助けて旧神様!(旧題クラインの壺ナウ)   作:VISP

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何かの間違いでしょ?(震え声


第四話 ようやく中盤

 多分1億回位だと思う

 

 遂に、遂に、遂に!魔道書の精霊化に成功した!!!

 長かった…実に、長かった。

 苦節数億回、一回が約20年程度とすれば、確実に20億年を超える!

 それだけの年月を転生しながら修行に明け暮れて、その果てに漸くこうして魔道書の精霊にまで至った。

 あぁ、感無量…。

 

 さて、感動は兎も角として、今の自分は確かに強力な魔道書であるが、原作に登場した精霊化した魔道書に比べれば、最下位と言っていいだろう。

 特に同系統であるルルイエ異本に比べ、肝心要のクトゥルーの記述が不足気味だ。

 その分、地属性の神格や名も無き下位の神格に関してはこちらの方が勝るが、流石に神話のタイトルに名を連ねる程の大御所の名を冠するだけあって、向こうの方が強いのだ。

 ただ、今の自分の内容は「ルルイエ異本(クトゥルー半分以下)+水神クタアト+ヨス写本+その他雑多な神格とその生態に関する知識」なので、かなり広範囲に手を出しており、どっちかってーと無名祭祀書に近いと思われる(まだ読んだ事無いけど。)

 しかも、未だに機神召喚の記述を入手していない。

 魔道書として精霊化までしたのに、未だに無理とかワロスwwwワロス……。

 なお、術者との契約に関してなのだが、どうも純度が高くなりすぎたらしく、大抵の魔術師は自分を見ると発狂して契約できていない。

 何度かウェスパシアヌスやカリグラの手元にあり、C計画の資料とされたが、機神召喚の部分が抜けているため、契約する事は無かった。

 

 実は、この頃からもう一つの種族に転生出来る様になった。

 とは言え、これを種族として分類しても良いのかは微妙な所なのだが…。

 その名も「月の子」の落とし子。

 つまり、ウェスパシアヌス主導の暴君ネロを創造するための計画、その被験者の生き残り。

 ライカ・クルセイドとリューガ・クルセイドの同類なのだ。

 ちなみに2人とは血縁関係ではなかった。

 世界各地から攫われるか買われるかで集められた自分達は、あの狂気的なまでに白い施設にてウェスパシアヌスの実験にモルモットとして参加させられた。

 とは言え、こちらは既に数十億年を経た魂を持っている。

 今更この程度の肉体的苦痛でどうこうなる訳もない。

 寧ろ、Cの巫女としての適性が断トツに高かった自分は、ルルイエ異本を用いたクトゥルーとの直接交神等の実験を行われてSAN値が削り切られて死ぬ事が多かった。

 C計画完遂及びマスターテリオンを超えるためとは言え、よくぞここまで弄くり倒せるものだと逆に感心してしまう程の内容、と言えば過酷さが伝わるだろうか。

しかし、被験者側とは言え「月の子」計画に参加できたため、今まで余り手を出してこなかった人体改造系の知識及び今まで手に入っていなかったクトゥルーに関する詳細な知識を得られたのは大きい。

 ちなみに最初の一回は肉体が耐え切れなかったため、ミ=ゴの脳味噌缶詰みたいな状態になってたのはちょっとトラウマである。

 大体十回位狂死したり、衰弱死したが、それ以降は性能こそ低いものの、仮面戦士の1人として新生した。

 ただし、人間の姿に戻れなかったり、変神形態が非人型という問題が続いたが。

 巨体や尾や角、翼なんかはまだマシで、腕が5本とか、下半身が獅子とかどないせいと。

 でも尾と武装の形状から、ギ○ギアの正義まんまな外見(ただし紺色)になっているので割と気に入っている。

 よし、今度から術衣もこれにしよう!(ファンタジーよりメカ派)

