原作を放って置くとバッドエンドになるんですが、どうしたら良いですか?   作:月の光

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お久しぶりです。更新が遅くなり申し訳ないです。

そして、何の前触れもなく次章に入ります。

一応、プレイ動画を見たり、調べたりして書きましたが、
間違いがあったらご指摘をお願い致します。

では、どうぞ


GOD編
46_愛里「ご愁傷様です」零冶「どうしてこうなった?」


ピキィーーーン

 

 

 虫の知らせ(シックスセンス)……月無 零冶が神様から特典として受けた恩恵である神の遊戯(キャラクターメイキング)の能力で作った16番目の念能力(レアスキル)だ。

 

 能力者にとって都合の悪い未来になる時に自動発動し、その予感を告げる能力。しかし、何が起きるかまで知る事は出来ない。あくまで分かるのはあそこで何かがあるかも知れない程度の予感だけになる。

 

 よって発動した時は周囲を見回し、これから何が起きるのかを把握する必要がある。零冶はこの能力によっていくつものバッドエンドを回避してきた。今の零冶に取って無くてはならない能力といえよう。

 

 そして今零冶は……

 

「ふぅ」

 

 朝食を終え、コーヒーブレイクを取っていた。そして、コーヒーカップを右手に持ち、左手にソーサーを持ったままリビングの窓の前に移動し、虚ろな目で空を見上げた。

 

「なぁ、ミスト。愛里」

 

[「何ですか? マスター〈零冶さん〉」]

 

 急に話しかけられたミストと愛里は零冶に聞いた。

 

虫の知らせ(シックスセンス)が……発動したんだけど。どう思う?」

 

[え? 今、ここでですか?]

 

「それは何と言うか……ご愁傷様です」

 

 何の変哲も無いただの日常。休日の朝だというのに。虫の知らせ(シックスセンス)は無常にも鳴り響いた。

 

「うん、どうしてこうなった?」

 

[マスター、現実逃避は後です。今は]

 

「時間を止めて。考えましょう」

 

「もうやだこの能力……」

 

――≪これは大分まいってますね≫

 

 声のトーンが一段と低い零冶を見てミストと愛里は心の中で思った。零冶はソーサーにコーヒーカップを乗せ、テーブルの上に置いた。そしてしばらく目を瞑った。

 

「ふぅ」

 

 零冶は息を軽く吐き、顔を上げた。

 

「さて、落ち込むのは後だ」

 

――≪あっ持ち直した≫

 

 零冶はオーラで愛里に周を行い、栄光の手袋(グロリアスハンド)時の支配者(クロックマスター)を発動した。

 

「ザ・ワールド! 時よ止まれよ! こんちくしょおおおおおお!」

 

 そして世界から音が消えた。その世界で動けるのは零冶とそのデバイスであるブラックミスト。そして、零冶のオーラで周をされた愛里のみである。

 

「では、会議を始める。まず、何故この状況で虫に知らせ(シックスセンス)が発動したのかについてだ」

 

「零冶さん、この後のご予定は?」

 

「無い。今日は家でのんびりするつもりだった」

 

[では明日以降に何かイベントはありますか?]

 

「イベントと言ってもな……そろそろ三月に入り、六年生が卒業し、四年生に進級する

 くらいじゃないか?」

 

「あっ、そろそろルナテイクの子供向けファッション雑誌の発売日じゃないですか?

 零冶さんがモデルをやった」

 

「アホか、もしルナテイクの発売が原因ならもっと早い段階。撮影前の段階で発動しなきゃ

 意味無いだろ」

 

[そうですよねぇ……あっ、この時期ならもしかしてGoDじゃないですか?]

 

「ゴッド? 何それ?」

 

[あれ? マスターはGoDをご存じないのですか?]

 

「ああ、知らない。リリなのにそんなシリーズあったっけ? それにA'sの次はStrikerS。

 その次にViVid、Forceの順だったよな? 後は別の世界線のINNOCENTくらいか?

