原作を放って置くとバッドエンドになるんですが、どうしたら良いですか?   作:月の光

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更新が遅くなり申し訳ありません。

前回の前書きで書いたとおり、少し付け足して投稿しようかと
思ったら、思っていた以上に短くなってしまったので、
ちょっと……というかかなりギャグ要素を入れてしまった。

なので、ほぼギャグ回です。はい
何か申し訳ないです。


49_ミスト『心にも無いことを』零冶『本心さ、建前のほうのな』

 ライがユーリに前に姿を現す少し前、ライの飛雷神の術(ひらいしんのじゅつ)で転移した後、ライが見た光景はユーリの周りにマテリアルが集まり、会話をしているところだった。

 

 ライは聴覚を強化し、ユーリたちの会話を盗み聞きしていた。

 

『――が抱える本当の闇……それが』

 

 そしてユーリが殺意を出し、今まさにマテリアル達に攻撃を仕掛けようとした。

 

「ん、マズイな」

 

 ユーリの殺意に気付いたライ。

 

「ライさん? どうし――」

 

 そんなライの言葉を聞き、ヴィヴィオが声を掛けた瞬間。

 

――神速! レベル3!

 

 ライは自分の認識速度を超強化し、自分以外の時間を止めた。その白黒になった世界で直ぐに瞬歩を使い、ディアーチェの傍に近寄り、左腕をディアーチェの腰に回し、左脇に抱え込む。

 

 そこから瞬歩でシュテルの傍に移動し、首の後ろの襟を右手で掴んだ。再び瞬歩でレヴィの傍に近付き、右腕で抱きかかえる。

 

 三人を確保した後、瞬歩でその場を移動し、ユーリの前方3メートルほどの所に移動し、神速レベル3を解いた。

 

「――私なんです」

 

「「「え?〈は?〉」」」

 

 マテリアル達はライによって救出されたため、ユーリの攻撃は空振りに終わった。マテリアル達も自分達の身に何が起きたか把握できなかったため、呆けていた。

 

「そうだな。沈む事なき黒い太陽。影落とす月。ゆえに、決して砕け得ぬ闇」

 

 ライはマテリアル達をそっちのけでユーリの言葉に答えた。

 

「……誰です」

 

「はじめまして、ユーリ・エーベルヴァイン。俺はライ、傭兵だ」

 

 ユーリに聞かれたライは淡々と答える。

 

「……はっ!? 貴様、何者だ! 王たる我をこのように雑に扱いおって!」

 

 意識が覚醒したディアーチェは激怒し、ライに聞いた。

 

「ディアーチェはまだ良いです。私なんて猫みたいに……」

 

 シュテルは自分の状況を把握し、軽く落ち込む。もっとも表情に出てないため、分かり辛いが……

 

「えっと……君、誰?」

 

 レヴィは自分の頭の上にあるライの顔を見て聞いた。

 

「俺はライ。傭兵だよ」

 

 ライはレヴィに聞かれたことに答えた。

 

「傭兵だと? そのような塵芥が王たる我に何たる無礼な。そこに直れ! 我が本の

 錆にしてくれる!」

 

 ディアーチェはライに凄んでいるが、格好が格好だけに威厳はなかった。

 

「いや、本は錆びないだろ。本ならカビじゃないか?」

 

 ライはそんなディアーチェに冷静にツッコミを入れる。

 

「中々上手い事言いますね」

 

 シュテルはライの言った事に関心したように答えた。

 

「でもそれだとカッコ悪いよね? この本のカビにしてくれる……」

 

 今度はレヴィが反応し、決め台詞のように言った。

 

「ダサいな」

 

「ダサいですね」

 

「ダサいよ、王様」

 

「ええい! 貴様ら黙らぬか! そもそも貴様ら二人は我の臣下であろう! さては貴様ら

 我を尊敬しておらぬな!」

 

「そんなことありません。私はディアーチェを尊敬しています」

 

「ボクもだよ~」

 

「本当であろうな……」

 

 ディアーチェは疑い目で二人を見る。

 

「混沌と」

 

「闇に誓って」

 

 シュテルとレヴィは交互に言った。

 

「よかろう。その言葉、信じるぞ」

 

 ディアーチェは満足そうに言った。

 

「ふむ、仲が良い様で何よりだ」

 

「と言うか貴様! いい加減下ろさぬか!」

 

 ディアーチェがライに激怒した瞬間

 

『ライさん! こちらクロノです! 到着が遅くなって申し訳ない』

 

 クロノから通信が入った。

 

「いや、グッドタイミングだ」

 

「こら! 我を無視するでない!」

 

 ライはディアーチェを無視し、クロノと会話をする。

 

「詳しい説明をしている時間は無い。アースラは俺が抱えている三人と地面に居る二人組みを

 回収し、拘束してくれ。赤髪の方は治療も頼む。更に俺の後方にいる三人を回収し、保護。

 その三人は拘束する必要は無いが事情は聞かないでやってくれ。理由は後で話す」

 

