原作を放って置くとバッドエンドになるんですが、どうしたら良いですか?   作:月の光

43 / 55
更新が遅くなり申し訳ありません。
しかも夜も遅いため、誤字脱字チェックが十分じゃないので
いっぱいあるかもしれません。

本来はもっとチェックしてから上げるべきなのですが、
時間がないので、また後でチェックします。
皆さんもよろしければご指摘いただけると幸いです。

そして、話がまだ終りませんでした。
書いても書いてもこの話が終わらない……
どうしてこんなに長くなってるんだ?

何回書いても♪何回書いても♪この話がおわら~ないよ~♪

2015/7/12 追記
 誤字脱字チェックをしました。これでも残っているなら見落としです。
 それとはやてとヴィータのヴィータの口調を修正しました。らしくない気がしたので。
 それと最後の零冶サイドも2、3行程度、追記しています。
 念能力紹介も書きました。良かったら見てください。


42_ミスト『ガンバ!』零冶『うわぁ他人事だな~』

 葵達は零冶の尾行を止め、皆でお茶をするため、翠屋に向かって歩き始めた。

 

「そういえば……月無はどこ言ったのかしら?」

 

 ふとアリサは疑問に思ったことを口にした。

 

「そういえばそうやね。もう見えへんようになってしもうたわ」

 

 はやても気になり、零冶が歩いていった方向を見るが、既に零冶の姿は見えなくなっていた。

 

「もう尾行する訳じゃないんだから、別に良いでしょ」

 

 葵はアリサとはやてに言った。

 

「そうだよ。もう気にしなくていいと思うの」

 

「うんうん、また葵が暴走しちゃ困るし」

 

「うっ! わ、悪かったわよ。でもそもそもはやてとアリシアが悪乗りしたもの悪いのよ?

 私は最初乗り気じゃなかったんだから」

 

 アリシアに指摘され、言い訳する葵。

 

「それについてはすまんかったと思っとるわ」

 

「反省してま~す」

 

「姉さん。本当に反省してるの?」

 

 葵に言われたはやてとアリシアは素直に謝った。

 

「でもな~、月無君の素顔は結局分からず終いか~」

 

 アリシアは残念そうに愚痴をこぼした。

 

「そやね~。そういえば、ヴィータは月無君の素顔知っとるんか?」

 

 はやてはアリシアの意見に同意しながら、ヴィータに聞いた。

 

「あ? 何だ。零冶の素顔って」

 

「あの眼鏡を外した顔のことや。ヴィータは見たことないんか?」

 

「いや、見たことないなぁ。あんま興味もねぇし」

 

「そうなんか? 噂ではかなりのイケメンらしいんやけど」

 

「何だ? その噂って」

 

「葵ちゃんとアリサちゃんとすずかちゃんからの情報や」

 

「この三人が言ってるなら噂じゃなくて事実なんじゃないの?」

 

「そやけど、見てみたいやん? ヴィータは何で興味ないん?」

 

「別に見た目がどうだろうと零冶は零冶だよ。あたしの好きな零冶がどんな見た目だろうと

 関係ないよ」

 

「す、凄いね。こんなに素直に好きって言えるなんて……」

 

 はやてとヴィータのやり取りを見て少し顔を赤くするすずか。

 

「葵、アンタももっと素直にならないとヴィータに負けるわよ」

 

「だ、大丈夫よ。私ももっと素直になるって決めたんだから」

 

「頑張って葵ちゃん」

 

 葵達はそんな会話をしながら、翠屋へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 零冶は翠屋へ行くために商店街を通り抜け、駅方面へと向かっていった。

 

『大分葵達との距離が離れたな』

 

『そうですね。何だかヴィータちゃんが合流した当たりで立ち止まっていたようですが……』

 

『大方、俺との知り合いだったことに対して質問してたんだろ』

 

『あれ? 会話の内容を聞いていたのでは? 尾行を止めたって言ってたじゃないですか』

 

『いや、会話の内容は聞いてない。あくまで雰囲気から察しただけだ』

 

『マスターの化け物じみた聴覚なら聞けたのではないですか?』

 

『確かに聞くことはできるが、何故その会話の内容を知っているのか? とボロが出てはまずい

 からな。知らないほうが良い』

 

『なるほど。ではどうやって葵ちゃん達が翠屋に行くと分かったんですか?』

 

『なんとなくだな。直感とも言えるが……今日の感じだとどうせそうなるだろうと思ってな』

 

『納得しました。マスターの勘は当たりますからね。悪いほうには特に』

 

『本当に嫌な才能だよ……ん?』

 

 零冶は何かに気付き目にオーラを集め、凝をしながら進行方向を見た。

 

『……はぁ、本当に今日は厄日だな』

 

『どうかしました? マスター』

 

『ああ、この先に約100メートル先に三人の男に絡まれてる女性がいる』

 

『え? 本当ですか?』

 

『ああ、サーチャでも飛ばして見たらどうだ』

 

『では、早速』

 

 零冶に言われたミストはステルス全開で前方にサーチャーを飛ばした。

 

『…………ああ、本当ですね。ナンパですか?』

 

『おそらくな。だが……』

 

 零冶は聴覚を強化し、前方の三人の男に絡まれている女性の会話を聞いた。

 

「いいじゃん。ちょっと俺達と遊ぼうぜ」

 

「そーそー、きっと楽しいからさー」

 

「え、遠慮します。私、人と待ち合わせしてるので」

 

「えー誰々。男? 俺達の方が楽しませられるって……色々とさ」

 

「や、止めて下さい」

 

 男達は断る女性に関係なく、しつこく絡み続ける。

 

『かなり強引だな』

 

『どうするのですか?』

 

『もちろん助けるさ』

 

『よろしいので? たぶん、葵ちゃん達に目撃されますよ?』

 

『構わない。女子供や老人でも十分渡り合える戦い方をすれば良いだけだ。それなら変に

 疑われることは無いだろ』

 

『なるほど。ガンバ!』

 

『うわぁ他人事だな~』

 

『実際私には見てるしかできませんし。しかし、わざわざ助ける必要があるのですか?』

 

『困っている人がいるなら助けるのは当然のことだ』

 

『そんなだから一級フラグ建築士って言われるんですよ』

 

『そんなこと言っているのはお前だけだ。それにどうせ見捨てようとしたら虫の知らせ(シックスセンス)

 発動して結局助けることになるのがオチだ』

 

『先にオチを言うなんて一流とは言えませんよ?』

 

『俺はエンターティナーじゃないんでな。どうでも良い』

 

『それに虫の知らせ(シックスセンス)が発動すると決まった訳じゃないでしょう?』

 

『確かにそうだが……どうせ発動すると思うぞ? 試してみるか?』

 

『試すってどうやってです? 本気で助けないって思わないと……ああ、なるほど』

 

『お察しの通りだ』

 

 零冶は進行方向に歩きながら右手に管理者の鍵(マスターキー)を隠で見えなくしがら具現化する。それを自分の胸に突き刺した。

 

「ギアスキャンセラーを封印(ロック)」ボソ

 

 零冶は周りに聞こえないように小声で呟いた。その後、左手を懐に入れ、王の財宝(ゲートオブバビロン)から鏡を取り出した。そして、絶対遵守(ギアス)を発動させた。

 

 絶対遵守(ギアス)は光情報なので、鏡で反射し、自分自身に命令を遵守させることが可能。

 

『後は自分に《あの女性を全力で見逃せ》と命令すれば良い』

 

『全力は要らないでしょ』

 

『気分だよ気分』

 