 ゴッド……神か?」

 

[いえ、正確には【THE GEARS OF DESTINY】その頭文字を取ってGoDと言います。

 A's の後のパラレルワールドのゲーム作品です]

 

「ゲーム……だと? いやいや待て待て、パラレルワールドなんだろ? なら何故この世界で

 おきる? いや……あくまで似た世界だから可能性はあるか……ミスト、詳しい説明を」

 

[了解しました。ですがその前にGoDはゲームで言えば二作品目です。一作品目の

 【THE BATTLE OF ACES】。通称BoAの続編となります]

 

「まじか……」

 

[ですからまずそちらから説明致します。始まりは闇の書事件の闇の書の闇を破壊してから

 数日後に事件がおきます。闇の書の闇を破壊した際に飛び散った闇の書の残滓が闇の書事件

 より過去のなのはちゃん達の姿を模ったイミテーションである闇の欠片を作ります]

 

「ふむ」

 

 ミストの説明に真剣に耳を傾ける零冶。

 

[そのことを知ったリインフォースは闇の書の残滓が闇の欠片を使い、闇の書の闇として

 再生しようとしていると推測し、なのはちゃん達と闇の書の残滓と闇の欠片を破壊する為に

 別々に行動を取ります]

 

「ストップ。闇の書事件の後なのにリインフォースがいるのか?」

 

「はい、そこがパラレルワールドと言える所以でしょう。ある意味この世界でもリインフォースが

 生きているからこの事件が起きる可能性は十分有り得ると言うことではないでしょうか?

 そして闇の書の残滓と共に闇の書の奥深くに封印されていた砕け得ぬ闇が復活しています」

 

「闇の書にそんなもの封印されていたのか? アルハザードの情報ではそんなもの無かったぞ?」

 

[マスターが調べたのは闇の書及び夜天の書についてでしたからね。この砕け得ぬ闇は

 紫天の書と呼ばれるものと深く関係します]

 

「だからか……話の腰を折って悪かった。続きを」

 

[はい、なのはちゃん達が闇の欠片を破壊していると闇の欠片とは違う姿の三人に遭遇します。

 その三人は自分達が何者なのか忘れていましたが、砕け得ぬ闇を見つけると言う使命だけは

 覚えており、それを探している内になのはちゃん達と戦い、消滅し、事件が終結します。

 それを闇の欠片事件と言い、それがBoAの内容です]

 

 少し間を空け、ミストは話を続ける。

 

[そしてBoAから約三ヶ月後、再び事件が起きます。物語は今より遥か未来から

 キリエ・フローリアンとアミティエ・フローリアンが地球に現れるところから始まります]

 

「待て、キリエとアミティエはINNOCENTのオリキャラじゃないのか?」

 

[逆です。GoDのオリキャラがINNOCENTに出ているのです]

 

「……では、シュテル、レヴィ、ディアーチェ、ユーリもか?」

 

[Exactly。そのとおりでございます]

 

「そこでゲーム好きのキャラのセリフを出すとは、流石です。ミスト様」

 

[付け加えるとBoAで消滅した三人と言うのが、マテリアルS 星光の殲滅者のシュテル・ザ・

 デストラクター、マテリアルL 雷刃の襲撃者のレヴィ・ザ・スラッシャー、マテリアルD

 闇統べる王のロード・ディアーチェとなります]

 

「ああ、なるほど。そして砕け得ぬ闇がユーリ・エーベルヴァインか」

 

[Exactly。そのとおりで「それはもう良いから」ございます「続けやがった!」]

 

「流石ミスト様。そこに痺れる憧れます」

 

「そんなことより説明を」

 

[分かりました。キリエちゃんとアミタちゃんの居た世界エルトリアは死触と言われる水と大地の

 腐敗によってその星は衰退していきました。そしてキリエちゃんとアミタちゃんはエルトリアで

 死蝕を食い止めるために開発されたギアーズと呼ばれるアンドロイドです]

 

「ほう? 中々の技術力だな。確か生みの親はグランツ・フローリアンだったか?

