バカと俺達の召喚獣   作:ターダン8

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不具合と自信と真の力

雄二「待たせたな、先輩」

 

常村「遅かったじゃねぇか坂本。

   格下が目上の人間をあまり待たせるもんじゃねぇぞ」

 

雄二「あら、それは悪かったな。ちょっと用があったんだ。

   日々忙しいセンパイ方は時間が重要ってか?」

 

夏川「当たり前だろ。お前らみたいなバカどもとは違うんだよ。」

 

僕と雄二がチェックポイントに足を踏み入れると

常夏変態コンビは揃っていやらしい笑みを浮かべた。

自分たちが圧倒的に優位な立場にあるという余裕の表情だ。

 

夏川「ところで昨日、お前ら『個人的な勝負をする』って言ってたよな? 

   それって当然、何か賭けるんだろ?」

 

勝利を確信しているようで、坊主頭の…変態(なつかわ)先輩は挑発するように

雄二と僕を交互に睨みつけた。 

その後ろではソフトモヒカンの常村先輩もニヤニヤと笑っている。 

ここで僕らが賭けに乗ってくるとは思っていないようだ。 

多分、僕らが約束を反故にして逃げた、

と罵倒してやろうということを二人は考えているのだろう。

でも・・・・・・

 

明久「良いですよ。約束ですから。この勝負は罰ゲームありにしましょう」

 

僕は笑顔で答えることにした。

雄二も僕の返答に笑みを浮かべていた。

 

常夏「「くっ・・・!?」」

 

常夏コンビは少し後ずさってしまった。

おそらく予想外の返答で驚いているのだろう。

 

常村「そ、そうか。お前らがそう言うなら乗ってやろうじゃねぇか・・・!」

 

夏川「それで罰ゲームは何にするんだ?」

 

気を取り直して姿勢を整える常夏コンビ。

 

明久「『負けた方は勝った方の言うことを何でも聞く』って言うのはどうですか?」

 

常夏「「んだと・・・?」」

 

2人の顔色が変わる。僕の提案がよほど予想外だったのだろう。

 

夏川「てめぇ、何か企んでやがるな・・・?」

 

常村「よっぽど自信があるみてぇじゃねぇか。」

 

雄二「おや? センパイ方は自身がないようで?

   俺たちはあなた達が言う格下で、しかも底辺の人間なのになぁ?」

 

訝しく僕らを睨みつける常夏コンビに対して、

雄二が挑発するかのように心底バカにした態度で話しかける。 

 

明久「自信? ありますよ? 貴方達に勝つのは簡単ですから」

 

常村「分かった! お前らが何位を企んでいるのか知らねぇが、どうせ猿知恵だろうからな…!」

 

夏川「ぶちのめしてやる」

 

常村「よっぽど自信があるみたいだしな?」

 

雄二「さあ、どうでしょうね?」

 

夏川「さっき坂本がカメラを使ってクラスの連中に言っていた

   『日本史史の教師を呼んでおけ』ってのとなにか関係がありそうだな」

 

雄二はAクラスに入ってカメラを使って待機していた貴浩に

日本史の先生を呼ぶようにしてしていたのだ。

 

雄二「まぁ気にすんなよ、センパイ。

   最近召喚システムの調子が悪いみたいだからな。念の為ってやつだ」

 

常村「……まぁいいだろ。お前らが何企んでるか知らねえが、

   どうせ猿知恵だろうからな――試獣召喚(サモン)!」

 

夏川「ぶちのめしてやる。試獣召喚(サモン)!」

 

常夏コンビはいきり立って召喚獣を呼ぶが、

2人の召喚獣である牛頭と馬頭は一向に現れる様子は無かった。

 

夏川「ぁあ? なんだ? 出て来ねえぞ?」

 

常村「なんだこれ? どういうことだ?」

 

教師「おかしいですね。本当に不調でしょうか?」

 

突然起きた不可解な現象に教室内にいた物理の教師も首をかしげている。

 

雄二「いや、先生。気にしなくていいですよ。

   理由は分からないが、物理だけが不調になっているみたいですから。

   仕方が無いから、俺が“念のため”呼んでおいた

   日本史の先生に頼んで勝負って事にしましょう」

 

そう、この不可解な現象が起きた原因は雄二が持つ

フィールド精製型の白銀の腕輪の能力で【干渉】を起こしたからである。

点数差の開きが激しい物理より、差の少ない日本史で勝負しようというのが雄二の考えだった。

 

常村「な……! 坂本、てめえ……!」

 

雄二「んん?どうかしましたか、センパイ?

   日々忙しいセンパイ方には時間が無いんスよね?

