『召喚野球大会規則』
●各イニングでは必ず授業科目の中から1つを用いて勝負する事。
●各試合において、同種の科目を別イニングで再び用いる事は認めない。
●立会いは試合に参加しない教師が務めること。
また、試合中に立会いの教師が移動してはいけない。
●召喚フィールド(召喚野球仕様)の有効圏外へ打球が飛んだ場合、
フェアであればホームラン、その他の場合はファール。
●試合は5回までの攻防までとし、同点である場合は7回まで延長。
それでも勝負がつかない場合は引き分けとする。
●事前に出場メンバー表を提出する事。ここに記載されていない者の
試合への介入は一切認めない。尚、これはベンチ入りの人員および
立会いの教師も含む。
●人数構成は基本ポジション各1名とベンチ入り3名の計12名とする。
●進行においては体育祭本種目を優先とする。
競技の時間が重なりそうな場合は事前にメンバー登録の変更を行っておくこと。
●その他のルールは公認野球規則に準ずる。
交渉を終えFクラスに戻る途中
明久「雄二、さっきの話なんだけど」
雄二「召喚野球の話か?」
明久「うん、アレってさ、一見合理的な判断に見えたけど・・・・・・それって、
僕らに勝てる可能性があればって話だよね?」
確かに、雄二が交渉で勝ち取ったのは、『俺達が勝てば没収品を返してもらう』という賞品だ。
賞品、そう、つまり勝ったらもらえる物の賞品だ。
一見合理的な判断に見えるものの、実際はそうでない。
テストの点数を使った勝負で、
俺達Fクラスが教師チームに勝つことの出来る可能性は限りなく少ないだろう。
雄二「お前の言うとおりだ。結局あの話は勝てなきゃなんの意味を持たない。
それがわかっているからこそ、ババァも乗ってきたのだろうな」
明久「そうだよね。僕らの点数じゃよほどのことがなきゃ・・・」
雄二「ま、そりゃそうだ。普通のやり方じゃ勝てないだろうな」
教師と俺達の点数では天と地との差があるしな。
貴浩「で、雄二。今度はどんな作戦を考えたんだ?
雄二の事だ、絶対何か意図があるんだろ?」
雄二「貴浩の言うとおりだ。ルールを利用するつもりだが───まぁそれはやってからのお楽しみだな」
明久「けど雄二がそこまで頑張るなんて、没収されたのはMP3だけじゃなさそうだね。
他には何を?」
雄二「特級品の写真集を3冊ほど持って行かれた・・・・・・」
貴浩「3冊って・・・よくあの霧島相手に隠し持っていられたな・・・」
雄二「本棚の下や天井裏、完全防水して熱帯魚の水槽の底に沈めたりと、色々と苦労したからな。
お前らはどうしてるんだ?明久だってあの姉さんがいるから厳しいんじゃないのか?」
明久「僕は引き出しを2重底にして保管したり、あとは貴浩の部屋に置いてるよ」
雄二「貴浩の部屋だと?」
明久「うん、やっぱり僕の姉さんも鋭いところがあるから隠す場所に限りがあるからね。
その点、貴浩の部屋なら遊びに行くついでに取りにいけるしね」
雄二「だが、それだと楓や八神とかに見つからないのか?」
貴浩「ん~意外と大丈夫だな。楓もなのはも玲さんや霧島と違って常識は持ってるからな。
勝手に部屋を物色しないからな」
雄二「・・・それは、羨ましいかぎりだ」
明久「ってか雄二のそれは、見たい時に取り出せるレベルじゃないよね」
雄二「そこまでしなけりゃ守りきれねぇし、そこまでして守る価値のある逸品だったんだ」
貴浩「そうか、そこまでの物なら是非見てみたかったな」
翔子「・・・・・・私も」
いつの間にかに俺の隣にいた霧島と頷き合う。
一体どんな物なんだろうか、これは一刻も早く取り戻す必要があるな。
貴浩「・・・・・・・・・」
明久「・・・・・・・・・」
貴浩「じゃあ雄二、そういうことで。俺と明久は邪魔者みたいだから、霧島と2人で仲良く」
明久「うん、そうだね。邪魔するのはいけないよね」
雄二「待て貴浩、明久。この状況で俺を置いて逃げるな」
そこから逃げだそうする俺と明久の腕を雄二が強く掴む。
・・・・・・ここで雄二のとばっちりをくいたくないしな。
翔子「・・・・・・雄二を甘く見ていた。
今後は水槽や植木鉢、雄二が入浴中の浴室の中まで詳しく探す」
雄二「オイ待て。最後の1つは確実に目的が操作じゃないだろ」
翔子「・・・・・・私には、雄二の成長を確認する義務があるから」
ふ~ん、成長を確認する義務か・・・・・・いや、おかしいだろそれ・・・・・・ん?
待てよ。成長を確認ということは、
貴浩「なぁ霧島」
翔子「・・・・・・なに?」
貴浩「もしかして、霧島は雄二と風呂に入ったことがあるのか?」
翔子「・・・・・・中学に入るまで」
「「ィッシャアアーーーっ!!」」
雄二「っぶねぇーーっ!」
ちぃっ!避けやがったか!
俺と明久の渾身のストレートとハイキックを避けるとは、さすが悪鬼羅刹と呼ばれるだけあるな
雄二「落ち着け貴浩、明久。中学に入るまでと言っても高学年になった頃には全く」
翔子「・・・・・・私の胸が大きくなってからは、数回しか」
「「だらっしゃぁあああーーっ!!」」
雄二「ぅおおおおおっ!?今お前ら本気で殺す気だっただろ!?
ってか貴浩は妹の楓や従妹の八神と入ったことぐらいあるだろ!?」
貴浩「黙れ!!確かに入ったことはあるがそれは小学校低学年の頃だっ!
それに楓は家族でなのはも家族みたいなものだっ!
お前と一緒にするなっ!しかも高学年まで入っていただとっ!許さん!」
明久「黙れ邪教徒・・・。誰もが踏み入れぬ事の許されぬ、
遥か遠き聖域を汚す異端者め・・・。その罪、死をもって贖うべし」
須川「吉井の言うとおり!その罪、死をもって贖うべし。それが──」
『『『───我ら、異端審問会』』』
雄二「ちょ、ちょっと待て!?お前らいつの間に現れたんだ!?
さっきまで気配すらなかっただろ!?
風呂といっても別に何かあったわけでもぎゃっあああっ!」
「「・・・・・・あ~・・・・・・」」
翔子「・・・・・・あ・・・・・・雄二」
俺と明久はいきなり異端審問会が現れたことに驚いたまま、雄二が連れて行かれるのを見ていた。
ちなみに俺と明久は異端審問会を抜けている。
楓と命に何かあった場合は力を貸すが・・・
貴浩「ん?どうした霧島、雄二に何か用だったのか?」
翔子「・・・・・・さっき話してた『野球で勝てば没収品返却』って話を詳しく聞きたくて」
明久「あ~、そのことね」
貴浩「簡単に言えば、今度の体育祭で行われる教師・生徒交流召喚野球大会で優勝すれば、
没収されたものを取り返すことができるってことだ」
翔子「・・・・・・そういうこと・・・うん、わかった。ありがとう」
霧島はお礼と言うと早足で自分のクラスへと戻っていった。
霧島も何か没収されたのだろうか?