 INNOCENTと同じならだが」

 

[そうです。キリエちゃんはロストロギアと思われる過去に移動する装置を使ってこの時代に

 訪れます。目的は闇の書に眠る無限の力【システムU-D】を闇の書から奪うこと。そして、

 妹を止めるためアミタちゃんもこの時代に訪れます」

 

「過去に行くロストロギアか……」

 

[時を同じくしてBoAで消滅した三人が復活します。そこにキリエちゃんが接触し、砕け得ぬ闇の

 を復活させるためにマテリアル達に協力することになります]

 

「まあ、そうなるだろうな」

 

[この時点で管理局も既に異常に気付いており、マテリアル達やキリエちゃん、アミタちゃんを

 探す事にします。それとほぼ同時刻に未来から高町ヴィヴィオちゃんとアインハルトちゃんが

 やってきます]

 

「何で? もしかしてフローリアン姉妹が未来から来た時に歪みが生じたか?」

 

[その通りです。その歪みに引き込まれVividから二人がやって来ます]

 

「ゲームにありがちな展開だな」

 

[そうですね。しばらくして今度はForceからトーマ・アヴェニールとリリィ・シュトロゼックが

 同じ理由でやって来ます。ヴィヴィオちゃん達やトーマ君達は自分達が未来から来たことを

 知り、未来に影響を与えないために逃亡します]

 

「まあ、気持ちは分かるが……」

 

[そうですね。そしてキリエちゃんの協力でついに砕け得ぬ闇、システムU-Dが復活します。

 システムU-Dにはバグがあり、それは誰も制御できませんでした。ゆえにシステムU-Dは

 自ら自身に繋がるシステムを破断し、別のシステムで上書きして、闇の書に関わる全ての

 情報から自身のデータを抹消していました]

 

「だから、アルハザードで闇の書に関する情報を見た時も引っ掛からなかったのか……」

 

[おそらくそうでしょう。ゆえに夜天の主も管理人格も知らなかった闇の書が抱える本当の闇……

 それがシステムU-Dです。元々、マテリアル達や砕け得ぬ闇は夜天の書を乗っ取り、自分達の

 制御下におくために夜天の書にインストールされました]

 

「今も昔も人の考える事は同じか」

 

[ですが、その後に混入された防衛システムによってマテリアル達や砕け得ぬ闇は奥深くに

 封印されました。しかし、封印していた防衛プログラムが闇の書から切り離され、消滅した

 ため、マテリアル達が復活し、そして砕け得ぬ闇を蘇らせた]

 

「この世界では防衛プログラムは消滅していないが、現在は夜天の書との同調中だからな。

 再度、封印するには到らなかったか、あるいは既に夜天の書から出た後だったか」

 

[おそらく後者でしょうね。そしてなんやかんや有ってシステムU-Dの暴走を止めることに

 成功します]

 

「いきなり大雑把になったな」

 

[まあ、簡単に説明すると皆でシステムU-Dをフルボッコ]

 

「オーケー、もう良いよ」

 

[そして、マテリアル達とユーリちゃんは未来のエルトリアに行き、ヴィヴィオちゃん達は

 未来に帰りました。また、なのはちゃん達やヴィヴィオちゃん達が未来から来たと言う部分

 だけ記憶操作をして事件が終息します]

 

「なるほどな。ありがとう、ミスト」

 

[終わったらメンテナンスで手を打ちます]

 

「分かった。いつもより念入りにやってやるよ」

 

[やったね! 久しぶりに真面目に話した甲斐がありました]

 

「羨ましいです。ミスト様」

 

「ついでにお前も久しぶりにメンテするか? 愛里」

 

「本当ですか!? お願いします!」

 

「まあ、それはこの虫の知らせ(シックスセンス)を収めてからだがな。ミスト、その事件に

 クロノは関わっているか?」

 

[はい、関わっています]

 

