バカと俺達の召喚獣   作:ターダン8

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クジ引きとパートナーと二人三脚

Eクラスとの試合が終わった後、中央グラウンドに向かう。

そこを見てみると、クラスの連中が妙な箱の前で騒いでるのが見えた。

 

 

『頼む・・・! なんとか最高のパートナーを・・・!』

 

『いいから早く引けよ。後がつかえているんだから』

 

『わかってるから急かすなよ!・・・よし。これだ───チクショーーー!!』

 

『『『っしゃぁああーっ! ざまぁ見やがれぇーっ!』』』

 

 

貴浩「なぁ、アレは何をしてるんだ?」

 

雄二「ん? あれはタダのくじ引きだが」

 

明久「うん、それは見たらわかるよ。そうじゃなくて、何のくじ引きなの?」

 

光一「あれは次の種目の2人3脚のくじ引きですよ。

   ペアを決める為のくじ引きをやっていつんです」

 

明久「ふ~ん、そうなんだ」

 

秀吉「なんじゃ。随分と落ち着いてるではないか?」

 

貴浩「だってこれ、どうせ男女別だろ?」

 

明久「なら、僕は誰と組んでも───」

 

雄二「男女混合だな」

 

貴浩「今決まっている男女ペアは誰だ!?」

 

明久「誰を血祭りにあげる貴浩?」

 

貴浩「決まってるだろ明久」

 

明久「そうだね。質問する必要はないよね」

 

雄二「落ち着けバカ共」

 

光一「今決まってるのは、秀吉と楓殿のペアぐらいで、残りは男子ペアしか決まっていません」

 

貴浩「楓のペアは秀吉か・・・なら、別にいいか・・・

   ただ、秀吉、スケベェなことしたら分かってるだろうな?」

 

秀吉「な、な、何をいっておるんじゃ!? 観衆がいる前でそんな事するわけなかろう!」

 

貴浩「・・・そうだよな」

 

明久「楓以外にはペアは決まっていないんだね」

 

康太「・・・・・・決まっていたらあんな大騒ぎしない」

 

明久「あ、そっか」

 

貴浩「だから祈りながらクジを引いているんだな」

 

明久「ってかよく、雄二とムッツリーニが許可できたよね」

 

雄二「俺達は反対したんだが周りの連中の勢いが凄すぎてな」

 

貴浩「・・・ドンマイ2人とも。何かあっても霧島となのはのフォローはしておいてやるよ」

 

康太「・・・・・・よろしく頼む」

 

雄二「まぁ、こんな競技より俺は野球のほうが重要だがな」

 

貴浩「それは確かにな」

 

明久「そういえば、次の対戦相手は決まったの?」

 

光一「まだ試合中で延長戦に入ってます。上手くいけば不戦勝になるかもしれませんね」

 

貴浩「じゃあ、一応試合があると仮定した上で作戦を考えておくか」

 

雄二たちと打順や守備位置を決めていく。そうやって話していくと

 

命「あの・・・明久君は何番でしたか?」

 

不意に後ろから命から声がかけられた。その後ろには姫路と島田の姿が見える。

 

明久「えっ? ああ、クジ引きのこと? まだ引いていないよ」

 

命「あっ、そうなんですか?」

 

貴浩「そういえば、まだ引いていなかったな」

 

明久「そうだね。なら引きにいかないとね」

 

姫路「あ、あのっ。明久君っ!」

 

島田「ちょっと待ってアキ!」

 

明久「なに? どうしたの?」

 

姫路「いえ、あの、その、なんというかですね・・・私は7番なんですけど・・・」

 

島田「う、ウチは6番なんだけど・・・」

 

「「絶対その番号を引かないで(下さい)っ!!」」

 

貴浩「嫌われてるな明久(笑)」

 

明久「そ、そうみたいだね・・・」

 

貴浩「命は何番だったんだ?」

 

命「私は3番です」

 

貴浩「だ、そうだ明久」

 

そこでクジ引きの箱を持った須川がやってくる。

 

須川「さあ吉井、織村。運命のクジを引くんだ」

 

先に明久がクジを引く

 

明久「えーっと・・・3ば」

 

須川「殺れ」

 

「「「イエス、ハイエロファント」」」

 

明久「バカな!? もう囲まれた!?」

 

貴浩「良かったな命」

 

命「うん」

 

明久「だが、全員かかってこいやっ!! 僕は死んでもこのクジを守ってみせるっ!」

 