「おい! 聞いておるのか!」

 

『了解しました! ライさんは?』

 

「俺は……あの子の相手をする」

 

 ライはまっすぐユーリを見る。

 

「我を無視するとは良い度胸だ。その体、肉片一つも残さぬぞ!」

 

 ディアーチェはライに向かって脅しをかける。

 

『ではこちらも援軍を』

 

「いや、救援を頼んでおいて悪いが、俺一人で良い」

 

「貴様ら、ワザとやっておるな!」

 

 相変わらずディアーチェを無視し、会話をするライとクロノ。

 

『しかし、相手の強さが分からない以上、ライさん一人では』

 

「はっきり言おう。足手纏いになるから来るな。あの子はお前達では荷が重い」

 

「お~い、本当に聞こえておらぬのか?」

 

 ライは強い口調でクロノに言った。

 

『……分かりました。ご武運』

 

「悪いな」

 

「我を……無視……グス……無視……しないでよ」

 

 ディアーチェは無視され続けたので、涙目になっていた。

 

『あっ、泣いちゃった』

 

『い~けないんだ~、せ~んせ~に言ってやろ~』

 

「王様? 泣いてるの?」

 

 レヴィからの思わぬ追撃。

 

「な、泣いてなどおらぬわ! 馬鹿者め! 馬鹿者め!」

 

「あ~! 馬鹿って言ったほうが馬鹿なんだぞ~!」

 

「二人とも今は言い争っている場合ではありません」

 

 シュテルは言い争っている二人を咎めた。

 

「ええい! シュテルとレヴィはまだ動けるであろう! さっさとこの無礼者を排除せぬか!」

 

「止めておきます」

 

「ボクも~」

 

「な! 貴様ら我を裏切るのか! 先程尊敬していると言ったであろうが!」

 

「尊敬や好意と、理論で導き出す行動決定は別の話です。私にはこの方に勝つヴィジョンが

 見えません。今は大人しくするのが最良かと」

 

「ボクは別にこの人敵じゃないと思うんだ」

 

「ええい! ならば我が葬ってくれるわ! おい、塵芥! 我を降ろせ! 我自ら相手を

 してやる!」

 

『何でこんなに敵視されてるんだ?』

 

『さっき無視してたからじゃないですか?』

 

『なるほど、それは悪い事をした』

 

『心にも無いことを』

 

『本心さ、建前のほうのな』

 

 ライは足元に魔法陣の足場を作り、その上にディアーチェ達を降ろした。

 

「む? ようやく覚悟が出来たという訳か」

 

 ディアーチェは不適に笑い、ライを見る。

 

「やっと降ろしてもらえました」

 

 シュテルは自分のバリアジャケットの襟を正し、身だしなみを整える。

 

「ボクはもう少しあのままでも良かったんだけどな~」

 

 レヴィは少し残念がりながら、陽気に言った。ライも魔法陣の足場に下り、ディアーチェの方を向いた。そして

 

「は?」

 

 ライは左の膝を付き、右手を胸の高さまで上げ、騎士のように頭を垂れた。

 

「先程は無礼を働き申し訳ありません、闇の王。ロード・ディアーチェ」

 

「……」

 

 ディアーチェはライのあまりの態度の変化に言葉を失う。

 

「御身とその臣下に危険が迫り、お守りするためにと咄嗟の判断とは言え、

 粗雑な扱いをしたこと。弁明の余地も御座いません」

 

「う、うむ」

 

「そして先程、王のお言葉を蔑ろにしたのも、御身を守るために御座います。既にシステムU-Dは

 暴走状態にあり、ここに居られては御身が危うくなると判断し、一刻も早くこの場を離れて

 頂きたく思った次第です」

 

「なるほど。しかし、先程我等を拘束せよ言っておったが?」

 

「御方々が力を揮えば、彼らも唯では済みますまい。彼らも全力を注ぎ、貴方方を抑えようと

 するでしょう。故に御身をおもんばかれこそ拘束と言う形をとらせて頂かざるを得ません」

 

「ふむ……」

 

「もちろん丁重に扱うよう善処致します。どうかご容赦を……」

 

「心遣い感謝する。しかし、我等にはあれを手にすると言う使命がある」

 

「ご心配には及びません」

 

「む?」

 

「私が貴方の騎士となり、時に剣として、望むものを手に入れ、時に盾となり、貴方をお守り

 致します。手始めに」

 

 ライは立ち上がり、ユーリの方へ振り返った。

 

「システムU-Dを手に入れてご覧に入れましょう」

 

「……よかろう。先の無礼は不問に付そう」

 

『ふっ、チョロいな』

 

『甘いですね』

 

『チョロアマだな』

 

「では」

 

 ライはユーリの方へ動きだそうとしたが

 

「だが、あれを手に入れるのは我らの悲願である。貴様の手を借りずとも我らの手で

 成し遂げて見せる。余計な手出しをするでない」

 

『おっと、そこまで甘くは無かったか』

 

『とりあえず、甘いは取り消しますか』

 