「管理局の執務官なら事件が起きれば、関わるはずだ。今後の方針ついでだが。

  一つ、アルハザードでシステムU-Dについて調べる。

  二つ、クロノの未来漫画(フューチャリングコミック)を作り、内容の確認

 以上だ」

 

[「了解」]

 

「愛里は俺と一緒にアルハザードに来てもらう。そこでシステムU-Dについて調べてくれ。

 ついでに飛雷神のマーキングをアルハザードに残しておけ」

 

「分かりました」

 

「それとこれを渡しておく」

 

 零冶は王の財宝(ゲートオブバビロン)から一つの宝石を取り出し、愛里に手渡した。

 

「ミストを元に作ったデバイス。AIは無いが、それ以外はミストと同スペックのストレージ

 デバイスだ。名称は【ホワイトガーデン】。虚数空間を隔ててもも通信可能になっている。

 システムU-Dについて重要なことが分かったらそれを通じてミストに連絡をしてくれ。

 ミストは連絡が来たら、念話で俺に通達」

 

[「了解」]

 

「では、行動を開始する」

 

 零冶はザ・ワールドを解き、すぐさま飛雷神の術(ひらいしんのじゅつ)でアルハザードに飛んだ。

 

「愛里はここの情報端末でシステムU-Dについて調べてくれ。使い方は分かるな?」

 

「分かりました。使い方も大丈夫です」

 

「頼んだぞ」

 

「イエス、マイロード」

 

 愛里に指示をした零冶は神の不在証明(パーフェクトプラン)で姿を消し、アースラに残していた飛雷神のマーキングに飛んだ。

 

「さて、こちらも早速調査しますか」

 

 愛里は情報端末の前に移動し、目にも止まらぬ速さでキーボードを操作し始めた。

 

 

 

 

 

 零冶はクロノの未来漫画(フューチャリングコミック)を作るため、アースラに転移した。

 

――さて、クロノはどこかな?

 

 零冶は円を広げ、クロノを探す。

 

――管制室か

 

 クロノを見つけた零冶は瞬歩で移動を開始し、一瞬で管制室に移動した。

 

――さて、早速作るとするか

 

 零冶は艦長席に座っているクロノに右手でそっと触れ、能力を発動させる。

 

――未来漫画(フューチャリングコミック)発動

 

 すると左手に一冊の漫画が出現する。

 

――よし、帰るか

 

 零冶は飛雷神の術(ひらいしんのじゅつ)で自宅に飛んだ。そして、ザ・ワールドで時間を止めた。

 

「さてと、早速読むとするか」

 

[そうですね]

 

 

 

《クロノ・ハラオウン物語》 サイド

 

 

 闇の書救済作戦から約三ヶ月が経過した。あの作戦以来特に大きな事件は無く、新たなロストロギアの発見も無い。

 

「ふぁ~、暇だね~」

 

 エイミィは欠伸をして伸びをする。

 

「エイミィ、気を抜くな。仕事中だぞ」

 

 僕はエイミィに注意した。これが無ければエイミィは優秀なんだが……

 

「クロノ君は真面目すぎるよ。もっと柔軟に考えないとさ」

 

「君が柔らかすぎるんだよ」

 

 まったくこれだからエイミィは……まあ、いつの間にかこういうやり取りが楽しいと思いつつある。こういう穏やかな気持ちになれたのはライのおかげかな……

 

「(この二人いっつもこんな事言ってねぇか?)」

 

「(確かに……さっさと付き合っちゃえば良いのにね)」

 

「(クロノ執務官がヘタレだからしょうがない)」

 

≪(納得)≫

 

 乗組員達が何か小声で話してるな? 何を話してるんだ?

