バカと俺達の召喚獣   作:ターダン8

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5/5 修正


雄二宅

翌日の放課後……今日は雄二の家で勉強会をすることになった。

期末テストの勉強で気合いが入ってるようで

いつものメンツが全員参加ということになった。

雄二の言った『幸い今日は御袋もいないことだしな』と言う一言が気になったが……

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「「「「「お邪魔します!」」」」」

 

明久「ねえ、雄二以外には誰もいないの?」

 

雄二「ああ。親父は仕事でお袋は高校の同級生と温泉旅行らしい。

   だから何も気兼ねせずにゆっくりとしていてくれ」

 

雄二がリビングのドアを開ける。

 

するとそこには――

 

ガチャッ

 

雄二母「…………………………(プチプチプチプチ……)」

 

一心不乱に商品などの梱包に使うプチプチを潰している女性がいた……

脇を見れば潰したプチプチが山のように積み上げてある……

いったいこの人は何をやっているんだ……?

いや、プチプチを潰してるのは見たらわかるけどさ……

 

雄二「…………」

 

――パタン

 

雄二が何も言わずにドアを閉める……

血の気の引いた顔は見ていて痛々しかった……

 

明久「ゆ、雄二……? さっきのプチプチを潰していた人って……」

 

雄二「……赤の他人だ」

 

島田「さ、坂本の母親なの……? なんだか随分すごい量を潰していたわね……」

 

光一「あれほどの量だ。費やした時間はおそらく1時間や2時間ではないだろうな」

 

康太「…………凄い集中力」

 

姫路「坂本君のお母さんはそう言うお仕事をされているんでしょうか?」

 

楓「姫路さんそんな仕事はありませんよ」

 

雄二「恐らく精神に疾患のある患者が何らかの手段でこの家に侵入したに違いない。

   なにせ、俺のお袋は温泉旅行に行ってるはずなんだからな」

 

貴浩「その言い訳は少し無理がないか?」

 

雄二「うるさい……!」

 

雄二母「あら、もうこんな時間。さっき雄二を送り出したばかりだと思ったのに……。

    続きはお昼を食べてからにしましょう」

 

バンッ!

 

雄二「おふくろっ! 何やってんだ!?」

 

雄二がついに耐えられなくなったようで、部屋に踏み込んだ。

 

雄二母「あら、雄二。お帰りなさい」

 

雄二「おかえりじゃねえっ! 何で家にいるんだ!?

   今日は泊まりで温泉旅行じゃなかったのかよ!?」

 

雄二母「それがね、お母さん日にち間違えちゃったみたいなの。

    7月と10月ってパッと見ると文字が似てるから困るわね」

 

雄二「どこが似てるんだ!? 数字の形どころか文字数すら違うじゃねえか!?」

 

雄二母「こら、雄二。またお母さんを天然ボケの女子大生扱いしてっ」

 

雄二「さらっと図々しいセリフを抜かすな!

   あんたの黄金期は10年以上前に終わっている!」

 

雄二母「あら、雄二のお友達かしら?」

 

雄二「話を聞けぇっ!」

 

もはや何も言うまい……雄二も大変なんだな……明久も雄二も家族のことで苦労してるんだな。

 

雪乃「皆さん、いらっしゃい。いつもうちの雄二がお世話になっております。

   私はこの子の母親の雪乃と申します」

 

凄く若く見えるな……一体年齢はいくつ位なんだろう……?他のみんなも驚いている……

 

雄二「み、皆、とりあえずお袋は見なかったことにして、俺の部屋に来てくれ」

 

明久「そ、それじゃあお邪魔します」

 

雪乃さんは『お茶を持っていきますね』と言う声がリビングから聞こえた。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

貴浩「そういや久しぶりに雄二の部屋に来たな」

 

秀吉「ワシもじゃな」

 

康太「…………同じく」

 

明久「そうだよね」

 

