原作を放って置くとバッドエンドになるんですが、どうしたら良いですか?   作:月の光

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更新が遅れて申し訳ありません。

次も更新は遅れるかもしれません。
それに今回の話はそれほど面白くないかもしれません。

無理やり感が消せませんでした。
作者の限界ですorz
あっ! いつものことか! あははは!

それでも良ければどうぞ


22_零冶「ただいま~」ミスト[おかえり~]

零冶 サイド

 

「さて、あれをやるか。影分身の術(かげぶんしんのじゅつ)

 

 俺は影分身体を一体作る。

 

「それじゃ、早速頼むってばよ」

 

「了解だってばよ」

 

[なんですか、その語尾]

 

「「いやなんとなく」」

 

 俺は影分身体に完全修復(パーフェクトリカバリー)をかけてもらい、未来漫画(フューチャリングコミック)新刊購入(アップデート)使用前に戻してもらう。影分身体はボンと音を立てて消えた

 

「サンキュー、さぁ~て…………寝るか」

 

[寝るのかよ]

 

 

~翌朝~

 

 

「ここか……ここが良いのか?」

 

[あっ! ダメです! そこは……んっ!]

 

「我慢するな……もっと声を出して良いぞ。ここには俺達しかいないんだから……」

 

[で、でもハズカシんっ!]

 

「でも体は正直だぞ。もうこんなになってる」

 

[い、言わないで下さい! あんっ!]

 

「……よし、終わりだ。ミスト、調子はどうだ?」

 

[はい、極めて良好です]

 

 あ~疲れた。え? 何してたって? ミストのメンテナンスだよ。もし、別のことをしているように見えたのならそれは幻覚だ。幻想だ。イマジンブレイカーを持ってこい。

 

 今日ははやての誕生日だ。特に今日は何の問題も無いからな。一眠りした後、ミストに頼まれたメンテナンスをしていた。

 

[マスター、今日はこれからどうするのですか?]

 

「そうだな。学校には影分身体を送ったから《八神はやて物語》でテスタロッサ一家が

 出てこなかった原因を探りに行く。ミスト」

 

[了解。セットアップ]

 

 俺はバリアジャケットを纏う。

 

「よし、神の不在証明(パーフェクトプラン)発動」

 

 続けてプレシアさんに渡した通信機の飛雷神のマーキングを思い浮かべてマーキングを中心に円を広げる。

 

『……転移しても問題ないな、飛雷神の術(ひらいしんのじゅつ)発動』

 

 

~しばらくして~

 

 

「ただいま~」

 

[おかえり~]

 

「さて、早速読むとしようか」

 

 え? いきなり過ぎて分からない? これを見れば分かるだろう。

 

 《プレシア物語》

 

[これで何故《八神はやて物語》でテスタロッサ一家が出て来なかったかが分かりますね]

 

「ああ、理由さえ分かれば対策が出来る。《八神はやて物語》で問題だったのは

 ヴィータの死とアースラが来なかったことだ。そこを回避すれば問題ない。

 では読むとしようか」

 

 

零冶 サイドアウト

 

 

《プレシア物語》 サイド

 

 

「ふぅ、落ち着くわね」

 

 私は緑茶を飲み一息つく。

 

「そうですね。それにしても良くお砂糖を入れずに飲めますね? 渋くありませんか?」

 

「それが良いんじゃない。私からしたら、貴方の飲み方が異常よ? 糖分取り過ぎ」

 

「大丈夫です。甘いものは別腹です。それに頭を使う仕事なので糖分は必須です」

 

 そう言い湯飲みを傾けるリンディ。甘い茶菓子を甘いお茶で飲んで如何するのよ。

 

「まあ、好みは人それぞれだものね。私はこの渋さが好きよ。そう言えば後どれくらいで

 ミッドに着くのかしら?」

 

「今の航空速度ですと、後二・三日って所ですね」

 

「そう……ミッドに着いたら早速裁判かしら?」

 

「いえ、まずは今回の事件の詳細の報告と事情聴取からですね。簡単な詳細は既に

 本部に送っていますから、そこまで時間は掛からないと思います」

 

「そう……」

 