 

「(この間もエイミィから愚痴られましたよ。クロノ君が全然気持ちに気付いてくれないって)」

 

「(何であんなに鈍感なんだ?)」

 

「(周りから見てたらあんなに分かり易いのに)」

 

「(クロノ執務官だからしょうがない)」

 

≪(納得)≫

 

 何だか失礼なこと言われている気がするが、まあいい。

 

「ん? あれ?」

 

「どうした? エイミィ」

 

「いや、今一瞬レーダーに反応があった気がして……」

 

「今は?」

 

「反応なしだよ。多分誤作動かな?」

 

 確かにこの広い宇宙を探索するレーダーだからこういう誤作動は珍しく無いが……

 

「エイミィ、念のため反応があった場所を調べてくれ」

 

「え~……多分誤作動だと思うよ?」

 

「誤作動なら誤作動だと確認をするべきだ。何も無いに越したことは無い」

 

「りょ~かい」

 

「アレックス、ランディ。この周辺で異常が無いか調べてくれ」

 

「「了解」」

 

 何も無いにこしたことは無い。だが、その何かがあった時のための僕達だ。

 

 

 それからしばらく調査をしていると。

 

「レーダーに反応があった場所特定できたよ~。っとここは……えっ!?」

 

「どうした? エイミィ」

 

 レーダーの反応を探知していたエイミィが驚いたように声を上げた。

 

「えっと、レーダーの反応があった場所なんだけど」

 

「それがどうした? もったいぶってないで早く教えてくれ」

 

「第101管理外世界ランジール……」

 

「何? そこは」

 

 闇の書救済作戦で使った無人世界じゃないか

 

「やっぱり誤作動じゃないかな? あそこは人はいないし、生物らしい生物もいないんだし」

 

 エイミィの言う事も一理があるが……

 

「いや、念のため確認しよう。第101管理外世界ランジールに全速前進だ!」

 

≪了解!≫

 

 それから僕達は第101管理外世界ランジールに向けて進路を取った。そしてしばらく航行を続けていると

 

「第101管理外世界ランジールの空域に到着しました。クロノ執務官」

 

 ランディが到着した事を告げた。

 

「異常が無いか」

 

「今確認中だよ~」

 

 エイミィが既に調査済みだった。さすがだな。

 

「え~と……あれ? 魔力反応を感知しました」

 

「やはり何かあるのか? 映像を」

 

「今出します」

 

 エイミィがアースラのスクリーンに映像を出すとそこには

 

「こ、これは……一体」

 

 金髪の髪にウェーブが掛かった少女の背中から赤黒く伸びた棘のようなものが三人の少女の体を貫いている光景だった。

 

「あれは……まさか!」

 

 僕は金髪の少女に体を貫かれている少女達を見て知り合いの少女達が頭をよぎった

 

「いや、バリアジャケットや髪の色が違う……他人の空似か?」

 

 僕が考え事をしてると金髪の少女が何かを話していることに気付いた。

 

「エイミィ! 音声を!」

 

「了解!」

 

 エイミィが操作すると

 

『……なき黒い太陽……影落とす月……ゆえに、決して砕かれぬ闇。私が目覚めたら……

 あとには破壊の爪痕しか残らない』

 

 何のことを言っているか分からないな。だが、気になる事を言っていた。砕かれぬ闇……そして、この闇の書救済作戦を行った場所……まさか闇の書に関係が?

 

『ごめんなさい……さよなら……みんな』

 

 金髪の少女がそういうとガラス細工のように砕け散る三人の少女達。やはりなのは達では無いようだな

 

「クロノ君! 他の生態反応を発見!」

 

「直ぐに映像を!」

 

 エイミィがスクリーンの映像を切り替えると体に変な模様の入った灰髪の青年とライトグリーンのツインテールの女性、髪をサイドにまとめている女性が映った。さらに地面には上半身と下半身が分かれた赤髪の女性とその傍に赤髪の女性の手を取り、叫んでいる桃色の髪の女性が居た。

 

『くっ! 何て強さだ! 防御が固すぎてまったくダメージを与えられない!』

 

『(あれで出力上限、6%って言っていたよ。多分目覚めたばかりだからだと思う。

  時間を与えると手が付けられなくなるよ!)』

 

『分かってる! 行くぞ! リリィ! 銀十字!』

 

『(分かったよ)』

 

 あの少年は一人のはずなのに誰かと会話をしているようだ……まさかユニゾンデバイスか?