島田「え? アンタ達よく来てるんじゃないの?」

 

明久「大抵は僕か貴浩の家に集まってるからね」

 

主に集まるときは俺か明久の家に集まっている。

広さといい、場所といい手ごろだからその方が色々とやり易いからだ。

明久達だけ相手だったら気を使う必要がないからな。

 

光一「それはそうと雄二……やっぱりこれは少し無理がないか?」

 

雄二「そうだな……」

 

さすがに雄二の部屋に10人すし詰めで勉強は少しばかりキツイ物がある……

 

明久「居間じゃダメかな?」

 

雄二「ダメじゃないが、お袋がいるからな。勉強にならない可能性が高い」

 

貴浩「雄二にも霧島以外の弱点があったんだな」

 

Prrrrrr Prrrrrr♪

 

島田「あ、ウチの携帯ね。ちょっとゴメン」

 

島田が携帯を取り出して、耳にあてた。

 

島田「もしもし? あ、Mut――お母さん。

   どうしたの?……うん。……うん。……そう、わかったわ」

 

明久「美波、どうしたの?」

 

島田「うん……。母親が急な仕事が入って家にいられなくなっちゃったみたい」

 

明久「あ、そうなの? それじゃあ葉月ちゃんは今家に1人ってこと?」

 

島田「そうね。だから悪いけどウチは帰るわ勉強はまた今度ね」

 

雄二「待て、島田。それなら会場をお前の家に変更しないか?」

 

島田「え? ウチの家?」

 

秀吉「それは良いのう。島田の妹とは全員顔見知りじゃし、

   ちょうど雄二の部屋は手狭じゃったし」

 

姫路「葉月ちゃんとも会えますしね」

 

明久「美波さえよければ、どうかな?」

 

島田「じゃ、じゃあ、ウチの家にしましょうか……

   あっ!でもさすがにこの人数じゃ少しキツイかも……」

 

貴浩「それなら俺たちは帰るわ」

 

明久「えっ? なんで?」

 

貴浩「さすがにこんな大人数で行くわけにはいかないしな。

   それに昨日、なのはを家に1人にしたからな。

   今日は夕飯は一緒に食べないとな」

 

命「ごめんなさい、私もです。昨日優姉1人だったから……」

 

貴浩「だから明久たちは行って来いよ。

   葉月ちゃんも明久には会いたいだろうしな」

 

明久「うん、そうだね」

 

雄二「仕方ない。今回は別れて勉強するか」

 

話し合いの結果、

 

島田の家には、

明久 雄二 秀吉 楓 姫路の5人が

 

楓は姫路と島田の監視役として

 

俺の家に

康太 命 光一の3人がくることになり優子と愛子の2人が合流することに

 

本当は明久と命を一緒にしたかったが……優子がそれを許さないだろう。

ムッツリーニがウチにくるのはなのは目当てだ。

 

雄二「そこまでだ! そうと決まれば早速移動だ! 

   さあ、行こう! 今すぐ行こう! チビッ子一人じゃ寂しいだろうからな!」

 

雄二は凄い勢いで捲し立てる。そんなに慌てなくてもいいだろうに……

玄関に向かい靴を履いていると台所から雄二と雪乃さんの会話が聞こえてきた。

 

雄二『お袋、ちょっと出かけてくる。

   夕飯は昨日の残りがあるからそれを温めて食べてくれ』

 

雪乃『あら、もう行っちゃうの? お茶用意しているところだったのに』

 

雄二『悪い。ちょっと事情が変わったんだ。

   ……ところで、その麺つゆボトルは一体何に使うつもりなんだ?』

 

雪乃『麺つゆ? あらら……。てっきり、アイスコーヒーだとばかり』

 

雄二『お袋……。色や匂いで気付いてくれとは言わないから、

   せめてラベルで気付いてくれ』

 

雄二……お前の家も大変なんだな。

 

そして今回は二手に分かれての勉強会になった。

 


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