原作を放って置くとバッドエンドになるんですが、どうしたら良いですか?   作:月の光

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26_ミスト『もう好きにしたらええ』零冶『何で関西弁やねん』

零冶 サイド

 

 

 今日はミゼットから闇の書の件を俺に一任する連絡が来たので、八神邸に行ってきます。

 

「さて、そろそろ行こうか」

 

[イエス、マスター。セットアップ]

 

 ミストは黒く光り、俺はいつものバリアジャケットを纏った。

 

「よし」

 

『こちらライ。はやて、守護騎士達。聞こえるか?』

 

『聞こえるぞ。ライ』

 

 シグナムが念話に応答した。

 

『これが念話か~、頭ん中で声がするって変な感じやね』

 

 はやては初めての念話の感想を言っている。

 

『管理局に話をした。一度そちらに行こうと思うが、大丈夫か?』

 

『ええで』

 

『分かった』

 

 俺は飛雷神の術(ひらいしんのじゅつ)を発動させる。

 

 

フッ

 

 

「こんにちは」

 

「わっ! ビックリしたわ。何時から居たん?」

 

「今来たばかりだ。脅かせて悪いな。こういうものなんだ」

 

「大丈夫やで、何かあったら責任取ってもらうだけやから」

 

「さて、管理局との話についてだが」

 

「無視!」

 

 はやてがくだらないことを言ってきたので、無視すると突っ込んできた。

 

「悪いな、はやて。お前の願いは叶えられない」

 

「……え?」

 

 俺がそう言うとはやては顔を沈ませた。

 

「俺でもお前の胸は大きく出来ないんだ!(出来るけど)」

 

「そっちかい!? てか酷い!」

 

「さて、話を戻すぞ」

 

「切り替え早!」

 

「それで、管理局はなんと?」

 

 俺とはやてが漫才をしているとシグナムが聞いてきた。

 

「ああ、こちらの要求を受け入れる代わりに条件を出してきた」

 

「条件?」

 

「闇の書を修復後、夜天の書を管理局に差し出すか、夜天の書の主を管理局に所属させる

 こと。だとさ」

 

「つまり、どうゆうことなん?」

 

 理解した守護騎士達は難しい顔をしている。はやては良く分かっていないようだな。

 

「管理局については教えたろ? ロストロギアの回収及び管理が目的の一つだ。

 だからロストロギアの夜天の書を差し出すか主を管理局に所属させることで管理局が

 管理しているという状態にしたいという訳だ」

 

「夜天の書を差し出したら皆はどうなるん?」

 

「当然離ればなれになる。守護騎士達は夜天の書の一部だからな。夜天の書に戻すことになる。

 夜天の書の主を変えることは出来ないから、はやてが死ぬまでそのままだな」

 

「それはあかんね」

 

「まあ、そうだろうな。管理局もそれは分かっていることだろう。だから」

 

「管理局に所属させれば問題ないと」

 

 はやてが俺より先に答えを言う。

 

「そうだ。まあ、管理局としては譲歩したほうだろう。問答無用で奪いに来るよりはましだ。

 それに所属しないとなると、はやての身の安全は保障されない。所属せざるを得ない

 だろうな。もちろん私生活を優先させることは交渉済みだ」

 

「そうか~、まあ仕方ないやろね」

 

「だが、もし嫌だと言うなら言え」

 

「え?」

 

「その時は俺が一生守ってやるよ」

 

「ッ!? ほ、ほうか~、まあ悪い気はせんね」

 

 はやてが顔を真っ赤にし、髪を弄りながら言った。俺おかしなこと言った?

