白色彗星帝国軍は無数の敵艦を蹴散らし、木星《ゼウス》に進撃。
土星《クロノス》の衛星タイタン、氷の世界に遺棄された秘密基地も奪還するが。 大帝は戦略的に無意味な消耗戦を避け、威力偵察の終結を選択。
攻勢終末点の超過を許さず、木星《ゼウス》周辺宙域に敵艦を誘い込む。
浮遊大陸には遠隔操作の無人施設、誘導弾発射陣地を急造。
巨大惑星の側に敵艦を誘い、想定外の角度から援護射撃を浴びせている。
無数の敵艦が混乱状態に陥り、態勢を立て直す前に熟練の戦士達は撤退。
火炎直撃砲を戦闘衛星に仕込み、小惑星に配置の第二防衛線に誘った。
ガミラス軍の参戦を申し出たが、ズォーダー大帝は固辞。
多数の負傷者と艦艇の損傷を指摘、戦力回復前の逐次投入案は厳禁と暗示された。
白色彗星帝国軍は瞬間物質移送装置、設計図の提供を受け簡易量産化も推進。
火炎直撃砲に原理を適用、超小型化トランスフォーム砲の標準装備を完遂している。
ハルゼー提督の旗艦『メダルーサ』同様、大戦艦・ミサイル艦・駆逐艦も備砲を換装。
光線砲《レーザー》と熱線砲《ブラスター》の射線、火球は百発百中となった。
ミサイル艦の標準装備《オプション》、大小の誘導弾も無航跡で宇宙空間を疾走。
探知不能で避ける術は無く、遠距離攻撃を受けた敵艦は次々に姿を消している。
狙撃手の位置を暴露せず弾道、斜線の見えぬ秘密兵器には無限艦隊も苦戦。
緑色人戦士【グリーン・マン】達は遮蔽陣地に潜み、第二防衛線を維持し続けた。
大白色彗星帝国軍は総力を挙げ戦線の安定化、勢力の均衡を成し遂げたかに見えたが。
数日後に無限艦隊は想定を遙かに上回る厄介な敵、有能な宇宙戦士である事が判明した。
大した知性を持たぬと過小評価していた《敵》、タナトス生命体《エネミー》は対抗策を用意。
モルケックス装甲を無効化する唯一の物質、過酸化水素を添付した爆弾を投入して来たのだ。
過酸化水素を浴び変質した鉄壁の鎧は謎の特性、ドライブ効果により銀河系中枢部に超光速で飛翔。
ガトランティス艦隊は強靭な装甲を失い、被弾時の防御力が激減。
長期修理が必要と判断され、戦列を離脱する艦艇や機体が続出。
無限の物量を誇る敵艦隊に圧倒され、緑色人戦士達は徐々に後退を余儀無くされた。
白色彗星もまた集中砲撃を受け、一点に集中した点射により外周の防御回転渦流層を喪失。
帝国都市要塞の防御火力も多数の敵艦を撃破したが、砲撃を浴び続けた岩盤に亀裂が生じる。
伝説の宇宙要塞《オールド・マン》同様、無数の礫を撒き散らし閃光と共に崩壊。
時限式の散開式焼夷弾や榴散弾、散弾銃《ショットガン》の要領で無数の敵艦を撃破している。
大帝は要塞の深奥部に隠匿された第3段階の最終兵器、超巨大戦艦《ジャイアント》を投入。
大型の衛星である《月》を一撃で破壊、ヤマトを威圧した巨艦も縦横無尽の奮戦を繰り広げるが。
多大な戦果を挙げた代償に集中砲火を浴び、徐々に戦闘力が低下。
超巨大戦艦も数多の敵艦を道連れに爆発、宇宙の塵と化したが。
ズォーダー大帝以下、自爆前に全乗員は整然と脱出している。
太陽系防衛軍は再び最後の砦である第3惑星、水星《テラ》周辺宙域に追い詰められたが。
土壇場で超弩級宇宙戦艦アンドロメダ、ヤマトを筆頭とする地球防衛艦隊が参戦。
強力な増幅装置を備えた拡散波動砲から、タキオン粒子の奔流を侵攻軍に投射。
白色彗星帝国艦隊に後方退避が要請され、無限艦隊との激闘を開始する事となった。
地球防衛艦隊は疲労困憊した我等ガミラス宇宙軍、白色彗星帝国軍と交代。
記憶と異なる熟練の技を披露し、無限艦隊に反撃を浴びせる事となったが。
驚くべき事に地球人技術スタッフは、時間流の異なる次元界に於いて。
超弩級宇宙戦艦ヤマトの他に、想定外の戦力を準備していた。
増幅装置付きの拡散波動砲2門、大口径の衝撃波砲12門を装備する最新鋭艦アンドロメダ。
拡散波動砲2門を装備する主力戦艦、改造型の《航空戦艦》とも称するべき宇宙空母。
小型拡散波動砲を装備の巡洋艦、パトロール艦、護衛艦。
波動砲は無いが強力な宇宙魚雷を多数、搭載した駆逐艦。
戦闘爆撃機《コスモ・タイガー2》、中型雷撃艇。
空母機動部隊を含む地球防衛艦隊までをも竣工させ、戦線に投入して来たが。
天才・真田志郎が率いる技術班《メカニック》に、抜かりは無かった。
大白色彗星帝国軍との対決に敗れ去った戦訓を、確実に盛り込んでいた。
新造戦艦アンドロメダ以下の地球防衛艦隊は、史実と完全に別物。