 なお、リューガが理性無くして大暴れしてる隙に反対方向から逃げ出すのが脱出時の鉄板である。

 敢えて残った場合はリューガと西博士と割と仲良かったりする。

 

 そして、お楽しみの変神形態であるが…カラーは紺色、全身が他の2人にはない重厚な装甲で覆われており、主な武器も異なる。

剣と砲のメタトロンと拳のサンダルフォンに対し、自分は全身に火器を装備するゼルエルと名付けられた。

なお、武器はメタトロンの様に魔力で編んだものではなく、基本的に完全固定式。

ドクターに新武装の製作を頼む事も多いが、大抵はすぐ壊れる。

 

 後、うっかり他の被験者を助けたり、生き残らせたりすると、ソイツがほぼ確実に橙色でケルヴィエルと名乗って、敵側にいるという謎の現象が起こる。

 …ナイアさんよ、もうちょい他にやり方無かったん?

 戦闘スタイルについては、オレのゼルエルがヘビーアームズばりの弾幕型に対し、ケルヴィムは同じく重装甲だが極めて高い加速力を生かして突っ込んでくる。

 ぶっちゃけ皆大好きアル○アイゼンスタイルである。

 ただ、中の人に関してはオレの方がクール(と言うよりも無感動)で、あっちがおちゃらけ天然系だが。

 

 なお、現在の転生比率は人間:月の子:魔道書が1:2:1程度で推移している。

 性別に関しては一対一、精神面ではほぼ両性と言って良い。

 人間の方は最近は高位魔道書を探してあちこち探索中だ。

 以前、場所の解っているルルイエ異本を取ろうとしたら、いきなり視界が闇に包まれて次回に移行していたので下手に手が出せないのだ。

 というか、邪魔する位ならちょっとは手を貸せよ!

 いい加減機神召喚したいんだよ!

 

 後から考えれば、これがいけなかったんだろーなーと思う。

 

……………………

 

 ゾルン、と何も無い筈の空間から、名伏し難き闇黒が湧き出てくる。

 それは明らかに物理的に有り得ない光景であり、その存在そのものが人類の理性に対する冒涜であり、否定すべき邪悪であった。

 周囲の空間全てを埋め尽くす程に広がった闇黒は徐々に一カ所に纏まっていき、やがて人の形を取っていく。

 それは女の形をしていた。

 白い肌、しなやかな肢体、豊満に膨らんだ胸、男女問わずあらゆる者を魅了する美貌。

 しかし、油断してはならない。

 これは単なる擬態であり、その本質は何者でもない混沌たる闇黒に他ならない。

 

 「呼ばれて飛び出て!あなたの隣に這い寄る混沌☆ナイアちゃんで~す☆」

 「先ずは歳を考えろ、な!」

 

 余りのギャグセリフに思わず突っ込んでしまった。

 つーか、そのセリフは別時空のお前のだろ、パクんな!

 

 「だってさー、迂闊に君クラスの存在が機神召喚とかして介入しちゃうと、九郎君の成長が遅くなる可能性もあるからさー。」

 「あぁ、舞台裏的な事情か…。」

 「まぁその程度問題無いんだけどね。」

 「無いのかよ!?」

 

 あぁもう何なのお前、何のために出てきたん?(困惑

 

 「まぁ用事があるのは本当さ。はい、ボクからのプレゼントだよ。」

 「…おい、これ何処から持ってきた。」

 

 渡されたのは古い書物の一部を適当に纏めたもの。

 しかし、これは魔術に連なる者にとってはその価値は天文学的なものとなるだろう。

 

 「ネクロノミコンの、機神召喚の記述!?」

 「その通り。とは言っても、6割程度しか回収できなかったけどね。」

 

 にんまりと、まるで不思議の国のチェシャ猫の様に嗤う混沌。

 