 零冶は鏡に自分の顔を映し、命令するため、口を開いたその瞬間。

 

 

ピキィーーーーン

 

 

 虫の知らせ(シックスセンス)が発動した。

 

『ほらな』

 

『やっぱり発動しましたか?』

 

『ああ、どの道俺はあの女性を助ける以外の選択肢は無かったってことだ』

 

 零冶は鏡を懐にしまうフリをして王の財宝(ゲートオブバビロン)に収めた。そして右手に持った管理者の鍵(マスターキー)を自分に突き刺した。

 

「ギアスキャンセラーを解除(アンロック)」ボソ

 

 ギアスキャンセラーの封印を解除した。

 

『それではマスター、改めまして。ガンバ!』

 

『リリカルマジカルがんばります!』

 

『うわぁ……』

 

『本気で引くなよぅ……』

 

 零冶が歩きながらミストと念話をし、絡まれている女性へと歩を進め。その距離が20メートルを切ったその瞬間。

 

 

ピキィーーーーン

 

 

 再び虫の知らせ(シックスセンス)が発動した。

 

――何ぃ!? どういうことだ! 何故虫の知らせ(シックスセンス)が発動した! いや落ち着け俺!

  れっれれれれ冷静になれ! ここは冷静になって時間を稼ぐんだ!

 

 零冶は栄光の手袋(グロリアスハンド)時の支配者(クロックマスター)のコンボで時間を止めた。そして世界から音が消えた。

 

『あれ? マスター、もしかしてザ・ワールドを使ったのですか? だったらあのセリフを

 言わないと ザ! ワールド! 時よ止まれぇぇいぃ! って』

 

「どういうことだ? 何故虫の知らせ(シックスセンス)が発動した? 見捨てると言う手順の方に抜けがあったか?

 いや、ギアスキャンセラーは封印したし、絶対遵守(ギアス)が自分に使えるのは実証済みだ。

 同じ対象に二回使えることも実証済み。そもそも俺はギアスキャンセラーで自分への命令は

 除念済みだ。それなら見捨てると言う手順に洩れはない。では何故助けようとして

 虫の知らせ(シックスセンス)が発動した? ……あれ? これ詰んだ? なぁにこれぇ」

 

[マスター、もしかしなくても虫の知らせ(シックスセンス)が?]

 

「ああ、助けようとしたのに発動したよ……」

 

[なんて言うか……ご愁傷様です]

 

「あァァァんまりだァァアァ」

 

[遊んでないで対策を考えましょう]

 

「そうだな。だが何が起きるのか検討が付かない以上、対策のしようも無い」

 

[あの女性が関係しているのでは?]

 

「あの見ず知らずの女性がか? あり得ないだろ……俺との接点はまったく無いのに」

 

[もしかしたら将来のハーレム要員なのかも知れないですよ? あの女性かなり容姿はいいです。

 絹のように柔らかい黒髪でロングストレート。雪のように白い肌。顔も整っていて。スタイルも

 出るところは出ていて。腰も細い。素晴らしい!? マスターのハーレム要員に相応しい!]

 

「なら、俺の未来にまったく影響は無いってことだな。俺はハーレムなんて作るつもりは無い。

 もしここであの女性が死ぬ事になるなら寧ろ俺に取って都合の良い未来ってことだ」

 

[冗談ですって]

 

「遊んでないで言ったお前だろ、ミスト。それにあの女性は彼氏持ちだ。あそこの野次馬に

 混じってそわそわしている様子の男が居るだろ? あれがあの女性の彼氏だ」

 

[マジですか? あの冴えない男が? まあ趣味が人それぞれですけど。でも私はあそこで

 颯爽と現れない彼氏は嫌ですね。少しはマスターを見習って欲しいです]

 

「助けに行けないことになったけどな」

 

[それはそうですが、一体誰が関わってくるのでしょうか?]

 

「俺の予想では葵かヴィータだな」

 

[その心は?]

 

「零冶である俺と関わりが強く、この近くにいるからだ」

 

[その二人がマスターの気になる異性だからではなく?]

 

「無いな。ヴィータは年齢的に問題無いが、異性としては見れない。葵は可愛いが幼すぎる。

 精神年齢的に娘か妹くらいにしか見れないな。それに俺はロリコンじゃないんだ」

 

[ロリコンは皆そう言うんですよ?]

 

「ならロリコンじゃない人は何て言うんだ?」

 

[イエスロリータ! ノータッチ!]

 

「それロリコン代表のセリフな。どうしてお前は俺にそういうのを求めるんだ?」

 

[私はマスターに幸せになってもらいたいんですよ。前世でもいつも一人、今も一人。

 ボッチのマスターに友達なり、恋人を作ってもらって幸せに……]

 

「お前は俺のお母さんか?」

 

[……家族ですから]

 

「……ふぅ、分かった。考えておくよ。家族のお願いだからな」

 

[ありがとうございます。マイマスター。それでは葵ちゃんかヴィータちゃんが関わってくると

 想定して動きますか?]

 

「ああ、そうだな。二人の中でも葵が有力候補だな。今度の日曜に読者モデルの撮影がある」

 

[私もそう思います]

 

「なら、葵の未来漫画(フューチャリングコミック)を作るとして……問題は」

 

[どうやって作るか……ですね]

 

「ああ、このザ・ワールドでは片手が埋まっているから未来漫画(フューチャリングコミック)を作れない」

 

 未来漫画(フューチャリングコミック)は対象に手で触れて、空いた手に漫画を具現化する能力。栄光の手袋(グロリアスハンド)で時間を掴んでいるため、片手が使えないからだ。

 

「それにこのザ・ワールドは触れた対象の時間も動き出してしまう」

 

[そうですね。だから私は話せる訳ですし]

 

「そうだ。未来漫画(フューチャリングコミック)は対象に気付かれずに具現化しなければならない制約がある。

 葵に触れた瞬間、彼女の時間が動き出し、時間の止まったこの世界を見られてしまう」

 

[どうであれ、ザ・ワールドは解かないといけませんね。かと言ってこんな人目があるところで

 神の不在証明(パーフェクトプラン)は使えませんし]

 

「ああ、最悪葵達に俺が消える瞬間を見られるだろうな」

 

絶対停止(ギアス)飛雷神の陣(ひらいしんのじん)のコンボはどうですか?]

 

「こんなに車が走行しているところで体内時間の止まる絶対停止(ギアス)を使ったら大事故になる。

 例え、一秒に満たない時間だとしても危険だ」

 

[葵ちゃん達だけを円で包むとかでは?]

 

「それもダメだ。一瞬体内時間が止まるってことは目に映っている光景。例えば車などが少し、

 瞬間移動したようになるし、葵達のところに一瞬俺が出現するところを誰かに見られかねない。

 更に言うと運悪く葵達がいる場所はあそこのビルの監視カメラに映っている」

 

 零冶は向かいの道路を挟んだ先のビルを指差した。

 

[まさに八宝菜ですね]

 

「八方塞な。この状況を美味しそうに言うな」

 

[すみません。困っているマスターが私的に美味しい展開……ごほん、何でもありません。

 そうだ。愛里に頼んで今夜は八宝菜にしてもらいましょうよ]

 

「お前は食えないだろう。そんな事言っても前半部分は消えないからね」

 

[大丈夫です。シュミュレーターで味を再現しますから]

 

「だったら今食えば?」

 

[家族の団欒。これ大事]

 

「はいはい、話を戻すぞ?」

 

[はい、どうぞ]

 

「俺が困っている状況が美味しい展開ってどゆこと?」

 

[あっ、そっちに戻すんですね。すみません、つい本音が]

 

「それも失言だろ! もういいや。気は進まないがあれをやろう」

 

[あれって?]

