原作を放って置くとバッドエンドになるんですが、どうしたら良いですか?   作:月の光

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更新が遅くなって申し訳ありません。

前回の続きです。この話で終わらせるつもりだったのですが、まだ終わりませんでした。
何か、自分でも何でこんなにこの話が長くなっているのか分かりません。

何でですか? 誰か教えてください。
何時になったら読者モデルの話が出来ますか? 誰か教えてぇ~

パトラッシュ……僕はもう疲れたよ……何かもう……眠いんだ……
という訳で私はもう寝ます。それでは皆さん。お休みなさい。

あっ、念能力紹介はまたいずれ! 申し訳ないです。


41_零冶『どうした?』ミスト『いえ、何でもありません』

ヴィータ サイド

 

 管理局の仕事が非番だからじーちゃん達とゲートボールをやって来て、今帰っているところだ。あの闇の書修復から一ヶ月くらい経って、管理局で詳細な話を聞いて管理局員になった。本来は士官学校っつう所に何年か通って戦闘用局員になるらしいんだが、あたし達には必要ないって普通に局員になった。

 

 後は管理局の歴史やら目的やらなんやらを説明された。後はあたし達の教育担当がリンディ提督になった。リンディ提督の下でしばらく仕事してその後の配属はリンディ提督に一任されたらしい。話を聞くとライがミゼットばあちゃんに根回ししたらしいな。

 

 ライとはあれ以来あってない。まあ元々神出鬼没な奴らしいから珍しくもないらしい。アイスが食べられなくなって悲しくなったが、はやてがライからレシピを教えてもらってたまに作ってくれてるから問題ない。

 

 あいつには感謝している。あいつのおかげでシャマルの料理が普通に美味くなったからな。前のシャマルの料理は食えたもんじゃねぇ。あれは……兵器だ。まあ、会えなくなってはやてとシャマルが寂しそうにしてたけどな。

 

 あたし? シャマルじゃねぇんだ。あんな人のことを上から目線で説教するようなやつ居なくたって寂しくなんかねぇよ。まあちょっとの間一緒に居たからな。居なきゃ居ないでそりゃ思うところはあったけどな。アイスも貰えなくなったし、アイスも貰えなくなったし!

 

 なんかアイスのこと考えてたら、食いたくなってきた。あたしは財布の中を見る。

 

「丁度1000円か……商店街のアイスクリーム屋でダブルが余裕で食えるな」

 

 あのアイスクリーム屋はレギュラーサイズでも250円でそれなりに美味しいし、ダブルにしても

450円だ。値段も安くて美味しいからあたしもよく行ってる。よし、帰りに食って行こう。

 

 そう決めたあたしは商店街にやって来た。その街道を開いているとあたしの目にある物が飛び込んで来た。あたしはゲーセンのUFOキャッチャの前で立ち止まった。

 

「あれは! のろうさ相棒シリーズの疾風の相棒うさぎじゃねぇか! な、何でこんなところに

 あるんだ」

 

 あたしはUFOキャッチャの横に回りこみ中ののろうさ人形をじっと見つめる。

 

「あの赤いマフラーと男らしげな表情は間違いねぇ」

 

 その人形はUFOキャッチャの最奥の真ん中に優雅に座り込んでいた。

 

「うわぁ! めっちゃ欲しい! で、でもあたしこれやったことねぇんだよな」

 

 ここのUFOキャッチャは一回に200円でクレーンを動かせる。今1000円だからアイスのことを考えると出来て二回か……

 

「よし、やってやるぜ!」

 

 あたしは早速お金を入れてゲームを開始する。横矢印ボタンを押して。クレーンを横に動かす。

 

「ストップ!」

 

 あたしはクレーンを止める。次に上矢印のボタンを押して、クレーンを動かす。

 

「……」

 

 コミカルなBGMが流れているが、今のあたしには聞こえねぇ

 

「ここだ!」

 

 あたしがボタンを離すとその場でクレーンが止まり、目標ののろうさに向かって降りていくクレーン。そしてそのクレーンがのろうさの所まで来ると左右のツメが開き、のろうさを挟み込む。

 

「……」

 

 そして、のろうさをすこし持ち上げた。

 

「やった!」

 

 が、のろうさがすべる様に下に落ちてしまった。

 

「ああ!」

 

 そしてクレーンが元の所に戻ってくると何も持っていないアームを広げた後、アームを閉じて沈黙した。

 

「なんだよ! ちゃんと掴んだじゃねぇか! あのクレーン壊れてんじゃねぇか!」

 

 くっ! これで後一回しかできねぇ。……アイスをシングルにすれば、後二回できっけど……くそぉ、アイスも食べたい……でものろうさも欲しいよぉ。こんなときにあいつが居ればなぁ。そう言えば、あいつと初めて出会ったのもここのUFOキャッチャだったっけ。

 

 あれはあたし達が闇の書から出てきて、はやてに出会って三ヶ月くらい経った頃。あたしがはやてに買い物を頼まれたときだった。

 

 

 

 

~四ヶ月前~

 

 

「さてと、何買うんだっけな?」

 

 あたしははやてに渡された買い物リストを見る

 

「えっと、じゃがいも、玉ねぎ、りんご、げっ! 人参もか……あとは牛肉の細切れか

 今日はカレーかな? それじゃ早速八百屋に行くか」

 

 あたしは八百屋を目指して移動を開始する。

 

「おっす、おっちゃん」

 

「おや? お嬢ちゃん。今日は一人で買い物かい?」

 

「うん、じゃがいもと玉ねぎとりんごと……人参」ボソ

 