 

『アインハルトさん! 私達も!』

 

『分かりました。ヴィヴィオさん!』

 

『こんなところで諦めたら。零冶さんに合わせる顔が無いからな! うおおお!』

 

 そういうと灰髪の青年は右手に持つ巨大な剣で金髪の少女に切りかかる。すると金髪の少女は背中から手のようのものを出し、その剣を受け止める。ライトグリーンの女性も金髪の女性も接近し、格闘技で対抗する。

 

『やああああ!』

 

『はああ!』

 

 青年は何度も切り掛かり、女性も何度も殴り掛かるが全て金髪の少女に受け止めれる。二人ともかなりの戦闘技術だ。

 

『やああ! 覇王! 断!  空! 拳!』

 

 女性が凄まじい威力の拳を金髪の女性に叩き込んだ。しかしその一撃すら背中の翼で受け止めてしまう。

 

『くっ! やはり空中では思った以上に威力がでませんか』

 

『どいて! アインハルトさん!』

 

 サイドポニーの女性がライトグリーン女性に声を掛けると女性はその場から飛び退いた。

 

『なのはママ直伝! 一閃必中! セイクリッドブレイザー・スパイラルシュート!』

 

 あれは虹色の魔力! まさか聖王に縁があるのか彼女は! それになのはママ? 一体彼女達は何者なんだ?

 

『銀十字!』

 

 彼がそう言うと彼の持つ魔導書が輝き。

 

『エクリプスゼロ、承認』

 

 魔導書から無数のページが出力され、金髪の少女を取り囲むように包囲した。

 

『うおおお!』

 

 彼は剣を少女に向け。

 

『『ディバイドゼロ・エクリプス!(ディバイドゼロ・エクリプス!)』』

 

 巨大な砲撃魔法を放った。僕達が彼らの放った砲撃魔法に驚愕していると煙が晴れ。

 

『見たことの無い魔法だった。今のは少し……痛かった』

 

 金髪の少女が無傷で現れた。

 

「馬鹿な! あれほどの攻撃を受けて無傷だと!」

 

『クソ! 何て防御の硬さだ!』

 

『お返しです』

 

 金髪の少女は巨大な赤い槍を出現させ、

 

『エンシェント・マトリクス』

 

 それを青年に投げ付けた。

 

『くっ!』

 

 青年は片手を掲げ、防御魔法を展開し、赤い槍を受け止める。だが、

 

 

バリィーーーン

 

 

 金髪の少女が赤い槍を踏み付け、彼の防御魔法をぶち抜いた。

 

 

『がっは!』

 

『(トーマ!)』

 

 青年が槍に貫かれ、そのまま地面に激突した。そしてぐったりとする青年。その体が光ると髪の色が茶色になり、その傍に金髪の女性が現れた。

 

『トーマ! しっかりして! トーマ!』

 

 腹部から血があふれ出る青年。するとサイドポニーの女性が膝から崩れ、その場にへたり込んだ。

 

『こんなの勝てる訳無いよ……助けて……零冶さん』

 

『ヴィヴィオさん! 諦めては駄目です!』

 

 さっきの青年も言っていたが零冶とは誰だ? そう言えば、フェイトやアリシアがそんな名前を出していた気がするが……関係があるのか? いや今はそんな事気にしている場合じゃない。

 

「エイミィ! 彼らを回収してくれ! 僕が出る!」

 

「了解!」

 

 僕はデバイスを持ち、転送装置の所に移動する。

 

「クロノ君、気をつけてね」

 

 僕は彼らの所に転移した。

 

「僕は時空管理局執務官クロノ・ハラオウンだ! 戦闘行為を停止しろ!」

 

「あれはクロノ提督! でも小さい? どういうこと?」

 

「小さいって言うな! っとそれどころじゃない。君達。直ぐに撤退しろ! 君達は

 アースラで回収する!」

 

「駄目です! クロノ提督! いくらあなたでも彼女には敵いません!」

 

 提督? さっきもそうだったが彼女たちは何を言っているんだ?

