バカと俺達の召喚獣   作:ターダン8

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オカルト編
失敗と本質と妖怪召喚獣


【学園長室】

 

現在、学園長室には学園長はもちろんのこと

鉄人を含めた教師数人が今起きている出来事の頭を悩ませていた。

 

鉄人「……学園長。コレはなんですか?」

 

鉄人が代表として学園長に問うと、

 

学園長「そう非難がましい目をするんじゃないよ西村先生。

    ちょっとシステムの調整に失敗しただけじゃないか」

 

鉄人「……これのどこがちょっとですか?」

 

学園長「ちょっと見てくれが悪いだけさね」

 

鉄人「そうですか……」

 

リリス「これで少しですか……」

 

学園長「ああ、そうさね」

 

「「「「・・・・・・」」」」

 

学園長「…もうすぐ、夏、だねぇ…」

 

高橋「学園長、遠い目をしても無駄ですよ」

 

ルーティ「で、コレどうするですか?」

 

スタン「さすがにコレはマズイですよね」

 

学園長「わかってるよ。それじゃ、復旧作業進めるから森田先生手伝っておくれ」

 

森田「それは構わないけど。これが生徒に発覚したらどうするつもりよ?」

 

ジュディス「そうね。コレがばれたら少しマズイ事になりそうね」

 

学園長「どうもこうもないさね。問題は見てくれだけだからね。

    ガキ共が騒ごうが、特に気にする必要もない」

 

鉄人「ということは?」

 

学園長「なるようになる、ってだけさ」

 

森田「やれやれ・・・これだから、この学校は・・・」

 

 

 

 

        ☆

 

 

 

 

 

期末試験から数日経ったある日の事。

 

貴浩「そういえばさ召喚獣の装備は一度リセットされたんだろ?

   どう変わったのか見てみたいんだが」

 

雄二「そういうやそんな事言ってたな」

 

明久「じゃあ。一度、召喚獣を呼び出してみようよ。

   皆がどんな装備になっているのか気になるし。

   僕も自分の装備がどう変わったのかも気になるしね」

 

雄二「そうだな。戦力の把握は試召戦争に必要不可欠だ。 

   幸いにも廊下にレイブンがいることだし、召喚許可をもらって確認しようぜ」

 

貴浩「じゃあ早速……おーいレイブン!」

 

烏丸「ん? どうしたのかな? 俺ッちになんか用かな?」

 

俺が呼ぶとレイブンはすぐに来てくれた。

 

命「すいません。ちょっと先生にお願いがあるんですが」

 

烏丸「お願いだって?いいよ!聞いてあげるよ!」

 

命「少し召喚許可をもらいたいだけですから」

 

烏丸「あー……」

 

ん? どうしたんだろう・・・

 

烏丸「まぁ、君達なら問題ないだろうからね……いいよ、承認しちゃう」

 

歯切れが悪いというか・・・もしかしてまた問題があったのだろうか?

 

明久「それじゃ、サモン!」

 

明久率先して召喚獣を呼びだす。

 

そして……

 

「「「「え?」」」」」

 

現れた召喚獣に、全員が目を疑った。

いつもなら学ランに木刀と言った装備のデフォルメされた明久。

その筈なのに、白銀の甲冑に身を包んだ、一振りの大剣を携えた騎士が姿を現したのだ。

それもデフォルメではなく、殆ど召喚者と変わらない姿と大きさで。

 

雄二「おいおい……明久のくせに、妙に贅沢な装備じゃないか?

   それに随分とでかいな。試召戦争が本物の戦争みたいになりそうじゃないか」

 

秀吉「そうじゃな。これならば、本物の人間とさして変わらんからの」

 

貴浩「確かに明久は今回の試験で大分成績が上がったがここまでとはな」

 

雄二「だが所詮は明久だな。こんなブサイクじゃ、甲冑に着られてるもいい所だ」

 

雄二が明久の召喚獣の頭を軽く小突くと

 

明久「あ、痛っ!」

 

その叩かれた頭は首から離れ、ゆっくりと重力に従って地面に落下。

胴体から離れた首が転がり、何度も回転した後に動きを止めた。

 

命「きゃぁぁぁーっ!?」

 

明久「えぇぇっ!?な、何コレ!?

