バカと俺達の召喚獣   作:ターダン8

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守備交代と肩慣らしと死亡報告

明久「えーっと・・・」

 

貴浩「すみませんタイムで」

 

そこで、俺は今更ながらもタイムを審判に申請し、正式に試合を中断した。

ここで一度作戦会議が必要だろう。

マウンド付近に出場メンバーが全員集合する。

 

明久「どうする雄二? 乱闘の目論見が崩されたよ」

 

雄二「・・・正直、この展開は予想外だが、問題ない。このまま試合続行だ」

 

貴浩「そうか・・・わかった。なら楓と命を交代させてくれ。2人には危険だからな」

 

楓「大丈夫ですよ兄さん」

 

貴浩「しかし───楓?」

 

俺が振り返った先に楓は立っていたのだが

 

楓「明久君、私とピッチャー交代してくれませんか?」

 

楓から黒いオーラが出ているのが見える。

 

明久「え、えっ? か、楓?」

 

明久も楓の状態に気づいたようだ。

 

楓「変わってくれますよね?」

 

明久「もちろんです!」

 

明久は敬礼して楓の申し出を了承する。

 

雄二「大丈夫なのか楓?」

 

楓「大丈夫だと思います。私も少々あの先輩方には怒っていますので・・・」

 

雄二「そ、そうか・・・まあ無理しないようにな」

 

楓「はい。では、兄さんキャッチャーお願いしますね」

 

貴浩「えっ? お、俺がですか? 正直点数が下がっているのでできれば変わって欲しいなと───」

 

楓「お願いしますね兄さん」

 

貴浩「・・・・・・はい」

 

楓にそう強く言われ俺は頷くしか選択肢がなかった。

 

雄二「・・・・・・なぁ明久。楓から凄い覇気を感じたんだが・・・」

 

明久「・・・うん、そうだね・・・楓って優しいし友達思いだから、

   貴浩や僕、雄二や皆が侮辱されてるのが黙っていられなくなったんだと思うよ」

 

雄二「それにしても・・・あの楓が・・・あそこまでなるなんてな・・・」

 

明久「うん、僕も数回しか見たことないけど楓って怒ると物凄く怖いんだよね」

 

雄二「ってことはアレだな。普段優しいやつに限って怒ると物凄く怖くなるってヤツだな」

 

明久「そうなるね」

 

そして、楓がピッチャーに明久がライトに守備を変更した。

 

楓「では、兄さん。よろしくお願いしますね」

 

貴浩「・・・来い。まあ無理はするなよ」

 

楓「では、ばっちり受け止めてくださいね」

 

1アウト、ランナー一塁で試合が再開される。

 

島村「へっ。何の小細工を考えたかしらねぇが、俺には通用しないってことを教えてやるよ。

   試獣召喚(サモン)ッ」

 

向こうの3番打者、オールバック先輩がバッターボックスで召喚を始める。

 

楓「では、私も、試獣召喚(サモン)ッ」

 

楓もマウンドに立って召喚獣を呼び出す。

投手と打者、それぞれの点数が遅れて表示される。

 

 

【現代国語】

 2-F       VS   3-A

 織村楓 497点       島村辰彦 292点

 

 

島村「げっ!? なんだ、あの点数は!?」

 

オールバック先輩が楓の点数を見て驚く。

さすが楓だ・・・一学期の期末試験で学年次席になっただけの点数がある。

 

島村「くそっ。高城と佐伯抜きでやるのはキツイかもしれねぇば・・・」

 

悔しそうに先輩が呟く。

高城? 佐伯? どこかで聞いたことがあるような名だが・・・覚えていないな。

 

楓「じゃあ、兄さん。よろしくお願いします」

 

そういって楓が投球モーションに入ろうとする。

・・・・・・って、ちょっと待て!

確か、楓の点数は【497点】俺の点数は【107点】だ。

楓が投げた球を俺の点数で捕球できるかっ!

上手く捕球できても点数が減るだろうし、

少しでも失敗すればあの点差だ、フィードバックがハンパでないはずがない。

 

貴浩「ちょっと待った、楓!」

 

楓「? どうかしましたか兄さん?」

 

早速投げようとする楓を慌てて止める。

 

貴浩「ほら、一塁にランナーがいるだろ?

   まずはソイツに盗塁されないように牽制球を投げてくれないか」

 

一塁にいるランナーは別にベースから離れていないが、

これは楓の肩慣らしと球の速度を見てみたいのがあったりする。

 

楓「牽制球ですね。確か一塁にボールを投げれば良いんですよね」

 

貴浩「そうそう。じゃあ一塁にいる須川にボールを投げてみてくれ」

 

楓「わかりました。それでは───」

 

楓の召喚獣が腕を振り上げ、投球の構えを取った。

 

楓「やぁ───っ!」

 

 

───キュボッ

 

 

貴浩「・・・・・・・・・は?」

 

 

【現代国語】

 2-F       VS   2-F        3-A

 織村楓 497点       須川亮 DEAD & 常村勇作 DEAD

 

 

立て続けに2件の死亡報告。

ドサリ、と重いものが倒れた音が重なった。

 


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