バカと俺達の召喚獣   作:ターダン8

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葉月ちゃんの寝言

2時間ほど勉強をした後に、ピザを食べてからまた勉強。

僕たちにしては特にトラブルもなく時間が進み……

 

雄二「ん? もうこんな時間か。そろそろ今日は終わりにするか」

 

気がつくと、時計は九時半を指していた。

 

秀吉「なんじゃあっという間じゃったな」

 

楓「たくさん勉強することができましたね」

 

姫路「すっかり暗くなってますね」

 

雄二の一言に皆がペンを置く。

今日は雄二、楓、姫路さんが教え役となって

勉強を教えることになって結構勉強は進んだ。

 

雄二「あとはまた今度にするとして、今日は帰るとするか」

 

姫路「そうですね。美波ちゃん、今日はありがとうございました」

 

島田「あ、ううん。こっちこそ色々とありがとう。

   ほら葉月、お礼を言いなさ……葉月?」

 

葉月「Zzzz……」

 

明久「あはは。疲れちゃったみたいだね」

 

葉月ちゃんはいつの間にか僕の膝の上で眠っていた。

 

島田「もう、葉月ってば……アキ、悪いけどこっちにきてもらえる?」

 

明久「あ、うん。そうしたいんだけど……」

 

楓「葉月ちゃん、明久君ののシャツを握り締めてますね」

 

島田「こら葉月、起きなさい。アキが帰れないでしょ?」

 

美波が葉月ちゃんの肩を叩く。

 

葉月「んぅ……」

 

しかし葉月ちゃんは少しだけ目を開けて、

 

葉月「帰っちゃ、嫌です……」

 

そう言って更にシャツを握り締めた。

 

島田「葉月。あんまり我儘言うとお姉ちゃん怒るからね」

 

そう言う美波の口調が少しだけ強くなっていた。

 

葉月「……お姉ちゃんには、わからないです……」

 

島田「え?何が?」

 

葉月「……お姉ちゃんは、いつも一緒にいられるからいいです……。

   でも、葉月はこういう時しか、バカなお兄ちゃんと一緒にいられないです……」

 

寝ぼけているからこそ聞けた葉月ちゃんの本音に皆は顔を見合わせていた

 

明久「美波。もし良かったら、僕はもう少しここで勉強していってもいいかな?」

 

島田「え?」

 

雄二「だな。今のチビッ子の台詞を聞いたら、明久は残るべきだよな」

 

秀吉「そうじゃな。明久よ、モテる男は辛いのう」

 

雄二たちは明久をからかうが明久は別に嫌そうでもなさそうだった。

 

島田「そ、それじゃあ、悪いけどもう少し葉月に付き合ってもらえる?」

 

明久「うん」

 

美波の許可が下りたので僕はもう少しここで勉強を続けていくことになった。

 

姫路「あ、あのっ、それなら私も……っ!」

 

明久「え? 姫路さんはダメだよ。女の子があまり遅い時間に出歩いちゃ危ないからね。

   雄二にでも送ってもらって早く帰らないと」

 

姫路「でも、心配なんです。その、イロイロと……」

 

明久「心配なのはわかるけど」

 

姫路「いいえっ。明久君は私が何を心配しているのか全然わかていませんっ」

 

明久「???」

 

秀吉「ならワシが楓を責任持って家に送り届けるのじゃ」

 

楓「ヒデ君お願いしますね」

 

雄二「なら姫路を送るのは俺だな」

 

姫路「あの、やっぱり私も……っ!」

 

それでも尚、食い下がる姫路さん。

 

明久「いくら言っても、ダメなものはだめだからね姫路さん」

 

姫路「でもでもっ」

 

明久「でもも何もないよ。最近は危ない人も多いんだからね?

   こういったことはきちんとしないと」

 

雄二「諦めろ姫路。こうなると明久は考えを曲げないぞ」

 

姫路「……うぅ……。そんなぁ……」

 

雄二「それじゃ、島田。今日はありがとうな」

 

秀吉「大勢で押しかけてすまんかったのう」

 

楓「ではまた明日。学校で」

 

姫路「美波ちゃん、ありがとうございました……」

 

いまだ納得のできてない様子の姫路さんを含めて皆が挨拶をして玄関に向かう。

 

明久「じゃ、また明日。皆」

 

僕はあの通りの状態なので、座ったまま秀吉や楓たちに挨拶をする。

 

島田「待って、外まで送るわ」

 

美波は立ち上がって俺たちについてくる。

 

こうして雄二たちは美波の家を出て行き、今日の勉強会はお開きとなった。

 

 

 

          ☆

 

 

 

明久「姫路さん、昨日は大丈夫だった?」

 

翌日の昼休み。俺達は皆で卓袱台をくっつけて弁当を食べていた。

明久も玲さんのおかげで弁当を用意している。

 

