウンスが言うと、周りの人たちのほとんどが拍手をしていた。

 

砂原《それでは新郎のプロフィールの紹介を――――――》

 

命「へぇ、結構本格的なんだね。貴浩君たちにでも聞いたのかな?」

 

明久「多分そうだろうね・・・・・どんな風に捏造されてるかは分からないけど・・・・」

 

砂原《―――――省略します》

 

捏造以前の問題だった、手ぇ抜きすぎでしょ。

 

『ま、紹介なんていらねぇよな』

 

『興味ナシ~』

 

『ここがオレたちの結婚式に仕えるかどうかが問題だからな』

 

『だよね~』

 

前の方からこんな声が聞こえる。一応それにスタッフも注意は呼びかけているようだが・・・・・・

 

砂原《・・・・・他のお客様のご迷惑になりますので、

   大声での私語はご遠慮頂けるようお願い致します》

 

『コレ、アタシらのこと言ってんの~?』

 

『違ぇだろ。オレらはなんたってオキャクサマだぜ?』

 

『だよね~っ』

 

『ま、俺たちのことだとしても気にすんなよ。

 要は俺たちの気分がいいか悪いかってのが問題だろ?

 それに俺はあの有名な羽鳥グループの社員だぞ!!これ重要じゃない?』

 

『うんうん!リョータ、イイコト言うね!』

 

反省とかする気は全くないみたいだ・・・・・・・あいつらっ!

・・・・・・・・・・・・・・・・と、手に力を入れたとたん

その手が命の手に押さえられる

 

命「だ、駄目だよ明久君。・・・・・・・確かに私も許せないけど、

  それで折角のイベントが中止になったら・・・・・・・・」

 

明久「・・・・・・・そうだね」

 

僕は少し手を緩める、それと同時にアナウンスがなる。

 

砂原《――――それでは、いよいよ新婦のご登場です!》

 

心なしか音量が上がったBGMとアナウンスが流れ、

同時に会場の電気が全て消えた。シモークが足元に立ちこめ霧島さんがあらわれた

 

砂原《本イベントの主役、霧島翔子さんです!》

 

アナウンスと同時に更に幾筋ものスポットライトが壇上の一点のみを照らし出す。

暗闇から一転して輝き出す壇上に、思わず目を瞑ってしまう。

少しずつ目を開けるとその光の中央には花嫁と呼ぶに相応しい姿の霧島さんがいた。

 

命「・・・・・・・・綺麗」

 

隣にいる命の口から言葉が漏れる。

霧島さんの来ているそのドレスは雄二のところに辿り着くまでの間、

床に触れる事は無かった。・・・・・・・・・・・・・綺麗とか、

麗しいとかぐらいじゃ言葉が足りないと、僕は思う。

 

砂原《ど、どうしたのでしょうか?花嫁が泣いているように見えますが・・・・・・?》

 

雄二『お、おい。どうした・・・・・?』

 

霧島さんが涙を流した事に少々不安になる雄二。

 

翔子『・・・・・・ずっと夢だったから』

 

砂原《夢、ですか?》

 

翔子『・・・・・・小さな頃からずっと・・・・・・夢だったから・・・・。

   私と雄二、2人で結婚式を挙げること・・・・・。

   私が雄二のお嫁さんになること・・・・。私1人だけじゃ、

   絶対に叶わない、小さな頃からの私の夢・・・・・・・

   だから・・・・・本当に嬉しい・・・・・。他の誰でもなく、

   雄二と一緒にこうしていられることが・・・・』

 

砂原《どうやら嬉し泣きのようですね。花嫁は相当に一途な方のようです。

   さて、花婿はこの告白にどう応えるのでしょうか?》

 

普段口数の少ない霧島さんが雄二に伝えるため言った事。

 

雄二『翔子。俺は―――――』

 

『あーあ、つまんなーい!』

この言葉が一瞬この場を止めた

 

『マジつまんないこのイベントぉ~。人のノロケなんてどうでもいいからぁ、

 早く演出とか見せてくれな~い?』

 

『だよな~。お前らのことなんてどうでもいいっての』

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なに?こいつらなに言ってるの?

それじゃあお前らに映ってるのは霧島さんじゃなくて、

最初から演出だけだったと。・・・・・・・・・・調子に乗るなよ!

 

命「あ、明久君、ちょ、ちょっと」

 

ガタッと、席から立ち上がり、その2人に近づいていく。

命、止めようとしないで、こいつらが全部悪いんだから・・・・

 

『ってか、お嫁さんが夢です、って。オマエいくつだよ?なに?キャラ作り?

 ここのスタッフの脚本?バカみてぇ。ぶっちゃけキモいんだよ!』

 

『純愛ごっこでもやってんの?そんなもん観るために

 貴重な時間割いてるんじゃないんだケドぉ~。

 あのオンナ、マジでアタマおかしいんじゃない?

 ギャグにしか思えないんだケドぉ』

 

『そっか!コレってコントじゃねぇ?あんなキモい夢、

 ずっと持ってるヤツなんていねぇもんな!

 ・・・・・ゲフッ!、てめぇ何しやがる!』

 

『リュ、リュータ、大丈夫!いきなり何すんのよアンタ!』

 

いつまでたっても罵声をはき続けるこいつら。まずは男の方を殴る。

 

明久「・・・・・・・に・・・・・・・・・・・・のか?」

 

『ああん?何言ってんだよお前。』

 

明久「てめぇらに霧島さんの夢を笑えるほどの夢があるのかって言ってんだよ!」

 

起き上がって近づいてきた男をさらにもう一発殴り飛ばす。

 

明久「霧島さんはな、この時をずっと待ってたんだぞ!

   あっちの馬鹿な新郎に心の中でずっと積もってた思いを打ち明ける日を!

   何年もかけて育っていった、

   その大切な夢をお前らが馬鹿にして霧島さんを傷つけたんだ!」

 

許せない、人が今からつかもうとしてる幸せを踏みにじり、貶すなんて!

 

『ハッ、用はここが俺達に使えるかどうか、

 それさえ確認できりゃあそれで良いんだよ!あんな女の事情なんて知った事か!』

 

明久「なんだと!」

 

僕はもう1回殴ろうとするけど、それは貴浩や命に止められる 

 

砂原《お、お客様、落ち着いてください!》

 

命「落ち着いてよ明久君!」

 

明久「放してくれ!こいつら、こいつらだけは!―――――クペッ!」

 

僕の意識はここで途絶えた。

 

貴浩「はぁ、全く。・・・・・少しは落ち着けよ明久」


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