原作を放って置くとバッドエンドになるんですが、どうしたら良いですか?   作:月の光

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更新遅れて申し訳ありませんでした。

今回は皆大好きハーレム要素ありです。


27_ミスト『おまわりさんこいつです』零冶『ちょっおま!』

 第152管理外世界バランディア、ここは荒れた大地に巨大な渓谷が多くある。そこに二人の魔導師が現れた。

 

 一人は黒いコートを纏い、ミディアムヘヤーの黒い髪、腰には刀状のロングソード、そして顔の上半分が隠れる仮面を付けた男。

 

 もう一人は赤いゴスロリ状のバリアジャケットを纏い、赤髪をおさげにし、ハンマー状のデバイスを持った子供。

 

「ん? どうした、ヴィータ? 機嫌が悪いな」

 

「いや、今馬鹿にされた気がしてよ」

 

「何だそれ?」

 

「まあいいや、それよりライ」

 

「何だ?」

 

「本当にここで良いのか? ちっとも生物らしいもんが見えねぇけど……」

 

「問題ない。ここは蒐集活動するにあたって目星をつけていた世界だ。高い魔力量を持った

 生物が多く生息している」

 

「なら、良いけどよ。どうやって探すんだ?」

 

「まあ、ちょっと待ってろ」

 

 ライは目を瞑り、ある能力を発動させる。

 

――探し物の行方(ダウジングフューチャー)発動。

  対象:魔法生物

  条件:①第152管理外世界バランディア

     ②魔力量SS以上

  検索開始……1件該当あり、座標×××

 

「こっちだ」

 

 ライが先導し、飛行魔法で移動を開始する。

 

「指図すんな! ったく」

 

 ヴィータもライに続く。

 

――ライのやつ、結構早ぇじゃねぇか。つーかどこに向かってんだ?

 

 ライが止まるとそこには大きな横穴があった。

 

「ここかよ」

 

「ああ、大きな魔力を持った生物が居る」

 

 ライが洞窟に入り、ヴィータも続いて洞窟に入る。二人がしばらく歩いていると

 

「ッ!?」

 

 ヴィータは嫌な予感に足を止める。

 

「気付いたか?」

 

 ライも足を止め、壁から少し顔を出し、中の様子を伺うとそこには

 

「居たな」

 

「おいおい、マジかよ」

 

 巨大なドラゴンが眠っていた。

 

(おい、あれはやべぇぞ。手ぇ出さないほうが良い。せめて守護騎士全員揃ってねぇと)

 

(安心しろ。俺に考えがある)

 

(考えだと? 大丈夫なんだろうな)

 

(任せろ)

 

 ライは壁から出て、ドラゴンに近づく

 

――あいつ、何するつもりだ?

 

 そして、ドラゴンの前に立ち、

 

「すまない。ちょっと良いか?」

 

 普通に話しかけた。

 

――あの馬鹿! 何普通に話掛けてんだ!

 

「グルルルルルル(何故人間が居る? わしの眠りを妨げるとは何たる無礼な)」

 

――目ぇ覚ましちゃったじゃねぇか! あの馬鹿!

 

 巨大なドラゴンが顔を上げる。

 

「無礼は承知している。すまない、話を聞いてもらえないか?」

 

――ドラゴン相手に話が通じる訳ねぇだろ! ってあれ? あいつおかしなこと言わなかったか?

  無礼は承知している? あいつまさかドラゴンの言葉を理解してんのか?

 

「(ほう? 人間がわしの言葉を理解するか……面白い。話してみよ)」

 

「ご理解感謝する。誇り高き竜よ」

 

 ライは右手を握ったまま左胸に当て、騎士のように礼をした。そして、ライはドラゴンと話をした。

 

 

~しばらくして~

 

 

「あなたの鬣はさらさらで綺麗だぞ。とても1000年以上も生きているとは思えない」

 

「(わっはっははは! お主の仮面も趣があるぞ!)」

 

 ライとドラゴンは意気投合した。

 

――あいつ普通にドラゴンと話しているぞ……いったい何者(なにもん)なんだ?