『そうだな。チョロード・ディアーチェにしておこう』

 

 ライはディアーチェの方に向き直った。

 

「お言葉ですが、ロード・ディアーチェ」

 

「何だ?」

 

「目的を履き違えてはなりません。貴方方が束になって掛かってもシステムU-Dには

 敵いません」

 

「何だと? 我らを愚弄する気か?」

 

「いえ、正当な判断で御座います。システムU-Dの誇る防御力の前では御三方の最大砲撃を

 もってしても傷一つ付きません」

 

「ほほう、流石は偉大なる力と言ったところか」

 

 ライの言葉を聞き、したり顔になるディアーチェ。

 

「しかし、例外は常に存在し、理のマテリアルであればシステムU-Dの性能を抑えるワクチン

 プログラムを持っているでしょう」

 

「そうなのか? シュテルよ」

 

 ディアーチェはシュテルに聞いた。

 

「……確かに私の中にそのようなものが存在するようです」

 

 シュテルはディアーチェに聞かれたことに答える。

 

「それをシステムU-Dに打ち込めば、貴方方の攻撃は通るでしょう」

 

「であれば何も問題無いではないか」

 

「その結果、臣下を失うことになっても?」

 

「何?」

 

 ディアーチェはライの言葉を聞き、睨みつけるようにライを見た。

 

「理のマテリアルはワクチンプログラムを打ち込むために捨て身の覚悟で挑むでしょう。

 また、力のマテリアルも理のマテリアルを助けるため、命を掛けるでしょう」

 

「私たちはマテリアルです。例え消滅しても基礎となるプログラムが無事なら復活できます」

 

「それは基礎となるプログラムがやられたら復活できないと言っているようなものです。

 その捨て身で無事だと保障されるものではありません」

 

「それは……」

 

「臣下を失い、大いなる力を手に入れた先に何が残りますか? 貴方の目的はどんな犠牲を

 払っても力を手に入れることですか? どうか熟考の上、ご英断を……」

 

 ライはディアーチェに向かって礼をする。ディアーチェは右手を口元に当て、考える。

 

「……貴様ならシステムU-Dを捕らえられる保証はどこにある?」

 

 ディアーチェは礼をするライに訪ねた。ライは頭を上げ

 

「私もまた例外の一人だからですよ」

 

 ディアーチェに言い放った。 

 

「……よかろう。ここは貴様に預けよう」

 

『やっぱりチョロードだったな』

 

『この子の将来が心配です』

 

「ご下命、恐悦至極に御座います」

 

 ライはディアーチェに背を向け、再びユーリに向き直る。

 

「クロノ、話は聞いていたな? 回収後はこちらの三人を丁重に扱ってくれ」

 

『え? あっはい。分かりました』

 

 クロノはライ達のやり取りを見ていて、ライの態度にどう反応して良いか分からず、戸惑っていた。

 

『と、とりあえず、エイミィ。ライさん以外を回収してくれ』

 

『りょうか~い』

 

 クロノはエイミィに指示を出し、地面いるアミタとキリエ、後方にいたヴィヴィオとアインハルトとトーマ、そしてマテリアルの三人はアースラに転送された。

 

「さて」

 

 ライとユーリだけになったその空間でライは語りだした。

 

「待っていてくれるとは思わなかったよ」

 

「私は闇の書に居る時、ずっと外を見ていました。だから貴方のことは知っています。

 闇の書を修復するために尽力した人。そして私が見てきた魔導師の中でもっとも強い人。

 貴方に不意打ちが通用するとは思いません。逃げ切れるとも思いません。

 ですから今打てる最善手を打ちました」

 

「少しでも本来の力を取り戻す……か?」

 

「はい、貴方が話をしている間に私は本来の力の53%を取り戻しました。これでも足りるか

 分かりませんが今私ができる最大の抵抗です」

 

「そうか。では、始めようか? ユーリ・エーベルヴァイン。全力で掛かってくるが良い!」

 

 ライの言葉と共にユーリは自分の周囲に無数の赤黒い槍を出現させた。

 

「ジャベリンバッシュ」

 

 その槍はライに降り注いだ。それをライはまったく避けるそぶりも見せず、見つめている。槍はライに当たるかと思われたが、ライには当たらず、逸れて行く。まるで槍がライを避けているかのように

 

「ッ!」

 

 ユーリは目の前で起きている現象に驚愕する。

 

「どうした? この程度か?」

 

 そんなユーリを余所にライは余裕な様子でユーリに語りかける。ユーリは更に槍の数を増やし、ライに放つも槍はライに当たることは無かった。

 

 ライがやったことは魔力変換資質 風圧を用いた魔法ウインドシールドである。ウインドシールドは空気を操り、攻撃の軌道を逸らす魔法だ。これにより、槍の軌道を逸らしていた。

 

「……」

 

 ユーリはライが何かしらの魔法で自分の攻撃を防いでいると推測した。そして、自分の勝利を確信した。何故なら自分の魔力は無限で相手は有限。このまま攻撃を続ければいずれ相手の魔力は底を突き、自分の攻撃を防ぐ手段は無くなる。

 

 それと同時に落胆していた。この男でも私を止めることはできないのかと……

 

 

 

 ユーリが攻撃を始めてかなりの時間が過ぎた。未だにユーリに攻撃は止むことは無く、赤黒い槍はライに降り注いでいる。

 

――これはどういうことですか?

