地球防衛軍の魔術師(マニアック)、失礼、優れた手腕を発揮する練達者(エキスパート)達は。
火星を新たな故郷と定めた青色人(ガミラス)、金星に拠る事となった緑色人(ガトランティス)の艦艇も修理してくれたが。
作業の片手間に銀色の魔鏡、空間磁力メッキ発生装置を取り付け防御力を飛躍的に強化。
小型の波動砲も超光速跳航(ワープ)機関を備える駆逐艦(デストロイヤー)、小型護衛艦尾標準装備となっている。
真田志郎に至っては空間磁力メッキ発生装置の超小型化、ハルマン切換え装置に匹敵する増幅装置の量産も完遂。
嬉々として修理改造に精を出す機械班《メカニック》により、全機に追加装備が行われた。
戦闘機イーター2、戦闘攻撃機デスバデーター、超高速迎撃機パラノイア等の小型機にまで。
光線反射式の
水星(アクエリアス)の地球人(テラナー)、火星(ガミラス)の|青色人(ブルー・マン)、金星(ガトランティス)の|緑色人(グリーン・マン)。
汎人類連合の艦隊は
非公認の愛称《ニック・ネーム》ではあるが銀河パトロール隊の前身に準え、三惑星連合軍《トリプル・ファイター》と宣伝された。
《精神と時の部屋》に類似する性質の、地空防衛艦隊が建造された次元界に於いて。
銀河パトロール隊の艦政本部に勤務する造艦設計家達も、多大な貢献を成し遂げた。
波動砲を発明した真田志郎と大いに共鳴し、意気投合した彼等は。
様々な決戦秘密兵器を考案し試作実験を重ね、実用的な兵器へと進化させる事となった。
空間磁力メッキ発生装置を小型化し、戦闘機や雷撃機にまで搭載可能とし得た先端技術。
数々の技術的成果は彼等の技術的助言や実際的意見等、真摯な協力の上で実現を見た。
甚だ不本意ではあるが、文句を付ける訳には行かぬ。
小型化された空間磁力メッキ発生装置をガミラス機へ追加装備、の事態も甘受せざるを得ない。
感情的反発に突き動かされ、無益に異を唱えている場合ではない。
個人的感情は、慎まねばならぬ。
星雲名級超弩級戦艦《アンドロメダ》型、星団名級宇宙空母《オリオン》型。
恒星級主力戦艦《シリウス》型、国名級巡洋艦《アトランティス》型。
都市名級パトロール艦《カルタゴ》型、動物名級護衛艦《ヴォルフ》型。
鳥類名級突撃駆逐艦《コンドル》型、F型、T型、S型の戦闘艇。
地球防衛艦隊の全艦艇も既に、小型《空間磁力メッキ》発生装置を追加装備している。
外見上は史実と同一であるが、防御力は格段に強化された。
銀河パトロール隊の艦政本部は、創造力《イマジネーション》に優れる。
多彩な発想と割り切り、思い切りの良さは後世の研究家からも高く評価されている。
攻撃力は皆無、防御スクリーンの塊と化した装甲巡洋艦《アーマード・クルーザー》。
火力に特化し機動力を軽視した鈍重の常識外れ、空飛ぶ鉄槌《モーラー》。
惑星規模の要塞に匹敵する重火力、攻撃力を備えた超大型砲艦《スーパー・ガンボート》。
更にマニアックな案も提示され、地球人技師達も乗り気になった。
頭の痛い事に、問題の次元界には。
汎用人型決戦兵器の開祖『マジンガーZ』創造者(クエイエイター)、兜十蔵博士を筆頭に。
数多の高名な天才科学者《マッド・サイエンティス》達が大集結を果たし、待ち構えていたのだ。
真田志郎技師長は彼等に感化され、超能力の域に達する機械親和能力を得た模様である。
銀河文明史上屈指の
我々には空間磁力メッキ発生装置、大小の波動砲で充分である。
過ぎたるは及ばざるが如し、の諺を遵守。
レンズマン達の精神干渉に拠り、空間破砕爆弾《スペース・スマッシャー》搭載案も辛うじて撤回された。
小型の瞬間物質移送装置12基を取り付け、衝撃波砲《ショック・カノン》の連続射撃性能を改善。
パルス・レーザー砲も遠距離偵察機や探査艇に増設され、襲撃機の総数を増している。
驚異の連係動作《コンビネーション》、艦隊規模の集団運動についても説明があった。
《精神と時の部屋》に似た性質の次元界では、数年に渡る時が経過。
真田志郎達の艦隊建造と並行して、乗組員達も飛躍的な技量向上に取り組んでいるが。
スターシャとサーシャの次元間遠隔感応能力、ミラとジェラの精神感応能力も彼等を支えていた。
疲れ果て精魂尽き果てた地球人《テラナー》、宇宙戦士《スペース・ファイター》達は。
睡眠中にも関わらず我々ガミラス宇宙軍の身を案じ、太陽系防衛戦の情況を知らんと欲した。