 

「(おっと、そういえば魔力が必要だったのであったな。よかろう、わしの魔力を

  持っていくがよい)」

 

「ありがとう。協力感謝する」

 

「(それとわしの同胞達にも声を掛けておこう。わしほどではないが少しは足しになるだろう)」

 

「良いのか? 助かるよアルディ。おい、ヴィータ。アルディが魔力を提供してくれるってさ」

 

「アルディって誰だよ。いやなんとなく分かるけどよ。ドラゴンと話せるって

 お前一体何者だよ」

 

「ちょっと特殊な傭兵さ。アルディはこのドラゴンの名前だ。

 正式名称はアルディウス・フィン・ゲルギウス。この辺のドラゴンの長だそうだ」

 

「ちょっとじゃねぇだろ。てか、本当に大丈夫だろうな。蒐集中に食われたりしねぇだろうな」

 

「大丈夫だって」

 

「(うむ、そんな卑劣なことはせん)」

 

「なら良いけどよ」

 

 ヴィータはアルディの胸に闇の書をあて、リンカーコアから魔力を蒐集する。

 

「終了っと、すっげぇぞ。一気に61ページも埋まった」

 

「魔力量はSS+だからな。それくらい当たり前だろう。さて」

 

 ライはアルディに触れ

 

「魔力をありがとう、アルディ。完全修復(パーフェクトリカバリー)発動」

 

 ライはアルディを蒐集前の状態に戻す。

 

「(気にするでない、我が友よ。先ほどわしの同胞に集まるよう声をかけた。

  そこへ連れて行こう。わしの背中に乗るが良い)」

 

「ああ、分かった。ヴィータ。アルディが他の同胞に声を掛けてくれた。そこに行って

 魔力提供をお願いしよう。アルディが連れてってくれるそうだ」

 

「マジかよ」

 

 ライとヴィータはアルディの背中に乗り、アルディは洞窟の縦穴から飛び出した。しばらく飛行していると広い荒野に降り立った。そこにはおよそ30体ものドラゴンが居た。

 

「(待たせたな。我が同胞よ。これが先ほど伝えた二人組みだ)」

 

「(お久しぶりです、長よ。驚きましたよ。急に連絡が来たかと思えば人間に協力しろだのと)」

 

「(まったくです。めったに目を覚まさないのに一体どのような風の吹き回しですか?)」

 

「(うむ、わしも人間と友になるとは夢にも思わなかったが、中々に面白い人間でな。

  協力したくなったというわけだ)」

 

 アルディウスが人間に対して友と言った途端、周りのドラゴン達はざわめき出した。

 

「(あの竜王と恐れられたアルディウス様に友と言わせるだと?)」

 

「(一体どんな人間だ?)」

 

「(うむ、紹介しよう。我が友ライだ。それと付き添いのヴィータという)」

 

 ライとヴィータがアルディの背中から降りる。

 

「はじめまして、名立たる竜達よ。俺はライ。先ほど紹介にあったアルディの友だ。

 以後お見知りおきを。こっちはヴィータ。俺の仲間だ」

 

「えっと、ヴィ、ヴィータです」

 

「何緊張してるんだヴィータ」

 

「当たり前だろ。ここに居るドラゴン達もあのアルディとかいうドラゴンくらいやべぇじゃねか。

 緊張すんなって言うほうが無理があるっての」

 

「まあ、これだけのドラゴンが居るってのは中々圧巻だからな」

 

「(あんな小さな人間がアルディウス様の友だと?)」

 

「(まさかあやつ我々の言葉を理解しているのか?)」

 

「理解していますよ。実は皆さんに協力をお願いしたいのです」

 

 ライはドラゴン達に事情を説明した。

 

「(なるほど。少女を救うため、我々の魔力を提供して欲しいと)」

 

「はい、どうかよろしくお願いします。もちろん強制はしません」

 

「(うむ、我々を前にして物怖じせんとは中々面白い人間だ)」

 

「(よかろう。我等の魔力、持って行くが良い)」

 

「ありがとう。協力感謝します」

 

「(俺は納得いかねぇな)」

 

 ライがドラゴンたちに感謝の言葉を述べると、一体の赤いドラゴンが言った。

 

「(おい、レディアス。長の決定に逆らうのか?)」

 

 レディアスと言われたドラゴンは一歩前に踏み出した。

 