 

 ユーリは現状を不可解に感じていた。

 

――彼の魔力量は決して多くない。なのにまったく魔力が尽きる気配が無い。

 

 そう、ユーリが攻撃を始めてから既に30分以上が経過していた。魔力変換資質 風圧は利便性と汎用性の高い変換資質だ。しかし、所詮は空気、それを攻撃や防御に用いようとすれば相応の魔力を消費する。簡単に言えば、他の変換資質よりも魔力消費が多いのだ。

 

 そしてライの魔力総量は僅かAランク。風圧の中でも魔力消費が少ないウインドシールドとはいえ30分も使い続けるのは不可能だ。

 

 では何故、現状の光景になっているのか? それはレアスキル高速自動回復(リジェネレーション)のおかげである。高速自動回復(リジェネレーション)は1秒間に自分の最大魔力量と最大オーラ量の1%を回復するレアスキルだ。

 

 これにより、ウインドシールドの魔力消費と高速自動回復(リジェネレーション)による魔力回復が均一になり、魔力が一切減っていないのだ。

 

 言うなれば無限の魔力(ユーリ)VS無尽蔵の魔力(ライ)である。このままでは決着が付かないのは明白だ。

 

『ふあぁ~、そろそろ飽きてきたな~』

 

『何て緊張感の無いお言葉』

 

『まあ、そろそろ向こうがしびれを切らすさ』

 

 ライの予想通り、ユーリは攻撃を止め、次の手段に出た。

 

「ならこれでどうです。エンシェント・マトリクス」

 

 ユーリの右手に先程の槍を巨大化させたようなものを出現させた。

 

「ならこちらも」

 

 ライは自分の前に光の壁を出現させた。

 

「無駄です。このエンシェント・マトリクスに貫けないシールドはありません」

 

 ユーリは巨大な槍をライに向かって投げた。そして、シールドで止まった槍を後ろから踏みつけることでシールドを突き破るために前に出た。

 

「覚えておくと良い」

 

 そんな中ライは不敵に笑い、ユーリに語りかける。

 

「これは魔法反射防壁(マホカンタ)というものだ」

 

 ライの光の壁に当たった巨大な槍は反射され、ユーリに向かう。

 

「な!」

 

 

ドッカーーン!?

 

 

 不意を突かれたユーリは避けることができず、自分の魔法を食らった。ライが魔法戦に置いて絶対に負けることはないと自負した理由はこの魔法反射防壁(マホカンタ)があるからだ。あらゆる魔法を反射する究極の盾。どれほど強力な魔法でも例外無く反射する。魔導師にとって天敵と言える魔法だろう。

 

 自分の最大魔法をユーリの周りには煙が立ち込めたが、次第に煙が晴れ、その中から

 

「魔法の反射? そんなもの見たことありません」

 

 無傷のユーリが姿を現した。

 

「あまり期待はしていなかったが、やはり無傷か」

 

 ライはユーリの姿を見て言った。

 

「さて、そろそろ終わりにしようか。ユーリ・エーベルヴァイン」

 

 ライは右手に炎熱魔法で炎を出現させ、左手に氷結魔法で冷気を出現させた。

 

「二つの魔法を同時に?」

 

「それだけじゃない」

 

 ライは両手を自分の前で合わせて二つの魔法をスパークさせる。そして弓を構えるように右手を人差し指と中指を立てて、前に突き出し、左手を自分の胸まで引いた。

 

「光の矢? そんなもの」

 

 更にライは円を広げ、ユーリを自分の円で包み込んだ。そして飛雷神の陣(ひらいしんのじん)でユーリの目の前に転移した。

 

「ッ!」

 

 ユーリは転移反応も無しに突然目の前にライが現れたことに驚愕する。

 

「終わりだ。極大消滅魔法(メドローア)!」

 

 ユーリはライの放った光の矢に飲み込まれた。

 

「どれだけ魔力が多かろうと」

 

 光の矢がユーリを通過した後には両腕をだらりを下げ、力無く項垂れるユーリの姿があった。

 

「0を掛ければ0になる」

 

 ライが言い終えるとユーリは気を失い、逆さまになり落下を始めた。ライはユーリを受け止めて、お姫様だっこで抱きかかえる。

 

 極大消滅魔法(メドローア)……炎熱と氷結魔法を一対一の割合で融合させ、スパークさせることでプラスマイナス0のエネルギーのみを精製。原作ではあらゆる物体を無条件に消滅させる魔法だが、ライは非殺傷設定で放つ事で人体にまったく影響を与えない魔法にした。

 

