原作を放って置くとバッドエンドになるんですが、どうしたら良いですか?   作:月の光

9 / 55
08_ミスト[いや~照れますね////]零冶「だから、俺の心を読むな」

 

 

零冶 サイド

 

 高町なのはが魔法少女になり、ジュエルシードを無事?封印したのを見届け、自宅に帰った俺はとある人に連絡を取ることにした。

 

「ミスト、士郎さんに連絡を取ってくれ」

 

[構いませんが、よろしいのですか?]

 

「ああ、今日のことを士郎さんに伝えておく」

 

[分かりました。少々お待ち下さい……マスター、士郎さんに連絡が付きました]

 

「繋いでくれ」

 

[了解]

 

「『はい、高町士郎です。ライ君かい?』」

 

「『はい、ライです。夜分遅くにすみません。今大丈夫でしょうか?』」

 

「『あまり時間は取れないかな……ちょっとこっちも色々あってね』」

 

「『なのはの事でしょうか?』」

 

「『!……何か知っているのかい?』」

 

「『はい、その件で連絡したので』」

 

「『分かった。話してくれるかな?』」

 

「『分かりました。実はなのはが魔法関係に首を突っ込みまして』」

 

「『!!それはどういうことかな?』」

 

俺は士郎さんに説明した。

今日なのはが何をやったのかを。

なのはに魔法の才能があること。

次元世界のこと。

管理局のこと。

ロストロギアのこと。

そして今回の事件のこと。

 

「『と言う事なんです』」

 

「『……にわかには信じられないな……』」

 

「『残念ながら、士郎さんが信じようと信じまいと事実は変わりません。

  そして、今回の事件で俺は表立って動くことはしません』」

 

「『……それは何故だい?』」

 

「『理由は先ほど話した管理局の存在のせいです。管理局は万年人手不足です。

  魔法の才能も持った人は貴重で高い魔力を持った人は更に稀です。

  にも関わらず、次元世界の管理をすると言っているのですから、いくら人が

  居ても足りません。故に才能ある人間を勧誘することが多いのです。

  俺は傭兵として生きていくために出来る限り、俺の情報を知られたくないんです。

  勝手と思うでしょうが……』」

 

「『……いやいいさ。私がライ君の生き方にとやかく言うことはできない。

  それに【表立って】動くことはしなくても裏で何かするんだろう?』」

 

「『流石は士郎さんです。察しが早くて助かります。この事件で異変に気付いた者達がいます。

  彼らに主体で動いて貰い、俺は問題が無いように見守る。彼らだけで対処できないときに

  影からフォローしようと思っています』」

 

「『なるほど……しかし今回の事件でその管理局とやらは関わって来るのかい?』」

 

「『ほぼ間違いなく。管理局の主な活動にロストロギアの回収・管理があります。

  今回の事件の発端となっているのがそのロストロギアです。それにフェレットも

  管理局に連絡を入れていると思います。何れ管理局は介入するでしょう』」

 

「『そうか……それで何故私にこのことを?何の目的もなくこんな重要なこと

  話す訳ないよね?』」

 

「『はい、なのははこの事件を家族や友人に隠したまま、関わるのではないかと思っています。

  あのフェレットは魔法のことを隠すように言うでしょう。本来魔法は隠しておくものです

  から。しかし、俺のことを秘密にしてもらうようにお願いしていますから既に

  魔法のことを知っていたとは言えない。すると家族や友人に今回の事件のことを

  話せず、フェレットにも魔法のことを既に知っていたとも言えない。

  優しいあの子のことです。その後ろめたさから思いつめてしまうのではないかと

  思いまして、今回連絡をしました。』」

 

「『確かになのはのことだ、思いつめてしまうかもしれないな……』」

 

「『はい。しかし、敵はそんなこと関係なく、襲ってきます。

  少しの油断で命を落とし兼ねない状況ですからそれでは不味いです。

  ですので、なのはが帰って来たら、フェレットと赤い宝石を部屋に置いてくるように

  言って、俺から今回の事件について聞いたとなのはに打ち明けて下さい』」

 

「『それは構わないが……良いのかい?』」

 

「『はい、フェレットとそのデバイスに聞かれなければ構いません。

  ただし、俺は明日からしばらく遠くに行くので、守ってやれないと伝えて下さい』」

 