 「元はマスターテリオンが撃破したアイオーンの残骸から得たものでね。在庫も余り気味だったし、それなら君に託して有効活用してもらうさ。」

 「つまり、ここから自分で構築しろと。」

 「何の手探りも無い状態からよりはマシだろう?君の適性から言ってもイタクァは兎も角、クトゥグアは合わない。それにもう既に何度もアイオーンとの、デモンベインとの戦いを経ている。ある程度は推察もできるだけの知識もある。」

 「……色々複雑だが、取り敢えず礼は言っておく。」

 「ふふふ、是非とも面白可笑しい事になる事を期待しておくよ。」

 

 そう言うや否や、混沌の姿は一瞬で膨張、まるで風船がはち切れるかの様に瘴気を撒き散らして消えていった。

 

 『君もまた、既にこの無限の螺旋に組み込まれている。是非とも最後まで踊り切ってもらいたいね。』

 「言ってろ。だがな、彼らはお前の思惑を喰い破るぞ、邪神。」

 『はははハハははははハハははははハハははははハハははははハハは!!』

 

 宙に邪神の笑い声が響き、そして消えていく。

 後に残ったのは自分の手の中の死した魔道書の断片。

 それだけが、先程の出来事が白昼夢ではないと語っている。

 

 「さて、またぞろ長い時間が必要か…。」

 

……………………

 

 1億と少し回位

 

 遂に 念願の 機神召喚 を 習得した!

 でも見た目がなんかこう、ゴツイ。

 基礎フレーム自体はアイオーンのそれとほぼ共通なため、ちゃんとした人型なんだけど、装甲部分なんかがやたら分厚くずんぐりむっくりした形状になっている。

 アレか、自分が重装甲大火力主義の人だからか!でもオレ、対艦巨砲主義より量産機の方が好きだったりするぞ!

 取り敢えず、人間転生時にでっち上げた機神召喚だけで邪神眷属退治に逝ってきます!

 

 無理でした。

 基礎理論がガタガタで、3分持たずに自壊しました。

 こりゃ最初からやり直しだ…。

 

 

 

 2億回位

 

 機神召喚の難しい事難しい事。

 先ず魔力。人間のままだと獅子の心臓やマナウス神像でもないと無理な位、超絶燃費悪い。

 アイオーンがアルハザードのランプ積んでるのって、多分人間でも鬼械神操るための苦肉の策だったんだろうなぁ…。

 ごめんよ、術者殺しとかwwwワロスwwwとか思ってて…。

 でもまぁ、さんざっぱら人外転生どころか異種姦→妊娠出産のコンボを経験済みとしては今更拘る意味は無いね、うん。

 とは言え、先ずは現状のまま人間で何処までいけるか、色々と試してみよう。

 

 

 2億と5000万回位

 

 結論:やはり自分の力量で人間のままでは限界がある。

 ここ暫くは人間転生時は覇道財閥又は陰秘学科に所属して、対邪神眷属以上に対鬼械神戦闘を行い続けた。

 逆にブラックロッジの場合は対デモンベイン戦闘を行い、向こう側の錬度が上がるよう努めた。

 これが意外と経験値が高く重宝している。

 鬼械神という魔道書の最終奥義をぶつけ合う事は、即ち術者の死力を尽くし合う事に他ならない。

 そうした極限状態での経験が魂の成長に役立つと思われる。

 まぁ後先考えず自滅前提で戦うからこそ、とも思えるが。

 また、覇道側でブラックロッジ連中を相手にする場合、地属性のベルゼビュートと水属性のクラーケンに関しては純粋に技量勝ち出来る上に、防御の薄いロードビヤーキーとかは普通に勝てるようになった。

 ただ、未だに皇餓とサイクラノーシュ、レガシー・オブ・ゴールドには勝てない。

 皇餓は戦いの技量で、サイクラノーシュは4回殺し尽くす前に魔力切れ、レガシー・オブ・ゴールドには火力負けするから。

 とは言え、既に水辺であるなら負けはしない程度の差なのだが。

 