「(俺は納得したわけじゃねぇ。何故俺が弱い人間のために魔力を渡さなければならん)」

 

「おい、ライ。何かやばい雰囲気じゃねぇか?」

 

「そうだな。あの赤いドラゴンが納得いかないってさ」

 

「あの赤いドラゴンか……アルディってドラゴンほどじゃねぇけどあいつも強えぞ。大丈夫かよ」

 

「まあ、俺に任せておけ」

 

 ライはレディアスの前に立った。

 

「(何だ? 弱い人間。俺に何か文句でもあるのか?)」

 

「貴方は弱い人間のために魔力を提供するのがいやだと言いましたね」

 

「(それが何だ?)」

 

「なら、俺と戦いませんか? 俺が勝ったら貴方の魔力を提供して頂きたい」

 

「お、おい! ライ、お前正気か!?」

 

「(……はっはっはっは! 馬鹿な人間だ! 人間ごときが俺に勝てるはずが無いだろう。

  人間とは面白い冗談を言うものだ)」

 

「冗談ではありませんよ。それとも怖気づきましたか?」

 

「(……口が過ぎるぞ、人間。俺を愚弄するとは……その罪、その命を以て償ってもらうぞ)」

 

「では、決闘と行きましょうか。良いかな? アルディ?」

 

「(まあ、よかろう。結果は見えているがな。皆の者、少し下がれ)」

 

「ヴィータも離れてくれ」

 

「大丈夫なんだろうな……」

 

「まあ見てろ」

 

 ライとレディアスは決闘することとなり、辺りにいたドラゴン達とヴィータは離れた場所に移動した。

 

「(長よ、止めなくて良かったのですか? あの人間、ただではすみませんよ?)」

 

「(お前はわしがただ弱い人間を友と呼ぶと思っておるのか?)」

 

「(は? それはどういう……)」

 

「(まあ見ておれ、あのレディアスの若造にも良い経験になるじゃろう)」

 

――ライ、負けんなよ。お前が死んだら……アイスが食えなくなるんだからな!

 

 ライの身よりアイスの方が大切なヴィータであった。

 

 

 広い荒野に一体の巨大な赤いドラゴン、火竜レディアス。その竜と対峙している仮面を付けた小さい人間、傭兵ライ。両名は決闘すべく睨み合っている。

 

 そして、決闘の火蓋が切って落とされた。

 

「(後悔してもしらんぞ! 人間!)」

 

 先に動いたレディアスは高く飛び上がり、上空を取る。

 

「(消し炭になれ!)」

 

 レディアスの口から火が噴き出し、直径30メートルほどの巨大な火球をライに放った。

 

――なんつぅ火力だ! ここまで熱気が来やがった! ライは大丈夫なのかよ

 

 離れた場所に居るヴィータはレディアスの放った火球に驚愕している。そして火球がライに迫ってきた

 

「ふっ、フェニックスウイング!」

 

 ライは右手を超高速で動かし、炎を纏いながら、火球に掌撃を放った。

 

 

バァン!

 

 

 その掌撃は火球をレディアスに跳ね返した。

 

「な! あれはシグナムの紫電一閃を受け止めたやつじゃねぇか! あんなことも出来んのか!」

 

「(馬鹿な!)」

 

 レディアスは自分の火球が弾き返されたことに驚愕した。更に

 

「カイザーフェニックス!」

 

 ライは巨大な炎の怪鳥を放ち追撃をする。炎の怪鳥は跳ね返った火球に追い付くと更に巨大な怪鳥になり、レディアスを襲った

 

「(ぐおおおおお! こんなもの!)」

 

 レディアスは自分の翼で炎の怪鳥を受け止めた。

 

「(これを凌げば!)」

 

 そうレディアスが思っていると

 

「カイザーフェニックス!」

 

 ライによる更なる追撃が放たれる

 

「(何!)」

 

「二撃目! 早すぎるだろ!」

 

「カイザーフェニックス!」

 

「もう三撃目かよ!」

 

 二撃目のカイザーフェニックスが一撃目のカイザーフェニックスに追い付き、更に巨大になった瞬間、三撃目が追い付き、炎の怪鳥はレディアスのおよそ三倍ほどの大きさまで膨れ上がっていた。そして

 

「(ぐおおおおお! この俺が!)」

 

 

ドッカァァァァン!

