~明久SIDE~
『プレイボール』
主審を務める寺井先生の声がグラウンドに響き渡り、ゲームが始まる。
「しゃーっす!試獣召喚(サモン)っ」
【古典】
Fクラス VS Eクラス
吉井明久 71点 園村俊哉 117点
ちなみにこの試合は
1回は古典、2回は数学、3回は化学、4回は英語、5回で保健体育になっている。
明久≪そんなど真ん中なんて、大丈夫?≫
雄二が1球目にミットが示した場所はど真ん中だった。
僕は疑問に思いいつものアイコンタクトで雄二に確認すると
雄二≪大丈夫だ。向こうもなれない召喚獣を使っての一球目だ。
様子を見てくるに決まっているからな≫
明久≪ふむふむ。なるほどね≫
そういうことならど真ん中という指示も頷ける。
いっそのこと力を抜いた緩い球を投げてみようかな。
どうせストライクがもらえるのなら力を温存しているほうが良いし。
明久≪じゃあいくよ雄二≫
雄二≪おう。来い明久≫
雄二の指示通りのコースの球を投げる。
キンッ
『ホームラーーン』
雄二「ちゃんと投げろボケがぁーー!」
明久「ちゃんと指示しろクズがぁーー!」
ボールは甲高い音をたて、青空へと消えていった。
貴浩「お前ら・・・いくらなんでも運動会系のメンツに
ど真ん中のスローボールなんてどうなんだよ・・・」
雄二≪てめぇ明久。次ミスったら脛バット喰らわしてやる≫
明久≪雄二こそ、次ミスったら脛バットを叩き込んでやる≫
サインを確認して、2番バッターへ第1球を投げる。
キンッ
「「バットをよこせぇっ!!」」
僕と雄二がベンチに向かって要求する。
須川「ええいこのバカ野郎どもが! もうお前らには任せておけねぇ!」
福村「そもそも吉井と坂本に任せた俺たちがバカだった!」
須川「こうなりゃ、ここから先は俺が投げる! ピッチャー交代だ吉井!」
福村「それならボールは俺が捕るっ! キャッチャー交代だ坂本!」
キンッ
【Eクラス 3 VS Fクラス 0】
~貴浩SIDE~
雄二「・・・・・・やべぇ。いきなり大ピンチだ・・・」
明久「いやピンチっていうか点数取られまくった後なんだけど・・・」
立て続けにホームランを打たれ3点も取られてしまい、
タイムを取ってマウンドで作戦会議。
貴浩「お前ら何やってんだよ・・・1回に3点ってバカだろ・・・」
「「・・・・・・面目ない」」
貴浩「ピッチャーは俺がする。キャッチャーは雄二、
センターは明久がしろ」
明久「貴浩がピッチャーするの? 雄二がキャッチャーで大丈夫なの?」
貴浩「大丈夫だ。古典なら正直そこまで点数高くないからな」
雄二「・・・わかった。とにかく一旦仕切りなおしだ」
方向を決めて、各自持ち場に戻る。
配置につき、バッターが構えるのを待つ。
次のバッターは4番だ。気を締めないとな。
西郷「おぉ、ピッチャーが織村とは・・・これはもう運命に違いない・・・」
Eクラスの4番は西郷だった。
雄二≪貴浩、4番は西郷だが落ち着いて投げろよ≫
貴浩≪大丈夫だ雄二。全力で投げるからな≫
俺は雄二とアイコンタクトをすませ第1球を投げる。
ゴスッ
『デットボール。一塁へ』
西郷「何故だっ織村!? 何故そんな仕打ちをするんだっ!?
だが、私はこんな事諦めないぞっ! 私とお前との愛はこんなものではないはずだっ!」
「落ち着け西郷! 折角勝ってるのにお前の行動でノーゲームにするのは勿体無い」
暴れる西郷をEクラスの男子が必死に宥めている。
今更ながら帽子を取り一応謝っておく。
貴浩≪・・・・・・さて、遊びは終わりだ。真面目にいくか≫
雄二≪ってことはさっきのは狙ってやったのか・・・≫
貴浩≪・・・・・・ソンナコトナイデスヨ≫
1度深呼吸をしてから、雄二の構えたミットにボールを投げる。
すると、相手は他のヤツらがホームランを打ったというプレッシャーもあり、
打ちにくい球に手を出していき、5番、6番、7番からアウトを奪い攻守交代する。
さて、次はこっちの番だ。