 魔道書の場合は大抵ブラックロッジ側に保管されている。

 やっぱりウェスパシアヌスの研究に重要な資料として扱われている様で、誰とも契約せず、偶に訪れるネロとの会話を除けば、基本的に機神召喚を始めとした術式や記述改訂の試行錯誤程度しかやる事が無い

 

 月の子の場合は基本的に1:1の割合で脱出:残留を決めている。

 覇道側、というかライカと合流した場合、姉妹扱いされる事になる。

 最近は大抵妹なのはこっちの身長が低いからだったりする。

 逆にブラックロッジ側だとリューガとセット扱いされ、結構な確率で懇ろな関係になったりする。

 そりゃまぁ若い年頃の男性が近くに手を出しても碌に抵抗しない美人がいたら盛るわな、うん。

 

 あ、そうそう!1億4000回頃に暴君と出会ったのだが…何か思ってたより弱かった。

 どうやらまだループ始めてから短い様で、恐らくこれから強くなっていくと思われる。

 ただ、邪神に関する愚痴の言い合いが出来る相手が出来たので、ブラックロッジ側に入ったら、基本的に彼女のいる独房の傍に構築した異相空間で過ごしている。

 暴君ネロ、又はエンネアは邪神の謀略に気付き、それを止めようと考え、行動している数少ない者の1人だ。

 だが、未だに弱い彼女だけではどうしようもない上に、どうやったら憎いアン畜生の策略をブチ壊せるのか頭を悩ませている。

 こっちは原作の流れを知る身としては特に大筋に手を出すつもりはないが、それでも彼女と共に愚痴って「邪神をブチ殺し隊」を結成する程度に仲良くなれた。

 

 と言う訳で、サクッと人間止める事にした。

 外見は普段は人間のままで、時と場合によって水属性の半漁人(ウス異本仕様)と地属性のハ虫類人(やっぱりウス異本仕様)になります。

 この影響か、鬼械神も水中戦の方が得意だったりする。

 外見はほぼクシャ○リヤで、ファ○ネルの代わりに先端にクローアームと魔力砲を内蔵した触手がシールド一つに25本格納、スターヴァンパイアの召喚等も合わせると実にラフ○シア的と言える。

 

 

 

 4億回位、かなぁ?

 

 今回、なんとマスターテリオンに挑戦した。

 結果は解り切ってるけど負けた。

 使用した鬼械神は重装甲・大火力をコンセプトに改良したアイオーン・リペア、魔道書は何時もの御手製の奴だ。いい加減名前位考えるべきか…。

 とは言え、ある程度は善戦できたと思う。

 戦闘自体は極短時間だったものの、あのリベルレギスを相手に大破寸前まで持ち込んだのだから。

 こっちはハイパーボリアで消滅させられたけどね!

 相手の胸部装甲毟ってコクピットに生身で突撃して一撃喰らわせてやった。

 とは言え、バルザイの偃月刀が肩口にちょっと食い込んだ所で自爆しただけなんだけどね!

 そもそも世界のバックアップを受けてる存在に身一つで勝とうというのが無理ゲ―過ぎる。

 

 まぁ、現状のままじゃこれ以上の成長は恐らく見込めないだろうし、ここいらでそろそろ完全に人間止める事を検討すべきだろう。

 それに、魔道書の本格的な執筆にも力を入れるべきだろう。

 

 

 

 4億と大体500回位

 

