原作を放って置くとバッドエンドになるんですが、どうしたら良いですか? 作:月の光
零冶 サイド
すずかとアリサが誘拐された翌日、俺は今、部屋の片付けをしながら、連絡が来るの待っている。昨日やる予定だった部屋の片づけが、原作組みに巻き込まれて出来なかったからだ。やっぱり
[マスター、高町士郎から連絡です]
ですよね~、分かってたよ。丁度お昼だしね。
「分かった。ミスト、セットアップ」
[イエス、マスター。セットアップ]
「よし、ミスト。繋いでくれ」
[了解……どうぞ]
「はい、ライです」
『ああ、ライ君かい? 高町士郎だ。こちらの準備が出来たから、今から来れるかい?』
「分かりました。今からそちらに転移しますが、周りに関係者以外はいないでしょうか?」
『ああ、周りには私の家族と昨日の人間以外はいないよ。転移というと昨日突然消えた
あれかい?』
「はい、そうです。周りに人の目がないところが良いのですが……」
『大丈夫だよ。今は店の中にいるし、シャッターも閉めているからね』
「分かりました。では、転移します」
俺は
~翠屋にて~
フッ
「「「「「「「わっ!」」」」」」」
突然、俺が現れてビックリしている面々、まあ突然現れればビックリするよね。
「昨日ぶりですね。士郎さん」
「ああ、そうだね。しかし、それは本当にすごいな。声を掛けられるまで
まったく気配を感じなかったよ」
「まったくですね。昨日も突然消えたからビックリしたのよ?」
士郎さんと忍さんに言われるが、そういうものなんですよ。
「そういう能力ですからね」
「ようこそ、翠屋へ。今日はゆっくりしていってくれ」
「ほら、なのは!」
「うん…………あのライさん、私のこと覚えてますか?」
「ああ、覚えているよ。ちゃんと勇気を出したらしいじゃないか、偉いぞ」
俺はなのはの頭を撫でる。
「ふぇ! ……ふしゅ~」
「なのはのあんな顔初めて見たわ(気持ちは分かるけど)」
「そうだね。なのはちゃん幸せそう(羨ましいな)」
顔を真っ赤にして気を失うなのは。俺……何か変なことした?
『マスターが変なのはいつものことです』
『お前は俺のことが嫌いなの?』
『まさか、私はマスターのことを愛していますよ。デバイスとして』
「むむぅ……」
そんな様子を見ていた恭也さんが俺を睨んでいる。まさか、お前になのはは渡さん! 勝負しろ! フラグが立っているのか?
「さて、昨日言っていたシュークリームをご馳走になろうかな」
「そうだね。もうお昼時だ。好きな食べ物を注文してくれ」
「……では、カルボナーラを一つ、食後にコーヒーとシュークリームを」
「畏まりました。他の皆も好きなだけ注文してくれ。今日は私のおごりだ」
各々注文していき、注文をとり終えた後、厨房に戻っていく士郎さん。どうやら、桃子さんは既に厨房でスタンバっていたみたいだ。
それから俺は気が付いたなのはとアリサ、すずかと雑談をしながら過ごした。その光景を微笑ましそうに見ている美由希さんと忍さん。ずっと睨んでいる恭也さんが気になるが、それなりに楽しめた。
「美由希~、恭也~、お料理運んで貰っていいかしら?」
「「分かった《よ》」」
そうしてテーブルに並べられる料理。うん、美味しそうだ。
「ライさんはカルボナーラが好きなんですか?」
「ああ、パスタの中では一番好きかな」
すずかの質問に答える。
「ライさんは将来お嫁にするなら料理の出来る人のほうがいいですか?」
今度はアリサか。
「そうだな。俺も料理をするからな。一緒に出来たら、楽しそうだな」
(((よし、料理を覚えよう《るの》)))
「へぇ~、どんな料理を作るんですか?」
美由希さんが聞いてくる。
「何でも作りますよ。苦手な料理はありませんね」
「うわ~羨ましい。私は全然だめだからな~」
「美由希のは化学兵器だからな」
「恭ちゃんひどいよ! 私だってちゃんと成長してるんだからね!」
「ああ、成長しているよ。この間の料理で気を失った時間を更新した」
「ひどっ! なのは~」
「お姉ちゃん、料理はちゃんと覚えたほうがいいの」
「なのはにまで裏切られた! うえーーん」
「まあまあ、それよりライ君。君は何か武術をやっているのかい?」
やばい、この流れは良かったら手合せコースじゃないか?
「よかったら「手合せならお断りだ」……何故だい?」
「俺は今日、高町なのはに会うよう頼まれただけだ。それ以上のことはしない。
それに俺は必要以上に戦闘はしない主義だ」
「そうか……すまなかったね」
「いや……」
ふぅ~あぶね~あぶね。なんとか回避したよ。
「なら、気が向いたときに構わないよ」
しまった! いつか手合せフラグが立った! だが、そのフラグをぶち壊す!
