バカと俺達の召喚獣   作:ターダン8

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罠とクズ人間と2人の覚悟

僕と命、雄二と霧島さんのペアは現在Aクラス攻略のためチェックポイントを目指していた。

 

翔子「……雄二。怖かったら私に抱きついても良いから」

 

雄二「断る!……ってか普通に考えたら逆だろ…」

 

翔子「……私は怖い物が凄く苦手だからずっと雄二にくっついている」

 

雄二「……まあ本当に怖かったらそうしてくれ。だが翔子・・・お前別に怖くないだろ」

 

翔子「……凄く怖い」

 

雄二「……ハァ」

 

雄二と翔子が歩くすぐ後ろを僕と命が歩いていた。

 

命「・・・・・・(ビクッ)」

 

明久「命大丈夫?」

 

先ほどから命は僕の腕に抱きついたまま状態だった…

 

明久「ごめんね。僕に付き合ってもらって」

 

僕は1度立ち止まり命にそう声をかけた。

 

命「あ、良いんですよ明久君。それよりごめんね。歩きにくいよね」

 

明久「いや、大丈夫だよ命」

 

正直役得ってヤツだし

それに僕は命の彼氏なんだしコレくらいわけないよ

 

命「本当……ダメだね私」

 

明久「えっ?」

 

どうしたんだろ?

 

命「私…決めたのに…明久君を支えようって…」

 

明久「……」

 

命「いつも…私の心配してくれる明久君を…支えようと思ってたのに……

  頼られようと思ってるのに……」

 

明久「命…」

 

命「あっ……ごめんね。気にしないでね」

 

明久「…もう僕は命を頼ってるよ」

 

命「えっ?」

 

明久「いつも……僕は命に救われているよ」

 

命「でも…私は…何も……」

 

明久「命……僕は命がただそばに居てくれたりするだけで幸せなんだ。

   ただ、一緒に居てくれるだけでもいいんだ」

 

命「…明久君…ありがとう」

 

明久「こちらこそありがとうね。

   さてこんな所でいつまでも話してないで、先に進もうか」

 

命「そうだね」

 

そして僕と命は先を行く雄二と霧島さんに追いつくため足を進めた。

さて前を行く雄二たちはどうかな? 僕は視線を前にすると

 

翔子「・・・・・・雄二。怖いからくっついた方が良い」

 

雄二「大丈夫だ俺もお前もコレ如きでは怖がらない。

   それに俺はカメラで手が塞がっている」

 

翔子「・・・・・・じゃあ、これで大丈夫」

 

雄二「いや、カメラを持ってほしいって意味じゃなかったんだけだが・・・」

 

翔子「・・・・・・でも、くっついてないと怖い」

 

雄二「嘘をつけ。お前がこの手のもにビビらないことくらい百も承知だ。 

   オマケにさっきからずっと何もでてきていないしな」

 

翔子「・・・・・・待って、雄二」

 

雄二と霧島さんはいちゃついていた。

 

明久「雄二って何かと霧島さんに言ってるけど仲いいね」

 

命「そうですね。坂本君は文句言いながらも

  翔子ちゃんを無理やり離そうとはしてないしね」

 

でもおかしいな?

ここまで来て仕掛けがまったくと言っていいほどない。

今までのことを考えると怪しいよね。これも作戦かな?

そう考えていると、

 

命「!!」

 

明久「命!!」

 

急に照明が消え、辺りは真っ暗になった。

まさか照明が落ちるなんて・・・下手に動けないね……命は大丈夫かな?

こんな事なら手を繋いでおけば良かったよ。

 

すると照明がつき、目の前に居たのは…赤毛のゴリラこと──

 

明久「雄二?」

 

雄二だった。

 

雄二「なるほど。翔子対策か…」

 

明久「なるほどね…本人が怖がらないなら相方を…ってことだね」

 

そうだよね。雄二と霧島さんのペアならどんなことでも耐えられそうだしね。

僕も伊達にFクラスにいるわけじゃないからグロテスクなものでも大丈夫だけど

命は強いわけではないしね。

 

雄二「まあ、そんなわけで俺達は奴らの作戦にまんまと嵌まっちまったわけだ」

 

明久「けど雄二なら対策できたんじゃないの?」

 

雄二「正直言うとな……お化け屋敷で翔子と2人きりでいるとな……

   釘バットを持って追いかけられたのを思い出すんだ……」

 

明久「……それなら仕方が無いね」

 

確か如月グランドパークのお化け屋敷で

美波の案でお化け屋敷の時酷い目にあったんだよね。

(内容は知らないけど)で霧島さんに追い掛け回されたらしい。

 

雄二「それにしても…」

 

明久「どうかしたの?」

 

雄二「未だに命の悲鳴が聞こえてこないな」

 

明久「そうだね。こんな所でゆっくり話してる場合じゃなかった。

   急いで命のところに行かないと!」

 

雄二が言ったとおり命の悲鳴が聞こえてこない。聞こえてきてもおかしくないのに・・・

僕と雄二は先を急いでいくと

 

明久「いたっ!」

 

命と霧島さんが居た場所はAクラスのチェックポイントだった。

 

夏川「げっ! こいつら失格にならなかったじゃねえか!