 

「まあ見てろ。見れるものならな」

 

 ミストにそう言い残し、零冶はザ・ワールドを解いた。そして、その場に立ち止まり、目を瞑った。零冶はそのまま数秒立ち尽くしていた。ずっと後ろにいる葵達も歩を進めていたため、その数秒で零冶を視認できるまで近づいていた。

 

「あれ? あれって月無君?」

 

「え? どこ?」

 

 それに気付いたすずかがそう言うと葵がすずかに聞いた。その瞬間、零冶は目を見開いた。

 

「ほら、あそこの人だか――」

 

――神速! レベル3!

 

 その瞬間、零冶以外の時間が止まった。いや正確には時間は止まっていないが。

 

 神速。高町家の剣士が使う御神流奥義の歩法。自分の脳のリミッターを外し、認識速度を極端に高め、常人を超える速度での状況判断、攻撃、移動を可能とする。

 

 視界は白黒に染まり、自らの動作もスローモーションのように感じられる。しかし、ゆっくりになった世界を動く事で常人からはかき消えるようになるため、視認することすらできない。

 

 しかし、脳や肉体に多大な負荷が掛かるため、長時間の使用や連続使用は難しい。

 

 零冶はその欠点を強化系の能力によって脳や肉体のダメージを回復しながら動く事で常時神速状態で動けるように改良した。それが神速レベル2。

 

 その神速レベル2を強化系能力で更に認識速度を強化することで、もはや止まった世界を動く事が出来るようにした改良をした。それが神速レベル3である。言うなればスタープラチナ・ザ・ワールドと同じ原理である。

 

 零冶はその止まった世界で神の不在証明(パーフェクトプラン)を発動させ、姿を消した。更に足の裏にオーラをため、それを放出することで高速移動をする瞬歩で地面に落ちている木の葉を拾いつつ、道路を挟んだ反対側のビルの監視カメラのところに移動し、レンズの前に木の葉を設置し、葵達の姿を隠した。

 

 その後、更に瞬歩で葵の後ろに回り、葵の肩に優しく右手を乗せ、能力を発動させる。

 

――未来漫画(フューチャリングコミック) 発動

 

 すると空いた左手に一冊の漫画が出現する。それを隠で見えないようにし、再び瞬歩で元に居た場所に戻り、神速レベル3を解いた。そして零冶以外の時間が動き出した。

 

「――りにいるよ」

 

「……本当だ。どうしたんだろう?」

 

 動き出した世界ですずかの言葉が続いた。その言葉に反応する葵。

 

「何かあったのかしら? 駅前にあんな人だかりが出来るなんて」

 

「芸能人でも居たんや無い?」

 

 アリサとはやても疑問に思い、人だかりを見た。

 

「だったらもっと盛り上がってると思うけど……」

 

「月無君も人だかりの中心を見てるみたいだね」

 

 はやての言った事に疑問に思ったなのはが言うと、フェイトがそれに続いた。

 

「まあ、行けば分かるだろ」

 

「そだね~」

 

 ヴィータがそう言うと、アリシアが同意する。

 

 零冶は再び、栄光の手袋(グロリアスハンド)時の支配者(クロックマスター)で本当に時間を止める。

 

「……ふぅ。上手く行ったな」

 

『あれ? マスター、もしかしてまたザ・ワールドを使ったのですか?』

 

「ああ、だから念話じゃなくていいぞ?」

 

[どうかしたんですか? 何か問題でも?]

 

「いや、この通り葵の未来漫画(フューチャリングコミック)を作ったから読もうと思ってな」

 

 零冶は隠で見えなくしていた《桜羽 葵物語》の隠を解き、それをミストに見せた。

 

[……何時の間に? もしかして私の知らない能力が?]

 

「念能力とは少し違うが似たようなものだ。そう言えばお前にはまだ教えてなかったな」

 

 零冶はさっきやったことミストに説明した。

 

[……何に素でザ・ワールドを使ってるんですか? 本当にバグチートじゃないですかやだー]

 

「そう言うなって。神速って便利そうだから覚えたんだ。原理さえ分かれば再現はさほど

 難しくない」

 

[奥義を難しくないとか……士郎さんや恭也さんが泣きますよ?]

 

「ばれなきゃ良いんだよ。それに欠点が無い訳じゃない。流石に今の零冶のリミッターを掛けた

 ステータスでは体感時間で2秒が限界だ。それに使った後の疲労感がハンパ無いんだよ。

 だから嫌だったんだ」

 

[これだからバグチートは……ちなみにライのステータスではどれほどですか?]

 

「ライなら約1分だな。オーラ量が零冶より多い分、強化系の回復力が大きくなるからな」

 

[1分って……DIO様が泣きますね。聞きたくありませんが、全リミッターを外した場合は?]

 

「ほぼ無限だ。オーラ量EXの場合高速自動回復(リジェネレーション)で完全にペイできた」

 

[どう見ても完全なバグです。本当にありがとうございました]

 

「いいだろ別に、全リミッター解除なんてやるつもりないし。そんなことより早速読むぞ」

 

[そうですね。早速読みましょう。バグッター。あっ間違えました。マスター]

 

「俺の心がブロークンサンダー」

 

 

 

《桜羽 葵物語》 サイド

 

 私達が翠屋に向かって駅方面に歩いていると先の方にちょっとした人だかりが出来ていた。そこには私の初恋の人、月無 零冶君も居てその人だかりの中心の方を見ているようだった。しばらく私達は歩を進め、人だかりに近づいて行くと零冶君がその人だかりの中に入っていった。

 

「あれ? 月無君があの人だかりの中に入っていったよ?」

 

 それに気付いたすずかが言ってきた。

 

「そうね。どうしたのかしら?」

 

 アリサがすずかの言葉に返した。確かに気になるわ。あの人だかりは何なのかしら?

 

「何か嫌な予感がする……」

 

 するとヴィータが深刻そうな顔で言った。

 

「どういうことや? ヴィータ」

 

「何か……勘っつうか、こう……胸騒ぎがする感じだ。まるで戦場に出ている時見てぇな……」

 

 何よそれ、まさか零冶君に何かあるんじゃ……

 

「……急いで行こう」

 

「うん、皆走るよ~」

 

 フェイトとアリシアがそう言うと私達は一斉に走り出した。

 

「え? み、皆~待ってよ~」

 

 なのはを置き去りにして

 

 

 そして人だかりの所まで来た私達が見たものは

 

「あ? 何だこのガキ」

 

「おいおい、僕ちゃん邪魔しないでもらえるかな? 俺達この女の人と大事な話してるんだ」

 

「お家に帰ってお寝んねな」

 

 そうってギャハハと笑う男達。その傍には一人の女性が居て男達はその女性を取り囲むようにして立っていた。そして女性と男達の間に立っている零冶君が居た。

 

「あれってもしかしてナンパかしら?」

 

 アリサがその様子に気付いて言った。

 

「そんな感じやな。まさかとは思うけど……」

 

「うん、月無君が見かねて助けに行ったのかな?」

 

「あの馬鹿! いくら何でも無謀だろ!」

 

 はやて、すずか、ヴィータが零冶君の行動を予想した。ヴィータの言う通りだ。子供じゃ大人に勝てる訳がない。ましてやそれが三人なんて……

 

「……けなきゃ」

 

「アオイ?」

 

「助けなきゃ!」

 