 あたしは人参だけあえて小声で言った。

 

「はいよ。じゃがいもと玉ねぎとりんごと人参だね。ちょっと待ってね~」

 

 ちっ聞こえてたか……おっちゃんは手際よく用意をした。

 

「はい、人参オマケしといたからね? 好き嫌いしちゃダメだぞ~。ちゃんと食べないと大きく

 なれないぞ」

 

 な! 何て余計な事しやがんだ! それにあたしはプログラム体だから元々大きくなれねぇんだよ。まぁ……言えねぇけどさ……

 

「分かったよ……」

 

「はっはっは! えらいえらい」

 

 そう言ってあたしの頭を撫でてくる八百屋のおっちゃん。気の良い人だと思う。けどこうやって子供扱いされるのはなんか癪に障る。見た目はこんなんでも中身はしっかり大人なんだ。子供扱いされんのはやっぱり嫌だ。

 

「……じゃあもう行くから」

 

「おう! またよろしくね~。おっとそこの奥さん今日新鮮な野菜が――」

 

 おっちゃんは別れの言葉を言って直ぐに他の客に商売を始める。あたしはそのまま肉屋に行って肉を買った。そこでもあたしを子供扱いするおばちゃん。どうしてあたしはこんな見た目なんだろう。

 

「……早く帰ってはやてに褒めて貰おう」

 

 そうすりゃ少しは気が晴れる。あたしは商店街を歩き始めた。すると視線にある物が映った。

 

「ん? あれってのろうさじゃねぇか」

 

 のろうさ人形がガラス張りの変な箱の中にいた。

 

「あれ? あたしが持ってるのとちょっと違うな。黒いスカーフしてるし」

 

 なんなんだこれ、良くわかんねぇけど持ってって良いのか? あたしはその箱の周りをうろうろした。

 

「なんだよ。どっからも取り出せねぇじゃねぇか」

 

 もしかして自慢してんのか? だとしたらムカつくな……そうだ! アイゼンでぶっ叩いて取り出せば良いじゃねぇか。あっでも誰かに見られたらまずいかな? ……封時結界であの人形を閉じ込めてぶっ壊してから取り出せばいけるか? よしそうと決まれば……

 

「あの……どうかしたんですか?」

 

「あ?」

 

 あたしが封時結界を使ってのろうさ人形を取り出そうとしたら、同じ位の背で前髪で目を隠して変な眼鏡をかけた奴が話し掛けてきやがった。

 

「別に何でもねぇよ。あっち行ってろ」

 

「そうですか? でも僕、それをやりたいんですけど……」

 

 そう言ってガラス張りの箱を指差すそいつ。

 

「あ? やるって何だよ」

 

 もしかしてコイツも封時結界でのろうさを取り出そうと考えてんのか? だとしたら譲れねぇな。

 

「何って……そのUFOキャッチャですけど」

 

「UFOキャッチャ? 何だそれ?」

 

「これの事ですけど……」

 

 何のことか分からなかったあたしはそいつに聞いた。するとガラス張りの箱を指差した。

 

「お前、これ何だか知ってんのか?」

 

「え? はい、知ってますよ」

 

「これなんなんだ? 中のやつ取り出せねぇんだけど……」

 

 あたしはそいつに聞いた。

 

「これはお金を入れて、上のクレーンを動かして中の景品を取るゲームですよ。クレーンゲーム

 って言ったりもしますね」

 

「ゲーム?」

 

「はい、じゃあ僕が一回やってみますね」

 

 そう言ってそいつはコインが入る穴にお金を入れた。

 

「そうだ。何か取って欲しい物とかありますか?」

 

「……あそこのうさぎの人形」

 

 そいつに聞かれたあたしはのろうさを指差しながら答えた。

 

「ああ、あれですか。確かのろいうさぎ相棒シリーズの正義の相棒うさぎですね。分かりました」

 

 へぇ~そうなんだ相棒シリーズね。覚えとこ。するとそいつはのろうさをじっと見つめる。そして意を決したように横矢印の書かれたボタンを押した。

 

「おお、上の変なのが動いた」

 

 しばらく動いたあとそいつがボタンを離すと変なのが止まった。そして、そいつが上矢印のボタンを押すと変なのが今度は前へ動き出した。

 

「…………」

 

 そいつは黙って上の変なのを動かしている。横からそいつの顔を見る限り真剣な表情だ。目の所は見えねぇけど……そして、ボタンを離した。すると上の変なのは腕みたいなやつを広げて下へ降りてきた。なるほど、あの腕みたいなやつで掴むってことか? けど

 

「おい、全然位置が合ってねぇじゃねぇか」

 

 そう変なのの位置を見るとのろうさの右側にあってとてものろうさを掴めそうな位置にじゃない。

 

「まあ、見ててよ」

 

 そいつがそう言ったのであたしは様子を見ていた。すると変なのの腕がのろうさのスカーフの中に入った。

 

「は?」

 

 そして下まで降り切ったのか止まり、腕を閉じると腕の部分にスカーフが引っ掛かってのろうさは引っ張られるように動き腕を閉じきった変なのは上に戻っていった。

 

「おっ、おおっ!」

 

 そして、スカーフを首に巻いたのろうさはそのまま上に持ち上げられ、一番上まで戻った変なのは元の位置までのろうさを持って戻ってきた。そして、再び腕を開き、のろうさを真下に落とした。すると穴に落ちたのろうさはUFOキャッチャの下にある取り出し口に落ちた。

 

「はい、取れましたよ」

 

 取り出し口からのろうさを取り出したそいつはあたしに渡してきた。

 

「おお! すっげぇ! なるほど、こういうゲームなのかぁ!」

 

 あたしは渡されたのろうさを空いてる腕で持ち上げ、抱きしめる。やっぱり可愛いぜ!