   だったら他の先生が来るのを待たせるなんてそんなの申し訳ないじゃないですか?

   ほら、ちょうど日本史のルーティ先生も来たみたいですし」

 

常村が雄二に噛み付くが当の雄二は

その様子を見てもどこ吹く風といった様子で挑発的な口調を崩さない。

それを見て常夏コンビは顔を真っ赤にして怒り狂っていた。

 

夏川「上等だ! てめえらクズ共相手にはちょうどいいハンデだ! やってやんよ!」

 

常夏コンビが召喚獣を喚びだそうとすると、

雄二は僕から少し距離をとった。

 

常村「なんだ、坂本。逃げだす準備か?」

 

雄二「いや、そんなことしないさ。ただこいつの逆鱗に巻き込まれたくないんでね」

 

雄二はそういいながら僕を指差した。

 

夏川「そんなに俺達が怖いのかよ? 『キャー、僕ちゃんこわ~い』ってか?」

 

常夏「「ぎゃははははは!」」

 

ゲスの笑いが響く。笑い声すらも聞いていたくないな。

 

雄二「どうとでも言ってろ。はっきり言ってお前らに未来なんてないからな」

 

常村「な!?舐めんじゃねえぞ!!」

 

明久「じゃあいきますか…」

 

明久・雄二・常夏「「「「サモン!!」」」」

 

 

【 日本史 】

  2-F            3-A

  吉井明久 485点      常夏勇作 212点 

  坂本雄二 427点      夏川俊平 208点

 

 

常村「な!! 何だその点数!?」

 

夏川「か、カンニングだろ!?」

 

常夏は僕と雄二の点数を見て驚きの声をあげる

 

雄二「言っただろお前らに未来はねぇと……

   まあ俺もまさか明久の点数がここまで上がってるとは驚いているがな」

 

明久「僕だって驚いてるんだよ。

   だって4月まではFクラス最下位の点数だったのに

   ここまで成績が上がったんだよ。これも命や貴浩たちのおかげだよ」

 

常村「だ、だが俺達はお前らより1年多く召喚獣を操作してるんだ…」

 

明久「その考え甘いですよ? 今回は本気でいきますよ。

   ……『無限の剣製(アンリミテッドブレイドワークス)』」

 

僕がそういうと召喚フィールドが風景が一変した。

その風景は、燃えさかる炎と、無数の剣が大地に突き立つ一面の荒野が広がり、

空には回転する巨大な歯車が存在していた。

 

夏川「な、なんだよこれは!?」

 

その光景に常夏コンビだけでなく雄二やルーティ先生まで驚いていた。

 

明久「……これが僕の腕輪の力だよ」

 

雄二「……お前の腕輪だと?お前の力は『ソード』じゃなかったか?」

 

そう、僕は前に1度腕輪を発動させたことがある。

 

明久「ああ…あれは僕の腕輪の力の一部だよ。『ソード』」

 

僕がキーワードを述べると、召喚獣暴走時に発動した力がでてくる。

 

雄二「それはわかったが…この風景はなんだ?これもお前の腕輪の力なのか?」

 

雄二が再び質問してくる。

 

ルーティ「そうね。それは私も気になるところだわ。

     召喚フィールドの風景が変わってしまう腕輪なんて聞いたこと無いしね」

 

これにはルーティ先生も同じ意見のようだ。

 

明久「んー? これは僕も正直予想外なんだよね。

   多分これは僕が観察処分者だから腕輪にもフィードバックが作用したんだと思うよ。

   それで風景が変わったんじゃないかな。詳しいことは僕もわからないよ」

 

雄二「なんだ……まあそういうことなら納得できるか……とことん観察処分者は色々と凄いな」

 

明久「じゃあ簡単にこの力を説明してあげる。

   この腕輪は『無限の剣製(アンリミテッドブレイドワークス)』

   このフィールド内には、あらゆる「剣を形成する要素」が満たされていて、

   僕が目視した刀や剣を結界内に登録し複製したり、僕が想像した刀や剣も複製できるんだ。

   これらを荒野に突き立つ無数の剣の一振りとして貯蔵してるんだ。

   ただし、複製品の能力の強度とかは少し落ちちゃうけどね。

   それに剣や刀しか複製することはできないし」

 

雄二「……それでもチートすぎる能力だな」

 

常村「おいおい、それを俺達の前でしゃべるなんて余裕だな吉井」

 

明久「それはそうですよ。言ったでしょセンパイ。

   あなた達を倒すなんて余裕だって」

 

夏川「へっ! いつまでその減らず口が開けるかな」

 

明久「さて覚悟はできたかクズ野郎ども」

 


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