 私はこの先が心配だった。私の犯した罪は決して軽くない。管理局の体制なら最悪の場合……

 

「安心して下さい。無罪は無理ですが、それほど重い罪にはしませんので」

 

「ふふ、顔に出ていたみたいね。よろしく頼むわね。リンディ」

 

「お任せ下さい」

 

「でも……もし無理そうなら、せめて子供達の安全の保障を優先して頂戴。

 私の全てなのよ、あの子達は……」

 

 私はリンディに頭を下げる。

 

「プレシアさん……大丈夫です。私達が何とかします。貴方のことも」

 

「ふふ、頼んだわ」

 

 私達が雑談をしていると

 

「お母さ~ん、訓練終わったよ~。そろそろご飯の時間だよ。食べに行こ~」

 

「お母さん。早く行こう」

 

「さあ、行きましょう。プレシア」

 

「もうお腹ペコペコだよ」

 

 私の家族達が私を呼びに来た。こんな当たり前の日常を過ごせるようになるなんて思ってもみなかった。本当にライには感謝しているわ。

 

「ええ、行きましょうか。それじゃリンディ。先に行っているわね」

 

「はい、私も後で行きますので、先に食べていて下さい」

 

 これが私の幸せ。これ以上望むものなんて無い。どうか……どうかこの幸せがずっと続きますように……

 

 

《プレシア物語》 サイドアウト

 

 

零冶 サイド

 

 

 ちょっと止めてよ。なんでこんなにフラグ建築しているの? すげーいやな予感がするんだけど……

 

「何かこの先を見たくないんだけど……」

 

[でもそれじゃ、どうしようもなくなっちゃいますよ?]

 

「分かってるよ。はぁ~、何も無いことを祈る」

 

[マスターもフラグ立てちゃってますけど?]

 

「そんなものへし折ってくれる」

 

[まあ、マスターならある程度はどうとでも出来るでしょうけど……

しかし、この後の未来に何が起きるんでしょうね]

 

「そうだな……」

 

 俺は右手を顎に当て、考える。

 

「大方、管理局側が長期間の懲役刑を言い渡したか、それ以上の実刑を求めたんじゃないか?

 それに弁護側が反発し、裁判が長引いている……とかかな?」

 

[なるほど……しかしそれでは手の出しようが無いのでは?]

 

「そうでも無いさ、いくらでも手はある。手段を問わなければな……

 そのためにもこの先何が起きるかを把握しておく必要がある。

 では、今後の展開(エピローグ)発動」

 

 

零冶 サイドアウト

 

 

《プレシア物語》 エピローグサイド

 

 

 ミッドチルダに着いたプレシアは管理局からの事情聴取を受け、裁判が始まった。しかし、事前の話では3年間の管理局への無償奉仕になるとの話だったが、裁判が始まり管理局から告げられた罪状は死刑、虚数空間流しの刑だった。

 

 更に、アリシア・フェイトの両名の研究所への差出命令も言い渡された。プレシアはこれに反発しようとしたが、弁護士が黙認。激怒したプレシアは弁護士を解任。新たな弁護士を雇おうとしたが、最悪の状態で引き受ける弁護士は居なかった。

 

 罪状は以下の通り

  ①違法研究に手を染めたこと

  ②違法研究の無断破棄

  ③26年前のヒュードラ事件の情報について管理局に不正なアクセス及び、

   情報操作を行い、管理局を貶めたこと

  ④ジュエルシード事件の発端者であること

 

 その後、リンディ・ハラオウンはプレシアと面会をした。

 

「リンディ! これは一体どうなっているの!?」

 

「……申し訳ありません。上層部の命令で私は貴方の担当から外されてしまいました……」

 

 プレシアに問い詰められたリンディは神妙な顔つきで答える。

 

「……そう、結局ゼロの言う通りになってしまったってことね……」

 

「本当に申し訳ありません。ですが、今も上層部に掛け合っています。必ず貴方を」

 

「もう良いわ……リンディ、あの時話したことを覚えているかしら?」

 

「あの時? まさか!」

 

 リンディは以前、アースラで話したときのことを思い出し、驚愕する

 

「そうよ、私のことは良いからせめてあの子達だけでも助けて。幸いあの子達は

 書類上私との血縁関係は無い。貴方があの子達の保護責任者になれば、

 研究所に送られることは無いわ」

 

