バカと俺達の召喚獣   作:ターダン8

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Aクラス戦 戦後交渉①

高橋「7対7の対戦結果は、3勝3敗1引き分けとなりました」

 

クールヴォイスの高橋女史の声が教室内に響いた。

 

高橋「この後どうするのか、双方の代表者で話し合い、決めてください」

 

雄二「とにかく行こう。みんな来てくれないか?」

 

雄二は、主だったメンバーを伴って、中央へ向かった。

 

雄二「待たせたか?」

 

優子「大して待ってないわよ。で?どうするの?続ける?それとも降伏する?」

 

開口一番に挑発してきたのは秀吉と命の姉である優子だった。

 

雄二「やれやれ、攻撃的だなAクラスは」

 

雄二はあきれたように肩をすくめる。そして射るように優子をにらむ。

 

雄二「降伏はしない」

 

優子「じゃあ、続行ね」

 

優子も強気に出る。

 

雄二「それは……」

 

貴浩「Fクラスは、Aクラスに和平交渉を申し込む」

 

雄二「おい、貴浩!」

 

言葉を遮られた雄二が俺をにらむ。しかし、俺はそれを無視して続ける。

 

貴浩「この提案は、双方にとって意味があると思うんだけどな」

 

優子「はあ?そんなものないわよ。こっちが譲歩する必要なんて……」

 

貴浩「本当にそれで良いのか?よく考えた方が良いと思うんだけどな?」

 

俺の言葉にいらつく優子。

 

霧島「・・・・・・少しいい?」

 

そこで霧島が尋ねてきた。

 

霧島「……なぜ、和平交渉を?」

 

貴浩「この状況での戦争続行は、お互いにデメリットしかないからな」

 

優子「デメリット?私達に何のデメリットがあるというの?」

 

貴浩「現状で戦争を続行した場合、正直どちらが勝ってもおかしくないだろう」

 

その内容に優子が噛みついた。

 

優子「何言ってるの?私達Aクラスが勝つに決まってるでしょ?」

 

なにをバカなと鼻で笑う。

優子の言葉に他のAクラスの生徒も同意する。

 

貴浩「よく分かっていないようだから詳しく説明するぞ」

 

しかし俺は動じることもなく続けた。これに優子は腹を立てる。

 

優子「なっ?!貴浩君私をバカにしるの!?」

 

霧島「・・・・・・優子落ち着いて」

 

霧島に注意され優子は黙った。

 

貴浩「高橋先生。確認したい事があるんですがよろしいですか?」

 

俺は高橋先生の方に振り向き質問する。

 

高橋「はい、何でしょうか?」

 

貴浩「先ほど私達は7試合したと思うんですが、

   その内の1戦で土屋康太が棄権しましたが

   それは敗北して0点扱いになったという事でしょうか?

   それでもしこのままAクラスと戦争を続けるとなると補習室送りになるんですか?」

 

高橋「……いえ、あの場合は違いますね。

   あの時は色々ありましたし、戦う前に棄権の宣言がありましたので、

   土屋君が補習室に行く事は無いでしょう。

   補習室に行くのは原則召喚獣の点数が0点になった人が行くものなので」

 

貴浩「わかりました。高橋先生ありがとうございます。

   まず、木下優子、佐藤美穂、久保利光、不知火刀麻、木下命、吉井明久」

 

俺は先ほどの勝負に出場したAクラス、Fクラスの一部の人間の名前を挙げた。

 

優子「・・・・・・私達が何?」

 

落ち着いた声で優子が聞いた。

俺は、特に感慨もなく答える。

 

貴浩「今挙げた6人は戦死者だ。つまり、戦争が終わるまで補習室行きだな」

 

優子「あっ…」

 

優子は声が出ない。

 

貴浩「加えて、八神なのは腕輪を使って一部点数を消費している」

 

優子「楓だって・・・」

 

優子は突破口を開こうと口を開ける。

 

貴浩「確かに楓は優子との勝負で点数を減らしているが、

   楓は回復試験を受ければ点数を回復できる」

 

優子「それなら八神さんだって同じことじゃない」

 

貴浩「確かにそうだが…先ほど本人が言ってたが今日転入した来たから

   基本的なことしか戦争についてわかっていない」

 

言われて、何かに気づいたように口を開く優子。

 

貴浩「なのはは腕輪を使うこともできるが初歩的な動きしかまだできない。

   それに引き換え楓は今までDクラス、Bクラスとの戦争で

   操作技術が普通の奴より上がっている状態だ。   

   そして俺たちFクラスは姫路は一瞬で決着をつけたし、

   ムッツリーニは先ほど高橋先生が言ったように戦死扱いじゃないから無傷。

   俺だって数学は少し減ったが他の教科は減っていない。

   つまりFクラスの腕輪持ちが4人いる状態だ。

   さてAクラスには代表である霧島となのは以外に何人腕輪持ちがいるかな?」

 

優子が何か言おうと口を開けるが

 

優子「ぐぅ……」

 

何も言えなくなる。

 