完全自動制御で乗組員は黙って見ているだけの、想定外の事態に全く対処し得ない欠陥品ではなかった。
戦闘証明済《コンバット・ブローブン》の我々ガミラス軍、大白色彗星帝国軍に優るとも劣らぬ。
全く遜色の無い、いや、或る意味では我々を遥に凌ぐ。
高度な戦闘能力を装備する優秀な宇宙艦隊、達人《プロフェッショナル》へと変貌を遂げていた。
気息奄々たる状態に追い込まれた我々、ガミラス及びガトランティス軍と交代した宇宙の戦士。
地球人達は私の予想を遙かに上回る、巧みな連係動作≪コンビネーション≫を披露。
多数の宇宙戦闘機隊≪コスモ・タイガー≫が、宇宙空間を乱舞。
高速と機動性を生かし、無限艦隊の隊列を掻き乱す。
反撃に移る無限艦隊の包囲網から、命辛々脱出する態を装い。
一直線に味方艦隊へと進路を変更し、弱敵と侮った敵を罠へと誘導。
追いすがる無限艦隊の砲撃を、紙一重の差で避け続ける≪見切り≫。
主力戦艦群の射程距離内へと誘い入れ袋の鼠、一網打尽とする意図は明白である。
既に有効射程距離内に入った筈の、無限艦隊に対し。
地球防衛艦隊は何故か、頑なに沈黙を守り続けた。
勝ち誇る無限艦隊が、更に肉薄。
冥王星ハデス沖宇宙戦で見せた、地球艦隊の回避運動が再現される。
既に危険な程、敵を引き付けている筈だが。
沖田は、何を狙っているのか。
反撃が無いまま、至近距離≪クロス・レンジ≫へ殺到する無限艦隊。
一瞬の出来事だった。
巡洋艦、パトロール艦、護衛艦。
小型艦が一斉に艦首を煌かせ、拡散波動砲を発射。
駄目だ、戦闘機隊≪コスモ・タイガー≫が巻き込まれる!
波動砲の直撃を受け、全滅してしまうではないか!!
実戦慣れしておらぬ地球人達は、冷静さを欠いている。
小型艦艇に配属された新米の戦士達が、緊張に堪え切れなくなったか。
不気味な沈黙を守り続ける沖田に不信の念が募り、戦闘機隊を巻き添えにしてしまった。
私もドメルも大帝も、ガミラス並びガトランティスの戦士全員がそう思った。
一直線に地球艦隊へ向かっていた、戦闘機隊≪コスモ・タイガー≫の群れが。
不意に、四散。
海中の魚群よろしく、一斉に方向転換。
極限の間合いで擦り抜け、タキオン粒子の奔流を回避する。
石を投げても届きそうな距離に肉薄していた、無限艦隊の先鋒が。
拡散波動砲の眩い光条の中へ、頭から突っ込んだ。
強風に吹き散らされる、木の葉の如く。
翻弄され、霧の様に消失する無数の艦影。
完璧な罠≪トラップ≫。
全ては緻密に計算され尽くした、一部の隙も無い見事な作戦。
狡猾にして綿密に練り上げられた、絶妙な機動。
驚異的な練度を必要とする、艦隊と戦闘機隊の連係動作であった。
先鋒の壊滅により、接近し過ぎたと悟ったか。
敵の後続部隊が、慌てて反転に移る。
算を乱して逃走する無限艦隊に向け、地球軍の駆逐艦≪デストロイヤー≫が魚雷を発射。
青白い殺人者が、標的に迫る。
魚雷を回避する為、焦って強引に変針する無限艦隊。
至る所で衝突、接触する艦が続出。
撤退を援護する為、突進して来た後続部隊が立ち往生。
地球軍の駆逐艦≪デストロイヤー≫を攻撃、出来ぬ。
防御力に劣る巡洋艦、パトロール艦、護衛艦が後退。
駆逐艦も反転、離脱。
アンドロメダ、ヤマト以下。
主力戦艦群の大口径衝撃波砲≪ショック・カノン≫が、猛烈な砲撃を開始する。
冥王星ハデス沖宇宙戦に於ける地球艦隊の練度が、再び再現された。
高い命中精度を披露し、衝撃波砲が敵を捕捉。
無限艦隊の大型艦が次々に、炎に包まれる。
中小型艦も被弾、一撃で爆発。
不利と見て、一斉に反転する敵部隊。
全速力で射程距離外へ、一目散に離脱を試みる。
先刻の閃光を遥かに上回る、強烈な光輝。
地球軍戦艦に装備された大型拡散波動砲が火を噴いた。
増幅装置付きの大型波動砲は、小型波動砲と比べ物にならぬ長射程を誇る。
一斉に回頭し離脱を図るが、逃げる術は無い。
宇宙蛸クトゥルーが舞わせる偽足の如く、四方八方に拡がり飛散するタキオン粒子。
光の粒子流に飲み込まれ、消失≪ホワイト・アウト≫する無限艦隊。
激減した残存艦が恐慌状態≪パニック≫に陥り、必死で逃走を図る。
群集心理に煽られ、一団となって疾走する無限艦隊。
満を持して宇宙戦艦ヤマトの代名詞、波動砲が火を噴く。
他艦に装備の拡散波動砲と異なり、一直線に突き進む光の破砕流。
一方向に誘導されていた敵部隊を捕捉し、隙間無く貫通。
完全撃砕、ストライク。
残存艦が、全滅した。