 ちょいと人間止めてたのだが、これはあんまり意味が無かった。

 というのも、人間以外にまで何度も転生していた自分にとって、その状態で得られる知識や使用可能な能力なんかはかなりの割合で網羅しているため、大して利益が無い。

 強いて言えば人間の生理限界や魔力量が向上する位だが、月の子に生まれてしまえばそれこそ問題らしい問題は無くなる。

 つまり、オレの成長はほぼ頭打ちと言える。

 まぁ無限螺旋をこのまま過ごしていくなか、魂の成長は続くのだろうが、これ以上の肉体はマスターテリオンの様な外なる神の直系にでもなるしかないだろう。

 そこで、別の手段として考えられたのが、魔道書の作成だ。

 暴君、白と黒の王。

 この無限螺旋で最上級の実力者達はどれも専用の魔道書と鬼械神を持っている。

 この無限螺旋を生き抜くためには魂を、魔力を、魔術を、心を支えるための外部装置として、魔道書は必要不可欠なのだと思われる。

 これは今までに何度も作成しているのでノウハウはあるし、自分自身で魔道書とは何者であるかを体験している身なので、資料は十二分に過ぎる。

 とは言え、自分で作ったものは記述の純度はまだしも魔力の問題で精霊化した事は無かったので、その点をクリアしさえすれば大丈夫だと思われる。

 

 後、最近遂に月の子の落とし子ではなく成功作、つまり暴君ネロの先行生産型に転生するにまで至った。

 ただ、そのせいで一々拘束されるので、あんまり好きではなかったりする。

 

……………………

 

もうマブダチ所か姉妹と言っても良い私達だけど、普段はちっとも出会う機会が少ない。

 そのため、寛ぐには必ず専用の場所=異相空間を用意しておく。

 

 「と言う訳でネロ、協力して。」

 「良いけどさー、ネロは何をすれば良いの?」

 

 六畳一間の畳部屋に炬燵とみかん、テレビにラジオと揃った部屋で、私は目の前で炬燵でぬくぬくして蕩けている猫娘、もとい暴君ネロに協力を要請していた。

 なお、この空間は夢幻心母の別位相空間内に構築したマイルームだ。

 嘗ての自宅を模した構造となっているが、色々対侵入者向けの術式を備えている。

 

 「無名祭祀書あるでしょ?あれ見せて。」

 「良いけどね、書き終わったらネロにも見せてねー。」

 「了解。何とか今回で書き終えるから待っててね。」

 

 自分はここまでさんざ転生して鍛えてきたのに、外なる神々の知識が一流所に比べるとどうしても今一つだという欠点がある。

 その点、無名祭祀書はその辺りはかなり詳しく網羅しているため、知識の穴埋めには最適な魔道書なのだ。

 

 「君達も大分こなれたねぇ。まぁその方が管理する側としては楽なんだけど。」

 「何時来た混沌出てけ混沌。」

 「加齢臭臭いんだよババァ。」

 「まぁまぁ、別に良いじゃないか。」

 

 何時の間にか炬燵に入っているダイナマイトボディのナイア■■■■■■■は、そのまま置いてあったみかんにまで手を出してくる。

 あ、何気に一番熟してる奴取りやがったこのアマ。

 

 「もー良いけどさ…。所で九郎を誘惑してなくていいの?」

 「それなんだけどねぇ…どうもこの恰好だとドキドキしてくれても最後の一線は越えてくれないのさ。だから今度から幼女体型を目指そうかと。」

 「芸風変えるなよな態々…。」

 「ネロとしては折角の数少ない巨乳枠を捨てるのはもったいないと思うけどなー。」

 

 ダルダルダル…。

 普段は即効で殺し合いかメンチ切りに移行するこの3人だが、今だけは炬燵の魔力に捕らわれているために平穏だ。

 

 「それにしても…。」

 「んあ?」

 

 ふと、混沌がこちらに流し眼を送ってくる。

 今の自分は何時もの美幼女リーアちゃんの姿だ。

 銀髪碧眼に白磁の肌、それに加えて明らかに将来を約束された容姿。

 魔道書の精霊化した姿は大抵これだが、「月の子」計画の産物として生まれた場合も大抵はこの容姿だった。

 恐らく、これが自分にとっての完成された姿という事なのだろうか?

