バカと俺達の召喚獣   作:ターダン8

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明久ラブレター事件(前編)

~SIDE IN 明久~

 

明久「う~ん・・・・・・ありえない登校時間だ」

 

晴れ渡る空。澄んだ空気。暖かな日差し

いつもより一時間早いだけで、混み合うはずの通学路はガラリと様相を変えて、

人気のない爽やかな散歩道のような雰囲気になっている。

 

明久「早起きは三文の徳って言うし、何かイイコトがあるといいなぁ~」

 

今朝、僕は2時間も早く目を覚ましたため、

早めの朝食をすましてジョギングがてら学校へと向かっている。

 

明久「さてさて、こんな時間から何をしようかな――ん?」

 

校門の近くに見知った後ろ姿があった。

刈り揃えられた髪に浅黒い肌、無骨なシルエット。あれは鉄人だ

 

明久「先生、おはようございまーす」

 

西村「おう、おはよう!部活の朝練か?感心だ――」

 

僕を見て、動きが止まった

 

明久「先生?」

 

西村「――すまん。間違えた」

 

明久「人違いですか?いやそんな、別に謝る必要なんて」

 

西村「吉井、こんな早朝に学校に来て、今度は何を企んでいる」

 

そう言って爽やかな笑顔から一転、警戒心をあらわにした表情になった

 

明久「鉄人・…間違えたのは接する態度ですか?」

 

西村「すまん、すまん。だが、警戒するのは教師として当然のことだ勘弁してくれ」

 

明久「もう良いですよ」

 

西村「それはそうと丁度良かった。『観察処分者』のお前がいるなら手間が省けるからな」

 

明久「げっ!?『観察処分者』ってことは、また力仕事ですか?」

 

西村「そういうことだ。古くなったサッカーのゴールを撤去してくれ」

 

明久「やれやれ。早起きなんてするんじゃなかったなぁ……」

 

西村「後悔するのは早起きではなく、

   観察処分を受けたお前の態度だということに気づくべきだと思うがな」

 

西村先生は呆れたように僕の顔を見てため息をつきます

 

明久「うぅ・・・・・・僕はそんなに悪いことなんてしていないのに・・・・・・」

 

西村「どの口でそんなことが言えるんだ。いいからグラウンドに来い」

 

明久「へーいへい」

 

僕は鉄人について行き校庭へと向かう。

 

西村「吉井、頼んだ」

 

明久「了解です――――試獣召喚(サモン)」

 

明兄は西村先生の立会いの下、試験召喚獣を喚び出す

 

西村「それじゃ、そのゴールを持たせて」

 

明久「はいよ」

 

西村「街外れの産廃場まで行ってこい」

 

明久「何キロあると思ってんですか!?」

 

西村「もちろん冗談だ。

   吉井、ゴールネットを外して校門前に邪魔にならないように置いておけば良い」

 

明久「何だ、ビックリした~」

 

西村「お前らが破壊した校舎の修繕費用を考えれば、その程度の罰も当然だと思うがな」

 

明久「ぅぐ・・・・・・」

 

西村「外したネットは別口で処分するから、とりあえずは体育用具室にでも置いといてくれ」

 

明久「はぁ・・・・・・今日も一日イイコトなんてなさそうだなぁ・・・・・・」

 

僕はそう呟きながら召喚獣を操作してネットを外していく。

ゴールを運び終えると朝のHRの時間寸前になってしまった。

外したネットを体育用具室に運んでいる時間はないから、

一旦教室に持っていくことにしよう。僕は少し遅れて昇降口へ行き靴箱を開くと

 

明久「なっ何じゃこりゃぁぁっ!?」

 

僕の下駄箱の中には手紙らしきものが入っていた。

これはもしやラブレターなのかな?