 

 

 耐え切れなくなったレディアスは炎に飲み込まれた。レディアスは地面に向かって落ちていくが、

 

「(なめるなよ! 人間の小僧がぁぁぁ!)」

 

 レディアスは復活し、再び上空に舞い上がった。

 

「あれを食らって無事なのかよ!」

 

 レディアスは地上に居たライを見る。

 

「(何! 居ない!)」

 

 ライは既に姿を消していた。

 

「(おのれ! どこに行った!)」

 

「悪いが、一気に決めさせてもらうぞ」

 

「(何!)」

 

 後ろから声を掛けられたレディアスはすぐさま後ろに振り向いた。そこには右手に剣を持ったライが居た。ライは右手に持っていた剣に冷気を纏い、

 

「絶氷の剣!」

 

 レディアスとすれ違いざまに切りつけ、レディアスを氷の中に閉じ込めた。そしてレディアスに背を向けたまま、左手に纏った雷撃を上空へ投げつける。

 

「断罪の剣!」

 

 上空に放った雷撃は剣の形となり、氷ごとレディアスを貫いた。

 

「その身に刻め!」

 

 ライはレディアスに振り返り、雷を纏った氷の大剣を作り、

 

「奥義! セルシウスキャリバー!」

 

 レディアスを切りつけた。

 

「(ぐああああああああ!)」

 

 レディアスは落下し、大きな音を立てて地面に衝突した。それに続くようにライは地面に下り立った。

 

「まだやるかな。レディアス殿?」

 

「(おのれ……人間ごときが)」

 

「(そこまでだ。お前ではライには勝てん)」

 

「(アルディウス様! 俺はまだ!)」

 

「(ならおぬしはわしに勝てるか?)」

 

「(は? いえ……無理です)」

 

「(ライはわしよりも強いぞ。わしが足元にも及ばぬほどにな)」

 

「(そ、そんな馬鹿な! アルディウス様より強い!? 何かの間違いでしょ!)」

 

「(事実じゃ、先の戦いでもライは半分も力を出しておらんじゃろう)」

 

「そうだな。あれで大体一割ほどだ」

 

「(う、嘘をつくな!)」

 

「嘘ではありませんよ」

 

「(相手の力量を測ることも重要なことじゃぞ。レディアス)」

 

「(しかし、アルディウス様!)」

 

「どうしても納得がいかないなら、俺の力の一端を見せてやろう」

 

「(は! 出来るものならな!)」

 

 レディアスの挑発にも反応を示さず、ライは右手に持った剣を鞘に収め、そのまま右手を胸の高さまで上げる。そして、手の甲をレディアスに見せるようにしてある能力を発動させる。

 

竜の紋章(ドラゴンのもんしょう)発動!」

 

 するとライから巨大な闘気が噴き出した。

 

 

ゴオオオオオオ!

 

 

「(な、何だこの威圧は!)」

 

「魔力量が跳ね上がった! なんだこれは!」

 

 竜の紋章(ドラゴンのもんしょう)を発動させたライが纏った闘気や急増した魔力に驚愕するヴィータとレディアス。

 

 ライは右手を下げて、左手の甲を見せるように胸の高さまで上げ、

 

「更に双竜紋(そうりゅうもん)発動!」

 

 続けて双竜紋(そうりゅうもん)を発動させた。そして先ほどとは比べ物にならないほどの闘気を纏った。

 

「うわあ!」

 

 ヴィータはその衝撃に吹き飛ばされそうになる。そのあまりのエネルギーにより、大地は震え、ライの足元には亀裂が入る。

 

「(こいつ一体何なんだ! ただの人間がこれほどの力を!)」

 

「(わっはっはははは! よもやここまでとはな!)」

 

「まだ納得がいかないかな? 一応もう一段あるんだが?」

 

「(もういい! 十分だ!)」

 

「そうか? なら、竜の紋章(ドラゴンのもんしょう)解除」

 

 ライは竜の紋章(ドラゴンのもんしょう)を解除した。

 

「これで大体五割ってところだな」

 

「(これで五割だと? お前本当に人間か?)」

 

「お前本当に人間か」

 

 レディアスと何時の間にか傍に来ていたヴィータに人外扱いされるライ。

 

「失礼な。れっきとした人間だよ」

 

「(わっはっはははは! ライよ、もし人間に迫害されたときはここに来い!