 

『もう好きにしたらええ』

 

『何で関西弁やねん』

 

「お前に言われなくてもあたし達がはやてを守るっての。ま、まあ居ないよりましだけどな」

 

「ふっ、そうか。それではやて。どうする?」

 

「……せやね。管理局に所属でええです。これ以上ライさんに迷惑は掛けられませんし」

 

「良いのか?」

 

「はい、私は皆と過ごせればそれで良いので、私生活を優先してもいいってことなら良いかと

 思います」

 

「そうか、分かった。ならそのように管理局に伝えよう」

 

『ミスト、ミゼットに連絡を』

 

『了解』

 

 俺ははやて達から少し離れ、ミゼットに連絡を取る。

 

『はい、ミゼットです』

 

「ライだ。例の件、闇の書の主と話をした。管理居に所属で良いそうだ」

 

『そう、分かったわ。ご理解感謝しますと伝えて下さい』

 

「分かった。では正式に俺が主導で動くぞ?」

 

『ええ、よろしく』

 

「では、早速管理局に協力要請だ。

  一つ、管理局内に闇の書への魔力提供者の呼び掛けを行ってくれ。俺の名前を出して構わない

  二つ、闇の書救済の管理局側の担当を、現在、第97管理外世界地球に向かっている次元艦

     アースラ艦長リンディ・ハラオウンにする

  三つ、管理局側担当は内密にすること

 以上だ」

 

『協力要請承りました』

 

「ミゼット。アースラに連絡を取ってくれ。俺もそちらに向かう」

 

『はい、分かりました。お待ちしております』

 

「では」

 

 俺は通信を終わらせ、はやて達に向き直る

 

「先ほどの件、管理局に伝えた。はやて、ご理解感謝しますとのことだ。俺はこれから

 管理局側の担当者と会って、事情を話してくる。一時間ほどで戻ってくる。

 そうしたら蒐集活動を開始しよう」

 

「「「「分かった《わかったわ》《うむ》」」」」

 

「ホンマにすまんな~。よろしくお願いします」

 

「気にするな」

 

 俺は飛雷神の術(ひらいしんのじゅつ)で転移する。

 

 

フッ

 

 

 俺はミゼットに渡している通信機のマーキングに転移した。

 

「こんにちは、ミゼット」

 

「はい、こんにちは。ライ、ちょっと待ってね。今お茶を入れるわ」

 

「いやそれより、アースラに連絡を入れてくれ」

 

「あら残念、折角良い紅茶の葉が入ったのに。それにしても管理局側の担当を

 リンディちゃんにするなんて、貴方も酷ね」

 

「俺には俺の考えがある。今回の件でリンディ・ハラオウンがどう対処するかによって

 今後どう接していくかを見極めるためにな」

 

「そう、つまり貴方からの最終試験って訳ね」

 

「そうだな。拒否をするならそれで構わない。その場合は管理局側の担当は無しで良い」

 

「分かりました。それではアースラに連絡を取ります」

 

「頼む」

 

 ミゼットは通信機を取り、アースラへ連絡を取る。そして空中ディスプレイが映り、アースラに連絡が付いた。

 

「こんにちは、リンディ提督」

 

『はい、ご無沙汰しております、ミゼット統幕議長。本日は如何なさいましたか?』

 

「ええ、実は次元艦アースラに仕事を頼みたいの」

 

『はっ、何なりと』

 

「実は闇の書が見つかったの」

 

『な、何ですって!?』

 

 ミゼットから告げられ、驚愕するリンディさん。まあ当然か……

 

『それは本当ですか!? ミゼット統幕議長!』

 

『クロノ執務官。今は私が話をしているのよ。控えなさい』

 

『しかし、母さん!』

 

『クロノ!』

 

『ッ!? 分かりました……。申し訳ありません。リンディ艦長』

 

 リンディさんに言われて静かになるクロノ。

 

『申し訳ありません。ミゼット統幕議長』

 

「気にしないで、そちらの事情は把握しています。仕方ないことでしょう」

 

『お心遣い感謝致します』

 

「それで、詳しくはこの方から話があるわ」

 

 ミゼットが俺に話を振ってきた。

 

「こんにちは、リンディ提督」

 