貴浩「そして、一番致命的なのはAクラス代表の霧島だ」

 

優子「代表が? なんで……」

 

いまいち掴めず聞き直すが、そこで優子が聞き返してきた

今の俺の発言の優子だけではなく他のAクラスの面々も首をかしげる。

 

貴浩「優子、霧島の日本史の点数は何点だ?」

 

優子「えっ?……さあ、暗記ものは得意だって聞いたから400点くらいは…」

 

軽く思案して答える優子。

 

霧島「・・・・・・優子」

 

優子「代表?」

 

ここで霧島さんが口を挟んだ。

 

霧島「・・・・・・今の私の日本史の点数はそんなにない」

 

優子「だ、代表?何を言って・・・」

 

優子は意味が分からないようで、首を傾げる。

見かねた俺がヒントを出す。

 

貴浩「優子、代表が受けた最新の日本史のテストはいつだ?」

 

優子「振り分け試験の時でしょ?」

 

貴浩「いや、さっき受けていただろう?」

 

優子「・・・あ」

 

優子の顔が青くなる。

 

霧島「・・・・・・今の私の日本史の点数は97点。

   総合科目も約300点ほど下がってる。たぶん今の姫路とあまり差はない」

 

霧島が淡々と述べる。

 

貴浩「加えてAクラス戦開始した時から今この場に砂原と椎名がいないよな?

   何か理由があって休んでいるんだろ」

 

優子は何かに気づいたように口を開く

 

貴浩「去年の段階で成績上位10人の内、Fクラスに楓と姫路が2名いるから、

   残り8人は当然Aクラスにいるわけだけだ。

   もしここで戦争を続行するのならその8人の内、

   優子を含め4人が補習室送りになるし砂原と椎名が欠席でいなくて、

   なのははまだ召喚獣の操作には慣れていない。

   代表の霧島は先ほど言ったけど点数が減っている。

   上位成績の中で無傷なのは工藤ただ1人だけだ」

 

俺がそう言うと優子は黙り込む。

優子だけではなくAクラス全員が黙り込んだ。

 

貴浩「わかったか?今なら俺たちにも他のクラスにも勝機がある」

 

優子「でも、私たちは駄目でもまだAクラスにはたくさんメンバーがいるわ。

   Fクラスには負けないわよ」

 

貴浩「そうだな…普通なら勝てないだろうね。

   でもなウチのクラスの奴らが相打ち覚悟で挑んだらどうなるかな?」

 

優子「……どういうことよ」

 

貴浩「俺達Fクラスの面々は相打ち覚悟でAクラスに勝負を挑む事ができる」

 

Fクラスの皆には相打ちできたら楓のクッキーをあげるみたいな事を言えば

喜んでやってくれるだろうしな。

 

貴浩「それに俺の数学やムッリーニの保健体育は

   Aクラス相手でもそう簡単には負けやしない。

   島田の数学だってAクラス相手だとかなわないだろうが点数は減らせることはできる。

   それに、無傷の姫路がいるからな。そして雄二が考える策がある。

   その策のおかげで俺たちは上位クラスの

   B・Dクラスに勝つことができたんだからな。

   だから、戦ったらこちらが勝つ可能性だって充分にあるんだよ」

 

明久「ねえ貴浩。勝てる可能性があるなら戦えばいいんじゃないの」

 

雄二「それは無理だ明久」

 

明久「なんで?」

 

貴浩「理由は簡単だ。もしAクラスに勝ったとしても、

   その直後に他のクラスから戦争を挑まれると、

   いくら腕腕輪持ちがいてもこちらも疲労があって負けるだろうからな。

   Eクラス相手でも負けるだろう。それはAクラスにとっても同じ事だ」

 

優子「私たちがEクラス相手に負けるわけが無いじゃない!」

 

貴浩「確かにAクラスならEクラス相手なら疲労してても勝てるかもしれないが…

   他のクラスには別だろう?」

 

優子「他のクラス?」

 

貴浩「そうだ。俺たちFクラスはB・Dクラスと戦って勝利したけど

   和平交渉にて終結という形になっているから、

   Aクラスに負けたCクラス以外のクラスが戦争を申し込む事ができる」

 

優子「だ、だけど」

 

工藤「優子!」

 

工藤の大きな声に圧倒され、優子は黙った。

 

工藤「そう言って、僕たちはFクラスにここまで追い込まれたんだよ?」

 

霧島「・・・・・・愛子の言う通り」

 

霧島と工藤がうなだれるそれを見た俺のの目が光る。

そして俺は先ほどムッツリーニから借りたスタンガンをこっそり左手で持つ。

 

貴浩「このまま和平交渉になればB・Dクラスは

   Fクラスが睨みをきかせることができるからおいおいと戦争はできないだろう。 

   ただまあ、こちらからケンカふっかけておいて、

   戦争止めましょうじゃお互い納得いかないよな?」

 

そこで今までの雰囲気を壊すかのように俺が話し出す。

 

貴浩「そこで俺から3つ程提案なんだが・・・」

 

俺はヘラヘラ笑いながらそんなことを言い出した


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