 

「でもよ、あんな面倒なことしなくても普通にあの腕で掴めば良いじゃねぇのか?」

 

「あの上のやつクレーンって言ってそのクレーンの下についている腕のようなやつをアームって

 言うんですけど。このゲームはあのアームの力が絶妙でちゃんと挟んでも景品の重さによって

 は直ぐに落ちちゃうんです。だから挟んで持ち上げるよりはあのツメの部分に引っ掛けて

 持ち上げたほうが取り安いんですよ」

 

 へぇ~そうなのか。てか景品の重さで取れねぇって詐欺じゃねの?

 

「ゲームセンターとしても簡単に景品が取られちゃ直ぐに破産しちゃいますからね。

 ある程度は仕方ないんですよね」

 

「あ? 何で思っていることが分かったんだ?」

 

「え? 何の事ですか?」

 

 何だ偶然か。つーかゲームセンターって何?

 

「なあ、ゲームセンターって何?」

 

「ああ、それはですね」

 

 そう言ってそいつはゲームセンターの説明をしてくれた。

 

「へぇ~そうなのか。じゃあこのUFOキャッチャってのはそのゲームセンターの遊具って訳だ」

 

「そう言う事です」

 

 んだよ。てっきり中の人形を自慢してんのかと思ったじゃねぇか。つーかもしあたしがアイゼンでコイツをぶっ壊してたら犯罪になってたってことか? あっぶねぇ助かったぜ。コイツに感謝だな。そういやこいつ

 

「なあ、お前なんで敬語なんだ?」

 

「え? だってこの時間なのに学校帰りって訳でもないみたいだから、学生って訳じゃないで

 しょう? だから大人の人だと思ったんですけど……違いました?」

 

「いやあってけどさ……ほら、あたしこんな見た目だし……」

 

 あたしは俯いて言った。

 

「確かに見た目は子供っぽいですね」

 

 そいつにそう言われてあたしの胸がチクリとした。

 

「……そうだよな」

 

「でも、大事なのは見た目じゃないです」

 

「え?」

 

「人と出合った時は誰しもその見た目を気にしてしまう。だって最初に分かる相手の情報は

 目から入る視覚情報ですから」

 

「……」

 

 あたしはそいつの言葉黙って聞く。

 

「でもその人と接している内に分かってくるのはその人の人となり。何が大事なのか、

 何に喜びを感じるのか、互いのことを知り、互いに知ってもらいたくなる。そうやって

 相手との絆を深めていくんです」

 

「絆……か」

 

「だから大事なのは見た目じゃない。その人との心の絆です」

 

「そっか……」

 

 はやてに感じている気持ちももそういう事なのかもしんねぇな。

 

「なあ」

 

「なんですか?」

 

「あたしはヴィータだ。それと敬語じゃなくていいぜ」

 

「……分かったよ。ヴィータさん」

 

「ヴィータで良いって」

 

「それはもっと絆が深くなったらね」

 

「ちっ、分かったよ」

 

「僕は月無 零冶」

 

「零冶か、よろしくな」

 

 あたしは手を前に差し出す。

 

「うん、よろしく。ヴィータさん」 

 

 あたし達は握手をした。

 

 

~四ヶ月前~

 

 

 

 

 あたしは初めて零冶とあった時のことを思い出していた。

 

「ったく、あいつ未だにあたしのことさん付けで呼びやがんだよな。いい加減呼び捨てで

 良いつーの」

 

 まあ、それはともかく今はこののろうさ人形だ。あたしは横に回りこみあいつと同じようにスカーフに引っ掛けるため、位置を確認する。しかし、とてもスカーフに入る余地があるとは思えなかった。

 

「これ無理じゃね? くっそぉ……諦めるしかねぇのかなぁ……」

 

 あたしはどれくらいになるかは分からないが、じっとのろうさを見つめていた。すると

 

「ん? あっ! おーい! 零冶!」

 

「え?」

 

 何て幸運なんだ! 零冶が居やがった。流石はあたしの零冶だぜ!

 

「ヴィータさん、どうしたの?」

 

「ああ、実はあののろうさ人形が欲しいんだけどよ。やってみたけど取れなかったんだよ」

 

「ああ、ヴィータさんのろうさ人形好きだもんね。あれは疾風の相棒うさぎだね。

 こんな所にあるなんて珍しいね。あれは製造中止になったから、めったに見かけないのに」

 

「そうなんだよ。だからさ……その……」

 

「分かったよ。やってみるね」

 

「まじか! サンキュー! 零冶!」

 

「お礼は早いよ。取ってからね」

 

「へへ、分かってら」

 

 そう言って、零冶はUFOキャッチャにお金を入れる。

 

「でもよ。スカーフにアームを入れようにも隙間なんて無かったぞ。どうすんだ?」

 

「そうだね。今回は別の所を狙うよ」

 

 そう言ってクレーンを動かす零冶。するとクレーンはまたのろうさとは別の位置で降り始めた。

 

「お、おい大丈夫なのかよ」

 

「まあ、見てて」

 

 するとアームはのろうさ人形に括りつけられている。ひも状の輪っかの所に引っ掛け、そのまま上に持ち上げた。

 

「おおっ! まじかよ!」

 

 そしてそのまま元の位置まで戻ってきたクレーンは真下にのろうさを落とした。そして、取り出し口からのろうさを取り出す零冶。

 

「はい、ヴィータさん」

 

「サンキュー! へへ」

 

 あたしは渡されたのろうさを抱きしめる。ああ、可愛いぜ!