 私は胸ポケットにある青い宝石のサファイアを取り出し、デバイスを展開しようとする。

 

「ちょっと! 葵、落ち着いて! それは流石に不味いって!」

 

 そんな私をアリシアが止めてくる。

 

「止めないで! 零冶君を助けないと!」

 

「落ち着いて! 葵ちゃん!」

 

 私がアリシアを振り切ろうとするとすずかが私の腕を掴んで止めた。すずかは見た目からは想像も出来ないほど力が強いため、私は動けなくなった。

 

「すずか! 離しなさい!」

 

「はぁ……はぁ……やっと追いついたの……ってあれ? これどういう状況なの?」

 

 私達がそんなやり取りをしていると遅れていたなのはが私達に追いついた。すると

 

「男三人で一人の女性を寄って集って無理やり誘うのはどうかと思いますよ? 大人として

 恥ずかしくないんですか?」

 

「あ゛? 何だこのクソガキ」

 

 零冶君が男達に向かって言い放った。その言葉を聞き、三人の男達の雰囲気が変わった。

 

「僕、私のことは良いからあっちに行ってなさい。私は大丈夫だから」

 

「てめぇ、ガキだからっていい気になるなよ。痛い目に会いたくなかったらすっこんでろ」

 

「お断りします。あなた達のような腐った大人の言う事は聞きたくありません」

 

 零冶君は更に男達を挑発するような事を言った。それを聞き、男達は明らかに怒っている。零冶君はそんな男達を他所に眼鏡を外して眼鏡ケースにしまうとそれを鞄にしまった。

 

「あの馬鹿! 何であんな挑発するようなこと言ってんだ!」

 

 その様子を見ていたヴィータが怒ったように言った。

 

「ど、どうしよう。私達が行っても大して役に立たないし」

 

「そ、そうなの! お父さん達に電話して来てもらうの!」

 

 フェイトが焦ったように言い、なのはが気付いたように言った。

 

「そうね。士郎さんや恭也さんならあの男達を追っ払えるわ。なのはは直ぐに士郎さん達に連絡!

 すずかはそのまま葵を抑えて置きなさい」

 

 アリサがなのはとすずかに指示を出した。なのはは携帯を鞄から取り出し、電話を掛けた。

 

 

プルルルルル! ガチャ

 

 

『はい、喫茶店 翠屋です』

 

「あっ! お父さん!」

 

『なのは? どうしたんだ?』

 

「あのねお父さん! 今駅前で月無君がナンパで女の人が困って男の人が三人なの!」

 

「なのは! 落ち着きなさい! 言っている事が意味不明よ!」

 

 なのはの意味不明な状況説明にツッコミを入れるアリサ。

 

『なるほど。駅前で女性が三人の男にナンパされて困っているところに零冶君が助けに

 行ったんだね』

 

「そうなの!」

 

≪まさか今ので伝わったの!?≫

 

『分かった。直ぐに行く』

 

 

ガチャ

 

 

「お父さん直ぐ来てくれるって」

 

「さ、流石は士郎さん……今の説明で分かるなんて……」

 

 私達が士郎さんのことに驚いていると

 

「どうやら、痛い目に会わねぇと分かんねぇ見てぇだな」

 

 一人の男が零冶君に掴みかかった。

 

「なのは! 士郎さんはまだなの!」

 

「さ、流石にお父さんでもそんなに早くは無理だと思うの……」

 

 私は頭では分かっていても今の向け様の無い憤りをなのはにぶつけてしまった。そして、零冶君の方を見ると男の手が零冶君に迫っていた。そして

 

≪え?≫

 

 信じられない光景を目にした。

 

「……は?」

 

 大の大人である男が宙に舞った後、

 

「ぐぇ!」

 

 地面に叩き付けられた。何? 何が起きたの? あまりの光景に私達だけなく、そこに居た人たち全員がポカンとしていた。

 

「……は!? て、てめぇ何しやがった!」

 

 意識を取り戻した男が零冶君に問い掛けながら、再び零冶君に向かって移動し、右手で掴みかかった。すると零冶君はその右手に添うように両手でそっと触れるとその男もまるで何かに吸い込まれるように零冶君を素通りし、宙に舞い、さっきの男の人の上に叩き付けられた。

 

「「ぐぇ!」」

 

 再び、信じられない光景を目にした私達はポカンとするしかなかった。あ、ありのまま今起こったことを話すわ。男が零冶君に襲い掛かったと思ったらいつの間にか宙を舞い、地面に叩き付けられた。な、何を言っているのか分からないと思うけど、私も何が起こったのか分からないわ。

 

「あれってもしかして合気道かしら?」

 

 アリサが零冶君の起こした摩訶不思議現象を見て言った。

 

「愛起動?」

 

 アリサが言ったことにアリシアが反応した。

 

「合気道よ。何を起動させるのよ」

 

「もちろん、愛だよ。愛」

 

「何よ愛って」

 

「躊躇わないことさ!」

 

 アリサとアリシアが漫才のようなやり取りをし、アリシアがサムズアップして答えた。

 

「あんたはちょっと躊躇いなさいよ。合気道って言うのは日本の伝統武術のことよ。私も護身術

 を習う一環でちょっとかじったのよ」

 

「そうなんだ。どんな武術なの?」

 

 今度はフェイトがアリサに聞いた。

 

「かじったって言っても私には出来なかったけどね。確か相手の呼吸を読んで相手の力を利用

 して相手を投げ飛ばしたりするのよ」

 

「ほうほう……つまりどうゆうことだってばよ?」

 

 今度ははやてがアリサに聞いた。

 

「だから言ったでしょ。私には出来なかったって。私にも分からないわよ。聞いた話では

 習得すれば子供や女性、お年寄りでも十分戦えるようになるって言ってたわ」

 

「へぇ~そうなんだ~」

 

 アリサの説明を聞いてアリシアが相槌を打った。

 

「……なるほど、そういうことか」

 

 するとヴィータが納得したように頷いていた。

 

「ヴィータちゃん、分かるの?」

 

 そんなヴィータを見てなのはが聞いた。流石、戦闘のプロね。

 

「ああ、例えばさっきの男が零冶を掴みかかるのに前に移動して、腕を零冶に突き出しただろ?

 零冶から見れば、その時の力の向きは自分に向かって来ている訳だ」

 

 皆がヴィータの説明に耳を傾けている。

 

「零冶はそこでその手を取って引っ張れば相手の押す力に零冶の引く力が加わって簡単に

 投げ飛ばせる訳だ」

 

「でもそんなに簡単に出来るものなの? それに急に引っ張られたら逆に抵抗しようとして

 後ろに下がるんじゃ……」

 

 ヴィータの説明にフェイトが聞いた。確かに普通はそうなるわよね。もしそうなったら子供じゃ大人の力に勝てないと思うけど。

 

「そこで相手の呼吸を読むってことだ。相手が引こうとしたら今度は零冶が押してやると

 今度は相手が引く力に零冶の押す力が加わる。すると相手はバランスを崩さないために

 今度は前に行こうとする。そこですかさず引けばまた、押す力に引く力が加わる」

 

「なるほど、相手の力を利用するってそういうことだったのね」

 

 ヴィータがフェイトの質問に答えるとアリサが納得したように頷いた。

 

「口で言うのは簡単だけどな、相手の呼吸を読むなんて容易じゃねぇ。よっぽど訓練しねぇと

 無理だぞ? あたしだってやれって言われて直ぐ出来るようなもんじゃねぇな」

 

「ヴィータが言うなら間違いないやろね」

 

 ヴィータの補足にはやてが言った。

 

「それじゃ、何で月無君は出来るのかな?」

 

「さあな、それはあいつに聞かねぇと分かんねぇよ」

 

 なのはがヴィータに聞いたが、当然ヴィータにも分からなかった。零冶君……あなたは一体何者なの?