  共に暮らそうではないか! はっはははは!)」

 

「そうなったらそうさせて貰うとしよう。その時は俺もドラゴンになろうかな?」

 

「は?(は?)」

 

「(む? ライはドラゴンになれるのか?)」

 

「なれるぞ。まあそれは後にして、レディアス殿。魔力を提供して頂けますか?」

 

「(……いいだろう。約束は守る)」

 

「ありがとう、感謝します。それじゃ、ヴィータ。皆から蒐集を頼む。俺はレディアス殿の

 怪我を治す」

 

「ああ、分かったよ」

 

 ライに言われたヴィータは蒐集をするため、他の竜達の傍に移動した。ライはレディアスに近づく。

 

「(余計なことをするな)」

 

「そうは行かないさ。俺が負わせた怪我だ、俺が治さないとな」

 

 ライは右手を上げ、レディアスに手を向ける。

 

「光よ集え、全治の輝きを以て、彼の者を救え! キュア!」

 

 詠唱して回復魔法を発動させるとレディアスは光に包まれ、瞬く間に傷が癒える。

 

「(これほどの回復魔法も扱えるとはな)」

 

「これでもう大丈夫でしょう」

 

「(……礼は言わんぞ。それと敬語は使わなくて良い)」

 

「分かった。改めてよろしく、レディア」

 

「(む? 何だそのレディアとは? 俺のことか?)」

 

「そうだ。友になった証ってところかな?」

 

「(誰が友だ! ……だが、まあ。許してやろう。勘違いするなよ! 仕方なくなんだからな)」

 

「分かったって」

 

『ツンデレドラゴン入りました~』

 

『略してツンドラか?』

 

『それ誰得?』

 

 ミストとライの漫才も入ったところで、レディアスと和解したライ達は蒐集活動を再開した。ヴィータが竜達から蒐集を行い、蒐集を終えた竜達をライが完全修復(パーフェクトリカバリー)で蒐集前の状態に戻す作業を繰り返した。そして、全員の竜から蒐集を行った。

 

「さて、アルディ、それと皆、協力ありがとう。おかげで順調にページが埋まった」

 

「(うむ、我等も役に立ったのなら良かった)」

 

「順調どころじゃねぇよ。こんなにも早くここまでページが埋まると思わなかったっつーの

 埋まったページ見たとき一瞬固まっちまったじゃねぇか」

 

「何言ってるんだ? ヴィータが早くはやてを助けるんだって言ったんじゃないか」

 

「限度があんだよ」

 

「解せぬ。さて、俺たちはそろそろお暇するよ」

 

「(そうか。また来るがよい。歓迎するぞ)」

 

「分かった。またな、アルディ」

 

「(ライ! 俺はもっと強くなる! 次は負けねぇぞ!)」

 

「楽しみにしているよ。レディア」

 

「(ふん!)」

 

 レディアと呼ばれたレディアスは顔を少し赤くしてそっぽを向いた。

 

『ツンデレドラゴン萌えぇぇぇぇ』

 

『おまわりさんこいつです』

 

『ちょっおま!』

 

「そういえばライ?」

 

「どうした。ヴィータ」

 

「お前ドラゴンになれるとか言ってなかったか?」

 

「ああ、言ったな」

 

「(おお! それはわしも興味あるぞ。どのようにしてなるのだ?)」

 

「そうだな。じゃあ最後に見せるとしよう」

 

 そう言うとライはヴィータ達から少し離れ、ある魔法を発動させる。

 

竜変化魔法(ドラゴラム)!」

 

 魔法を唱えるとライの姿はみるみる大きくなり、巨大なドラゴンに変身した。その姿は、黒い鱗に鋭い鉤爪、大きな翼を広げた、凛々しい顔のドラゴンだった

 

「こんな感じだ」

 

「おお! すげぇかっけぇ! ってか普通に喋れんのかよ」

 

「(おお! 素晴らしいではないか! それに随分イケメンだな!)」

 

「そうなのか? それは流石に俺にも分からないな」

 