 

「ふふ、喜んでもらえてよかった」

 

「あっそうだ。さっきのお金返すぜ」

 

「気にしないで。僕からのプレゼントだよ」

 

 そう言って笑顔を作る零冶。もっとも顔は良く見えねぇけど。

 

「でもよ……そうだ! アイス奢ってやるよ」

 

「いや、大丈夫だy」

 

 あたしは零冶の言葉を聞かず、手を取って歩き出した。

 

「へへへ♪」

 

「まったくしょうがないなぁ」

 

 そしてアイスクリーム屋に着いた。

 

「いらっしゃいませ」

 

「何でも好きなの頼んでいいぜ」

 

「うん、……チョコクッキーのシングルで」

 

「それじゃあたしはバニラとストロベリーのダブルだ」

 

「はい、かしこまりました。700円になります」

 

 あたしはお金を払った。

 

「はい、丁度いただきます。少々お待ち下さい」

 

 アイスクレーム屋の姉ちゃんは先に零冶のアイスを先に作った。

 

「はい、どうぞ」

 

「ありがとうございます」

 

 零冶はアイスを受け取った。そして次にあたしのアイスを作った。

 

「はい、彼女さんもどうぞ」

 

「な! あたしは彼女じゃねぇよ!」

 

「あら? そうなの? お似合いなのにねぇ」

 

「も、もうやめろよ!」

 

 あたしは奪い取るようにアイスを受け取り、零冶の手を取って移動した。

 

「ちょ! ちょっとヴィータさん。引っ張らないで」

 

「ああ、悪りぃ。あそこで食おうぜ」

 

 あたしは引っ張るのやめ、横に並び一緒に歩き出した。そして商店街の道の真ん中にある円形のベンチに座った。

 

「「いただきます」」

 

 そしてアイスを食べ始めた。

 

「美味いなぁ」

 

「そうだね。ヴィータさんはアイス好きなんだね」

 

「ああ、大好きだぜ。つーかアイスが嫌いなやついねぇだろ?」

 

「それは人それぞれだと思うよ。甘いものが苦手な人もいると思うし」

 

「うわぁ、そいつ可愛そうだな。こんな美味いのを食えねぇなんて」

 

「まあ、その分他に好きな食べ物があると思うよ? お肉とか野菜とか」

 

「あたしは野菜好きとか理解不能だぜ。人参とか苦手だし」

 

「人参の甘みがダメなの?」

 

「よく分かんねぇけど、苦手なんだよ」

 

「そうなんだ」

 

 あたし達は何でもないような話をしながら、アイスを食べていた。あたしはほとんど食べ終わっていたが、零冶のやつはまだ半分くらいしか食い終わってなかった。

 

「なあ、そっちはどんな味なんだ?」

 

 あたしは零冶の持っているアイスを指差しながら聞いた。

 

「食べてみる?」

 

「おう」

 

 零冶はあたしの口元にアイスを持ってきた。

 

「あむ」

 

 あたしは零冶のアイスを食べた。

 

「んむんむ。結構美味いな。クッキーがサクサクしてて」

 

「そう?」

 

「そっちにすりゃ良かったぜ」

 

 結構美味いなチョコクッキー……今度はバニラとチョコクッキーのダブルにしよっと。いやでも、ストロベリーも捨てがたいし……やっぱりトリプルか? でもお金がなぁ……あっでも今度から管理局で働いてる分給料が入るんだっけな。ならここは思い切ってダブルを二個だな♪

 

「……良かったら、そのまま食べていいよ」

 

「え? いや別にそういうつもりじゃねぇよ」

 

「やっぱり、冬にアイス一個はちょっと食べ切れそうにないからさ。ヴィータさんが食べてよ」

 

「何だよ、軟弱だなぁ。分かったよ。貰らっといてやるよ」

 

 あたしは零冶からアイスを受け取った。

 

「それじゃ、僕はもう行くね」

 

「え? もうちっと話しようぜ」

 

「ごめん、母さんに買い物してくるように言われてるからさ」

 

「ちぇ~、分かったよ。じゃあな」

 

「うん、バイバイ」

 

 そう言って零冶は駅方面に歩いていった。あたしは家に帰るため、反対方向に歩き出す。あ~あ、もっと話したかったなぁ。それにいい加減呼び捨てで呼べよな。まあいいや、ちょっとずつ絆を深めれば良いよな。へへ♪

 

『ヴィータ? 聞こえる?』

 

 あれ? はやてから念話だ。

 

『はやて? うん、聞こえるよ?』

 

『そのまま歩くと私達がおるからちょっと来てくれる?』

 

 え? そうなのか? えっと~

 

『ん? おお、居た居た。分かったぁ』

 

 あれ? はやてだけじゃねぇのか。なのは達もいるじゃねぇか。

 

「おっす、はやて。どうしんだ?」

 

「うん、ヴィータ。用があんのは私やないねん」

 

「ん? どういうことだ? じゃあ誰が?」

 

 え? 違うのか? てっきり管理局絡みかと思ったのにな

 

「私よ。ヴィータ」

 

「葵かよ。どうしたんだ? 怖い顔して」

 

 何だ? 何であんな怖い顔してんだ? つーか葵ってこんな感じだったけ?

 

「ヴィータ。零冶君と知り合いなの?」

 

「零冶と? ああ、知り合いだぜ。さっきも会ってたし」

 

 何でここで零冶が出てくんだ? もしかして葵も知り合いなのか?