『ッ! ライさん。まさか貴方が』

 

「はい、闇の書の主と接触した本人です」

 

『そうですか……』

 

「では、こちらの事情を説明します」

 

 

~ライ説明中~

 

 

「――という訳で、俺が今回の闇の書救済における主側の担当になりました。そこで管理局側の

 担当をリンディ提督に引き受けて頂きたく、連絡をしました」

 

『闇の書にそんな真実が……』

 

 俺は闇の書の真実をリンディ提督に伝えた。もちろん改竄に管理局が関わっていることを除いてな。

 

「もちろん、強制はしません。拒否して頂いても構いません。その場合、管理局側の担当はなし

 で進めます」

 

『少し……考える時間を……』

 

「分かりました。15分後に答えを出して下さい」

 

『分かりました』

 

「では、15分後にこちらから連絡します」

 

『はい、では』

 

 そう言って、通信が切れる。

 

「貴方も酷い人ね。リンディちゃん達にとって仇である闇の書の担当に推すなんて」

 

「これで引き受けないと言うならそこまでの人間だったというだけだ。だが、

 ここを乗り越えられるなら、管理局にとっても有益だろう?」

 

「……そうね」

 

「さて、15分は暇になったな。お茶でも貰おうか」

 

「はいはい、今淹れますよ」

 

 俺はミゼットのお茶を飲み、一息付くことにした。

 

 

零冶 サイドアウト

 

 

リンディ サイド

 

 

 私達の次元戦艦アースラは、プレシアさん達を乗せ第97管理外世界地球に向けて航行中だった。そこで本局のミゼット統幕議長から通信が入り、衝撃の連絡を受けた。それは夫の仇である、闇の書の救済において管理局側の担当になって欲しいとの連絡だった。

 

「ふぅ、大変なことになったわね。まさか闇の書の救済の担当に任命されるなんて……」

 

「リンディ、私は貴方の事情を知らない。良ければ聞かせてもらえるかしら?」

 

 プレシアさんが聞いてきた。

 

「……そうですね。お話しします。今から11年前、管理局は闇の書の主と闇の書を発見しました。

 そして、闇の書を本局に護送することになりました。その護送役に任命されたのが、

 私の夫、クライド・ハラオウンでした。しかし、その護送中に闇の書が暴走し、次元艦と

 クライドを侵食し、侵食を阻止するために小型艇で艦船から離脱して闇の書と運命を

 共にしました」

 

「そうだったの……」

 

「そんな……そうだ、きっとライはそのことを知らないんだよ。そうじゃなきゃリンディさんを

 担当に推す訳無いよ」

 

 本当に優しい子ね。フェイトさんは……でも

 

「いえ、ライさんは分かっていて私達を担当に推したのでしょう。私達がどうするかを見極める

 ために……」

 

「そんな……ひどいよ。ライ」

 

「そうね。ライなら既に知っているでしょう。それでもリンディを推薦したということは……」

 

 そう、私達が闇の書の救済に賛同するか……復讐をしたいのかを見極めるために。個人的な感情を言えば闇の書は許せない。多くの管理局員を死に追いやり、夫の仇である闇の書だ。許すことはできない。でも、私は管理局の人間であり、提督だ。個人の感情より優先しなければならないことがある。

 

 ライさんはきっと私達が個人の感情を抑え、闇の書の救済に手を貸すかを問いている。私は……

 

「母さん」

 

 私が思考にふけっているとクロノが話しかけてきた。

 

「クロノ、ここでは艦長と」

 

「いえ、僕は今、管理局執務官としてではなくクロノ・ハラオウン個人として話しています」

 

「……どうしたのかしら?」

 

「僕は闇の書の救済に賛同します」

 

「え?」

 

「例え、母さんが賛同しなくても、僕個人としてライに協力します」

 

「クロノ……」

 

「確かに闇の書は父さんの仇だ。恨みがないかと言われれば無いとはとても言えない」

 