 

雄二「どうした、明久」

 

明久「おわぁぁっ!」

 

雄二に声を掛けられて、咄嗟にをポケットに隠す。

 

明久「あ、ああ。雄二か。おはよう」

 

雄二「おう。で明久どうしたんだいきなり奇声をあげて」

 

やばい。これは雄二に知られるわけにはいかない

 

明久「あ、時間がぎりぎりだね。雄二急ごう」

 

雄二「お、もうそんな時間か。校内にいるのに遅刻にされても癪だな」

 

明久「そうだね」

 

僕と雄二はチャイムがなる前に教室に行くことができた。

その後すぐにチャイムがなり鉄人が入ってきて出席を取り始めました。

 

 

 ~ SIDE OUT 明久 ~

 

 

 

「工藤」 「はい」

 

「久保」 「はい」

 

「近藤」 「はい」

 

「斉藤」 「はい」

 

淡々と進む毎朝の恒例行事。

鉄人の呼び声にクラスの皆さんは眠そうに返事をしている

 

「坂本」

 

雄二「・・・・・・・・・・・・・・・・・・明久がラブレターを貰ったようだ」

 

「「「「「殺せぇぇっ!!」」」」」

 

明久「ゆ、雄二!いきなり何てことを言いだすのさ!」

 

雄二は小声だったのにもかかわらず、クラスの皆は聞こえていたようだ。

その証拠に怒号が飛び交っている。

ここの奴等は他人の幸せを許さないみたいだな。

 

西村「お前らっ!静かにしろ!」

 

すぐに西村先生の一括が入る。だが・・・・・・男子は殺気ダダ漏れだ

 

西村「それでは出席確認を続けるぞ」

 

出席簿を捲る音が教室内に響きます

 

「手塚」 「吉井コロス」

 

ピクッ

 

「藤堂」 「吉井コロス」

 

ピクピクッ

 

「戸沢」 「吉井コロス」

 

ピクピクピクッ

 

明久「皆落ち着くんだ!何故だか返事が『吉井コロス』に変わっているよ!」

 

西村「吉井、静にしろ!」

 

明久「先生、ここで注意すべき相手は僕じゃないでしょう!?

   このままだとクラスの皆は僕に殴る蹴るの暴行を加えてしまいますよ!?」

 

鉄人は俺の殺気に気づいたのか何も言わずに、出席確認を続けた。

 

「新田」 「吉井コロス」

 

ピクピクピクピクッ

 

「布田」 「吉井マジ殺す」

 

クピクピクピクピクッ

 

「根岸」 「吉井ブチ殺す」

 

プッツン

 

「織村兄」 「お前らをコロス」

 

俺はムッツリーニから貰ったスタンガンを取り出す

 

「羽鳥」  「皆殺しにしてやる」

 

光一は隠し持っていたクナイや手裏剣などを取り出す

 

「「「「「・・・・・・・・・・・(忘れてたぁぁぁぁ!!!!)」」」」」

 

殺気を出していた男子達は殺気の代わりに冷や汗をだらだらと流し始めた

 

西村「よし。遅刻欠席はなしだな。今日も一日勉学に励むように」

 

出席簿を閉じて教室を後にしようとする西村先生

 

「「「「「待って先生!行かないで!可愛い生徒を見殺しにしないで!」」」」」

 

皆は必死に鉄人を呼びとめる。死にはしないぞ皆

 

西村「お前ら、勘違いするな」

 

鉄人が扉に手をかけたまま告げた。

 

西村「自業自得だ」

 

「「「「「そんなぁぁぁぁぁ」」」」」

 

西村「授業は真面目に受けるように」

 

「「「「「「先生待って! せんせーい!」」」」」

 

そう告げると鉄人は教室を出ていった。皆、絶望した顔をしているな。

 

とりあえず

 

貴浩「お前ら。こっちにいらっしゃ~い」

 

俺と光一は立ち上がり武器を構えて手招きする。

その後教室で何があったか言うまでもないだろう。

 

 

 

 

貴浩「まったく、あいつらメンドくさいな」

 

光一「まったくですね」

 

秀吉「ご苦労様なのじゃ」

 

雄二「あいつらもバカだな。2人がいる状態でこんな事をするなんて」

 

明久「仕方ないよ。このクラスにいるんだもの」

 

雄二「明久にしては正論だな」

 

貴浩「元々は雄二のせいだろうが」

 