「『それは何故だい?』」

 

「『分かっているでしょう?守って貰えるなどと甘い気持ちでやっていたら油断が多くなる

  からですよ。いくらフォローすると言ってもそんな状態ではフォローできなくなって

  しまうかもしれない』」

 

「『それはそうだね』」

 

「『もちろん、士郎さんが今回の事件になのはを関わらせる気が無いなら止めて貰っても

  構いません。そこはそちらで判断して下さい。

  もし、止めないなら申し訳ないですが、アリサや月村家にも今回の事件について

  連絡して下さい。その方がなのはにとって良いでしょう。

  ただし、それ以外の人には決して話さないで下さい』」

 

「『分かったよ。態々すまなかったね』」

 

「『いえ、動けない俺にも問題はありますから……では、これで失礼します』」

 

「『ああ、お休み』」

 

「『ええ、お休みなさい』…………ふぅ、これでよし」

 

[お疲れ様でした。しかし、なぜこのようなことを?]

 

「理由は2つある。一つはさっき士郎さんに話した理由だ。

 そしてもう一つは……なのはを原作に関わらせるためだ」

 

[?それはどういう?]

 

「魔法の存在は既に高町家に話してしまっている。もしなのはがそれに関わってしまって

 いると知ったら、普通は止める。いくらなのは本人がやりたいと言ってもな。

 だが、それを見守っている人間がいるとしたら?」

 

[関わらせてもいいかも知れないと思う……]

 

「そうだ。あくまでかもしれないだがな。しかし、その見守っていると言っている相手が

 命の恩人だ。それにこのことを逸早く連絡してきたとなれば、それなりに信用は

 得られる。ほぼ間違いなく止めないはずだ。魔法のことをばらしてしまった

 デメリットは消えない以上、それを最大限利用させてもらうさ。

 …………やっぱり俺は最低だな……」

 

[そんなことはありませんよ。そんなに思いつめないで下さい。私はマスターのこと

最高のパートナーだと思っています]

 

「ミスト……ああ、ありがとうな」

 

[いえ、どういたしまして]

 

(本当に俺には過ぎた相棒(デバイス)だよ。お前は……)

 

[いや~照れますね////]

 

「だから、俺の心を読むな」

 

 翌日、なのはのことは止めないと士郎さんから連絡があった。なのはのことをよろしく頼むってさ。分かっているさ、俺の目的のために…………そう全ては――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の自由のためにぃーーーー!!

 

(はぁ~途中まではシリアスだったのに……)

 

 

 

 

 それからしばらくジュエルシード事件を見守っていたが、大きな問題は起きていない。神社の戦闘、プールの戦闘、学校の戦闘。ジュエルシードの封印はうまく言っている……が、気になる点がある。思念体の強さだ。少し強い気がする……少なくとも今のなのはでは倒せないほどに。今は転生者達が思念体の相手をして、止めになのはが封印するといった流れなので、問題になっていないが、このままでは不味いかもな。

 

 それと転生者達はそれなりに活躍している。特に神宮寺(踏み台)の活躍が著しい。え?踏み台なのにって?ああ、あれは良い捨て石だよ。戦闘開始直後に突っ込む、そしてやられる。だが、後続に敵の情報を見せているので、後続は相手の攻撃に気を付けて戦える。結構役に立っているよ。まさに踏み台の鑑……いや踏み台の星だ。

 

 逆に峯岸(オリ主)の方は少し微妙だ。はっきり言って自分のスペックの高さに振り回されている。訓練が足りない証拠だ。まあ、いきなり身体能力が上がったんだ、頭の認識が着いてこないのは当たり前だがな。スペックの高さのおかげでなんとか戦えているが、相手がまだ二流だからってだけだ。頑張って経験を積んで欲しい。

 

 そして桜羽(オリヒロ)は大活躍だ。小さい頃から訓練して得た能力だけに使い方を良く分かっている。現在一番戦えるのは彼女だ。もっとも実戦の経験は少ないからまだ甘いが持ち前の性格でメキメキ成長している。3人の中では一番強いだろう。

 

 最後になのはだが、戦闘は主に転生者達が戦っているから戦闘経験が少なくなっている。元々の才能のおかげでまだ戦えるが、もっと訓練をしないと後々厳しいかもしれないな。

 

 リニスもこの事件に気付いているみたいだが、今回は手を出さないようにお願いしている。リニスの存在が転生者にばれるのを避けるためと管理局が来たときに面倒になるといけないからだ。マスターはいないのに使い魔が存命しているなんて知られたらヤバイからな。

 

 

そして俺は今……

 

 

「おい!そっちいったぞ」

 

「ナイスカット!フォアード上がれー」

 

「「おお!」」

 

「みんな~頑張って~」

 

「負けるんじゃないわよ!」

 

「「頑張れ~」」

 

今、サッカーをやっている。どうしてこうなった?