 中身はそこらの神格も裸足で逃げ出す位の混沌ぶりなんだけどねぇ。

 

 「君も良い具合に育ったよねぇ。」

 「何故にしみじみと?まぁ強くなったとは思うけどさ。」

 

 ズズズズ…。

 少し温くなった緑茶を啜った後に、ラジオを付ける。

 ふむ、明日は果物のセールか、買い出しに行くべきかな。

 

 「まーた何考えてるのかな?」

 「ははは、何、暴君ばかり働かせるのも悪いかなって。彼女にもちゃんと役割を振ろうと思ってね。」

 

 む、○○マートで肉全品半額セール?

 これは買いだな、メモメモっと…。

 

 「…余り虐めちゃダメだよ?」

 「なーに、彼女にとっては何時もの事さ。大丈夫大丈夫。」

 

 そこ、聞こえてるからな?

 とんでもない事したら全力で抵抗するかんな?

 

 「ふむ、どうやら取り込み中であったか?」

 「イエス、マスター。しかし、もう終わる様です。」

 「何で来てんの大導師様。」

 

 マジでなんで来てんのこの2人?

 

 「マスター、どうぞ。」

 「うむ。」

 

 そして極自然に炬燵に入るマスターテリオンと、それに素早くお茶を入れるエセルドレーダ。

 違和感ばりばりだけど、その忠犬ぶりは全く違和感がありませんねエセルさん!

 

 「えーと、何故ここに?」

 「うむ、余に手傷を与えた貴公が、今回はこちら側だと知ったのでな。こうして会いに来たのだ。」

 

 誰だ教えた奴、先生怒らないから手を上げなさい。

 

 「「は~い。」」

 

 よし、そこに直りなさい愚妹&邪神。

 纏めてツァトゥグアの捧げものにしてあげるから。

 

 「ボクは別に良いけど、お腹壊すと思うよ。」

 「食当たりするわ!って突っ返されそうだよね。」

 「オーケー。つまり反省するって考えは無いんだね?よーし表に出ろ。」

 

 貴様らは私を怒らせたのだ!

 

 「面白そうだな。では余も参加させてもらうとしよう。」

 「すいません勘弁してください。」

 

 即効で土下座する。

 洒落にならねぇよ!

 

 「もうハイパーボリアは勘弁です。」

 「余としては大十次九郎を除けば、中々の娯楽であったのだがな。」

 「娯楽ならこのマリカーでもやっててください。」

 「こういった娯楽は初めてであるな…。よし、エセルドレーダ、そなたも参加せよ。」

 「イエス、マスター。」

 

 勧めておいてなんだが、シュール過ぎる…。

 なお、各種機器の製造はドクターに依頼しました。

 

 「さて、ボクはこの辺りでお暇するよ。」

 「さよーならー。タンスの角に小指ぶつけろ。」

 「さよならー。寝違えちゃえー。」

 「あははは、ボクにとっては余り意味が無いかな?」

 

 そして去っていく混沌。二度と来るな。

 

 「ふ、記録更新だな。」

 「おめでとうございます、マスター・」

 「「マジでッ!?」」

 

 真面目にやってたの!?

 

……………………

 

 早速魔道書作成に取り掛かる。

 先ずその1、異相空間のハウス内に更に厳重な結界を敷いた部屋を用意する。

その2は材料の確保。

 魔道書のページ及び表紙は自分の皮膚をなめして乾燥させたものを使用。

 生皮膚を剥がすな?この程度の苦痛は慣れたし、痛覚遮断も回復薬の作成も別に日常茶飯事なので問題無し。

 インクはイブン・カズィの粉薬に自分の血液、そしてツァトゥグアの神殿で取れた炭を使用。

 その3は記述内容の選定。

 持っている知識は全部ブッ込む事に決定。水と地属性の神格や邪悪な怪物達の他、無名祭祀書からの外なる神々についてとネクロノミコン:ラテン語版とアル=アジフの機神召喚を改造しまくった記述を採用。

 その4、ゆっくり執筆。

 幾ら慣れてる内容だとしても、ヤバいブツである事には代わりありません。

 一日につき数ページずつ執筆して様子を見ながら進めましょう。

 うっかり魔力とSAN値を削り切られるかもしれません。

 執筆完了まで、凡そ数カ月から数年かかります。

 なお、言語は以前から使用している古代語でいく。

 必要になれば機械言語もいけるが、それはまた別の機会としよう。

 その5、魂と魔力を込める。

 さぁ、執筆が完了した魔道書に魂と魔力を込めて精霊化を促しましょう!