「「「生きて帰れると思うなよっ!!」」」

 

そこで明久のクジをかけてのバトルが繰り広げられていた。

その間に俺はクジを引いておく。

 

貴浩「えっと、俺は9番だな。俺の相方は誰だ?」

 

楓「まだ9番は出ていなかったと思います」

 

貴浩「そうなのか?」

 

光一「俺もクジを引いておくか」

 

次に光一がクジを引くと6番と書かれていた。なので光一と島田のペアが決まった。

残るクジは7番と9番のクジで雄二とムッツリーニがまだ引いていなかった。

そしてムッツリーニがクジを引く。

 

康太「・・・・・・・・・9番」

 

雄二「さらばだっ!」

 

「逃がすなっ! 坂本を捕らえて血祭りにあげろ!」

 

「「「おおおーっ!」」」

 

この間、わずか1秒未満。ムッツリーニが俺のペアと決まった瞬間に、

残った雄二と姫路のペアが自動的に決定した。

そして、雄二を処刑しようとクラスに皆が雄二を追いかける。

 

翔子「・・・・・・浮気は許さない」

 

雄二の顔面に、いつの間にかに現れた霧島の細い指が食い込んでいく。

 

愛子「やっぱり代表、ここにいたんだね」

 

優子「いきなり姿が消えるからビックリしたわ」

 

貴浩「ん? 愛子に優子か、どうしたんだ?」

 

優子「いきなり代表が姿を消したから、ここじゃないかと思ってきたら」

 

貴浩「案の定ここにいた訳だな。さて、霧島いい加減雄二の頭から手を放してやれよ。

   雄二は浮気なんてしてないから安心しろ」

 

霧島「・・・・・・本当?」

 

貴浩「ああ、本当だ。今回は偶々クジ引きの結果で姫路とペアになっただけだ」

 

霧島「・・・・・・・・・わかった。織村に免じて許してあげる」

 

そこで霧島が雄二から手を放す。

 

霧島「・・・・・・ところで雄二。お義母さん、何か預かってない?」

 

雄二「ん? お袋から? ああ。あれなら」

 

霧島「・・・・・・あれなら?」

 

雄二「持ち物検査の日に、お前が持っていた袋の中に入れておいた」

 

霧島「・・・・・・袋って?」

 

雄二「催眠術の本とかが入っていたやつだ」

 

霧島「・・・・・・本当に?」

 

雄二「本当だ」

 

霧島「・・・・・・嘘じゃ、ない・・・・?」

 

雄二「嘘じゃない」

 

霧島「・・・・・・・・・」

 

雄二「どうした翔子。それがどうかしたのか?」

 

霧島「・・・・・・んて・・・・・・とを・・・」

 

雄二「だから、どうしたと───」

 

霧島「・・・・・・なんてことを、してくれたの・・・っ!」

 

雄二「ぎゃぁあああっ! 死ぬ程痛ぇええっ!」

 

再び雄二の頭に霧島の指が食い込んでいく。

 

霧島「・・・・・・あの袋、中身ごと全部没収されたのに」

 

雄二「ぐぎゃああーーぁぁ・・・・・・」

 

バキュッと乾いた音がしたかと思うと、雄二は力なくその場に横たわった。

 

霧島「・・・・・・雄二のバカ」

 

そんな雄二を捨て置いて、霧島は走り去ってしまった。

 

貴浩「どうしたんだ霧島は?」

 

愛子「代表、持ち物検査の時大事な物を没収されたみたいだから」

 

優子「結構大事にしていたものらしいわ」

 

貴浩「それを没収された訳か」

 

愛子「うん、そういうことだね。じゃあボクたちは代表を追いかけるとするよ」

 

愛子がそういうと優子とともに霧島を追いかけていった。

 

明久「だってさ雄二」

 

雄二「・・・預けた物、ねぇ・・・お袋に預けた、となると───まさか、婚姻届の同意書かっ!」

 

貴浩「お前も苦労しているな」

 

雄二「危なかった・・・そういうことなら、あの持ち物検査に感謝してもふぐぅっ!」

 

再びドサリとその場に倒れる雄二。

その後ろでは、クラスメイトの皆がスタンガンを持っていた

 

『連れて行け』

 

『『『ハッ』』』

 

ぐったりとした雄二が担ぎ上げられ、そのまま校舎裏へと連れて行かれた。

 

貴浩「・・・とりあえず、俺のパートナーはムッツリーニかよろしくなっ!」

 