   あいつ等何ミスしてんだよ。どうすんだよ、常村!?」

 

常村「どうするもこうするもないだろ…こうなったら勝負するしかないだろ。

   あのクズ共より余程しんどそうだけどな」

 

夏川「全く…吉井と坂本をボコる前にとんだ邪魔が入ったな。

   島村も織村をボコるの失敗してやがるし、

   こいつらもここまで連れてくるようにミスった奴はよぉ」

 

常村「まったくだ。やれやれ…この2人、掃き溜めに鶴ってやつか? 

   あんなカスどもとつるんでいるなんて勿体ないな」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

雄二「明久抑えろ」

 

明久「……わかってるよ。雄二だって抑えてよね」

 

雄二「……ああ」

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

夏川「そもそもあんなクズ共が学校にいるから俺達は…」

 

翔子「……雄二達はクズじゃない」

 

常村「あ?」

 

翔子「……雄二達はクズじゃない」

 

夏川「そうは言っても、事実は事実だろ? 

   すぐに問題を起こすし、教師には目ぇつけられてるし、

   部活で功績を残している訳でもないし、

   成績だってクラスの最底辺のFクラスだ。

   あれをクズって呼ばずになんて呼べってんだ?」

 

常村「まったく、本当にあいつらは学校の面汚しだ。

   どうせ清涼祭の時はカンニングでもしたんだろ?

   人に迷惑をかける事しか出来ないなら大人しくゴミ溜めで埋まって─」

 

命「・・・だ・・・さい・・・」

 

常夏「「あ?」」

 

命「黙ってください!」

 

夏川「んだテメエ…!なんか文句でもあんのか!?」

 

命「確かに…先輩方の言う通りFクラスの成績は良くないし、

  色々問題も起こしてしまったかもしれませんけど……

  明久君と坂本君は先輩方と違って優しいんです!

  それに……先輩方にそんなことを言える権利があるんですか?

  清涼祭でのクラス妨害をしていた先輩方が!」

 

常村「っせえな!お前こそアイツラがどんだけ頭が悪いのか知らねえんじゃねえのか!? 

   ちょっと成績や素行を調べればわかる事じゃねえか!

   中にはマシな奴がいるみてェだろうけど」

 

命「2人は間違いなく先輩方よりも頭がいいと思ってます!

  素行だってそこまで悪くありません!」

 

夏川「ど、どうせカンニングだろ!!」

 

命「明久君たちはそんなことはしません!」

  それにFクラスの試験監督は西村先生です。

  先生相手に先輩方はカンニングなんて出来るんですか?」

 

確かに監督教師は鉄人だったね。まああれでもウチの担任だしね

 

常村「うるせぇんだよ!あんなカス共の事情なんて知ったことかよ!」

 

命「はっきり言います!先輩達は最低の人間です!!」

 

夏川「なんだとっ!!」

 

常村「まあ待てよ夏川。こいつら今大声出したから失格だ」

 

夏川「ああ。そうだな。こいつはラッキーかもな」

 

常村「って事だ!さっさと失せろ!」

 

翔子「・・・・・・言われるまでもない。こんな人達に雄二と吉井の良さなんてわかる訳ない」

 

命「……そうですね」

 

命と霧島さんはAクラスの出口に向かった。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

明久「……雄二、僕達、優しいらしいよ?」

 

僕は壁にもたれながらそういうと、

 

雄二「初耳だな。俺もFクラスの奴らほどじゃないにしろ、

   自分も立派なクズだと思ってたんだが…」

 

明久「そうだよね。僕も…自分がダメ人間だって自覚はあったんだけど」

 

っていうかクラスメイトの殆どがダメ人間だ。

 

明久「まったく…あんなに頑張ったのに、僕達の為に台無しにしちゃうなんて…」

 

雄二「勿体ねえ…」

 

明久「そうだよね」

 

本当に勿体ない……あんなに一生懸命頑張っていたのに。

それに──

 

雄二「んじゃ、行くか明久」

 

明久「そうだね、雄二」

 

泣いていた

 

雄二「正直肝試しなんて遊びだ。本気でやる必要なんてない。けどな…」

 

明久「うん…」

 

明久・雄二「「ここから先は本気だ。クソ野郎ども!!」」

 

命を泣かせたんだ・・・

 

僕等はチェックポイントまで向かう。

覚悟しろよ・・・?愚図せんぱい達・・・


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