 クロノが目を瞑り、手を強く握り締めて話を続ける。

 

「ライと正義の話をした時から考えていました。僕の信念は何なのか……

 父さんが死んでから僕は悪を倒すため必死に訓練してきました。強くなって悪を捕らえるために

 でも、いつの間にか管理局のために戦うことが僕の正義になっていました」

 

 瞑っていた目を開き、決意に満ちた強い目で私を見つめるクロノ。

 

「そして今日、ライから闇の書の真実を聞いて分かった。闇の書への憎しみよりも闇の書の

 主を救いたいという気持ちの方が強かった。僕の信念は悪を倒すことじゃない。

 僕は困っている人を助けたい。僕の力は人を守るための力だ。それが僕の信念なんだ」

 

 クロノ……強くなったのね……見ていますか、クライドさん……私達の息子は強く育ちましたよ。できることならクライドさんにも見せたかった。

 

「そう……貴方の気持ちは分かったわ。確かに貴方の言う通り、闇の書は今まで数多くの悲劇を

 引き起こしてきました。ですが、それは歴代の主達による改竄のせいであり、現主は関係

 ありません。我々、戦艦アースラは闇の書救済の任を受けます。皆さん、力を貸して下さい」

 

「もちろんです! 艦長!」

 

≪我々は艦長について行きます!≫

 

 エイミィや他の組員達が私に言ってくれる。

 

「もちろん私達もよ。リンディ」

 

 右手を腰にやり、左手にデバイスを持ちながら言うプレシアさん。

 

「私も精一杯お手伝いします」

 

 両手をおへその前で組み、礼儀正しく言うリニスさん。

 

「私もです。私も闇の書の主を助けたい」

 

 右手にデバイスを持ち、左手を胸に当てて言うフェイトさん。

 

「フェイトがやるならあたしもさ」

 

 右手で拳を作り、左手に当てて言うアルフさん。

 

「私も~」

 

 左手を上げてピョンピョン跳びながら言うアリシアさん。

 

「ありがとうございます。プレシアさん、リニスさん、フェイトさん、アルフさん、

 アリシアさんも」

 

 私は瞳を閉じる。

 

――私は……本当に良い仲間に恵まれたわ。私も変わらないといけないわね。

 

 私は瞳を開き、号令をかける。

 

「全乗組員に告げます。我々次元戦艦アースラは闇の書救済の任に就きます。

 皆さん、ご協力お願いします」

 

≪はっ! 了解しました!≫

 

 皆……ありがとう。

 

 

~しばらくして~

 

 

ピピピッ

 

 

「艦長、本局から通信です」

 

「繋いで下さい」

 

「りょ~かい」

 

『リンディ提督。早速ですが、答えをお聞かせ頂けますか?』

 

「はい、我々次元戦艦アースラは闇の書救済の任をお受けいたします」

 

『理由をお聞きしても?』

 

「私達親子は夫の仇である闇の書を恨んでいます。ですがそれは現闇の書の主とは

 関係ありません。我々は困っている人を助けるための組織です。闇の書の主を助ける

 ために全力を注ぎたいと思ったからです」

 

『そうですか、ご協力感謝します。それでは詳しく話を詰める為、そちらに行きます』

 

 

フッ

 

 

「こんにちは、リンディ提督。クロノ執務官」

 

≪ッ!?≫

 

「協力感謝する。ミゼット」

 

『はい、では朗報を待ってますよ。リンディちゃん、協力ありがとう』

 

「はっ! 必ず成功させてみせます」

 

『ふふ、それじゃ』

 

 ミゼット統幕議長がそう言い残し、ディスプレイが消える。

 

「さて、早速で悪いが、リンディ提督。主要メンバーだけで会議をしたい。

 リンディ提督、クロノ執務官、エイミィ執務官補佐、プレシアさん、リニス。

 以上5名を集めてくれ」

 