康太「・・・・・・宜しく」

 

島田「ウチは羽鳥とペアよね。宜しく頼むわ」

 

光一「らしいな。まあ宜しく」

 

明久「僕は命とペアだね。宜しくね」

 

命「はいっ! こちらこそ宜しくね」

 

姫路「私は坂本君とペアですか・・・脚を引っ張っちゃわないか心配です」

 

貴浩「多分、その心配は必要ないだろうな」

 

結局の組み合わせは、【俺&ムッツリーニ】【明久&命】

【秀吉&楓】【死体&姫路】【光一&島田】ってことになるな。

 

貴浩「そうだな・・・なあ、光一、折角だし勝負しないか?」

 

光一「ん? 勝負ですか?」

 

貴浩「ああ、俺とムッツリーニと。確か一回で各クラス二組ずつの出場だっただろ」

 

光一「ああ、いいですよ。それで勝負するか」

 

明久「あっ、僕も勝負したいな」

 

貴浩「いや、明久は無理だろ。命のこと考えろよ」

 

明久「あっ、そうだよね」

 

楓と命は身体があまり強くないから競争とかは苦手だからな。

今回みたいな二人三脚でもきついだろう。

 

貴浩「よしっ、なら負けたやつは罰ゲームだな」

 

光一「罰ゲーム?」

 

貴浩「負けたほうは昼飯をおごるでどうだ?」

 

光一「いいと思います。それで勝負です」

 

『これより、第2学年の二人三脚を行います。2年生の生徒はスタート位置に集合してください』

 

丁度そこで響き渡る集合のアナウンス。

 

多くの参加者が並んでざわめくスタート地点。

約束どおり、俺とムッツリーニ、光一と島田のペアは同じ組に並ぶ。

 

『位置について!容易──』

 

合図とともに前のペアが走り出す。次は俺たちの番だ。

 

貴浩「やるぞムッツリーニ。やるからにはトップでゴールしようぜ」

 

康太「・・・・・・もちろんだ(コクン)」

 

光一「いくぞ島田」

 

島田「もちろん。・・・ここでアキに良い所みせるんだから(ボソッ)」

 

清水「わかりました。美春も頑張ります」

 

固唾を呑んでスタートを待つ。さて、いよいよ勝負だな。

 

『次の組。位置について!用意───』

 

パァンという乾いた音と同時に、俺とムッツリーニは動き出した。

徐々にペースを上げていき、トップスピードに乗る。

ペアがムッツリーニということもあり、何の問題もなく走り続けていく。

これが二人三脚であることを忘れてしまうほどの、何の差し障りも感じない疾走感。

誰も隣にいないと思わせてしまうほどの一体感。

完全に呼吸も合ったペアは、その存在すら忘れさせる。

だからなのだろうか

 

『あのチーム・・・。なんで三人四脚になってんだ・・・?』

 

島田が光一のほかに、清水とも脚を縛られていることに気づいていないのは。

 

島田『え!?あ、あれ!?美春!?ちょっとアンタ何してんのよ!』

 

清水『ああ、お姉様・・・・・・密着しても決して存在を感じさせない、

   その奥ゆかしいお胸がたまりません・・・』

 

島田『ドサクサに紛れてどこ触ってんのよ!さっさと離れなさい!

   この勝負で、ウチは良い所を見せないといけないんだから!』

 

清水『何を言ってるんですか!美春はお姉様の為を思ってこそ、

   こんな行動に出ているのです!』

 

島田『これのどこがウチの為よ!ウチのことを思うなら───

   ってちょっとぉぉぉっ!?今アンタ背中に手を回してホックが外さなかった!?』

 

清水『大丈夫です!お姉様なら固定しなくても何の邪魔にもなりませんから!』

 

島田『アンタ後で覚えておきなさいよ!』

 

清水『はいっ! この感触、絶対忘れませんっ!』

 

島田『そういうことを言ってんじゃないのよ!』

 

光一『ハァ・・・・・・くだらない・・・』

 

気がつけば俺達はトップでゴールしていた。勝負は一応俺たちの勝ちのようだが・・・・・・

 

貴浩「今回の勝負は無効だな」

 

光一「良いんですか?」

 

貴浩「清水の乱入がなければどうなっていたのか分からなかったしな」

 

康太「・・・・・・・・・(クタッ)」

 

隣では人知れず、ムッツリーニが鼻血を出して倒れていた。

 


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