 

「そう、一体どういう関係なのかしら?」

 

「関係って言ってもなぁ……友達か?」

 

 まあ、いつかはやてと同じで家族になりたいけどな。

 

「じゃあ、別に零冶君のことが好きって訳じゃないのね?」

 

「な、なんでそんな事お前に言わきゃいけねぇんだよ」

 

 好きかって言われてもなぁ、いや好きっちゃぁ好きだけどさ。

 

「はやて?」

 

「イエス! サー! ヴィータ。命が惜しかったら正直に言うんや」

 

 するとはやてがあたしに正直に言うように言ってきた。

 

「ど、どうしたんだよ。はやて!」

 

「私も命が惜しいんや……」

 

 葵のやつはやてになんかしたのか? だとしたら許せねぇな。

 

「そんなことどうでもいいのよ。それで、どうなの? ヴィータ?」

 

 そんな気持ちもお構いなしに葵はあたしに聞いてきた。ちっ主の命令だ。答えてやるか

 

「……好きだよ。悪りぃかよ」

 

「そ、それは友達として? それとも異性として?」

 

 あたしが答えると葵のやつが動揺しだした。異性として? う~ん、どうだろうなぁ。好きなのははっきりしてんだけどなぁ。

 

「……それはちょっと良くわかんねぇけど。少なくとも一緒に居ると胸の奥がポカポカしてくる

 感じだ」

 

「そう、なら私達はライバルってことね」

 

 何? こいつも零冶と家族になりたいってことか?

 

「葵、お前も零冶のこと好きなのか?」

 

「ええ、好きよ」

 

 葵に取られるのを考えるとなんかこう……胸がムカムカするぜ。

 

「……負けねぇかんな」

 

「望むところよ」

 

 ぜってぇ負けねぇ、零冶と家族になるはあたしだ。それは譲れねぇぜ。

 

 

ヴィータ サイドアウト

 

 

 葵達がヴィータと合流し、葵とヴィータは互いにライバルだと認め合った。

 

「それじゃ、尾行再開よ。皆、行きましょう」

 

「ふん、勝手にやってろ。あたしは帰るからな」

 

「え? ヴィータちゃん、来ないの?」

 

 なのはは帰ると言ったヴィータに対して意外そうな顔をして聞いた。

 

「あかんでヴィータ。葵ちゃんがこうなった原因は私とヴィータにあるんやで」

 

「あっ、自覚あったんだ」

 

 はやてがヴィータに対して諦めろと言う目で語りかけ、すずかが意外そうな顔ではやてに言った。

 

「でもよ……」

 

 ヴィータが主であるはやてに言われて渋い顔をする。

 

「何か用事でもあるの?」

 

 フェイトはヴィータに確認した。

 

「いや、そうじゃねぇけどよ」

 

 ヴィータはそれを否定する。

 

「じゃあ、何? 何かあるの?」

 

「何? 言いたいことがあるならはっきり言いなさい」

 

 今度はアリシアがヴィータに確認し、アリサがヴィータに言うように促した。

 

「いや、今は零冶に尾行のことがばれてねぇ見たいだからいいけどよ。これが万が一ばれて

 あいつに嫌われたくねぇんだけど……」

 

「さあ! 皆! 尾行作戦は終了よ! お疲れ様でした!」

 

≪変わり身早っ!≫

 

 葵の変わり身の術を使った。皆は思わず突っ込みを入れてしまった。

 

「そうよね。後を着けられてるって思ったら気分悪いものね。相手の嫌がることをしちゃ

 いけないわ。大丈夫、私は正気に戻った」

 

「さっきまで進んでやるって言っていた人とは思えないの」

 

 葵の急変した態度になのはが言った。

 

「目が覚めたのよ……皆、さっきまでごめんなさいね」

 

「いや、別に大丈夫だよ」

 

「うんうん、好きな人の事が気になるのは仕方ないよね」

 

 素直に謝った葵にフェイトとアリシアが言った。

 

「ヴィータ! ナイスや! 帰ったらライス作ったるからな」

 

「マジで! やった~」

 

 はやてはヴィータの手柄を褒めた。

 

「何? ライスってご飯のこと?」

 

 すずかがはやてに聞いた。

 

「いや、ライさんに教えてもらったレシピで作るアイス。略してライスや」

 

「ややこしいわ!」

 

 はやての回答につっこみを入れるアリサ。

 

「でも、あれだけアイス食べて。まだ入るのヴィータちゃん」

 

 なのははヴィータに聞いた。

 

「アイスはベルばらだぜ!」

 

「別腹ね。いくら別腹でも限度があるでしょ。今だって月無から貰ったアイス持ってるのに」

 

 ヴィータの天然ボケに突っ込みを入れるアリサ。

 

「大丈夫だ。問題ないねぇ」

 

「なんや、そのセリフは危ない気がするわ」

 

 ヴィータの死亡フラグにつっこみを入れるはやて。翌日ヴィータは軽い腹痛に見舞われたのは別の話。

 

「……ねぇ、ヴィータ。そのアイス一口くれない?」

 

 葵はヴィータの持っているアイスを見て言った。

 

「あ? やだよ。欲しけりゃ自分で買えよ」

 

「お願い! 一口! いや、一舐めでもいいから!」

 

「余計やだよ! 何でお前が舐めた後のアイスを食べなきゃいけねぇんだ!」

 

「……そう、はぁ」

 

 ヴィータに断られた葵は大人しく引き下がった。

 

「何だよ……もう、しかたねぇな。一口だけだかんな」

 