姫路「それが……凄く怒られてしまいました……」

 

姫路がしゅんと俯く。

聞いた話では島田の家で勉強会が終わった後ずっと駄々をこねて明久を待っていたらしい。

 

姫路「おかげで週末までの間学校以外は外出禁止にされてしまいました……」

 

雄二「自業自得だろ。全く、電話の一つぐらい出てやれば姫路の両親だって安心しただろうに」

 

姫路「そうですよね……。反省しています……」

 

秀吉「なんじゃ。明久はともかく、雄二と姫路はあの後すぐに家に帰ったのではないのか?」

 

明久「僕が帰るときになってもまだ2人とも美波の家の近くにいたよね?」

 

雄二「ああ。帰るには帰ったんだが、姫路が色々と駄々をこねてくれてな」

 

姫路「す、すみません……」

 

肩身が狭そうに身を縮める姫路。

どうせあの後も明久と島田と2人きりで何をしてるのか気になって、

雄二に無理を言って戻ろうとしたんだろう。

 

貴浩「雄二もお疲れ様」

 

雄二「まあな」

 

明久「でも雄二も大変だよね」

 

雄二「ん? 俺の親は何も言わないから大丈夫だぞ?」

 

明久「いや、そうじゃなくてさ」

 

雄二「なんだよ」

 

明久「2日連続で女の子と夜遅くまで出かけている上に、

   昨日は途中までだけど姫路さんと夜道を2人きりでしょ?

   霧島さんは怒らないの?」

 

雄二の表情が『やってしまった』と言わんばかりに引き攣っていた。

 

雄二「ま、まぁ、大丈夫だろ。バレなければなんの問題も・・・」

 

翔子「……雄二。今の話、向こうで詳しく聞かせて」

 

いつの間にか雄二の後ろにいた霧島にすぐにばれてしまう。

 

雄二「まぁ待て翔子。お前は勘違いしている。

   お前の考えているようなことは何も起きていないぞ」

 

翔子「……うん。言い訳は向こうでゆっくりと聞かせてもらう」

 

雄二&霧島退場。

 

pipipipi!!

 

その直後明久の携帯のメール着信音が鳴り響いた。

明久は携帯電話を取り出してメールを開く。

その直後、涙を流して俺の方を振り向く。

 

明久「た、貴浩……これ……」

 

貴浩「なんだよどうした……メールぐらいで何泣いてんだよ?」

 

俺は明久の携帯のメールを読んでみる。

 

 

【Message From 坂本雄二】

 

     たすてけ

 

 

おそらく『助けて』と打とうとしたんだろう。

それだけわかった俺は特に何も思うことなく明久に携帯を返した。

 

秀吉「ふむ。こうなると放課後の勉強会は厳しそうじゃのな」

 

貴浩「なら今日は俺の家で勉強するか。

   参加するのは明久はもちろんだが秀吉と命たちはどうする?」

 

命「私は大丈夫ですよ」

 

秀吉「ワシもじゃな」

 

康太「・・・・・・・・・俺も大丈夫」

 

光一「俺は難しいです。週末まで家のことで忙しいんです。

   週末にならないと時間があけられません」

 

明久「まあ光一は家のことがあるもんね。仕方が無いよ」

 

島田「ごめんウチは今日は難しいのよ」

 

貴浩「なら後で優子と愛子にも連絡するとするか」

 

そんなとき、また霧島が今度は明久の後ろに近づいてた。

 

翔子「……吉井」

 

明久「ぅわっ!」

 

明久はそれに気付いてなかったようで驚きの声をあげる。

 

明久「き、霧島さんか。びっくりした……。どうかしたの?」

 

翔子「……勉強に困ってる?」

 

明久「あ、うん。そうなんだよ」

 

翔子「……勉強なら、私も協力する」

 

明久「え?協力って?」

 

翔子「……週末に、皆で私の家に泊まりに来るといい」

 

明久「いいの、霧島さんっ?」

 

翔子「(こくり)……吉井にはいつかお礼をしたいと思っていた」

 

秀吉「皆で、ということはワシらも良いのかの?」

 

翔子「……勿論」

 

光一「週末ってことなら俺も行けそうだな」

 

そしていつもの面子の参加が決定。

 

明久「雄二は参加できるのかな?」

 

恐らく大丈夫だろうが、この場にいないのでそれはわからない。

そんな明久の質問に、雄二の代わりに霧島が答えた。

 

翔子「……大丈夫」

 

明久「あ、そうなの?」

 

貴浩「霧島の誘いで俺達が参加するんだから雄二も参加するに決まってるよな?」

 

翔子「……その頃には、きっと退院している」

 

明久「そっか……それは良かった」

 

貴浩「退院ってなんだよ……?」

 

そして週末は霧島宅で勉強会をすることになった。

もちろん放課後は明久たちが俺の家に来て勉強会となった。

 

 


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