   僕の召喚獣がいきなりお茶の間にお見せ出来ない姿になってるんだけど!?」

 

雄二「ん? ああ、すまん。そんなに強く叩いたつもりはなかったんだが……

   待ってろ、今ホッチキス持ってくる」

 

貴浩「いやいや、そういう問題じゃないだろ。ん?」

 

ふと、召喚獣を見ると一向に消える様子を見せない。

戦闘不能になったら、すぐに消滅してしまう筈のそれは未だに顕在していた。

 

貴浩「明久、ちょっと召喚獣を動かしてみろ」

 

明久「え? あっ、戦闘不能って訳じゃないみたいだね」

 

光一「どうやら首は外れる物の、戦闘不能という訳ではみたいだな」

 

秀吉「ど、どういうことじゃ!?」

 

貴浩「……レイブン……どういうことだ?」

 

烏丸「……織村…まあ見ての通りだね」

 

光一「って事は学園長が何かミスしたってことですね」

 

なにやってんだあの妖怪長は……しかし……

 

楓「…これ多分ですけど試験召喚システムって確か、

  科学技術とオカルトと偶然で成り立ってますから、

  オカルト的な要素が色濃く出てるんじゃないでしょうか」

 

貴浩「……そうだろうな……」

 

明久「何やってるんだ…あの人は…」

 

命「でもどういう基準でこうなったんでしょうか?」

 

烏丸「学園長の話を聞く限りでは、どうも召喚者の特徴や本質から

   喚び出される妖怪が決定されるらしい」

 

明久「じゃあ僕の場合、騎士道精神が……」

 

貴浩「そんな訳がないな。首なし騎士(デュラハン)てことは、頭がない。

   つまりバカという方が妥当だな。

   いくら成績が上がってもお前の本質はそういうことって事だ」

 

試験召喚システムにまで“バカ”認定された明久は、どこか遠い目をしていた。

 

秀吉「では次はワシが召喚してみるのじゃ。サモン!!」

 

そう言って現れたのは・・・

 

『ポンッ!!』(猫又)

 

秀吉の召喚獣は猫又のようだ。

 

雄二「どうやら秀吉の特徴は『可愛い』ということらしいな。」

 

秀吉「つ、ついにわしは召喚システムにまでそんな扱いを・・・」

 

貴浩「ドンマイ」

 

楓「あまり落ち込まないでくださいヒデ君」

 

秀吉「楓よ…ありがとうなのじゃ」

 

須川「ならば、俺たちも!!」

 

近藤「俺達の本質はなんといってもジェントルマンだからな。 

   酷い召喚獣なんかが出てくるわけがない。」

 

FFF団は自信満々に言うと、

 

「「「「「サモン!!」」」」」

 

『ポンッ!』(ゾンビの山)

 

楓・命「「きゃあぁぁぁ!!」」

 

貴浩「なるほど『性根が腐ってる』だな」

 

姫路「では、私も・・・サモンッ!!」

 

姫路の召喚獣か・・・

 

『ポンッ』(サキュバス)

 

姫路「きゃぁああああっ!?」

 

姫路は召喚獣を隠すようにして立った。

 

光一「で、どういうチョイスなんだろな」

 

雄二「胸がでかいってことじゃないのか?」

 

姫路「うわああああん!」

 

光一の言葉に、雄二が何のためらいもなく言ってのけた。

 

楓「『大胆』じゃないでしょうか? 時々姫路さんってとんでもない事を天然でやるし」

 

姫路「うぅ…」

 

島田「ふふっ。瑞希ってば、可哀想に。 

   そんな大きな胸をしているからあんな格好の召喚獣が出てきちゃうのよ」

 

姫路「うぅ…あんまりです…」

 

雄二「じゃあ次は島田だな? 戦乙女や雪女みたいなのが出てきたりしてな」

 

貴浩「確かに島田は好戦的だからな。そう言った戦闘タイプのが出てきそうだな」

 

島田「じゃあ、サモン!!」

 

『・・・ゴゴゴゴゴ!』(ぬりかべ)

 

雄二「……さて、ムッツリーニはどうなんだ?」

 

明久「……そうだね、呼んでみてよ」

 

雄二と明久は何も見なかったようにムッツリーニのほうを振り向く。

 

康太「・・・・・・サモン」

 

ムッツリーニの近くに、血色の悪いマント姿の少年が現れた。

その姿から察するに、ヴァンパイア。

 

光一「成程、確かにいつも血を欲してるイメージがあるからな」

 

明久「若い女が好きという点も酷似してるよね」

 

島田「ねえアキ…」

 

明久「……何?」

 

島田「…この召喚獣、ウチに何を言いたいのかしら…」

 

貴浩「『胸がない』つまり『ペッタンコ=平たい』だろ?」

 

明久「貴浩!?」

 

楓「兄さん!?」

 

島田「(グサッ!!)・・・OTL」

 

あ、落ち込んだか。

 

楓「わ、私も出してみますね、サモン」

 

次は楓が召喚獣を召喚した。

 

『ポンッ』(ティターニア)

 

貴浩「…これは妖精か?」

 