「ま、待って下さい! 必ず貴方も救います! ですから!」

 

「私の最後のお願いよ、どうかあの子達を……」

 

「……わかり……ました」

 

 暗い笑みを浮かべるプレシアを見て、悔しい顔で俯くリンディ。

 

「お願いね。リンディ」

 

 その後、弁護士抜きで裁判が進められ、プレシアの死刑は揺るがなかった。リニスは傭兵ライに何とか連絡を取ろうとしたが、一向に連絡が付かず、リンディはアリシアとフェイトの保護責任者の申請をしたが、却下されてしまう。

 

 そして、ついにプレシアに死刑判決が下され刑が執行される。アリシアとフェイトと二人の使い魔は研究所へ送られた。リンディは管理局に対し、不信を抱き、クロノ共々管理局を辞職する。

 

 リンディとクロノはアリシア達が送られた研究所を突き止め強襲、4人を救出するも4人とも精神が崩壊しており、しきりに「きっと直ぐにライが助けに来てくれる」と繰り返していた。

 

 リンディは4人を連れ、次元艦で逃亡するも管理局に見つかり、次元戦艦砲により、宇宙の塵となった。

 

 

~完~

 

 

《プレシア物語》 エピローグサイドアウト

 

 

零冶 サイド

 

 

「……」

 

[……]

 

 俺とミストはこれからの未来を見て無言になっている。

 

「はっはは! 予想の斜め上を行ったな~。まさか死刑とは……裁判が長引いて地球に

 来れないんじゃなくて早期決着で来れなくなってたのか~。も~、管理局ったらおちゃめさん!

 あっははははははははははははは! ふざけるな!!」

 

 俺は力任せに壁を殴った。壁は粉々に砕け散った。

 

[マスター、落ち着いて下さい]

 

「…………ああ! くそ! さっきの破壊音を近所の人達の記憶から消さないと……」

 

 俺は頭をかきむしった

 

[ご安心を。予め防音結界を張って置きました]

 

「そうか……ありがとう。助かった」

 

[いえ、お気になさらず]

 

「謙遜するな。面倒が一つ減って本当に助かったよ。しかし、壁には悪いが怒りが収まらん。

 今ほど管理局を潰したいと思ったことは無い」

 

 俺は時の支配者(クロックマスター)で壁を修復しながら言う。

 

[そうですね。これには私も怒りを覚えました。この程度の罪で死刑とか管理局は何を

考えているんでしょう……]

 

「いや、管理局の考えについては大体予想できる」

 

[そうなんですか?]

 

「ああ、プレシアさんほどの優秀な人材を捨ててでも欲しいものがあるってことだ」

 

[欲しいもの? まさか……]

 

「ああ、プロジェクトFの技術だ。そのために成功体であるアリシアとフェイトが欲しかった。

 つまり一人の優秀な魔導師より、無数の使い捨てが出来る魔導師を選んだんだ」

 

[なるほど、腐ってますね]

 

「ああ、腐っている。だが、利には適っている。魔導師不足を解消することは

 管理局の目的に直結する」

 

 壁の修復が終わった俺は椅子に腰掛ける。

 

[それでこれからどうしますか? マスター。このままでは]

 

「もちろん管理局の思い通りにはさせないさ。情報を集めるぞ。最悪はあの人の手を借りるさ」

 

[ああ、あの人ですか……それなら何とかなりそうですが、ギアスの方が楽なのでは?]

 

「ギアスは矛盾を残さないようにするのが面倒だ。それは本当の最終手段だ」

 

[了解しました。管理局のメインサーバーから使えそうな情報を盗っておきます]

 

「頼んだ。こっちはこっちで色々準備する」

 

 俺達はテスタロッサ一家を救うため、動き出した。

 

 

零冶 サイドアウト

 

 

プレシア サイド

 

 

 私達がミッドチルダに到着してから数日が経過した。私は今裁判を受けている

 

「開廷します」

 

 そして私の()()の裁判は始まった。ミッドに到着してから事件の詳細や事情聴取を行い、裁判が始まったが、最初の事情聴取で聞いていた話とは異なり、管理局から私に告げられた刑は死刑。更にアリシアとフェイトを研究所へ引き渡せと言って来た。