「分かりました。皆さん、こちらへ」

 

 私はライ達を会議室へ案内した。

 

「さて、会議の前に……リンディさん、クロノ」

 

「「はい」」

 

「協力ありがとうございます。それと試すようなことをしてすみませんでした。

 お詫び申し上げます」

 

 ライさんが深く頭を下げる。

 

「いえ、私達も闇の書とはきちんと向き合わなければいけませんでしたから……

 その機会を与えて頂き感謝します」

 

「俺が貴方達を推薦したのにはいくつか理由がある」

 

「理由は一つではないと?」

 

「そうです。一番の理由は信用できるかだ。これから話すことを誰にも漏らさないかどうかを」

 

 それほど重要なことってことなのね。

 

「まずは、お詫びではないが、この通信機を渡しておく。これは俺に直通の通信機だ。俺からの

 信頼の証だと思ってくれ。何かあったら連絡をすると良い。貴方からの依頼を直接引き受け

 よう。もちろん有料だけどな」

 

「ありがとうございます」

 

「ふえ~、あのライさんに直接依頼できるなんて、ある意味最強じゃないですか、うちの艦」

 

「浮かれるなエイミィ。ありがとうライ、あくまで自分達ではどうしようも無い場合のみ

 使わせてもらう」

 

「ああ、そうしてくれ。俺もいつでも依頼を受けられる訳ではない。なるべく事前に

 連絡をくれると助かる。さて、これからもっとも重要なことを話す」

 

「分かりました」

 

「もっとも闇の書についてではないがな」

 

≪え?≫

 

「これから会って欲しい人がいる」

 

「会って欲しい人?」

 

「ああ、だがその前に」

 

 ライさんが指をパチンと鳴らすと結界が張られた。

 

「これは外部に情報を漏らさないための結界だ。この部屋にのみ張った。更に」

 

 ライさんが魔法陣を展開する。

 

「これは! 召喚魔法!」

 

「君は召喚魔法も使えるのか!」

 

 私とクロノが驚愕していると魔法陣の中から人が出てきた。そこには

 

「嘘……」

 

「え? 誰? 何かクロノ君にそっくりな気が」

 

「クライド……さん?」

 

「ああ、久しぶりだね、リンディ。それと大きくなったな、クロノ」

 

「父……さん?」

 

「「「え? えええええええ!?」」」

 

「ど、どういうこと! なんで、クロノ君のお父さんが!」

 

「あなた!」

 

 私は脇目も振らず、クライドさんに抱き付く。私を優しく抱き締めてくれるクライドさん。

 

「寂しい思いをさせてすまなかった。リンディ」

 

 私はしばらくクライドさんの胸で泣いた。するとライさんが

 

「感動の再会中にすまないが、説明をさせて欲しい」

 

 私はクライドさんから離れ、涙を拭き

 

「……わかりました。ぜひお願いします」

 

 

~ライ説明中~

 

 

「過去に行くレアスキル……ですか」

 

「まさかグレアム提督がそんなことを……」

 

「そうだ。その復讐心をなくす為、過去に行きクライドさんを助けた。そして現在に与える

 影響を限りなく少なくするため、今までこのことを隠していた」

 

「そういうことですか……」

 

「貴方、本当に何者なの? 過去に行くレアスキルなんて人間の域を超えているわ」

 

 プレシアさんがライさんに聞く。それは私も気になるわ。

 

「それは俺も自覚している。だがれっきとした人間だよ。さて、これが一番重要なことだ。

 それとこれはミゼットにも話していない」

 

「ミゼット統幕議長にも?」

 

「そうだ。本来はプレシアさん達にも話したくは無かったが、これからのことを考えたら

 話しておいた方が良いと判断した」

 

「これからのこと?」

 

「ああ、クライドさんは今地球に名前を変えて暮らしている。だが、クライド・ハラオウン本人が

 生きていたということは管理局にばれる訳にはいかない」

 