「(ねぇ、ライ様。あちらの畔で一緒にのんびりしませんこと?)」

 

「は?」

 

 突然、青色の鱗のドラゴンに誘われるライ。

 

「(ちょっと抜け駆け禁止! それにライ様は私と一緒に火山の麓で日光浴するのよ!)」

 

「(ライ様~、あっちの谷で風を浴びに行きませんか~)」

 

 赤色の鱗のドラゴンと緑色の鱗のドラゴンにも誘われた。

 

「いや、これから帰るからちょっと」

 

「(帰らなくても良いんじゃない? ここで私達と暮らしましょう?)」

 

「(良いですよね? アルディウス様)」

 

「(うむ! わしが許可しよう! ライよ、わしの今宵の夜伽の相手はおぬしじゃ!)」

 

「ちょっ! ヴィータ! 背中に乗れ! ここから離脱する!」

 

「は? 何かあったn」

 

「良いから早くしろ!」

 

「わ、分かった!」

 

 ライに急かされたヴィータはライの背中に乗る。するとライは猛スピードでその場から離脱する。

 

「(ああ、ライ様~、お待ちになって~)」

 

「(わっはっはは! 逃がさんぞ! ライ!)」

 

 逃げるライを追いかける雌ドラゴン達。

 

「(ライ、強く生きろよ……でも)」

 

 遠ざかるライを見送るレディアス。しかし、

 

――ちょっとカッコ良かったな~。って何考えてんだ俺は!

 

 レディアスもお年頃の雌ドラゴンだったのであった。

 

「おい、ライ! 何があったんだよ!」

 

 猛スピードで空を飛ぶライにヴィータが話しかける。

 

「……ドラゴン達に求婚された」

 

「は?」

 

「ドラゴン達に求婚されたんだよ! しかもここで暮らせって言われたから逃げてんだ!」

 

「……マジかよ。ぶっ! あはははははははは!ドラゴンに求婚されたって、あはははは!」

 

「笑うな! 俺だって驚いているんだ! ヴィータ、これから転移する」

 

「てか、元に戻れば良いじゃねぇか?」

 

「いや、戻っている間に追いつかれる。先に転移してから元の姿に戻る」

 

「そういう事か」

 

 ライは最初にバランディアに転移した時の飛雷神のマーキングに転移した。

 

「(む? ライのやつが消えた。全員! 辺りをしらみつぶしに探せ! 草の根を分け、

  いや、燃やし尽くしてでもライを探すのだ!)」

 

≪(了解!)≫

 

 この日、多くのドラゴン達によるライ捜索が行われ、バランディアに住む生物達に恐怖を与えた。その光景を目の当たりにした生物達は口をそろえてこう言った。

 

「(進撃の巨竜(ドラゴン))」

 

 

 

フッ

 

 

 ライは飛雷神の術(ひらいしんのじゅつ)で転移し、すぐさま元の姿に戻った。

 

「ふう、えらい目にあった」

 

「いいじゃねぇか、モテモテでよ。羨ましいぞ。ドラゴン相手だけど」

 

「ヴィータ。お前アイス抜きな」

 

「すみませんでした!」

 

 アイス抜きと言われたヴィータは光の速さで頭を下げた。

 

「まったく……さて。帰るとするか」

 

「はいよ」

 

 ライはヴィータの手を取り、飛雷神の術(ひらいしんのじゅつ)を発動し、八神邸に転移した。

 

 

フッ

 

 

「ただいま」

 

「ただいま、はやて」

 

「ッ!? あぁビックリした。おかえり、ヴィータ。ライさんも」

 

 突然出現したヴィータとライに驚くはやて

 

「よく戻った、ヴィータ。それで首尾は?」

 

 シグナムはヴィータに蒐集がどうだったかを聞いた。

 

「……78」

 

「ほう、僅か一日で78ページか。中々順調だな」

 

「そうね。この調子なら余裕で年末までに間に合うわ」

 

「流石だな」

 

 ページ数を聞いたシグナムとシャマルが明るい顔になる。

 

「ちげぇよ。378ページ」

 

「「「は?」」」

 

「正確には378ページと35行だな」

 

「いやいや、あり得んだろう」

 

 あまりに現実味のないことを言われたシグナムはすぐに否定する

 