「昨日も言ったはずだが、俺は必要以上に人前に姿を現さない。そんないつかなど来ないさ」
「そうか……それは残念だね」
ふっ……見たかこのフラグ回避力。きっとフラグ回避力のステータスがあったらEXだろう。
『EXもあったら、そもそもこういう状況になっていないと思いますけどね』
『ごもっとも』
そんなこんなで夕方です。
「今日はごちそうになりました」
「いや、気にしないで良い。君には恩返しがしたいと思っていたんだ。今日は無理を言って
申し訳ない」
本当だよ。だが、俺は見事にやりきった。しかし、今日話をしていて一つ問題が発覚した。どうやらなのはとアリサとすずかはライに気があるっぽい。やたらこっちの情報を知りたがるし、たまに見る目が熱っぽいときがあった。まあ、命の恩人だからっていうのが大きいだけで時間が経てば忘れていくさ。まだ、小学校低学年なんだから。
『その油断が命取りにならなければいいですがね』
『大丈夫さ、恋は麻疹みたいなものだ』
「お気になさらず、どうであれを承諾したのは俺ですから。ですが、今後こういうことは無しで
お願いします。では」
最後の念押しも忘れない。ふっ、月無零冶はクールに去るz
ピキィーーーーン
ま た
今度はなんだよもー(怒)俺はあたりを見回す…………あれ? おかしいな、円も広げてみる。
――特に異常はないな……おかしいな、気のせいか? いやそれは無い。現に今も警報が鳴っている
「ライ君? どうしたんだい?」
「いや、ちょっと……」
士郎さんにそう返し、目線をそちらに向けると……気が付いた。なるほど、そういうことか。
「高町桃子……」
「……えっ? あっ、なにかしらライ君?」
「貴方……大分疲れが溜まっているようですね」
「ッ! そ、そんなこと……」
「無いと言えるのですか?」
「…………」
「桃子……そうなのか?」
つまりはそういうことだ。俺は念のため、零冶としても翠屋に来るのはしばらく控えようと思っていた。どこから正体がばれるか分からないからだ。だが、そうなると高町桃子の容態に気付かず、そのうち過労で倒れる。
死ぬことはない……とは言い切れないか、過労で倒れてそのまま亡くなってしまうケースもある。すると、なのははジュエルシードの回収どころではなくなるか……回収になんらかの問題が起きて、やられてしまう可能性があるってことか。
それだけは避けないと。だがどうする?
「士郎さん、しばらく翠屋を休みにしてはどうですか?」
「しかし、それは……」
「倒れてしまってからでは元も子もありませんよ? それに過労を舐めないほうがいい。本人が
大丈夫だと思っていても突然倒れることは多々ありますし、最悪死に至るケースも少なくない」
そう、本人がダメなら、周りの人間から説得するまで。名づけて【将を射んと欲すれば先ず馬を射よ作戦】だ!
『ダサいです。マスター』
『分かっとるわ!』
「もちろん、今すぐにとは言いませんよ。幸いもうすぐ春休み期間に入るでしょうから
その時にでもご家族で温泉にでも行ってきてはどうですか?」
「……分かった。そうしよう。桃子もそれで良いね」
「あなた……ええ、ありがとう」
「話は纏まりましたね。では、本当にこれで失礼します」
俺は
春休み期間に入って、翠屋は3日間の臨時休業となった。俺はというと
「いらっしゃいませ。海鳴温泉へようこそ」
旅館の従業員をやってます。え? どうやってって? 変身魔法と
『マスター、きもいです』
『演技♪ 演技♪』
『このマスターノリノリである』
『やってみると楽しいよ?』
もちろん、用事が終わったらやめるけどね。っと、こうしている間に高町一家が来たようだ。
「温泉なんて久しぶりね」
「ああ、去年のゴールデンウィーク以来じゃないか?」
「いらっしゃいませ。海鳴温泉へようこそ。私、本旅館の若女将見習いをしております
如月と申します。ただいまキャンペーン期間中でしてお一人につき一度こちらのクジを
お引きください」
「おや、そうなのかい」
「そうなんです。ささ、どうぞ」
「それじゃ」
士郎さん、美由希さん、恭也さんと順に引いていき
「う~ん、これなの!」
「どれどれ……残念、また5等賞の1ドリンクサービス券です」
「む~、残念なの」
今のところ全員5等賞だ。
「さ、奥様もどうぞ」
「それじゃ……これを」
「はい、確認します……おお! おめでとうございます! 1等賞でございます!」
「あら!」
「お母さんすごいの!」
「1等賞はこの旅館自慢のマッサージ無料券でございます」
「丁度良いじゃないか、母さん。受けてきたらどうだ?」
「そうね。折角だからそうさせてもらうわ」
そう、俺が考えたのは如何に自然に
どうやって1等賞を引かせたかって? クジの箱を作ったのはおr……こほん私なのよ。いくらでも細工できるわ☆
『マスター、マジキモイです』
『マジレスやめろ。傷付くだろ』
わざわざこんな労力を使ってまでやる事ではないかもしれないが、力あるものが傍にいると、人はその人に依存したくなるものだ。
あいつが居るから大丈夫、いざとなったらあいつに頼る。良くあることだ……人間は弱いからな。
まっ! なんとかなるでしょ。いざとなれば
そして翌日
「それではまたのお越しをお待ちしております」
満面の笑みで高町一家をお見送りする俺。高町桃子は肌がつやつやでお帰りになりました。
――さてと……
「女将、大事なお話があります」
「どうしたのかしら、如月さん」
「実は私……結婚するので今日で退職します☆」
「そうわか……って、ええーーー!」
「お世話になりました♪」
「ちょっ!」
さ~て、家帰ってゲームしよっと。
『なんて、横暴な』
以降この旅館には突然現れ、いつの間にか消えた幻の若女将見習いが居たと噂になったとか
零冶 サイドアウト