雄二「だが明久がラブレターをもらったんだぞ。なんか悔しいじゃねえか」

 

貴浩「確かに」

 

明久「え?そこ納得しちゃうの!?」

 

貴・雄「「当たり前だろ?」」

 

明久「2人して酷いよ!!」

 

雄二「まあ冗談は半分として、明久ラブレターもう見たのか?」

 

明久「半分冗談って残り半分は?」

 

貴浩「で?もう読んだのか?」

 

姫路「明久君もう読んだんですか?」

 

島田「どうなのアキ!?」

 

明久「まだ読んでないよ。昼休みに読もうと思ってるよ」

 

貴浩「そうか」

 

むぅ複雑だな。俺としては命を応援している分なぁ

 

光一「そうでした貴浩殿。例の物が出来ましたので持ってきました」

 

貴浩「マジでか!!ありがとう光一」

 

俺は光一から風呂敷を受け取る。

 

光一「いえ、このような事であればいつでも言ってください」

 

明久「ん?貴浩、光治どうかしたの?」

 

貴浩「いや、なんでもないぞ明久。気にするな。……そうだ明久。ちょっといいか」

 

明久「ん?なに?」

 

俺は明久を連れて皆から離れると

 

貴浩「お前いつ命とグランドパークに行くんだ?・・・・・・まさか忘れてはないよな」

 

明久「あ!?」

 

貴浩「やっぱり忘れてたか」

 

明久「うっ」

 

貴浩「まあいいや。今週の休日に行って来い」

 

明久「そうだね。さすがにこれ以上伸ばすのは拙いよね。今週の休日に行くとするよ」

 

貴浩「そうしろ。まあ命には俺のほうから言っておくから」

 

明久「いつもありがとう。そういえば貴浩。

   清涼祭の時に僕と雄二の分のチケットあげたけど誰かと行くの?」

 

貴浩「いや、これはあげる人がいるからその人にあげるんだ。

   それに俺にはそんな相手いないしな」

 

明久「そうなんだ」

 

貴浩「まあ気にするな」

 

そういうと俺は自分の席へと戻った。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

俺は1枚チケットを取り出して眺めていた。

しかし、このチケットどうするかな?

明久にはああ言ったが霧島に1枚あげて

もう1枚はなのはが欲しいって言ってたからあと1枚残ってるんだよな。

 

と考えていると

 

秀吉「浮かない顔しておるがどうしたのじゃ」

 

貴浩「ああ、秀吉か」

 

姫路「どうしたんですか?」

 

島田「どうしたの織村?」

 

秀吉、姫路、島田の3人が声をかけてきた。

 

貴浩「姫路に島田か。ちょっとな」

 

姫路「それってグランドパークのペアチケットですか?」

 

貴浩「そうだよ。これをどうしようか考えているところだ」

 

姫・島「「もしよろしければ(良かったら)そのチケットm──」」

 

秀吉「そのチケット、ワシにくれぬか?」

 

姫路と島田の言葉をさえぎり秀吉が尋ねてくる。

 

貴浩「ん?ほしいのか。良いけど誰と行くんだ?」

 

秀吉「ぶ、部活のメンバーとじゃ」

 

貴浩「そうか。ついに秀吉にも好きな女性ができたか。

   良いぞチケットやるよ。その人と楽しんでこいよ」

 

俺はチケットを秀吉にあげる。

それが後で後悔することになるとは今は思わなかった。

 

姫・島「「ああっ!!」」

 

秀吉「ありがとうなのじゃ貴浩よ」

 

貴浩「まあ気にするな。そのかわりうまくいったらその人のこと紹介してくれよ」

   

これで明久と命がくっついてもこれを使えば秀吉を抑える事ができるか

 

秀吉「(お主が知っておる人物なのじゃが今は黙っておくとするかの)わかったのじゃ」

 

何故か姫路と島田がうな垂れていたがどうしたのであろうか?

おそらく明久と行きたかったんだろうがそうさせるわけにはいかない。

明久は命と行くからな。2人には今回はあきらめてもらおう


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