 

「葵ちゃん、月無君って凄いね」

 

「ええ、そうね」

 

 容姿端麗、頭脳明晰、運動も武術も出来る。そして、困っている人を躊躇無く助ける事が出来る優しさも持っている……もう、私なんかじゃ吊り合わないかもしれない。でも……それでもやっぱり諦められないよ。だってこんなに好きなんだもん。

 

「この……クソガキが! 調子に乗るなよ!」

 

 私達がそんな話をしていると、何が起きたか分かっていなかった三人目の男が零冶君に向かって言い放つと懐に手を入れ、バタフライナイフを取り出した。

 

「ナ、ナイフ!」

 

「あれはヤバイじゃないの!」

 

 それに気付いたすずかやアリサが言った。すずかが驚いたせいか力が緩んだ。私はその隙にすずかの手から逃れ、野球ボールくらいの大きさの魔力弾を作った。

 

「アイスエッジ!」

 

「あっ! こら葵!」

 

 止めるアリサを他所に魔力弾を男の持つナイフに向かって放った。

 

 

バシン!

 

 

「痛って!? 誰だ! ごらぁ!」

 

 男は辺りを見回した。その隙に零冶君は男に急接近し、男の左手を取った。すると再び、合気道で男を投げ飛ばした。男はその場で宙を舞い、二、三回転くらいした後、背中から地面に叩き付けられた。

 

「がっは!」

 

 そして、動かなくなった。その場には一人の子供と大人の女性が立ち尽くしており、男三人が地面に伏せている奇妙な光景があった。そして最初に投げ飛ばされた男と二人目の男は起き上がり、最後に投げ飛ばされた男を抱えると

 

「ちくしょ~! 覚えてろよ~」

 

 などと定番なセリフを残して、その場を去っていった。そしてしばらくの沈黙の後、その場に歓喜の声が響き渡った。

 

「すげぇぇぇ!」

 

「何だあの子供は!」

 

「僕~カッコ良かったわよー!」

 

「素敵! 抱いて!」

 

 そんな歓声が上がった。ちょっと最後の人の言葉は聞き捨てならないわね。そんな歓声の中、零冶君は女性に近づいていった。

 

「大丈夫ですか? お姉さん」

 

「え、ええ。大丈夫よ。僕も怪我はない?」

 

「はい、大丈夫です。ん? お姉さん、ちょっと屈んでもらえますか?」

 

「ええ、どうしたのかしら?」

 

 零冶君に言われた女性は腰を曲げ、零冶君と同じ位の目線になった。すると零冶君はポケットからハンカチを取り出し、女性の目元をハンカチで拭った。

 

「折角の綺麗なお顔が台無しですよ」

 

 そんなセリフと共に一陣の風が吹き、零冶君の前髪を押し上げた。その前髪の下にはあの日見たとても整った顔と優しく微笑む笑顔があった。そんなセリフを言われた女性は顔を紅潮させ、わたわたと目に見えて慌てていた。

 

「まさかとは思うけどあの女の人、月無に惚れたりしてないわよね?」

 

 そんな様子も見ていたアリサが恐ろしい事を言った。

 

「ま、まさか~。いくら何でも年の差が……」

 

「でも、それを言ったら私達もライと相当年が離れている気が……」

 

 アリサの言葉にアリシアとフェイトが言った。

 

「た、確かにそうだけど……」

 

「ま、まあ。ピンチの時に颯爽と現れて、最後にあんなセリフ言われたら惚れてまうかも

 しれんけど……」

 

 フェイトの指摘に動揺するなのはとはやて。

 

「…………」

 

 すると無言で立ち尽くすヴィータが居た。

 

「ヴィータ? どうしたの?」

 

 私はヴィータに話しかけた。

 

「……はっ! あ、ああ。葵か……いや別のその」

 

「どうしたんや? ヴィータ」

 

「その……零冶の顔ってあんなにカッコ良かったんだなって思って……」

 

 ヴィータはそう言い、両手の一指し指でツンツンとしながら、顔をほんのり赤くする。

 

「ああ、そうなんや。一瞬だったから私には良くは見えへんかったけど」

 

 どうやら戦闘のプロであるヴィータにはあの一瞬でもよく顔が見えたらしい。これでヴィータは完全に落ちたわね。更にあの女性までライバルに加わるっていうの? 壁は高いわね。そんな話をしていると士郎さんがやって来た。

 

「あれ? これはどういう状況だい?」

 

 士郎さんは零冶君に近づき、零冶君に聞いた。

 

「あ、士郎さん。お久しぶりです。どうしたんですか?」

 

「うん、久しぶり。実はなのはから駅前で女性が男三人に絡まれているところに零冶君が助けに

 行ったで聞いたから急いで来たんだ」

 

 今の話を聞く限りではあのなのはの意味不明に説明を本当に理解していたみたいね。凄いです士郎さん。

 

「そうですか、一応僕が追い払いましたけど……随分早いですね。ここからまだ500メートル

 くらい離れてたと思いますけど」

 

「そうなのかい? 凄いね。まさか君がそこまで強かった何て知らなかったよ。それに結局

 間に合わなかったから意味が無かったけどね。申し訳ない」

 

「お気になさらず、それに一応護身術として合気道を習っていましたから、それで何とか」

 

「ほう、中々渋いね。どうだい? 今度僕と手合せでも」

 

「ご冗談を。護身術は自分や他人を守る技能ですよ? 自ら戦いに挑むのは護身術とは

 言いません」

 

「ははは、その通りだね」

 

 そんな会話をしながら、零冶君は鞄から眼鏡を取り出し、掛けた。

 

「それじゃ、僕は行きますね。お気を付けて」

 

 零冶君は女性に声を掛け、歩き出した。

 

「あ、あの! 僕、名前を聞いても良いかな?」

 

 女性は零冶君を引き止め、零冶君は立ち止まって振り返った。

 

「月無 零冶です。それじゃ、綺麗なお姉さん。恋人さんと仲良くして下さいね」

 

 そう言い残し、零冶君は去っていった。というか、あの人恋人が居たのね。良かったわ、ライバルは増えないみたい。そうして人だかりも徐々に居なくなり、一人の男性が女性に近づいていった。その後少し口論になったようだけど。男の人が一生懸命謝っていた。その後二人は仲良く手を繋ぎ、街中に消えていった。

 

「本当に恋人が居た見たいね」

 

「そうだね。どうして月無君は知ってたのかな?」

 

 その様子を見ていたアリサが言った後、なのはが疑問を言った。

 

「あの男の人、さっきの人だかりに居たような気がする」

 

 すずかがさっきの人だかりであの恋人の男性を見たらしい。

 

「ホンマか? だからあそこで口論になったんか。月無君はそれで恋人持ちって分かったんやな」

 

「情けない男ね。よくあの女の人も許したもんだわ」

 

 すずかが言ったことにはやてが納得したように言い、アリサが呆れたように言った。

 

「でも、あんなところに躊躇無くいける人って早々居ないと思う」

 

「そだね~、誰だって怖いものは怖いもん」

 

 フェイトとアリシアがあの恋人の男性を庇った。

 

「そうだね。それが分かっているからこそ、あの女性も彼を許したんだろう」

 

 私達が話していると士郎さんがやって来た。

 

「あっ! お父さん!」

 