「ほらよ。証拠だ」

 

 ヴィータから闇の書を渡されたシグナムは闇の書を開き確認する

 

「ッ!? 馬鹿な! あり得ん! たった一日だぞ!」

 

「正確には6時間12分だな」

 

「半日以下ではないか!」

 

「……信じられないわ」

 

「なあ、それって凄いん? 私良く分からへんのやけど」

 

 驚愕しているシグナム達に聞くはやて

 

「……そうですね。我々が全員で毎日蒐集活動を行い、順調に言っても半月はかかるほどです」

 

「要するにめっちゃ凄いってことは分かったわ。一体何やったん?」

 

「うむ。私も気になる」

 

 はやてとザフィーラがヴィータに疑問を投げかける。

 

「えっとな~」

 

 

~ヴィータ説明中~

 

 

「ドラゴンの長と話をして友達になって」

 

 シグナムが言った。

 

「赤いドラゴンと戦って圧勝し」

 

 次にシャマルが言った。

 

「その後、ドラゴン達から蒐集して」

 

 続けてザフィーラが言い、

 

「そんで最後にドラゴンに変身してドラゴンに求婚されたと」

 

 最後にはやてが言った。

 

「まあ、そんな感じだ」

 

 そして、ヴィータが肯定した。

 

「大まかにはそれで合ってるが、最後のは言わなくて良いだろ、ヴィータ」

 

 ライがヴィータを睨みつける。

 

「別に良いだろ? 減るもんじゃねぇし。それよりライ、アイスくれよ」

 

「はぁ、まったく」

 

 ライは王の財宝(ゲートオブバビロン)からアイスを取り出した。

 

「ほらよ」

 

「へへへ、サンキュー!」

 

「だけどそろそろ夕飯だろ。その後に……如何したんだ? お前ら」

 

「「「「お前《あなた》本当に人間か?」」」」

 

「失礼な。れっきとした人間だよ。このセリフ何回目だ?」

 

『これでもほんの一部という立派な人外だと思いますが?』

 

『お前にまで言われるとはな』

 

『いっその事人間やめたら良いんじゃないでしょうか?』

 

『俺は人間をやめるぞ! ミストぉぉぉ!』

 

『あっはい』

 

『突っ込めや!』

 

「だがこの調子なら明日には闇の書が完成してしまうが、大丈夫なのか」

 

 シグナムがライに確認する。

 

「そうだな。流石に管理局の担当が到着する前に完成は不味い。完成自体は管理局の担当に

 はやてと守護騎士達を紹介して、その後の方針を決定してからだ。

 それに、今日蒐集した世界は俺が予め目星を付けていた世界だ。他にも候補はあるが、

 今日ほどの魔力総量を蒐集できることは無い」

 

「そうなの? 良かったわ。闇の書が2日で完成って、守護騎士形無しじゃない」

 

 シャマルがほっとしたように言った。

 

――完成自体は一日あればできるが、黙っておこう。

 

「だから、管理局の担当との顔合わせまでの間に550ページ前後まで埋めるつもりだ。

 そこまで行ったらのんびりしよう」

 

「その管理局の担当は何時頃来るのだ?」

 

 シグナムがライに聞いた。

 

「大体、1、2週間ほどだろうな」

 

「2週間で550ページ……信じられないスピードね」

 

「まあ、それほどライは凄いという事だろう。我等を圧倒しただけはある」

 

 呆れたように言うシャマルとライを賞賛するザフィーラ。

 

「そういえばライ」

 

「何だヴィータ」

 

「あの赤い竜を倒した後に見せたあの紋章は何なんだよ」

 

 ヴィータが竜の紋章(ドラゴンのもんしょう)についてライに質問する。

 

「ああ、あれか」

 

「ん? 何の話だ?」

 

「ああ、実はな」

 

 ライはその時の事情を話し、竜の紋章(ドラゴンのもんしょう)について説明した。

 

「自分の全能力を二乗倍?」

 

「ああ」

 

 シグナムが信じられないと言わんばかりの顔でライに聞いた。

 

「それが二回?」

 

「あと一回あるけどな」

 

 シャマルがちょっと引いた顔でライに聞く。

 

「しかもそれでも五割?」

 