 明らかに元気がなくなった葵に罪悪感を覚えたヴィータは葵に一口アイスを上げることにした。

 

「ホントに! ありがとう! ヴィータ! 愛してるわ! あっ嘘。愛してるのは家族と

 零冶君だけだからごめん。でも友達として好きよ。本当にごめん」

 

 葵は【愛す】を受け取った。※誤字にあらず

 

「なんか今日の葵、ホントに変だぞ。しかも何かあたしが振られたみたいになってんだけど……」

 

「まあ、今の葵ちゃんは乙女やから」

 

「乙女というか、何と言うか……」

 

「あ、あははは……」

 

 フェイトとなのはは葵を見て空笑いをした。アイスを受け取った葵はそのアイスをじっと見つめた。

 

――こ、これがさっきまで零冶君の食べたいた【愛す】……ごくり

 

「おい、さっさと食えよ」

 

「わ、分かってるわ」

 

 葵はアイスをゆっくり口に近付け、その唇でアイスを一口食べた。そして口の中で咀嚼する。

 

――ああ、美味しい……アイスクリームの甘みと後からくるチョコレートのほんのりした苦味が

  口の中いっぱいに広がってくる。クッキーが水分を吸ってしっとりしていながもサクサク

  した食感。そして、零冶君と間接キス……幸せだわ。

 

「わぁ、葵ちゃん。お顔が真っ赤なの」

 

「ホントだ……」

 

「口元も大分緩んでるわね」

 

「幸せそうだね~」

 

「気持ちは分かるけどね」

 

 そんな葵の様子をみてなのは、フェイト、アリサ、アリシア、すずかが言った。

 

「何だ。葵もアイス好きなのか?」

 

「いや、そうやないねん。月無君が食べてたってことが重要なんや」

 

「どういう意味だ?」

 

「ヴィータは平気なんか? あれ月無君が食べてたやつやで?」

 

「平気も何もただのアイスじゃねぇか」

 

「そやねぇ……キスは知っとるやろ?」

 

「ああ、あの唇と唇がくっ付くやつだろ」

 

「あれは月無君が食べてたやつからが、間接的にキスしたようなもんなんや。せやから

 葵ちゃんはあんなに幸せそうなんや」

 

「間接的にキスって……馬鹿じゃねぇの。そもそもキスだって大したことねぇだろ」

 

「それは甘いでヴィータ。あのアイスより甘甘や。好きな人とキスなんて想像してみぃ?

 そんなんした日には……ご飯三杯はいけるやろ」

 

「良く分かんねぇなぁ」

 

 はやてはヴィータに間接キスの素晴らしさを説いていた。

 

「ヴィータちゃんの好きは家族とか友達とかの好きなのかな?」

 

「う~ん、難しいところね。葵に負けたくないって言ってるから友達以上だと思うけど」

 

「自覚が無いのか、本当に友達と思っているのかってことだよね?」

 

「ヴィータ本人もよく分かってないみたいだし」

 

「これは葵ちゃんが一歩リードかな?」

 

 はやてとヴィータの会話を聞いていたなのは達はヴィータの気持ちを推測する。

 

「これはチャンスね。今の内に零冶君との距離を詰めておくわ」

 

 ヴィータの様子を見て葵は零冶にもっと積極的にアプローチをすることにした。

 

「あっ、アオイお帰り」

 

「ええ、ただいま」

 

 フェイトはそんな葵に挨拶をする。

 

「せやねぇ、ヴィータ。私がこれから言う事をイメージするんや。イメージするものは常に

 最強の自分や」

 

「あたしの中の最強はライだな」

 

「おっといかんネタに走ってもうた。とにかく私が言う事をイメージしてや」

 

「分かった」

 

 はやてに言われたヴィータは目を閉じる。

 

「あなたは今、月無君とお出かけをするため、駅前で待ち合わせをしています」

 

「……」

 

「約束の時間より大分早く来すぎてしまったあなたは待ち合わせ場所の時計台の下で

 待っています」

 

「何してるのかしらはやては?」

 

 はやてのやっていることに意味が分からないアリサ

 

「まあ、見守っていようよ」

 

 フェイトはそれをなだめる。

 

「「……」」

 

 ヴィータと同じようにイメージする葵となのは。

 

「何だか葵ちゃんとなのはちゃんも同じようにイメージしてるみたいだよ?」

 

 それに気付いたすずかは皆に言った。

 

「何やってるのよ葵は……」

 

 更に呆れるアリサ。

 

「まあまあ、折角だから私達もイメージする?」

 

「さんせ~い」

 

 フェイトはアリサをなだめつつ、一緒にどうかと進め、アリシアが賛同する

 

「まあ、暇だしいいよ」

 

「仕方ないわね。ただ、イメージする相手は変えるわよ」

 

 四人もはやての言葉に耳を傾け、イメージする。その光景は傍から見たら異様な光景だった。

 

「寒空の下、しばらく待っていると待ち合わせ時間15分前に待ち合わせの相手が来た」

 

「『ごめん、待った?』」

 

「『ううん、私も今来たところ』」

 

「せやけど、寒空のしたで待っていたから手がかじかんでいた」

 

「『そっか、それじゃ行こうか』」

 

「『うん』」

 

「彼は手を繋ごうと手を差し出したが、あなたはそれを気付かないふりをして歩き出す。

 ずっと待っていたことを悟られないためや、手をつなぐ事で手が冷たくなっていることに

 気付かれ、嘘がばれてしまう」

 

「『今日も寒いね』」

 