 よって、ライの放つ極大消滅魔法(メドローア)は魔力と無機物のみを消滅させる魔導師殺しの魔法だ。これは当たった魔導師は保有している魔力が無くなるため、魔力切れにより、気を失う。実質戦闘不能になる。

 

 この魔法もライが魔法戦において負けることは無いと自負する理由の一つだ。唯一の弱点があるとすれば、自ら使う魔法反射防壁(マホカンタ)ぐらいだろう。

 

「さて、これで任務完了だ」

 

 ライはシステムU-Dを抑えるプログラムを起動し、ユーリの中のエグザミアを正常化した。

 

「これでよし、それとディバイドエナジー」

 

 ライは魔力が切れ、気を失っているユーリに魔力を分け与えた。

 

「……うっ、ここは」

 

 失った魔力が戻ったことで眼を覚ますユーリ。

 

「おはよう。ユーリ」

 

「……あなたは……ライ? そうだ、私は貴方と戦って、はっ!」

 

 次第に意識が覚醒してきたユーリはまた自分が暴走してしまうと思い、息を呑む。

 

「安心しろ。君の中のエグザミアは既に正常化させた。もう暴走することは無いよ」

 

「そんなバカな。あれは誰にも制御できるはずは……」

 

 ユーリはライの言った事が信じられずにいた。今まで誰も制御出来なかったのだから仕方が無いことだが

 

「嘘じゃないさ。確認してごらん」

 

「……」

 

 ユーリは目を瞑り、自分の中にあるエグザミアを調べる。

 

「ほ、本当に正常化されている」

 

「だろう?」

 

「貴方は一体……」

 

 あまりのことに信じられず、ライを見上げるユーリ。

 

「ただの傭兵だよ」

 

 ライは優しく微笑んだ。

 

「今まで良く頑張ったな、ユーリ。これからは自由だ」

 

 ライはユーリの頭を優しく撫で、言葉を掛ける。

 

「ッ! はい……」

 

 ユーリは涙をこぼし、満面の笑みでライに返した。

 

「クロノ、見ての通り、戦いは終わった。俺たちを回収してくれ」

 

『了解、お疲れ様でした。エイミィ!』

 

『りょうか~い。いや~流石ライさんだね』

 

 その後、ライとユーリはアースラに回収された。こうして、砕け得ぬ闇事件は幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 ライとユーリが戦いを始めた時のアースラ内部の様子はと言うと

 

「ライさん……大丈夫かな」

 

 なのはは一人残ったライを心配そうに見つめていた。

 

「ライならきっと大丈夫だよ。なのは」

 

 フェイトは心配そうに見つめるなのはに声を掛ける。

 

「まあ、ライなら心配いらないでしょ。なんたって私の旦那様だし?」

 

 アリシアは何も気にしていないように陽気に振る舞った。

 

「それは聞き捨てならんでアリシアちゃん。ライさんは皆の嫁や」

 

 はやてはアリシアの言葉を否定しつつボケた。

 

「間違ってるわよはやて、ライ兄さんは皆の兄さんよ」

 

 葵ははやての言葉にノリツッコミをする。

 

「あんた等ノンキだね~、まあライだからしょうがないけどね」

 

 アルフはアリシア達の姿を見て、呆れたように言った。

 

「ライの強さは次元が違いますからね」

 

 リニスはアルフの言ったことに同調した。

 

「あっ、リンディ。そこのお茶菓子取って」

 

 プレシアは何も気にせず、リンディとお茶をしている。

 

「はい、どうぞ」

 

 リンディもプレシア同様にノンキにお茶をしていた。

 

「お二方、私もご一緒してよろしいですか?」

 

 シグナムはお茶をしている二人に聞いた。

 

「ええ、どうぞ。お砂糖はおいくつ?」

 

 シグナムに聞かれたリンディは快く受け入れ、緑茶を入れた。

 

「い、いえ。砂糖は結構です」

 

「そう? 美味しいのに……」

 

 シグナムは少し引きつった顔で砂糖を拒否する。

 

「将よ。いくらなんでも和み過ぎではないか?」

 

 リインフォースはシグナムの対応に苦言を呈した。

 

「ライが一人で十分と言ったのだ。我等では足手まといになるともな。であれば、我等にできる

 ことは見守る事だけだ」

 

 シグナムに変わりにザフィーラがリインフォースに答えた。

 

「しかし、臨戦態勢を崩すのはまずいだろう。いつでも出れるようにしたほうが懸命だと思うが」

 

 リインフォースはいつでも戦えるように背中に黒い羽を出し、それを縮小させて待機している。

 

「リインは真面目やね~、こっち来て一緒にお茶しようや」

 

 はやてはいつの間にかプレシア達に混ざってお茶をしていた。

 

「わ、分かりました。我が主」

 

 リインフォースは本当に良いのかと思いながらもはやてに従う。ヴィータは非番ではなかったので、現在は管理局のミッドチルダの本局にいるため、この場にはいない。

 

 ちなみにシャマルはアミタの治療のため、この場にいないだけで、別に影が薄いからでは無い。別に影が薄いからでは無い。大事なことなので2回言いました。

 

『わぁ、なのはママもフェイトママもアリシアママもちっちゃいよ』

 

『そうですね。八神司令や葵さんも小さいです。ですが、私はプレシアさんやリンディ統括官が

 まったく変わっていないことに驚きです』

 

『そうだね。プレシアお婆ちゃんもリンディさんも全然変わらないね』

 

 

ギロッ!