「三回目を使って大体八、九割ってところかな?」

 

 ザフィーラが神妙な顔つきでライに聞く。

 

「何それ? 可笑しない?」

 

「まあ、ちょっと普通じゃないかな」

 

 なのは達と同じで二乗の意味を知らなかったはやては二乗の意味を聞いて、意味を理解したはやてが呆れた顔でライに聞いた。

 

「ちょっとじゃねぇし」

 

 ヴィータが人外を見るような顔でライに言った。ライから衝撃的なことを聞いたはやて達は全員顔を見合わせ、一斉にライを見る

 

「「「「「お前《あなた》人間じゃないよ」」」」」

 

「解せぬ」

 

 ライははやて達に人外認定されるのであった。




ハーレム要素あったでしょう(人間とは言っていない)
え? 話が違う? 何のことか分かりませんな(すっとぼけ)


さて、零冶の念能力紹介のコーナーです。

では、次の念能力はこれだ!

15、未来漫画(フューチャリングコミック)
  系統:具現化系
  説明:触れた相手の未来を漫画形式で具現化する能力。
     ただし、見れる未来は使用したその日一日のみとなっている。
     精度はその日、1日なら99%的中する。
     99%なのは使用者の介入によって変化するため。

  制約
   1、未来漫画を作成をする際には対象に触れていなければならない
   2、未来漫画を作成時に使用対象に気付かれてはならない
   3、未来漫画を作成後にその漫画の事を使用対象に知られてはならない
   4、未来漫画の内容を使用対象に知られてはならない
   5、未来漫画の内容と異なる未来にしてはならない

  誓約
   1、未来漫画作成時に使用対象に気付かれた場合はその対象に対し、
     丸一日未来漫画を使用できない。
   2、未来漫画作成後にその漫画の事を使用対象に知られた場合、
     その使用対象に対し、丸一週間未来漫画を使用できない。
   3、未来漫画の内容を使用対象に話した場合、その対象に対し、
     丸一ヶ月未来漫画を使用できない
   4、未来漫画の内容と異なる未来にした場合、その使用対象に対し、
     丸一年未来漫画を使用できない。

 派生技
  1、今後の展開(エピローグ)
    系統:具現化系
    説明:未来漫画(フューチャリングコミック)のその後どうなるかを
       ざっくり知る事が出来る能力。
       使用した漫画の後ろに追記されるようになっている。
       また、精度は未来になればなるほど悪くなる

    制約
     なし

    誓約
     なし

  2、新刊購入(アップデート)
    系統:具現化系
    説明:未来漫画(フューチャリングコミック)の作成してから日数が経過してもその日の内容に書き換える能力。
       精度は未来漫画と同じ。
       ただし、この能力をしようした後に漫画を消すと使用した回数×30日間
       未来漫画の能力そのものが使用できなくなる。

    制約
     1、未来漫画を消してから使用回数×30日間未来漫画をしようできなくなる

    誓約
     なし


 バッドエンド回避に大貢献している能力の一つですね。

 元々私がこの小説を書くに至ったのは「主要キャラたちが何故か死にそうになって、それを助ける主人公って面白くない?」という妄想からです。

 「死ぬのを回避するには未来が分かってないとな」という訳で未来を知るための能力を考えたところ漫画形式って分かりやすいかな?って思ってこうなりました。

 その頃の妄想ではライは影から助けるのではなく、もっと原作キャラたちと関わっていてハーレムを作っていたのですが、他の転生者達を出したいなという更なる妄想からこのような形になりました。

 最初の構想から大分ずれてるんだよな~(白目)変わっていないのは零冶とライの接点がまだ知られていないって所といつか来る正体バレの方法くらいか

 そして、妄想していた通りの小説を書くのには私の言葉のボキャブラリーは少なすぎた。会話の間の地文や戦闘描写、会話の文言、文と文を繋げる言葉、あまりに貧困すぎる。

 それと実を言うと中学の日常編を一番やりたいんですよね。私の腕で書けるかは別として。元々書き始めたのってそれが理由だったりします。

 妄想で終わらせておけば、こんなに頭を悩ませることも無かったろうに「私ってホントばか」

 でも感想を読むと嬉しくなりますね。それはやってよかったと思えることでした。


って感じです。では

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