「『そうだね。早く映画館に行こうか』」

 

「あなたは話題を変えるため、世間話をし出した。彼はそれに乗っかり、話を会わせて来る。

 すると」

 

「『だからこうすると暖かいよ』」

 

「『え?』」

 

「そう言ってあなたの手を握ってくる彼。そして、そのまま彼のコートのポケットに手を入れた」

 

「『待たせてごめんね?』」

 

「彼は気付いていた。あなたが嘘を付いていたことに……そして、笑顔であなたに語りかける」

 

「『それじゃ、行こっか』」

 

「『……うん』」

 

「二人は歩き出した」

 

≪……≫

 

 皆ははにかんだように照れていた。ただ、ヴィータだけは無表情で目を瞑っていた。

 

「彼と手をつなぐ事でその冷たくなった手は彼の体温で徐々に暖かくなっていく」

 

「『上映までまだ少し時間あるし、公園でも歩かない?』」

 

「『いいよ』」

 

「二人は手を繋いだまま、公園へと入っていく。そして公園の中の道を二人並んで歩く」

 

「『今日は晴れて良かったね』」

 

「『そうだね。昨日まで雨だったから心配だったんだ』」

 

「そんな話をしながら、二人は歩いているとクレープ屋さんがあることに気が付いた」

 

「『食べよっか』」

 

「『そうだね。ちょっとお腹も空いたし』」

 

「二人はクレープを買った。もちろんお金は彼が払ってくれた」

 

「『『いただきます』』」

 

「二人はクレープを食べ始める。すると」

 

「『ん? ほっぺたにクリーム付いてる』」

 

「『え? 嘘……』」

 

「彼に指摘されたあなたはクリームを取るため手で頬をこすった」

 

「『取れた?』」

 

「『ううん』」

 

「『うわぁ恥ずかしいなぁ』」

 

「『じっとしてて、取ってあげる』」

 

「彼にそう言われ、じっとするあなた。彼は段々顔を近付けてきて。ペロリ。口でクリームを

 取ったのだった」

 

「『わっ! もう! びっくりしたじゃない』」

 

「『ふふ、ごめんごめん。でも取れたよ』」

 

≪……≫

 

 はやての言葉を聞いてイメージをしている葵達は段々に顔が赤くなっていく。しかしヴィータだけは無表情だった。

 

「見つめ合う二人、互いの唇の距離が近くなり、そして互いの唇は一つになった」

 

「「「「「「わあああああ! もう無理!」」」」」」

 

 葵達は声を上げ、目を開いた。顔を紅潮させ、そして、考えるのをやめた。しかし、ヴィータだけは未だに目を瞑っている。

 

「はやて! アンタなんてもんイメージさせんのよ!」

 

 勝手にイメージしたにも拘らず、切れるアリサ

 

「ライの唇が……はう」

 

 イメージから戻りきれてないフェイトが顔を更に赤くする。

 

「はぁ……零冶君。カッコ良いよ零冶君」

 

 顔をうっとりとさせ、目を細める葵。

 

「葵ちゃん! 帰ってきて! また暴走しないで!」

 

 そんな葵に声を掛けるすずか。

 

「はっ! 私は一体!」

 

「やっぱり、正気に戻ってないじゃん」

 

 戻ってきた葵に指摘するアリシア。

 

「くっ! 零冶君の洗脳は解けないとでもいうの! ……まあいいわ」

 

「いいんだ」

 

 葵につっこみを入れるなのは。

 

「ヴィータ……もう目開けてええで」

 

 はやてに言われたヴィータだったが、目を開けない

 

「ヴィータ? どないしたん?」

 

 はやてに再度声を掛けられたヴィータはようやく目を開ける。

 

「なんだが、普通だね」

 

「そうね。私達ですら恥ずかしかったのに」

 

 ヴィータの様子を見てすずかとアリサが言った。すると

 

 

ボン!

 

 

 そんな音が聞こえてくるほど急にヴィータの顔が真っ赤になった。

 

「ヴ、ヴィータ! 大丈夫!?」

 

 はやてはヴィータに駆け寄った。

 

「は、はやてぇ。何だこれ? 恥ずかしいよぉ。どうしよう、あいつの顔が頭から離れねぇよぉ」

 

 ヴィータは顔を赤くし、はやてに抱きついた。

 

「はぅ~かぁいいよぉ! お持ち帰りぃ~!」

 

 はやてはヴィータを抱きながら、体をくねくねさせた。

 

「落ち着きなさい、はやて。そもそもアンタ達同じ家でしょうが」

 

「はっ! 私は一体!」

 

「そのネタはもうやったわ」

 

「せやったね。ヴィータ。一旦落ち付くんや。素数を数えるや」

 

「素数って何?」

 

「知らん」

 

「知らないんかい!」

 

 はやてとヴィータのやり取りにつっこみを入れるアリサ。

 

「だけど少し落ち着いたよ。はやて。ありがとう」

 

「それは良かったわぁ。それで? キスがどう言うもんか分かったやろ?」

 

「ああ、分かった。間接的なキスで葵がああなった理由も」

 

「それは良かったわぁ。これでヴィータにも乙女心が分かったやろ」

 

「うん、なんつうか……良いもんだな。好きになるって。今ならシャマルの気持ちがちょっと

 分かる気がするぜ。でもどうすっかな……」

 

「どうしたんや? ヴィータ」

 

「うん、このアイス……」

 

「アイスがどうしたん?」

 

「その……恥ずかしくて食べれない……」

 

 ヴィータは顔を赤くして答えた。

 