 

 

 ヴィヴィオとアインハルトが念話で会話をしているとプレシアが何かを察したかのようにヴィヴィオ達を睨んだ。

 

『ひぅ! お、おかしいな。プレシアおば……プレシアさんに聞こえてたのかな?』

 

『そ、それは無いかと』

 

「どうかしましたか? プレシアさん」

 

「おかしいわね? 気のせいかしら?」

 

 プレシアは首をかしげ、リンディ達との雑談に戻る。

 

『聞こえては無かったみたいですね』

 

『それじゃ、直感で察したってこと? 余計凄いよねそれ』

 

 ヴィヴィオ達はいつもと違う空間で不安に感じながらも、その場に溶け込んでいた。

 

『分かってはいたけど、八神司令もまだ子供なんだな』

 

『そうだね。司令もちっちゃ可愛いね』

 

『油断するな、リリィ。小さくてもあの八神司令だ。どんだけおっかないか分からないぞ』

 

『でも、本当にちっちゃいね。いろいろと』

 

 

ギロッ!

 

 

 何かを察したのかはやてはトーマ達を睨んだ。

 

『うわっ! こっち見た!』

 

『何で! ちっちゃいって思っただけなのに!』

 

「いかがなさいましたか? 我が主」

 

「変やな? 誰かが私の胸のことちっちゃいってゆうた気がするんやけど?」

 

『む、胸の事は言って無いよ!』

 

『と、とにかく知らんぷりするんだ』

 

「気のせいでは? 私には聞こえませんでしたが……」

 

「そうか~? まあ、ええわ」

 

 そう言ってはやてはリインフォース達との会話に戻った。

 

『八神司令って昔から変なところで勘が鋭いんだな……』

 

『そうだね。睨まれた時、敬礼しそうになっちゃったよ』

 

『俺もだ。危なかった』

 

 トーマ達も居心地が悪いながらも、何とか場に溶け込もうとしている。

 

「なぁクロノ?」

 

「なんだ? 王我」

 

「何か俺、この空気がおかしい気がすんだけど、何でこんなにのんびりしてるの?」

 

「……僕に聞かないでくれ」

 

 神宮寺に言われたクロノが暗い顔で答えた。

 

「ま、まあ。ライさんが戦うんだから皆、安心してるんだって」

 

 そのクロノに峯岸がフォローする。

 

「そ、そうだよ。僕はちゃんとしてるクロノは立派だとおもうよ」

 

 峯岸に続いてユーノもクロノにフォローを入れる。

 

「だが、時と場合を考えてだな」

 

「おい、そこの黒いの」

 

 クロノ達が会話しているとディアーチェがクロノに声を掛ける。

 

『全力で掛かってくるが良い!』

 

 すると、ディスプレイの向こうではライとユーリの戦いが始まった。

 

「な、何て量の攻撃だ! あれじゃ、避ける事すら難しいぞ!」

 

 クロノはディスプレイに映るユーリの繰り出した攻撃を見て驚愕する。

 

「おい! 無視するな! そこの黒いの」

 

「なっ! 何でライさんに当たらないんだ! まるで槍がライさんを避けているようだ!」

 

「またか! また我を無視するのか!」

 

「な、なあクロノ?」

 

「ん? どうしたんだ? 春兎」

 

「あの子お前を呼んでるんだと思うけど」

 

「え? 僕のことだったのか?」

 

「グス……いいもん……どうせ我なんか、我なんか……」

 

「王様? また泣いてるの?」

 

「な、泣いてなどおらぬは! というかまたとは何だ! 馬鹿者め!」

 

「ああ~! また馬鹿って言った~! ボクは馬鹿じゃないぞ! 強くて凄くてカッコイイ!

 レヴィ・ザ・スラッシャーだぞ!」

 

「そう言うところだ馬鹿っぽいというのだ」

 

「落ち着いて下さい、ディアーチェ。話がどんどん逸れています」

 

「む? そうだな」

 

「すまない。僕のことを呼んでると思わなくて……どうかしたのか? えっと、ディアーチェ」

 

「ここに黒いのはお前くらいであろうに」

 

「私も黒いですよ? ディアーチェ」

 

「ええい! 貴様の事は名前で呼ぶに決まっておろう! 一々口を挟むでない!」

 

「ええ、知ってました」

 

「ッ~~~~……まあよい。それで、そこの黒いの」

 

「僕のことはクロノで良い」

 

「貴様の名前などどうでも良いわ。あの傭兵から丁重に扱えと言われていたはずだが、

 この手錠は何だ? クロノ」

 