「そうですね。こんな事管理局に話したら、ライは管理局に狙われるでしょう」

 

 確かにリニスさんの言う通りだわ。

 

「そこでだ。今の闇の書の主は地球の海鳴市に居る。リンディさん達は海鳴市に一時的な

 拠点を設けてもらい、そこで地球に住んでいる原尾 蔵人という人に出会ったという

 筋書きで通して貰いたい」

 

「なるほど。あくまでクライド・ハラオウンとは別人であるということにするってことですね」

 

 私がライさんに確認をする。

 

「そうです。そしてプレシアさんとリニスに話したのは、これから交流する機会が多くなる

 だろうから事情を知っていたほうがいいと判断したからです」

 

「不用意に原尾 蔵人のことを管理局に言わないようにして欲しいってことね」

 

 今度はプレシアさんがライさんに確認する。

 

「その通りです。理解が早くて助かります。それではクライドさん」

 

「ああ、分かった」

 

 送還魔法陣を展開し、クライドさんを元居た場所に送ったライさんはこちらに向き直り

 

「それでは闇の書の話をしよう」

 

「「「あっ、そうですね」」」

 

「忘れてたのか?」

 

「「「す、すみません」」」

 

「まあ、仕方が無いでしょう。それほどのことがあった訳だし」

 

「そうですね。死んだと思っていた人が生きていた訳ですから、

 ですから責めてはだめですよ? ライ」

 

「別に責めてはいない。闇の書の話だが、ミゼットに管理局内に魔力提供者を呼び掛けを

 行ってもらっている。あまり期待は出来ないがな。アースラはこのまま地球に向かって

 航行を続けてくれ。地球に着き次第、闇の書の主と会わせる」

 

「分かりました」

 

「それとプレシアさん」

 

「何かしら?」

 

「フェイトとアリシアに魔力を提供して貰えないか聞いてもらえませんか?」

 

「フェイトとアリシアに? 私とリニスは良いのかしら?」

 

「闇の書は魔力を蒐集した者の魔法を使用できます。流石に本人とまったく同じ威力では

 ありませんが、限りなくそれに近い威力を誇り、ある程度のアレンジを加えることも可能です。

 なので、プレシアさんやリニスほどの実力者を蒐集すると俺はともかく他の魔導師では

 相手にならなくなるかもしれない。だから俺も魔力提供を行うつもりは無い」

 

「なるほどね。貴方を相手にするなんて寒気がするわね」

 

「安心して下さい。レアスキルまではコピーできない。例え俺から蒐集したとしても

 俺を相手にすることになるわけじゃない」

 

「そう、なら良かったわ」

 

「もっとも千以上の魔法の使い手を相手にすることになるけどな」

 

「千以上って、貴方いくつ魔法を使えるのよ」

 

「千から先は数えてないな」

 

「良いこと、絶対にライから蒐集しちゃダメよ」

 

「「「「分かってます」」」」

 

「まあ、俺もそのつもりは無い。それと地球に着いたらで良い。高町なのは、ユーノ・スクライア

 桜羽葵、神宮寺王我、峯岸春兎の5名に協力要請をかけてくれ」

 

「あの5人にですか?」

 

「ああ、もちろん強制はしなくて良い。協力するか否かは本人の意思に任せる」

 

「わかりました」

 

「よろしく頼みます。俺たちはアースラ到着まで各次元世界の魔法生物から蒐集活動を行います。

 それでは」

 

 そう言い残すとライさんは姿を消した。

 

リンディ サイドアウト

 

 

零冶 サイド

 

 俺はアースラでリンディさん達に事情を話し終えたので、八神邸に戻ってきた。

 

「待たせたな」

 

「「「わっ!」」」

 

「「ッ!?」」

 

 シグナムが剣を構えて俺の方を向く、ザフィーラははやての傍に移動し、身構える。流石だな。

 