「やあ、皆。こんにちは」

 

「「「「「「「こんにちは」」」」」」」

 

 私達は士郎さんに挨拶をした。

 

「お父さんごめんね。お店忙しいのに……」

 

 なのはが士郎さんに電話したことを謝った。

 

「家族なんだ。いつでも頼っていいんだよ」

 

 そう言ってなのはの頭を撫でる士郎さん

 

「お父さん……うん!」

 

 なのはは満面の笑みで士郎さんに返した。

 

「皆も困ったことがあったら、いつでも私達大人をを頼るんだよ?」

 

「はい、ありがとうございます。士郎さん」

 

 すずかが丁寧にお辞儀をして士郎さんに挨拶をした。

 

「それにしても葵にも困ったもんね。いくら月無が心配だからってあんな人がいっぱい居る

 ところで魔法使っちゃダメでしょ」

 

 アリサが私に言ってきた。

 

「うっ! その……ごめんなさい」

 

 自分に落ち度がある以上言い訳のしようも無い。だってナイフだよ! 零冶君に傷でも付いたら私、さっきの男の人をアブソリュートランスで氷漬けにしても気が収まる気がしないよ!

 

「あ~……それだけどよぉ。あたしは今管理局員だからさ。管理外世界で無断で魔法を使った

 葵を捕らえなきゃいけねぇんだけど……どうする、はやて?」

 

 そういえばそうだったわね。まずったわ。

 

「仕方ないわね……大人しくするわ」

 

「まあ、ええんとちゃう? 悪用した訳やなし。一応リンディさんに話しては見るけどな。

 多分厳重注意で済むんとちゃう?」

 

「まあ、そうだな。あとはリンディ提督の判断に任せっか」

 

 と言う訳で私は捕まらないことになった。

 

「ありがとう。はやて、ヴィータ」

 

「ええってええって。好きな人のピンチは放って置けないのは気持ちは分かるしなぁ」

 

 本当に助かったわ。私は良い友達を持った。

 

「それで皆はどうして駅前に?」

 

「これから翠屋に行ってお茶しようとしたんです」

 

 士郎さんに聞かれたが、アリサが代表して答えた。

 

「おや、そうなのかい? いつもご贔屓にありがとう。今なら空いているから直ぐに座れるよ」

 

「良かった~。ハラハラしたから喉乾いちゃったよ」

 

 アリシアがそう言うと私達は移動を開始し、翠屋へ向かった。そして喫茶店の前に着き、扉を潜ると

 

「いらっしゃいませ。翠屋へようこそ」

 

 ウェイトレス姿の美由希さんが迎えてくれた。

 

「あれ~? なのは達じゃない。いらっしゃ~い」

 

「こら、美由希。しっかり接客しなさい」

 

「は~い」

 

 士郎さんに注意された美由希さんは軽く返事をする。

 

「何名様ですか?」

 

 美由希さんは接客モードになり、私達に人数を聞いてくる。

 

「8人です」

 

 それにアリサが答えた。

 

「はい、ではこちらへ」

 

 そうして私達を席に案内するため、動き出す美由希さん。

 

「まったく。最初からそうしてくれればいいものを」

 

 そんな美由希さんの様子を見て呆れたように言う士郎さん。すると

 

「お帰りさない。士郎さん」

 

「おや? 零冶君。来てたんだね」

 

 零冶君の声がカウンターの席から聞こえてきた。

 

「はい、母に翠屋のコーヒーブレンドを買ってくるように言われていたので。ついでに

 シュークリームも」

 

「そうだったのかい。すまないね。直ぐに用意するよ」

 

「急がなくても大丈夫ですよ? 桃子さんが気を利かせてくれて。飲み物をご馳走して

 くれましたから」

 

「そうかい。だったらゆっくりして行くといいよ」

 

「はい、お言葉に甘えて。こんにちは、桜羽さん、月村さん、バニングスさん」

 

 零冶君がこっちに気付いて挨拶をしてくれた。

 

「うん、こんにちは。零冶君」

 

「こんにちは、月無君」

 

「久しぶりね。月無」

 

 私とすずかとアリサは零冶君に挨拶を返す。

 

「ヴィータさんもさっきぶりだね。まさかまた会うとは思わなかったよ」

 

「あ、ああ。そうだな」

 

 零冶君はヴィータにも挨拶をしたが、ヴィータの返事は何だか余所余所しかった。

 

「ん? どうしたのヴィータさん。何だか元気が無いね」

 

「な、何でもねぇよ」

 

 ヴィータの様子が気になった零冶君はカウンター席から降りてヴィータに近づいた。

 

「大丈夫? 顔赤いよ? 風邪引いたんじゃない?」

 

 そう言って、右手をヴィータのおでこに当てる零冶君。ヴィータ何て羨ましいの!

 

「だ、大丈夫だっつの! 離せ!」

 

「そう? あんまり無理しちゃダメだよ?」

 

 ヴィータに言われた零冶君はヴィータから手を離した。

 

「あっ……」

 

 それを寂しそうに見るヴィータ

 

「ヴィータさん?」

 

「あっ! な、何でもねぇよ!」

 

 そう言ってそっぽを向くヴィータ。

 

「(あれは天然でやってるのかしら?)」

 

「(凄いね。ヴィータちゃん顔真っ赤だよ)」

 

「(ああ、ヴィータ可愛ええなぁ)」

 

「(逆にアオイは顔がちょっと怖くなったよ)」

 

「(ベリーシットってやつだね)」

 

「(アリシア、それ嫉妬の間違いよ。嫉妬とシットは違うものよ)」

 

「(ニホンゴムズカシイネ)」

 

「(何故カタコト? それにシットは英語だよ)」

 

「(私も日本語って難しいと思うの)」

 

「(なのはは国語苦手だもんね。私も人のこと言えないけど……)」

 

「それと、はじめまして高町さん、アリシア・テスタロッサさん、フェイト・テスタロッサさん、

 八神さん。月無 零冶です」 

 

「あ、はじめましてなの。月無君。私は高町なのはです。なのはって呼んで?」

 

「よろしくね。行き成り女の子の名前を呼ぶのは恥ずかしいからしばらく高町さんで」

 

「はじめまして~、アリシア・テスタロッサで~す。私のことはアリシアでいいよ?

 フェイトもいるから苗字じゃ分かんないだろうし、テスタロッサって言い難いでしょ?」

 

「はじめまして、フェイト・テスタロッサです。私もフェイトでいいよ?」

 

「よろしく。大丈夫、別に言い辛くないし、高町さんにも言ったけど行き成り名前はね……」

 

「はじめましてぇ、八神はやてですぅ。私は好きに呼んでええで。八神でも、はやてでも、

 はやてちゃんでも、美少女はやてんでもオーケーや。それとヴィータの家族なんや。

 ヴィータ共々よろしくなぁ」

 

「え? そうなんだ。あまり似てないから分からなかったよ。よろしく美少女はやてんさん」

 

「何でそれを採用したんや!」

 

「何でも良いって言ったからだよ。自称美少女はやてんさん」

 

「言葉の綾や! 本気にせんといて!」

 

「遠慮しないで、自称美少女はやてん(笑)さん」

 

「やめてぇ! 私のライフはもうゼロや!」

 

「ふふふ、冗談だよ。よろしく八神さん」

 

「アンタ……結構ええ性格しとるな」

 

「八神さんも良いツッコミだったよ」

 

「よっしゃ! 目指せお笑いのトップや!」

 

「一人でいってらっしゃ~い」

 

「って一緒に行かんのかい!」

 

 そう言って手の平を横にしてツッコミを入れるはやて。

 

「ふふ、八神さんは面白いね」

 

「月無君もええノリやったで」

 

 そう言って二人は握手をした。

 

「随分仲良しね。はやて?」

 

 私は笑顔ではやてに聞いた。

 

「あ……いやこれはそのぉ……」

 

 私が()()()聞いているのに突然震えだすはやて。イッタイドウシタノカシラ?