 最終工程ですので、くれぐれも慎重に!

 …と思ったら、既に記述内容の影響か、周辺の魔力を吸いまくってる。

 では魂だが…これは自分の魂を分割して封入します。

 これで獅子の心臓の様な膨大な魔力源が無くとも、人為的な魔道書の精霊化を促せる上、ハリ○タの分霊箱の機能も有します。

 つまり、今後うっかりシャイニングトラペゾヘドロンを喰らおうとも、魔道書と自分、どちらかが無事なら滅ぶ事は無くなるのです。

 最低でもあのクソ邪神が負けた所を「ねぇどんな気持ちwwwねぇねぇあんな自信満々だったのに今どんな気持ちwww」をするまでは死ねないからね!

 

 自分自身の最も根源的なナニかが引き裂かれ、抜け落ち、目の前の書物へと吸い込まれていった。

 こうして、凡そ2年の歳月をかけて、文字通り自分の半身たる魔道書が完成した。

 人皮表紙どころか、全てが人皮製、なおかつインクも血液が混ざっている。

 これにより、自身との繋がりが極めて根強くなるだろう。

 それこそ、世界すら飛び越えて、自分の下へと馳せ参じる事もできる魔道書。

 その未だ名も無い魔道書が机から浮かび上がり、そのページが猛烈な勢いで捲くられ、強烈な魔力を発しながら光輝く。

 産声だ。世界に自分は生まれたのだと示すための産声。

 そして、魔道書の姿が変わった。

 銀髪碧眼、白磁の肌に幼いながらも美と妖艶さを併せ持った美貌の幼女が微笑みながら浮かんでいる。

 

 ………………………

 

 「初めましてお母様…と言うべきかな?」

 「別に適当で構わんだろ。何時も女って訳じゃないしね。」

 「成る程ね。んじゃ、名前でも考えようか。」

 

 瓜二つの容姿で、やや乱暴な言葉使いをしながら、2人はあーだこーだと言い続ける。

 

 「無名祭祀書?」

 「パクリだろそれ。」

 「七賢人?」

 「微妙。」

 「無名の神々?」

 「惜しい感じ。」

 「万神格瓦版(よろずしんかくかわらばん)。」

 「何故和風ッ!?」

 「泥神礼賛(でいしんらいさん)?」

 「愚神礼賛懐かしす。水と土で泥ね。んじゃこれにしよう。」

 「おっけおっけ。精霊としての名前は?」

 「リーアでよくね。被るか?」

 「被るね。」

 「アーリで。双子って事にすりゃ大抵通るでしょ。」

 「んじゃそれで決定。鬼械神は?」

 「普通にクシャトリヤでダメ?」

 「紺色だし、オリジナリティ出したい。」

 「オリジナリティwww。」

 「ミサイルパンチ!」

 「へぶぅ!?殴ったね、親父にもぶたれた事無いのに!」

 「で、何か案ある?」

 「紺色だしねぇ…ワダツミで良くない?」

 「採用。」

 

 こうして、今度は半身と合わせてまだまだ終わりに見えない旅が始まった。

 

 

 

 




 人体実験されり触手強制凌辱(クトゥルーとの交神)とかされた上でこの後、更なる凌辱が主人公を襲うッ!!(宣伝


 なお、活動報告でリクエスト募集。
 日記形式だけでなく、見たいと思った部分(R-18問わず)を御希望くだされば執筆します。
 なお、先着3名様とさせていただきます。
 クロス作品は完結後にしますので、そっちはノーカウントで。


 運営の要請により修正(2014 8・31)

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