「(名前はどうでも良かったんじゃ……)すまない。流石に敵か味方か分からない以上、

 手錠もせず、野放しじゃ、あとで問題になってしまうんだ。最低限の拘束だけでも

 させてくれ」

 

「貴様らの事情などしらぬわ。阿呆め。今すぐこの手錠を解け、さもなくばこの船を

 沈めてくれようぞ?」

 

「そんな物騒なことを言われたら余計に解けないんだが……」

 

「安心せい。今すぐ解けば少なくともあの騎士の戦いが終わるまでは大人しくしてやるわ。

 もっともあの騎士が負けたときは我等が直接出向き、システムU-Dを確保するがな」

 

 ディアーチェがドヤ顔でクロノに言った。

 

「え~っと」

 

「僭越ながら、私が通訳しましょう。【も~この手錠や~だ~あの戦いが終わるまで待ってて

 あげるから~この手錠外してよ~お・ね・が・い♡】とディアーチェは申しております」

 

「全然違うわあ! 何だその桃色のような口調は! そんな気色の悪い喋り方するでない!」

 

「失礼しました。訂正します。要するにあの方の戦いが終わるまで大人しくしているから

 手錠は不要ですよ。クロノ執務官」

 

「しかし、万が一に備えなくては」

 

「これは異な事をあの方々の様子を見る限り、あのライと言う傭兵が負けるとは微塵も

 思っていないのでしょう? 我々の目的は砕け得ぬ闇を手に入れることです。彼が勝つので

 あれば、拘束など必要ないでしょう」

 

「……分かった。だが、少しでもおかしな動きをしたら直ぐに拘束させてもらう」

 

「ご自由に」

 

 クロノはディアーチェとシュテルの手錠を外した。

 

「ふん、最初から言う事を聞いておればよいのだ」

 

「ところで、もう一人の……レヴィだったか? 彼女はどうしたんだ?」

 

 クロノはその場にいなかったレヴィのことを聞いた。

 

「ああ、あの子でしたらあそこに」

 

 シュテルはおもむろに指を差すとその先にレヴィは居た。

 

「ねぇねぇ、これ美味しいの?」

 

「食べてみる?」

 

「よし、もらってやろう。あ~む、もぐもぐ……む! 美味しい! これは良いものだ~」

 

 レヴィはフェイト達の所に居てお茶会に溶け込んでいた。更にいつの間にか手錠も外れていた。

 

「何で手錠が外れているんだ?」

 

「ああ、私が外したわ」

 

「母さん……」

 

 実の母リンディの言葉を聞き、クロノは手を頭に当て、俯いた。

 

「だって悪い子じゃなさそうなんだもの。手錠なんて可愛そうじゃない」

 

「ですが」

 

 クロノは反論しようとしたが

 

「それに貴方だって外してるじゃない?」

 

「うっ……はぁ~もう良いです」

 

 クロノの方が折れた。

 

「君達も自由にしてもらって構わない。だが、目の届く範囲には居てくれ」

 

「よかろう。ここは従ってやる」

 

「畏まりました」

 

 クロノはディアーチェとシュテルに言い置いた。それから十分の時間が経過した。アースラのディスプレイには未だにユーリの攻撃が雨のように降り注ぎ、ライはそれをウインドシールドで防いでいる。

 

「凄い……一体何時まで続くんだ……」

 

 クロノは二人の攻防を見て、驚愕している。

 

「ああ! アリシアちゃんそれ私が狙ってたお菓子!」

 

「へへ~ん、早い者勝ちだも~ん」

 

「姉さん食べすぎだよ。そんなに食べると太るよ?」

 

「大丈夫だよ。私育ち盛りだもん」

 

「まったくもう……なのは、私のお菓子分けてあげる」

 

「え……そんなフェイトちゃんに悪いよ」

 

「大丈夫。一緒に食べよう?」

 

「フェイトちゃん……」

 

「なのは……」

 

「二人ともユリって無いで早く食べなさい」

 

 葵はユリユリしているなのは達を注意する。

 

「ねぇねぇ葵、これどうやって食べるの?」

 

「ああ、これはこうやってね」

 

 レヴィはお菓子の食べ方を葵に聞いて、それに答える葵。

 

「そしたらジョージはこう言ったのさ。おいおい、それじゃまるでウチの国の大統領と同じ

 じゃないか……ってね☆」

 

「なるほど、そのジョージとやら侮れませんね」

 

「しかし、そもそもマークとやらがその話をし出したのが問題な訳で」

 

「あかん、リインとシグナムが真面目すぎてジョークが伝わらん」

 

 はやてはリインフォースとシグナムにアメリカンジョークを話していた。

 

「あっそうだリンディ。ミッドで美味しいケーキ屋さん見つけたんだけど、今度どうかしら」

 

「良いですね。レティも誘って三人で行きましょうか」

 

 プレシアとリンディは世間話をしている。

 

「あっ王我それダウト」

 

「またかよ! ちくしょー」

 