康太「・・・・・・おそらくティターニアだと思う」

 

命「そのティターニアって何ですか?」

 

康太「・・・・・・確かシェイクスピアの戯曲

   【真夏の夜の夢】に登場する妖精の女王の事だったはず」

 

秀吉「おお、それは楓にお似合いの召喚獣じゃな」

 

貴浩「確かに…妖精ってのも同意できるな」

 

秀吉「うむ、貴浩の言うとおりじゃの」

 

命「じゃあ次は私がやってみますね。サモン」

 

『ポンッ』(ウンディーネ)

 

命「これは?」

 

貴浩「これはまさかウンディーネか?」

 

明久「僕もそう思ったよ」

 

楓「そのウンディーネっていうのはどういうものなんですか?」

 

レイブン「確かウンディーネは美しい女性の姿をした水の精霊で人間の男性との

     恋愛譚も多くて心優しい女性が死後変身するという一説があるらしいね」

 

秀吉「心優しいか命らしいではないか」

 

明久「うん、命にピッタリだと思うよ」

 

命「明久君ありがとう」

 

貴浩「俺もやってみるか、サモン!」

 

『ポンッ』(ウリエル)

 

焔の剣をもった天使が現れた。

 

貴浩「……天使?」

 

楓「天使みたいですね」

 

烏丸「これはもしかしてウリエルかもしれないね」

 

明久「それはどういう天使なんですか?」

 

烏丸「確か…7大天使の1人で、懺悔の天使として現われ、

   神を冒涜する者を永久の業火で焼き、不敬者を舌で吊り上げて火であぶり、

   地獄の罪人たちを散々苦しめるという説や

   ウリエルという名前は、「神の光」「神の炎」を意味してたと思うよ」

 

雄二「それを聞くと納得できるな」

 

明久「どういうこと?」

 

雄二「神を冒涜する者を永久の業火で焼き、不敬者を舌で吊り上げて火であぶり、

   地獄の罪人たちを散々苦しめるというというのは貴浩では神=楓に該当するんだ」

 

明久「あ~それなら納得だね。

   つまり楓を冒涜したりするヤツを苦しめるってことだもんね」

 

貴浩「いや~照れるな」

 

楓「いや照れないでくださいよ」

 

光一「じゃあ俺も…サモン」

 

『ポンッ』(死神)

 

明久「死神?」

 

光一「まあ妥当なところかな」

 

雄二「まあ光一は認めたヤツ(貴浩や明久、楓)に手を出すと残虐になるからな」

 

明久「で、雄二はどうなのかな?」

 

雄二「そうだな、サモン!」

 

雄二の呼び声に答え、現れる召喚獣。

鍛え上げられた肉体を露わにした、下にズボンをはいてるだけの姿。

そして・・・

 

貴浩「また手ぶらだな」

 

どうやら今回も、ゲンコツという攻撃方法らしい。

 

明久「で、一体何の妖怪なのこれは? ズボンだけっていう、

   今までより退化してる装備なのはともかくとして、これだと変態だね」

 

雄二「おい明久、ちょっとツラ貸せや」

 

貴浩「だが雄二コレ、何か言い返せるとこあるか?」

 

雄二「くっ……ねえな」

 

俺の発言を聞き自分の召喚獣をみて返す言葉が見つからなかった。

 

秀吉「まあまあ落ち着くのじゃ」

 

そこで、雄二の召喚獣がぶるぶると身ぶるいを始めた。

その口が大きく裂け、全身からすごい勢いで毛が生えてくる。

 

明久「なるほど狼男か。じゃあ雄二の特徴は野性だね」

 

命「でっでも、満月でもないのに変身って、おかしくないですか?」

 

貴浩「それはアレのせいじゃないか?」

 

雄二の召喚獣の目線を辿ると、そこには未だほったらかしの明久の召喚獣の首が転がっていた。

 

貴浩「やっぱり皆、何気にお似合いの召喚獣だな」

 

しかし・・・なんともまぁ・・・俺が天使となぁ

意外だったな・・・俺は死神とかそういう風な感じだと思ったんだが・・・

まあこれはこれでありか・・・・・

 

貴浩「さて、じゃあこの事を聞きに妖怪長のところに行くか」

 

明久「そうだね」

 

そして俺達は学園長室へと向かって行った。




貴浩→ウリエル
楓→ティターニア
命→ウンディーネ
明久→デュラハーン
雄二→狼男
秀吉→猫又
ムッツリーニ→ヴァンパイア
光一→死神
姫路→サキュバス
島田→ぬりかべ
Fクラスの面々→ゾンビ(腐っている)

という感じにしてみました。

オリキャラが多いと考えるのが大変でしたOTL

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