「ライか……驚いたぞ」

 

「驚かせてすまないな。管理局の担当と話をしてきた。蒐集活動についても問題ない。

 これから行こうかと思うが、誰から行く?」

 

「あたしだ」

 

 ヴィータか……

 

「分かった。手順は簡単だ。俺が魔法生物を捕まえる。ヴィータは蒐集。それだけだ」

 

「おい、何であたしが蒐集活動までお前に指図されないといけないんだよ」

 

「だが、その方が確実だ」

 

「あたしをなめてんのか」

 

 ヴィータが俺にすごんで来る。何これぜ~んぜん(全然)怖くな~い(笑)

 

「ごめんごめん」

 

 俺はヴィータの頭を撫でる。

 

「なっ! てめぇ、あたしを子供扱いすんな!」

 

 俺の手を払うヴィータ。

 

「悪い悪い、お詫びにこれをやろう」

 

 俺は王の財宝(ゲートオブバビロン)からあるものを取り出す。

 

「ほら」

 

「こ、これは!」

 

 俺が渡したのはアイスだ。

 

「い、良いのか?」

 

「ああ、食べて良いぞ?」

 

「で、でも」

 

 ヴィータがはやてをチラチラ見る。ああ、なるほど

 

「まあええで、ヴィータ。たまにはええやろ」

 

 主からの許可も出たな。

 

「やったー! へへ、ライ。サンキュー」

 

 ヴィータがアイスに飛びつく。

 

「ッ!? 美味い! 何だこれ! なんつーか……美味い!」

 

 それしか言えんのかお前は。

 

「それは良かった」

 

「へぇ~、そんなに美味いんか? ちょっと頂戴ヴィータ」

 

「ほらよ、はやて」

 

 ヴィータはスプーンでアイスを掬ってはやての口の前に持ってくる。

 

「あ~ん! うむうむ」

 

 はやてはアイスを口に入れ、口を動かす。

 

「む! 確かにこれは美味いわ! これどこで買ったん?」

 

「それは良かった。俺も作った甲斐があったよ」

 

「な! これお前が作ったのか!」

 

「そうだよ。気に入ったか?」

 

「ま、まあまあじゃねぇか?」

 

 ふふ、可愛いものだ。

 

「そうか、じゃあまた作ってやるよ」

 

「マジか! 約束だかんな!」

 

「ああ、約束だ。じゃあ、蒐集活動が終わったらまたやるよ」

 

「よしライ、すぐ行くぞ! 今行くぞ! さあ行くぞ!」

 

「分かった。行くぞ。ヴィータ」

 

「おうよ!」

 

 俺はヴィータの手を掴み。

 

「じゃあ、行ってくる」

 

「行ってきます。はやて」

 

「はい、気をつけてな」

 

 俺は飛雷神の術(ひらいしんのじゅつ)で転移した。

 

零冶 サイドアウト




零冶の念能力紹介のコーナーです。

では、次の念能力はこれだ!


14、七色の声帯ウグイスボイス ※オリジナル能力
  系統:変化系
  説明:老若男女どんな声を出すことができる能力。
     使用者が頭でイメージした声を出すことができる。
     その仕組みは声の波長にオーラを乗せ、オーラによって波長を変化させ、
     あらゆる声を出すことができるというもの。
     また、イメージした声を記録しておき、すぐに使用することも可能。
     ※イメージしてからではその分遅れるのを防ぐため

  制約
   なし

  誓約
   なし


 ライが一番良使っている能力です。ライとして活動しているときは常に使用しているからです。なので、喋る度にオーラを消費しています。ですが、消費量は少ないため、高速自動回復(リジェネレーション)で回復しているのでまったく問題ないです。

 声を変えることができるので、声紋も変えることが可能。なので、声紋センサーも掻い潜ることも可能。

 余談ですが、ライとゼロのときの声は別です。


って感じです。では

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