如何なる理由に拠るものか。
地球人達の想念と女性4人の精神感応能力、次元間遠隔感応能力が共鳴《リンク》した。
超次元に跨る千里眼《クレア・ボワイヤンス》、時空を超越する遠隔視が実現した。
《夢の回廊》が、開通したのだ。
未知の精神作用により、地球人宇宙戦士達の夢に。
太陽系防衛戦の映像が次元間の深遠を越え、精神の視野へと投影される事となった。
翌朝起床した地球人達は気力を奮い起こし、過酷な目標に再挑戦《リトライ》を繰り返した。
努力目標を達成すると、更に高次元の精妙無比なる編隊機動に挑戦。
一切の容赦は無く、無理難題と同義の完璧を要求する猛特訓の末に。
筆舌に尽くせぬ艱難辛苦に耐え、地球防衛艦隊は驚異的な集団運動実現能力を会得したのだ。
地球人達は自ら新たな集団戦術を考案し、実現体得すべく懸命の努力を重ねた。
銀河パトロール隊の誇る第1段階、及び第2段階レンズマン達による艦隊操作。
指揮専用宇宙艦、御偉方《ディレクトリクス》を投入して初めて成し得た集団戦術。
レンズマンにのみ可能な集団的精神融合、テレパシーに匹敵するレベルの意思疎通能力。
宇宙塵回避高速飛行技術《クラッシャー・フォーメーション》、曲芸紛いの秘術も参考とされている。
数多の熟練操縦者達は惜しみなく、無数の超絶的な技術《テクニック》を伝授してくれた。
会得する為には、想像を絶する過酷な修練を要求されるが。
銀河パトロール隊の指揮専用艦、御偉方《ディレクトリクス》抜きで。
複雑精妙な艦隊運動を上演し得る、超人的な技量と練度を体得した。
互いの意思疎通能力を駆使する同時連係動作、瞬間的伝達運動《フラッシュ・パス》。
複雑精緻な多重反転《ダブル・クライフ》、幻惑動作《ミラージュ・フェイント》。
数々の妙技を織込み、万華鏡《カレイド・スコープ》の如くに千変万化する超高等宇宙飛行技術。
超高速の3次元立体集団交差運動を、完璧《パーフェクト》に実演する腕前を身に付けた。
種も、仕掛けも、何も無かった。
尽きせぬ反復訓練を繰り返す事で、体得するに至った基本動作。
互いを完璧に信頼する事無しには、実現し得ぬ正確な加速度と方向の一致。
血の滲む努力こそが齎した集団運動の秘訣、奇蹟《ミラクル》の要諦であったのだ。
次元回廊の彼方に赴いた地球人達は他にも、銀河パトロール隊からの贈り物を携えていた。
知覚力を用いて或る脳内細胞の潜在能力を活性化させ、治癒力を劇的に強化する夢の魔法。
ポセニア人医師フィリップスの偉大なる発明、惑星メドンで誕生した松果腺刺激手術。
伝説の男キムボール・キニスン負傷の際、四肢の再生と現役復帰を成し遂げた要因である。
沖田艦長の言葉を引用した訓示は幸い、ガミラス全軍に深く浸透していた。
ドメル将軍を筆頭に艦隊の乗組員達は被弾、爆発の際も最後の最後まで諦めなかった。
生還の希望を棄てず懸命に脱出の道を探り、負傷者も含め多数を脱出させている。
シュルツの統率する冥王星基地の戦友達もまた、反射衛星砲が破壊された後に奮闘。
知恵と機転を総動員して極力大勢の要員、不時着した損傷機の搭乗員達に帰還の道を講じた。
水星《テラ》各地の医療施設に収容され、重傷の為に戦列復帰は困難と診断された者も多い。
大半は身体の麻痺・欠損・機能低下が原因であり、息を引き取った者も皆無とは言わぬが。
運動神経の要諦である情報伝達細胞の再生手術、銀河文明の恩恵は多数の負傷者に道を拓いた。
マゼラン星雲の青色人戦士、白色彗星帝国の緑色人戦士達にも松果腺刺激手術は有効であった。
艦隊の乗組員、地上火力陣地の要員、小型機の搭乗員。
太陽系防衛戦の負傷者は、次々に手術を受け戦列に復帰。
艦艇と機体、魚雷と爆弾は
驚異の集団運動を自在に操る魔術師、達人達の援護射撃を実施する事となった。
小惑星帯まで戦線を押し返した我々、三惑星連合軍の優勢も長くは続かなかった。
無限艦隊は空間磁力メッキを無効化する新兵器、コントラ・フィールド放射装置を投入したのだ。
或る時空で無敵と畏怖された防御力場、パラトロン・バリアを打破し時間警察を崩壊させた切札。
真田技師長の偉大なる発明も衆寡敵せず、強風に吹き散らされる砂塵の如く超空間に吸い込まれた。
絶対的な防御を失った三惑星連合軍に対し、無限艦隊は数に物を言わせ猛烈な強襲を反復。
水星《テラ》近接宙域の絶対防衛線に再び、追い詰められた我々の前に。
思いがけぬ味方が、現れた。