バカと俺達の召喚獣   作:ターダン8

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保健室へGO!!

『吉井。保健室に行ってきなさい』

 

この台詞を、午前中の4つの授業で7回も聞いた。

確かに明久が真面目にノートを取っていたらこの学園の教師は皆、正気を疑うだろう。

 

明久「まったく失礼だな……」

 

明久の不満そうな声が聞こえてくる。

悪いが俺も教師達の気持ちに大いに賛成だ。

そんなことを思いながら昼休みの用意をしていると島田がやってきた。

 

島田「アキ、何かあったの?朝から様子が変みたいだけど」

 

本気で心配そうに声をかけてくる。

島田も教師達と同じ心境なのだろう。

 

明久「別になんでもないよ。ちょっと真面目に勉強に取り組んでみようと思っただけで」

 

雄二「今……明久らしくない台詞が聞こえなかったか?」

 

島田「多分幻聴よ。そしてアキ。おでこ出しなさい。今熱を測るから」

 

明久「だからどうして皆似たようなリアクションを取るんだろう……?」

 

呆れている明久に、島田が手を伸ばしてくる。

 

明久「って、これはダメだっ!」

 

島田「きゃっ」

 

明久が突然飛び退いたせいで島田が小さく悲鳴をあげていた。

 

島田「こらっ! 何よそのリアクションは!

   人が折角心配して熱を測ってあげてようとしたのに!」

 

明久「ご、ごめん! 色々と事情があるんだ!」

 

島田「事情?何よそれ?」

 

まあ明久は命と付き合ってるんだからな。

他の女子にそんな事されたくないよな・・・・・・特に姫路と島田にはな・・・

 

島田は明久に疑わしげな視線を送る。

 

明久「う……。えっと……。そ、それより、まずはお昼にしようよ!

   昼休みなんて短いんだからさ!」

 

朝と同様他の話で無理矢理話題を逸らそうとする明久。

 

貴浩「まあそうだな。飯にでもしようぜ」

 

明久の提案で昼飯を食べることになる。

 

島田「え!? アキ、お弁当を持ってくるなんて、一体どうしたの!?」

 

雄二「今日は塩と水……お前の言うところにソルトウォーターじゃないのか?」

 

姫路「えぇっ!? 明久君がお弁当を!?」

 

明久「いや、そこまで驚かなくても……僕だって人間なんだがら、

   たまには栄養を取らないと死んじゃうし。

   それにいつも命にお願いしてばかりじゃ悪いしね」

 

命「私は全然構いませんけど……」

 

姫路「それはそうでしょうけど……でも、今日はいつもと違いませんか?」

 

島田「そうね。アキが食べるとしたら大抵は買ってきたお弁当なのに、

   今日は手作りみたいに見えるわね」

 

2人がじろじろと明久の弁当を見ている。

 

姫路「明久君。どうして今日は手作りのお弁当なんですか?」

 

姫路が首を傾げて訊いてくる。

 

島田「まさか、誰かに作ってもらったのかしら?」

 

島田の目が細くなっている。あれは攻撃態勢だ。

 

貴浩「もしかして、自分で作って来たのか?」

 

明久「うん。そうだけど……」

 

島田「嘘ね」

 

姫路「嘘ですね」

 

何故か全然信用しない2人。

 

島田「だって、アキに料理なんてできるわけがねいもの。

   正直に言いなさい。誰かに作ってもらったんでしょう?」

 

姫路「随分と上手なお弁当ですね……。

   明久君の周りでこんなに上手にお弁当を作れる人っていうと」

 

島田「坂本と土屋と織村ね」

 

明久が喋る間もなく2人は勝手に結論をつけていく。

ってか明久が料理できるのこいつら忘れてんのか?

 

明久「やれやれ……2人の想像に任せるよ」

 

明久も説明するのが面倒になったのか肩をすくめてそう言う。

 

島田「想像通りって……アキはもうそんなに汚れちゃってるの!?」

 

明久「え!? 待って! 美波は僕で一体何を想像したの!?

   あと、どうして姫路さんは一瞬で顔が真っ赤になっていの!?」

 

貴浩「こいつらの想像力はムッツリーニ並だな……」

 

明久もいちいち相手にするべきじゃない。

 

康太「・・・・・・・・・心外な」

 

島田「そう言えば、今朝も坂本に『今夜は帰りたくない』なんて

   メールを送ってたわよね」

 

姫路「そうですね。そうなると、やっぱり明久君と坂本君は……」

 

またおかしな想像を勝手に始める2人。

 

翔子「……やっぱり、雄二の浮気相手は吉井だった」

 

そこへいきなり霧島が登場。

 

明久「って霧島さん、いつの間に!?」

 

翔子「……ついさっき来たところ。優子と愛子もいる」

 

霧島の後ろには確かに優子と愛子もいた。

 

貴浩「お前らまでどうしたんだ?」

 

愛子「何って昼休みに遊びに来るといえば

   一緒にお昼ご飯食べに来たに決まってるよ」

 

貴浩「確かにそうだが、霧島はなんだかそれだけじゃない気がするんだが……」

 

優子「代表は坂本君にズボンを返しに来たというのもあるのよ」

 

優子はそうは言うが今の霧島から見え隠れする殺気は

明らかに弁当やズボンだけではない気がする。

 

楓「翔子ちゃん。雄二君に何か用事ですか?」

 

翔子「(こくり)……一緒にお昼を食べるのと

   貴浩に言われた通り雄二にズボンを返すつもりだった」

 

霧島が腕にかけているのは雄二の制服のズボン。

だが、やはり今の霧島にはズボンや弁当以外の目的を含んだ殺気が見て取れる。

 

雄二「ん? 翔子か? そうか。やっと制服を返す気になったんだな」

 

翔子「……浮気にはお仕置きが必要」

 

だが雄二は今非常な立場にあるのだった。

雄二はそんなことに気づくこともなく霧島の前に立ってしまった。

 

雄二「やれやれ。これでやっとまともな服装に……ん?

   なぜズボンを離さないんだ翔子?」

 

翔子「……雄二」

 

雄二「なんだ」

 

翔子「……私は雄二に酷いことをしたくない」

 

雄二「酷いことをしたくない? よくわからんが、それは良い心がけだな」

 

翔子「……だから、先に警告する」

 

雄二「何を?」

 

翔子「……おとなしく、私にトランクスを頂戴」

 

ダッ

 

雄二、猛ダッシュ

 

明久「あはは。雄二ってばバカだなぁ」

 

貴浩「おい、霧島落ち着けよ!」

 

俺は雄二を追いかける霧島を追いかけ、なんとか霧島を落ち着かせることができたが、

それだけで今日の昼休みが終わってしまった。

 


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