 

「桜羽さんも今日はちょっといつもと違うね? どうしたの体調悪い?」

 

「ううん! 大丈夫だよ!」

 

 零冶君が私の様子を見て聞いてきたので、私は笑顔で答える。

 

「(た、助かったんか?)」

 

「(良かったね。はやてちゃん)」

 

 私が零冶君と話をしているとはやてとなのはが小声で話をしていた。内容は分からなかったけど。

 

「そう言えば、皆に聞きたいことがあるんだけどいいかな?」

 

 零冶君は改まって私達に聞いてきた。何かしら?

 

「ええ、いいわよ。何?」

 

 するとアリサが答えた

 

「今日の放課後……校門のあたりからかな? ずっと僕の後を付けてたみたいだったけど。

 なんだったの? 僕に用事でもあった?」

 

≪えっ!?≫

 

 …………え? 今なんて? 僕の後を付けてたみたいだったけど? もしかして、いやもしかしなくてもばれてた? 尾行が? え? えええええええ!? どどどどどどうしよう! おおおおお落ち着いて私!

 

「あんた、気付いてたの?」

 

「うん、僕事情があってそういう気配に敏感なんだ」

 

「事情って何よ」

 

 何だかアリサと零冶君が話をしているが、私は今の状況を何とか切り抜けることで頭がいっぱいだった。

 

「う~ん、あまり話したくないんだけど。僕がもっと小さいころに誘拐されかかったことが

 あるんだ。だからそういうのに敏感になっててさ。その影響で護身術のために合気道も

 習ったし」

 

 ええ! 何よそれ! 誰! 私の零冶君を誘拐するなんて! 氷漬けにするわよ!

 

「そ、そうなんだ。それは大変だったね。怖かったでしょ? 私も誘拐されたことがあるから

 よく分かるよ」

 

 すずかが零冶君に共感したように言った。

 

「うん、それにその時の会話は詳しく覚えてないけど、どうやら人違いで誘拐されそうだった

 みたいなんだ」

 

「うわぁ、はた迷惑な話ね」

 

 今度はアリサが零時君に同情した。

 

「まったくだね。結局その時は通りすがりのお兄さんが助けてくれたんだ」

 

 良くやったわ! そのお兄さん! もし会うことがあったらお礼を言うわ。

 

「へぇ~、誰だったの? 顔は? 名前とかは聞いたの?」

 

 アリシアが零冶君に聞いた。

 

「顔は帽子を深く被ってて見えなかったけど。名前を聞いたら、本名は言えないから

 偽名だって前置きがあって」

 

 あれ? 何だか同じようなことがつい最近あったような?

 

「ライだって教えてくれたよ」

 

 ライ兄さんまた貴方ですか!? ありがとうございます! 今度会ったらお礼を言います!

 

「まあ、そんなことがあったから護身術で合気道を習い始めたんだ。まだまだ未熟だけどね」

 

「そんなことねぇよ。その体で大の大人を投げ飛ばしたんだ。大したもんだと思うぜ」

 

 謙遜する零冶君にヴィータがフォローを入れた。

 

「うん、私も凄いと思う。傍から見てても何が起きたか分からないくらいだったし」

 

 今度はフェイトが零冶君に言った。

 

「ありがとう。でも僕の先生だった人はもっと凄いよ? 熊とかライオンとか投げ飛ばせるし」

 

≪いやそれはおかしい≫

 

 おかしいでしょ。相手の呼吸を読むのに人間以外の呼吸を読むなんて出きる訳ない。

 

「でしょ? 熊の呼吸なんて読めないよ。それでどうやってやるんですかって聞いたら

 何て言ったと思う?」

 

「う~ん……練習あるのみとか?」

 

 零冶君が質問するとなのはが答えた。

 

「外れ。答えは『考えるのではない。感じるのだ』だって」

 

≪いやその理屈はおかしい≫

 

「だよね? 訳が分からないよ」

 

 その先生一体何ス・リーなのかしら?

 

「ほう、その先生とやらはかなり出来るようだね。どこで知り合ったんだい?」

 

 私達がその先生に呆れていると士郎さんが興味津々で零冶君に聞いた。

 

「隣町に有った道場で今はもう取り壊されちゃいましたね。残念ながら、確か……

 やはり俺の武術が最強なのはまちがっている流だったかな?」

 

≪長ッ!≫

 

 無駄に長い! 自慢話かと思ったわ!

 

「うん、長いから略して俺ガイ流だってさ」

 

「何よそれ、胡散臭いわね」

 

 アリサの言う通りよ。零冶君もよくそこに習いに行く気になったわね。

 

「でも強さは本物だったよ? 一度体験入門もさせてくれて親切丁寧に教えてくれたよ。

 門下生は僕一人だったけど」

 

「そりゃそうでしょうよ。何でそんな名前の流派にしたのよ」

 

「時代を先取りしたって言ってたよ?」

 

「先取りしすぎて何かを通り過ぎた感じやね」

 

「そうだね。でもいつかこんな名前のものが流行るって言ってたよ……アニメとかでって」

 

≪アニメなの!《かよ!》≫

 

 何だかメチャクチャね。でも実際に零冶君は強くなったんだから結果的には良かったのかしら?

 

「それで話を戻すけど。何で後をつけてたの?」

 

 あっ! そうだった! な、何か良い言い訳を……

 

「いや~アリサちゃんから今度葵ちゃんと一緒に読者モデルやる男の子がおるって聞いてな。

 どんな子か知りたくなってしもうて。なら尾行しようか? って私が言うたんや」

 

「ああ、そう言う事。だったら普通に話しかけてくれれば良かったのに」

 

「すまんすまん。つい悪乗りしてもうたわ」

 

 そう言ってあははと笑い出すはやて。

 

「あの……怒ってないの」

 

 私は恐る恐る零冶君に聞いた。

 

「何で? 別に怒ってないよ。でも尾行ごっこなんて皆も結構子供染みたことするんだね」

 

「だって私ら子供やん」

 

「ふふ、そうだね」

 

 そう言って優しく笑う零冶君。ああ、やっぱり優しいなぁ。最初ははやてを恨んでいたけどファインプレーね。ありがとうはやて

 

「でも困ったなぁ」

 

 え? や、やっぱり何か機嫌を損ねたの? あ、謝らないと!