 

「君達の正体は分からないが、僕には民間人を守る使命がある。大丈夫、時間を稼ぐだけだ」

 

「でも……」

 

「いいから行くんだ!」

 

「新たな危険因子を発見……排除します」

 

 金髪の女性は僕も敵を見なしたらしい。好都合だ。

 

「スティンガースナイプ!」

 

 僕は複数の魔力弾を放つと

 

「エターナルセイバー」

 

 金髪の少女は両手から赤黒い剣を出現させ、僕の魔力弾を切りつけた。

 

「甘い!」

 

 僕は魔力弾を操作し、彼女の剣を避わし、死角から彼女を攻撃する。

 

――取った!

 

 しかし、彼女の背中の翼が僕の魔力弾を防いだ。

 

「くっ! あの翼は一体何なんだ!」

 

「ヴェスパーリング」

 

 金髪の少女は大量の炎のリングを放ってきた。

 

「くっ!」

 

 僕はその攻撃を避けていく。

 

――数は多いが。全て直線的な攻撃だ。避けるのは難しくない! けど……

 

 金髪の少女は依然として大量の炎のリングを放ち続ける。

 

――数が多すぎる! 一体何時まで続くんだ!

 

『クロノ君! 全員回収したよ! クロノ君も直ぐに離脱して!』

 

「分かった! しかし」

 

 離脱しようにも彼女の放つ魔法のせいで思うように離れられない……なら!

 

「デュランダル!」

 

[OK、ボス]

 

 僕はデュランダルを展開し、

 

「凍てつけ! アイスコフィン!」

 

 氷の壁を作り、彼女の攻撃を防いだ。

 

「エイミィ!」

 

『了解!』

 

 僕はエイミィに回収するように指示を出した。しかし

 

「ジャベリンバッシュ」

 

 彼女は巨大な結晶状の槍を作り出し、それを投げ付けた。それは僕の作った氷の壁を易々と突き破り、僕に襲い掛かった。

 

「な!」

 

 僕はとっさにデュランダルで受け止めるも

 

 

バッキィーーーン

 

 

 デュランダルは音を立てて砕けた。

 

「デュランダル!」

 

「逃がしません」

 

 彼女は今度、先程の結晶の槍を無数に作り出し、放った。

 

「な! くっ!」

 

 僕はその場から移動し、その槍を避わす。さっきの炎のリングと同じで直線的だが、スピードがまるで違う! こう動き回っていては回収は無理だ。

 

『クロノ君!』

 

「……アースラ乗組員に告げる。アースラはその場から離脱しろ」

 

『クロノ君! 何言ってるの! 早くそこから逃げて!』

 

「残念だが、僕のスピードでは彼女から逃げ切ることはできない。攻撃を防ぐこともできない。

 僕を回収することは不可能だ。アースラはその場から離脱し、先程の女性達から事情を聞き、

 対策を立ててくれ」

 

 こうして会話している間も彼女から放たれる無数の槍によって僕の体に傷が付けられていく。

 

『クロノ君はどうするの!』

 

「僕はここで彼女と戦う」

 

『無茶だよ!』

 

「これは命令だ! エイミィ・リミエッタ!」

 

『ッ!』

 

「僕も伊達に執務官をやっていた訳じゃない。ただでやられたりはしないさ」

 

『……了解……しました』

 

 納得できていなさそうな声で返事をするエイミィ。

 

『クロノ執務官……ご武運を』

 

 アレックスが僕に声を掛けてきた。

 

「分かっている。後は任せた」

 

 そして、通信が切れた。

 

「さあ! 反撃開始だ!」

 

 僕は防御から一転し、攻撃に回った。しかし、彼女の防御を崩すことが結局できず、彼女が放った巨大な赤黒い槍に貫かれ、僕の意識はそこで途絶えた。

 