 

 

~時は少しさかのぼる~

 

 

俺が買い物のため、商店街を歩いているときだった。

 

「おや、零冶君かい」

 

「士郎さん……お久しぶりです」

 

高町士郎が現れた!

 

「そうだね。最近店にも来ないから心配したんだよ?」

 

「すみません。他に用事があったもので……それでは失礼します」

 

月無零冶は逃げ出した!

 

「ああ……あっ、そうだ!ちょっといいかな?」

 

しかし、まわりこまれてしまった!

 

「買い物がありますので」

 

月無零冶は逃げ出した!

 

「ちょっとで済むからさ」

 

しかし、まわりこまれてしまった!

 

「すみません、急ぎますので」

 

月無零冶は逃げ出した!

 

「知らなかったのかい、大魔王からは逃げられない」

 

 大魔王から逃げられないのは知っているよ!士郎=大魔王を知らなかったんだ!しかし少し納得だ、将来の魔王様の親は大魔王か……誰がうまい事言えと?

 

「……なんでしょうか?」

 

「ああ、すまないね」

 

「本当にすまないと思ってから言って下さい」

 

「はっはっは!本当にすまないと思っているよ」

 

笑いながら言われてもね~

 

「それで?何ですか?」

 

「ああ、私がサッカーチームの監督をやっているのは知ってるよね?

 実は今日試合なんだけど、メンバーに欠員が出てしまってね。メンバーが足りないんだ」

 

うわ~すげー嫌な予感。

 

「それで、零冶君。今日だけでも出てくれないかい?」

 

「いやです。それでは」

 

「まあそう言わずに、ただとは言わないよ?」

 

「失礼します」

 

「家のシュークリーム10個でどうだい?」

 

「どこで試合ですか?はっ!しまった!」

 

「ありがとう。場所は河川敷だよ」

 

「まっ!待って下さい!」

 

「シュークリーム12個コーヒー付き」

 

「時間は何時ですか?」

 

「13時試合開始だよ」

 

「分かりました」

 

 

~そして現在~

 

 

「うん、俺が悪いね」

 

「おい、どうした?」

 

「いや、なんでもない」

 

 現在、後半30分、1-1の接戦。流れは相手チームにある。このままだと負けるな。まあ別に良いけどね。俺は試合に出るよう言われただけだし

 

「くそ!今日の試合に勝たないと妹が手術を受けてくれないのに!」

 

「俺だって!今日はばあちゃんの命日なんだ!今日勝ってばあちゃんに報告するんだ!」

 

「負けられない、理由があるのだよ」

 

「意地があんだろ、おっとこのこにはぁ!」

 

「俺……この試合に勝ったら、翠屋でシュークリーム食べるんだ……」

 

「嫌だ……俺は……負けたくないいいぃぃぃ!!」

 

「皆!この試合絶対に勝つぞ!」

 

「「「「「おおぉぉ!!!」」」」」

 

 …………ただの練習試合に何でこんなに熱くなっているの?俺がおかしいの?何故か士郎さんがハンカチで涙拭いてるんだけど、そこまで感動する場面じゃないよね?これでもし負けたらやる気のない俺が集中砲火を受けることにならない?……はぁ~

 

「くそ!ボールを取られた」

 

「全員!戻れ!」

 

「これで止めを刺してやる!」

 

 相手チームにボールを奪われカウンターを受けるチーム翠屋、俺はドリブルしている相手を良く観察する。視線・重心・筋肉の動き全てを見て、相手が通るであろうルートに足を出す。

 

「あれ?」

 

 ボールを奪われ、驚いている相手選手を無視し、前線の状況を把握する。相手ディフェンダー陣はカウンターのためにやや上がり気味、味方フォアードは俺がボールを奪った瞬間に反転、相手ゴールに向いている。