 

「バニングスさん、モデルの件は秘密にしてって言ったじゃない」

 

 ああ、そっち。良かったぁ。あっいや良くない。もしかしたらこれで嫌われたりするかも。

 

「ああ、そうだったわね。ごめん」

 

「軽いね。あの時言ったじゃない。目立ちたくないから黙っててって。もう仕方ないな~

 そう言う訳だから皆も秘密にしてね?」

 

「分かったの!」

 

「うん、約束するよ」

 

「私も~」

 

 私達は零冶君にお願いされ、なのは、フェイト、アリシアが答えた。

 

「私も気をつけるわぁ、そう言えばずっと気になってたんやけど」

 

「何? 八神さん」

 

「アンタの顔が見てみたいんやけど? ええかな? 噂ではかなりのイケメンらしいやんか。

 もう気になって気になって」

 

「僕の? そんなに大したものじゃないと思うけど……分かったいいよ」

 

 そう言って零冶君は眼鏡を外すと前髪をかきあげた。

 

「ね? 普通でしょ?」

 

 そこには以前見たときと同じとても整った顔があった。ああ……生きてて良かった。さっきの事といいファインプレーよはやて。零冶君と楽しげに話していたことは忘れてあげる。

 

「ふぁぁ、とってもカッコ良いと思うの。月無君」

 

「うん、私もとても整ってると思うよ? 謙遜しなくて良いと思う」

 

「そだね~。隠すなんてもったいないよ~」

 

「ふむ、なるほどなぁ。これは中々やないか? なぁヴィータ」

 

「……ま、まあまあじゃねぇか?」

 

「そうかなぁ? まあ、褒められるのは嬉しいし、素直に受け取っておくよ。ありがとう皆」

 

 そう言って優しく微笑む零冶君。ああ、眩しい! 後光が差しているかのよう!

 

「アンタ、それ狙ってやってるの?」

 

「何が?」

 

 私が零冶君の微笑みに悦っているとアリサが零冶君に聞いた。

 

「どうやら天然のようね」

 

「そうだね。だから余計に性質が悪い気もするけど」

 

 アリサとすずかが言った。そんな話をしていると零冶君はいつの間にか眼鏡をかけ前髪を下ろしてた。

 

「あら? 随分楽しそうね」

 

 私達が話をしていると桃子さんがやって来た。

 

「あっお母さん。ただいま」

 

「ええ、おかえり。なのは」

 

 なのはが桃子さんに挨拶をする

 

≪こんにちは≫

 

「ええ、こんにちは。皆」

 

 私達もなのはに続いて挨拶をする。

 

「はい、零冶君。お土産のシュークリーム10個入りよ」

 

「ありがとうございます」

 

「いえ、いつもご贔屓にありがとう」

 

 そう言って微笑む桃子さん。

 

「はい、零冶君。翠屋特性コーヒーブレンドだよ」

 

「ありがとうございます」

 

 すると士郎さんもやって来て零冶君に袋を渡す。その後、零冶君はお代を士郎さんに渡した。

 

「それじゃ、僕はこれで失礼します。桃子さん、飲み物ご馳走様でした」

 

「ええ、また来てね」

 

「はい、必ず。それじゃ皆、またね。それと桜羽さん、今度の日曜頑張ろうね」

 

「うん、一緒に頑張ろうね」

 

 そう言い残し、翠屋から出て行く零冶君。

 

「ええ、人やないか。裏があるなんて疑って悪かったわぁ」

 

「そうね。人当たりも良いし、優しいし、非の打ち所がないわね」

 

 そういえばはやては最初そんなこと言ってたわね。それにアリサも随分高評価じゃない。

 

「確かに良い人だよね。月無君」

 

「うん、なんだが初めて会った気がしないくらい。気軽に話せたよ」

 

 すずかもフェイトにも高評価ね。これはまさかライバルが増えるなんてことにならないわよね? ならないわよね? 大事な事だから二回も言っちゃったわ。

 

「それにライと出会ってたってものビックリだったよね」

 

「確かにそうね。でもライ兄さんのおかげで零冶君も無事だったみたいだし、あの人には

 感謝してもしきれないわ」

 

 私達がそんな話をしていると。

 

「あの~……皆。何で付いてきてくれてないのかな? 私のこと嫌い?」

 

 美由希さんがいじけて隅で蹲っていた。

 

「あっ、ごめんなさい。お姉ちゃん」

 

 その後、皆で美由希さんに謝って何とか機嫌を直してくれた。そして、私達はしばらくお茶をしていった。

 

 はぁ~何だか今日は疲れたなぁ。でも零冶君に嫌われなくて良かった。ふふふ、今度の日曜が楽しみ♪

 

 

《桜羽 葵物語》 サイドアウト

 

 

零冶 サイド

 

「なるほどな、俺が危ないと思って葵が人前にも関わらず魔法を使ってしまったのか」

 

[でも、それが原因になりますか? 美少女はやてんちゃんの言う通り厳重注意で済むと

 思いますが?]

 

「だが、今までの傾向だと管理局に理不尽な仕打ちを受けるのは珍しくない。

 エピローグでは恐らく管理局に強制的に連行され、管理局員になる事を余儀なくされ、

 その結果、葵に何かあるのかもしれないな」

 

[なるほど、確かに今までのケースならありえますね]

 

「ああ、まあそれも直ぐに分かるさ」

 

[それにしても随分と愛されているじゃないですか? マスター]

 

「ああ、葵には悪い事をしたな。こんな気持ちを覗き見するようなことをしてしまった」

 

[まあ良いことではありませんが、必要なことだったと割り切りましょう]

 

「……そうだな。それじゃ早速、今後の展開(エピローグ)発動」

 

 俺達は《桜羽 葵物語》の今後の展開(エピローグ)を読み始めた。

 

零冶 サイドアウト




という訳で、次回は《桜羽 葵物語》の今後の展開(エピローグ)から始まることになります。
しかし、この話は面白いのだろうか?
皆さん、この話面白いですか?
何だか迷走している気がします。
よろしければ皆さんの貴重なご意見をお聞かせ下さい。

また、今回の念能力紹介はまだです。
前回までは記載してますので、よろしければ見てやって下さい。


零冶の念能力紹介のコーナーです。

では、次の念能力はこれだ!

 30、時空旅行券(タイムトラベラーチケット)
  系統:具現化系
  説明:指定した過去の日時に行ける券を2枚1組で具現化する能力。
     具現化したチケットを破ることで目の前にゲートが開く。
     そのゲートを潜ることで指定した過去の日時へのゲートを開いた
     同じ場所(座標)に行くことができる。
     使用最大時間は1時間。帰る場合はもう組のチケットを破り、ゲートを開き、そこを
     潜るか、使用時間を過ぎるまで待つ。
     戻る場所は最初にゲートを開いた場所(座標)になる。
     また、旅行券は1年に一度しか発行(具現化)できない。
     どれだけ過去に遡るかによって必要なオーラ量が変わる。
     一度指定した過去の日時でチケットを具現化し、そこに必要なオーラを補充する。
     必要な量のオーラがどれくらいかはチケットに書いてあり、その数値が溜まったときに
     初めて破けるようになる。
     オーラ量が足りない場合は時間を空け、再びオーラを補充することも可能。
     しかし、有効期限は1年間でありその間経過した分のオーラも補充しないといけない。
     ちなみに10年遡るの必要なオーラ総量は約SSSほどだった。

  制約
   1、チケット作成後から次のチケット作成までは1年間空けなければならない。
   2、他者を連れて行くことは出来ない。(デバイスは可能)
   3、チケットの使用有効期限は1年間。
   4、過去に戻れる最大時間は1時間。
   5、過去の自分に出会ってはならない。

  誓約
   1、チケットを作成したにも関わらず、1年間使用しなかった場合、10年間
     この能力を使用できない。
     ※これは必要なオーラ量を最後まで補充できなかった場合も同様である。
   2、過去の自分に出会った場合、強制的に現代に戻され、この能力は消滅する。


 ハラオウン家族を救済するために作った能力ですね。作者本人の欲望でクライドさんを救いたかったというのがありました。

 そのためには過去に行かんといかんから大変遺憾でした。それとグレアム提督やリーゼ姉妹も好きだったので、何とか救済したいなとも思っていました。

 まあ、要するに作者の欲望のままの念能力だと言う訳ですね。

 今後この能力が出てくるかは不明です。

って感じです。では

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。