 

《クロノ・ハラオウン物語》 サイドエンド

 

 

 

「ふむ……」

 

 零冶は《クロノ・ハラオウン物語》を閉じるとその場で考え込んだ。

 

「ミストの予想通り、砕けぬ闇事件……GoDの内容のようだな」

 

[その様ですね。それに随分と都合の悪い未来になりそうですね。クロノ君が死んで

 しまいました]

 

「確かにクロノが死ぬのはまずいが、今の読んだ限りでは死んだという描写は無い。

 もしかしたら辛うじて生きているかもな。それより問題なのは」

 

[ヴィヴィオちゃんやトーマ君がマスターの名前を出したことですね]

 

「その通り、これだけでは未来の俺が正体を明かしているのかは不明瞭だが、少なくとも

 今は正体を明かすつもりはない。なのにアースラの映像記録に俺の名前が残るのはまずい」

 

[ですが、ヴィヴィオちゃんやトーマ君の口ぶりだとマスターが戦闘できるような印象を

 受けました。どういう訳か正体を明かしているのかもしれませんね]

 

「確かにそうだが、この時期に俺の正体がばれるのは深刻なタイムパラドックスを

 引き起こしかねない。やはり、ここは未然に防がなくてはな」

 

[では、今後の方針は……]

 

「ああ、未来から来たヴィヴィオ、アインハルト、トーマ及びリリィの口止めし、

 速やかに砕け得ぬ闇の正常化を行う」

 

[了解]

 

「ミスト、愛里に今の情報を簡潔に送っておいてくれ」

 

[分かりました。今北産業で伝えておきます]

 

「ちなみにどんな感じ?」

 

[そうですね。

  クロノ君物語

  システムU-D登場

  マスター名前バレが判明 ←今ここ

 って感じです]

 

「愛里ならそれで伝わってしまうから困る」

 

 零冶はザ・ワールドを解き、飛雷神の術(ひらいしんのじゅつ)で砕け得ぬ闇事件が起きる第101管理外世界ランジールへ転移した。




没ネタコーナーです。


虫の知らせ(シックスセンス)が発動し、打ちひしがれる零冶のシーン
 ※没ネタというより悪乗りネタ


「もうやだこの能力……」

――≪これは大分まいってますね≫

 声のトーンが一段と低い零冶を見てミストと愛里は心の中で思った。零冶はソーサーにコーヒーカップを乗せ、テーブルの上に置いた。そしてしばらく目を瞑った。

「ふざけるな……」

[マスター?]

「何で俺ばかりこんな目に遭わなければならないんだ……俺が何をした……
 俺はただ平穏に暮らしたいだけなのに……ふざけるな……ふざけるな!」

「零冶さん?」

「こんな世界ならいっそ……そうだ。間違っていたのは俺じゃない。世界の方だ!」

 零冶は神の遊戯(キャラクターメイキング)を出現させ、それを操作していく。

[マスター? 一体何を?]

 零冶は新たに念能力(レアスキル)を作った

 33、世界の破壊と創造(リバイバル・ワールド)
  系統:特質系
  説明:能力者の思い通りに世界の破壊及び、創造が出来る能力。

「さあ……世界を作り変えよう……俺が神だ!」




はい。没ですね。分かります。零冶の悪落ちエンドとかシャレになりません。
ですが、こういうぶっ飛んだ感じは嫌いじゃない。自分がいる……




②クロノが第101管理外世界ランジールへの移動を指示する時

「やっぱり誤作動じゃないかな? あそこは人はいないし、生物らしい生物もいないんだし」

 エイミィの言う事も一理があるが……

「いや、念のため確認しよう。第101管理外世界ランジールに全速前進DA!」

≪了解! 社長!≫

「誰が社長だ!」

ヽ(*゚д゚)ノカイバー



はい、没ですね。ギャグシーンではないので



って感じです。では

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