「「「「「「「はぅ~かぁいいよぉ! お持ち帰りぃ~!」」」」」」」

 

 ヴィータの可愛さに悶えたなのは達はヴィータに抱きついた。

 

「お前ら! くっ付くな! 暑苦しい!」

 

 しばらくそんな状態が続いた。

 

「それでこの後どうする?」

 

 アリサは皆に確認を取った。

 

「そうだね……折角駅の近くに来たし、翠屋に行かない?」

 

「いいね。私もなのはの意見に賛成」

 

「わたしも~」

 

 なのはの意見に賛成するフェイトとアリシア。

 

「そうだね。このメンバーでお茶するのも久しぶりだし。私も賛成かな」

 

「よっしゃ、それじゃ皆で行こか。ヴィータも行こ」

 

「分かった」

 

 すずかとはやて、ヴィータもなのはの意見に賛同した。

 

「よし、それじゃ。翠屋でお茶しましょう」

 

 そうしてなのは達は移動を開始した。

 

 

零冶 サイド

 

『どうやら、尾行はやめたらしいな』

 

『その様ですね。ですが』

 

『ああ、どうやら俺と目的地は同じらしい』

 

『結果的に尾行されているような状態になりましたね』

 

『まあ、こればっかりはしょうがないだろ』

 

『そうですね。まあ、今日はマスターの厄日だと思って』

 

『その厄日っぽいのが今度の日曜にもあるんだけど?』

 

『毎日が厄日だと思って』

 

『やめろ! また俺から奪うつもりか! 平穏を! 幸せまで!』

 

『ノリノリですね』

 

『そうでもせんとやっとれんわ』

 

『まあ、マスターはもう手遅れですから』

 

『どういう意味!』

 

『マスターがどれだけの女性を落としてきたか……私には見えます。きっとマスターは

 将来女性に刺されます』

 

『は? 俺にナイフ程度のものが刺さる訳無いだろ。耐久は念のオーラを含めれば、

 Aランク以上だぞ?』

 

『そういう意味じゃねぇよ』

 

『分かってるよ。背中には気を付ける。まったく……あいつら俺の何処が良いんだか』

 

『マスターには一生分からないでしょね。だってマスターは……』

 

『どうした?』

 

『いえ、何でもありません』

 

『まあ、これで何も起きないだろう』

 

『それがフラグなんですよ』

 

『大丈夫だって』

 

 そうして俺は翠屋へ向かった。

 

零冶 サイドアウト




え? ヴィータの所の話が余計だって? はっはっは!
何を仰るうさぎさん。のろうさだけに! つって!

念能力紹介はまたいずれ! 前回もまだなのにね!

本当に申し訳ないです。


零冶の念能力紹介のコーナーです。

では、次の念能力はこれだ!

 29、絶対誘導(ギアス)
  系統:操作系
  説明:円で広げた範囲内にいる生物の思考を誘導する能力
     絶対読心(ギアス)同様に相手の感情を読むことが可能。
     ただし、記憶までは覗くことは出来ず、あくまで今考えていることを読むことしか
     出来ない。相手の考えを読み、理性を外すことで思考を誘導する。
     思考を支配しているのではなく誘導なので、相手はあくまで自分の考えて動いていると
     思わせることができるため、絶対遵守(ギアス)絶対改変(ギアス)と違い矛盾が発生しない。
     ただし、相手が本気で思っていないことには誘導できないため、確実に思い通り操る
     ことはできない。
     確実性では絶対遵守(ギアス)絶対改変(ギアス)の方が上だが、この二つは矛盾を残さないように
     するのが難しいため、絶対誘導(ギアス)の方が扱い易い。
     また、絶対読心(ギアス)は円の中の対象を絞ることは出来なかったが、
     絶対誘導(ギアス)は対象を絞る事ができる。
     更に思考を誘導して思考のループさせることで対象の動きを止めることも可能なので、
     絶対停止(ギアス)のように動きを止めることが可能。
     しかし、相手が強い思考に到った場合はそのループから抜け出してしまう。
     要するにこの能力は他のギアスより性能は低いが、他のギアスの欠点を無くした。
     汎用性の高い能力となっている。


  制約
   1、対象を円の中に入れている間のみ使用可能

  誓約
   1、対象が円の外に出ると能力は解除される


 作者オリジナルのギアス能力です。説明にある通り、他のギアスの好いとこ取りをしつつ、それぞれの長所には及ばない。その代わりそれぞれの欠点が無い。

 説明にあった思考ループでの停止は人が焦ったり、動揺したりして同じことをぐるぐる考えてしまうあれです。ただ、それを吹き飛ばすほどの衝撃を受けると解けてしまいます。具体的には大きなダメージを受けたり、衝撃的な映像が目に映ったり、大きな音が聞こえたりとそんな感じです。

 しかし、この能力自体が
  強制力では絶対遵守(ギアス)に及ばない。
  臨機応変力では絶対改変(ギアス)には及ばない。
  記憶閲覧では絶対読心(ギアス)には及ばない。
  相手を停止させる事には絶対停止(ギアス)には及ばない。
 そんな感じの能力です。

 ただし、それぞれの欠点である
  絶対遵守(ギアス)のような操作中の記憶障害は無く、
  絶対改変(ギアス)のような矛盾点は無く、
  絶対読心(ギアス)のような対象を絞ることが出来ないことも無く、
  絶対停止(ギアス)のような時間制限は無い。
 といった感じ。

 今紹介出来るギアス系能力はこれが最後ですが、もう一つ作る予定です。それはまた機会が着たら、紹介します。大分先になると思いますが……

って感じです。

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