バカと俺達の召喚獣   作:ターダン8

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ボウズと変態と先輩

『───トライッ!バッターアウッ』

 

 

審判のコールが響き渡り、1番打者の近藤が帰ってくる。

 

須川「どうだった近藤?」

 

近藤「ダメだ。全く見当たらない」

 

須川「そうか・・・」

 

近藤「どこを探しても、この前のエロい浴衣姿の先輩が見つからない」

 

須川「そうか・・・本当に・・・残念だ・・・・・・」

 

続く須川もあっけなく三振に終わる。

 

ちなみに打順と守備位置はこんな感じだ。

 

 

1番 サード    近藤吉宗 

2番 ファースト  須川亮 

3番 ピッチャー  吉井明久

4番 ショート   坂本雄二

5番 キャッチャー 織村貴浩    

6番 センター   土屋康太(ムッツリーニ)

7番 セカンド   羽鳥光一

8番 ライト    織村楓  

9番 レフト    木下命

 

ベンチ 木下秀吉、姫路瑞希、島田美波

 

 

夏川「テメェで3つ目の三振だな、吉井明久」

 

バッターボックスに入る明久に坊主先輩がそう告げる。

 

 

【現代国語】

 2-F       VS   3-A

 吉井明久 118点       夏川俊平 244点

 

 

少しして点数が表示される。

少しは点数は上がったが点数差が大きいな。

 

明久「そう簡単には負けませんよ、変川先輩」

 

夏川「おい待て。今俺の名前と変態という単語を混ぜて斬新な苗字を作らなかったか」

 

明久「あ、すみません。変態先輩」

 

夏川「違う! 俺は変態に統一しろと言ってるんじゃねぇ!

   夏川に統一しろっていってるんだよ!」

 

明久「すみません。どうにも紛らわしくて」

 

夏川「紛らわしくねぇよ! “夏川”と“変態”だぞ!?

   共通点は文字数ぐらいしかねぇよ!」

 

明久「まぁまぁ、そう熱くならないで下さい夏川変態」

 

夏川「響きが似てるからって今度は“先輩”と“変態”間違えんなぁーっ!

   テメェ、吉井明久・・・! 絶対に殺す!」

 

坊主先輩の召喚獣が第一球を振りかぶって投げる。

 

『ストライッ!』

 

最初からど真ん中に直球、明久は手を出さず見送る。

 

夏川「へっ、手が出せないようだな」

 

キャッチャーから返球されたボールを受け取り、第二球目を投げる。

 

『ストライク!』

 

またしてもど真ん中直球。

 

夏川「なんだ。随分大人しいじゃねぇか」

 

明久「様子を見てるんですよ。次でぶっ飛ばすために」

 

夏川「様子見? ハッ! 正直に言えよ。本当は単純に手も足も出ないだけなんだろ?」

 

明久「・・・・・・」

 

明久はそんな挑発に乗らず次の球に備える。

 

夏川「けっ。ジーッとボールばかり見やがって。男気のねぇ連中だな。

   そんじゃ、コイツでトドメだ」

 

ピッチャーが第3球を振りかぶって投げてくる。

明久はその動きに合わせて、召喚獣にバットを全力で振らせた。

 

空中を滑るように明久の頭めがけて放たれるボールと、

それと交差するように敵の顔面めがけて放たれるこちらの金属バット。

互いに全力をこめた必殺の投擲は、緊張の一瞬を経て相手へと到達する。

 

「「───って危なぁーっ!!」」

 

向こうの投げたボールは明久の召喚獣のこめかみを、

明久が投げたバットは向こうの鼻先を掠めて飛んでいった。

 

「「おのれ卑怯なっ!!」」

 

『どっちもでしょうが』

 

あの野郎!二球続けてど真ん中に投げてきたと思ったら、明久の頭めがけて投げてきやがって!

咄嗟に明久が避けたから良かったが、大惨事になるところだっただろうが!

バカなのに余計バカになるだろうがっ!

 

『ストライク。バッターアウト』

 

今の明久の投擲行動がスイングと判断されて、三振となる。

これで3アウトなのでチェンジだ。

 

明久「ごめん。これで警戒させちゃったかもしれない」

 

雄二「気にするな。今の失敗はピッチングで取り戻せば良い」

 

康太「・・・・・・・・・皆でフォローするから心配ない」

 

光一「康太の言うとおりです。俺達もフォローするから心配いりません」

 

貴浩「そうだぞ明久。野球はチームプレイが大切だ。俺達をもっと頼れよ」

 

秀吉「一見普通の会話に聞こえるが中身は最悪じゃな・・・」

 

島田「コイツら、スポーツマンシップって言葉知らないのかしら・・・」

 

姫路「警戒とか、敬遠とか、野球って色々な専門用語があるんですね」

 

雄二「よしっ。じゃあいくぞ。野郎共、きっちり打ち取れ!」

 

「「「っしゃぁーっ!!」」」

 

雄二「貴浩、お前をキャッチャーにした理由は分かっているな?」

 

貴浩「もちろんだとも」

 

雄二「よしっ、それならいい」

 

雄二とそう言葉を交わすと俺達は守備位置についた。

 


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