 

(良い反応だ。練習が体に染み付いてる)

 

 俺はそいつにパスを出すため、前線にボールを蹴った。その瞬間味方フォアードは走り出し、相手ディフェンダーを抜き去る。相手ディフェンダーも遅れて反転するが、ワンテンポ遅れているため、フォアードに追いつけない。

 

 俺の蹴ったボールは味方フォアードと相手キーパーの間に落ちる。ボールを確保しようと相手キーパーは前に飛び出した。だが、そのボールにはバック回転を掛けているため、落ちた瞬間味方フォアードにボールが戻ってきた。

 

「な!」

 

 相手キーパーは慌てて戻ろうとするが、味方フォアードは既にシュート体勢に入っている。そして、シュートが放たれ、ボールがゴールネットを揺らした。

 

「え?」

 

 誰が言ったかは分からないが、あっと言う間にゴールが決まり、皆唖然としている。そりゃそうだ、さっきまであんなに接戦だったのが、良く分からない内にその均衡が崩れたのだ。

 

ピーーー

 

ゴールの決まった笛がなり、そして

 

ピッピッピーーーー

 

試合終了の笛が鳴った。

 

はぁ、やっと終わったぁ~、サッサと報酬もらって帰ろうっと

 

『マスター、お忘れではないと思いますが、このあとジュエルシードが発動しますよ?』

 

『ウンワスレテナイヨ』

 

いや本当に忘れてはいないよ?忘れたかったけど……

 

「皆、お疲れ様。とても良い試合だった。感動した!」

 

「いや~勝てて良かったよ~何せ今日は」

 

「「「「「「聖祥の4大女神が見に来てるんだから!!」」」」」」

 

そんな理由かよ!オイ!妹の手術はどうした!ばあちゃんの命日じゃないのか!

 

「俺妹いないし」

 

「今日はばあちゃんの命日だぜ?ところで命日って何?」

 

……もういい。本気にした俺がバカだった。

 

「零冶君。今日はありがとね。最後のはいいプレーだったよ」

 

「足を出したらたまたまボールが奪えて、適当に蹴り上げただけですよ」

 

「謙遜しなくていいよ。どうだい?良かったら、このチームに入らないかい?」

 

「お断りします」

 

「そうか、それは残念だ」

 

このあと、翠屋で打ち上げだそうだが、俺は報酬だけ受け取り、打ち上げは遠慮した。

 

 

そして、ジュエルシードが発動した。

 

 

『このままだと、結構街に被害が出るな』

 

『ええ、そこは原作通りですがね』

 

『そうだな。だが、俺がいる以上街に被害を出させない』

 

俺は虹の魔力(レインボーマジック)を使い、魔法を発動させる。

 

『エアロバインド。アースバインド』

 

 エアロバインドで地上の根の動きを止め、アースバインドで地中の根の動きを止める。アースバインドは土に魔力を流して土を操り、相手を地面に縛りつけるバインドだ。今回は地中の根を拘束させてもらった。

 

『なのは達も来たみたいだな』

 

『はい、封時結界も展開されました』

 

『よし、バインドを解くか』

 

 バインドから解き放たれた大樹の思念体はなのは達に襲い掛かる。そして、なのは達の手で無事封印された。

 

 街は少量の被害だったもののジュエルシードに気付いていながら、流してしまった自分のせいだと自分を責めるなのは。それを慰める峯岸と桜羽。え?神宮寺?ああ、今回もいい捨て石だったよ。そして、なのはは改めてこの街を守るための意識を固めるのだった。

 

『帰るぞ』

 

『了解です。マスター』

 

 俺は人目の付かないところで神の不在証明(パーフェクトプラン)を解き、商店街へ買い物に行った。え、買い物したんじゃないかって?士郎さんにあったのが11時00分だったので、買い物してからじゃ、試合に間に合わなかったんだよ。今日は特売だったのに!

 

『流石はマスターです。良い主夫になります』

 

『そんな褒めるなよ~照れるだろ』

 

買い物が終わり、ミストとそんなやり取りをして、家に帰るため、歩いていた。

 

 しかし、このときの俺は知らなかった。転生してから……いや前世を含めても人生最大の危機に陥ることに……

 

 

零冶 サイドアウト

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。