「お前が顔に出易いんだよ。次、俺な3」

 

「フッ、春兎悪いがそれはダウトだ! 3は俺が全部持ってるからな!」

 

「残念、ジョーカーでした」

 

「うっそーん」

 

 ユーノと神宮寺と峯岸はトランプのダウトで遊んでいた。

 

「……僕もう帰って良いかな」

 

「まあ、そう落ち込むな。クロノ」

 

「そうです。貴方は立派に仕事を果たしていますよ」

 

「……ありがとう」

 

 周りと自分との空気の温度差に心が折れたクロノを励ますディアーチェとシュテル。それから更に時間が経過した。

 

「もう30分以上もあのままだ、砕け得ぬ闇は魔力が多いから分かるが、ライさんは一体

 どうやって」

 

「ですが、砕け得ぬ闇も馬鹿ではありません。そろそろ動くでしょう」

 

『ならこれでどうです。エンシェント・マトリクス』

 

『ならこちらも』

 

 ユーリは巨大な槍を出現させ、ライは光の壁を出現させた。そして、ユーリが槍をライに放つとその槍がライの防御魔法に当たった瞬間、槍が反射され、ユーリの方へ向かった。

 

「な! 魔法の反射だって!」

 

「珍しい魔法ですね」

 

「確かに……どんな魔法でも反射されるなら脅威だな」

 

 その様子を見ていたクロノ、シュテル、ディアーチェはライの魔法を見てそれぞれ感想を言った。そして、ライが炎熱魔法と氷結魔法を融合させた光の矢がユーリを飲み込み、戦いが終わった。

 

『クロノ、見ての通り、戦いは終わった。俺たちを回収してくれ』

 

「了解、お疲れ様でした。エイミィ!」

 

「りょうか~い。いや~流石ライさんだね」

 

 こうして、戦いが終わり、クロノは内心ほっとした。やっと自分も休む事が出来ると思ったからだ。

 

「ふぅ、これで一安心だな」

 

 クロノは自分の深く座り、くつろいだ。

 

「こらクロノ、くつろぐのは早いわよ」

 

「え?」

 

 クロノはリンディに注意され、後ろに振り返る。そこにはさっきまでのお茶会はなんだったのかと言いたくなるほど、凛としたリンディ達が居た。

 

「…………」

 

 あまりの変わり身に言葉を失うクロノ。

 

「どうしたの? クロノ君」

 

「いや、何でもない」

 

 なのはに聞かれたことに答えるクロノ。

 

「お疲れ様でした。クロノ執務官」

 

「まあ、元気を出せ、クロノよ」

 

「ああ、ありがとう二人とも」

 

 クロノはシュテルとディアーチェの心遣いに耐え切れず、目頭を押さえ、ひっそりと泣いた。

 

――《クロノさん〈提督〉ってこのころから苦労してるんだな~》

 

 ヴィヴィオ達はクロノの様子を見て、全員が同じ事を思ったのだった。




書いていると何故か後半がギャグ回なった……
何でだ? やっぱり作者にシリアスは無理だったのか?

というわけで、ボツネタコーナーです。



①ライがユーリとの戦いを始める時にネタに走ったら 

「少しでも本来の力を取り戻す……か?」

「はい、貴方が話をしている間に私は本来の力の53%を取り戻しました。これでも足りるか
 分かりませんが今私ができる最大の抵抗です」

「そうか。さあ回復してやろう。全力で掛かってくるがよい!」

『四天王最後の人か!』

『し、四天王の中で私が一番セクシーだと思うんだか?』

『うんそうかもね(棒)』


はい、ボツですね。分かります。



②この作品にご都合主義が無かったら

 ユーリは突然目の前にライが現れたことに驚愕する。

「終わりだ。極大消滅魔法(メドローア)!」

 ユーリはライの放った光の矢に飲み込まれた。

「いくら魔力が多かろうと」

 光の矢がユーリを通過すると何も身に纏ってないユーリの姿があった。

「0を掛ければ0……は?」

 生まれたままのユーリの姿を目の当りにして呆然とするライ。そしてそれを映像で見ていた神宮寺は鼻血ロケットで宙を舞った。峯岸は見ないように顔をそむけるが手で鼻を押さえている。ユーノは少し前屈みになった。クロノは顔を赤くし、うつむいていた。

「は!」

 正気に戻ったライは自分のバリアジャケットのコートをユーリに掛けてやる。

『そうか、この極大消滅魔法(メドローア)は魔力を消滅させる魔法だからバリアジャケットも
 消滅させるのか』

『何ですかその深夜アニメのお約束のような魔法は』

『俺も人に撃つのは初めてだったから知らなかったよ』

『とりあえず極大消滅魔法(メドローア)はもう使用禁止ですね』

『そうだな。とりあえず、マトリフとポップに謝りたい』

『そうですね。それじゃ、せーの』

『『ごめんちゃい』』


はい、ボツですね。分かります。
今後の展開を考えるとユーリに黒歴史が残ってしまうので、ボツです。

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