 

 私は反論しようとしたが、最初の弁護士がこれを黙認したため、私達の運命は決まってしまった。最初の弁護士を解任し、新たな弁護士を雇った。名前をクリス・ハーキュリー。クリスは頑張ってくれたが、管理局の言い分を覆すことは出来なかった。

 

 私はアリシアとフェイトだけは助かるようにリンディにお願いし、私は刑を受け入れることにした。

 

「判決を言い渡します」

 

 私は目を瞑り、判決を待つ。

 

――アリシア、フェイト。どうか私のことは忘れて幸せになって。

  一緒に居られなくてごめんね……

  リニス、アルフ。私の代わりに二人をお願いね。

  私は結局幸せにはなれなかった。約束を守れなくてごめんなさい。ライ

  最後に……貴方に会いたかったわ。

 

「主文、被告は「その判決待って貰おうか」は?」

 

「え?」

 

 私は目を開け、声の主を見るとそこには

 

「な! 誰だ貴様は、ここをどこだと心得る! 傍聴人が神聖な裁判を邪魔しおって!」

 

「失礼、ですがこの裁判は不正です。見過ごす訳には行きません」

 

 黒いコート状のバリアジャケットに顔の上半分を仮面で隠した男が居た。

 

「ラ……イ」

 

 そこには最後に会いたかったライが居た。

 

「不正だと! 無礼な! 貴様一体何者だ!」

 

「私はライ。傭兵をやっております」

 

 ライが名乗った途端周りがざわめき出した。

 

「ライ……だと。まさか零騎士ライか?」

 

「その二つ名は私が名乗っている訳ではありませんが、私がそのライです。

 以後お見知りおきを」

 

「だ、だから何だ。貴様があの零騎士だろうと、この裁判の結果は変わらん」

 

「では何故、彼女は死刑なのですか?」

 

「違法研究に手を出したからだ!」

 

「彼女が違法研究に手を出したのは管理局が彼女を陥れ、最愛の娘を失ったからですが?」

 

 ライが私を擁護している。もう良いのよライ。私はもう……

 

「そのような事実はない! 管理局に不正アクセスした揚句、そんな情報をでっちあげたに

 決まっている」

 

「残念ですが、その情報は真実ですよ」

 

「何を根拠に!」

 

 相手の管理局の人間がライに聞く。

 

「その情報は私がプレシア氏に提供したものです」

 

「何だと!」

 

「ライ! もう良いわ。これ以上は貴方に迷惑が掛かる」

 

「そ、それのどこが根拠だ。寧ろ管理局を貶める情報をでっちあげたのだ。貴様も犯罪者だ」

 

「その情報は私が正規のルートで入手したのにも関わらずにですか?」

 

 え? 正規のルート?

 

「は? な、何を馬鹿な」

 

「その情報はこの方から提供して頂いたものだ」

 

 ライが指をパチンと鳴らすと空中にディスプレイが投影された。

 

『皆さん、こんにちは』

 

「ミ、ミゼット・クローベル統幕議長!」

 

「この情報は私がミゼット統幕議長にプレシア氏の事情をお話しし、調査して頂いた結果、

 この事実が判明。ミゼット統幕議長のご好意により、情報提供して頂いたものだ。

 そうですよね。ミゼット統幕議長」

 

『ええ、これは私がライに協力を要請され、調べた情報です』

 

「ば、馬鹿な……」

 

「よって、この情報は真実であり、プレシア氏が違法研究に手を出した原因は管理局にある。

 最愛の娘を取り戻そうとする彼女の行為を誰が責めることが出来ようか」

 

「だ、だが! プレシアは無断で違法研究の破棄を」

 

「彼女は愛する娘達を作り出した自分の研究が悪用されることの無いように研究を破棄した。

 悪用されないように破棄することの何がいけないのかな? それとも、

 破棄されたことで何か不都合でもあったのかな? ダリス・ファンロット提督?」

 

「そ、それは……」

 

 ライに聞かれ、言い淀むファンロット提督。

 

「貴方の代わりに私が代弁してあげよう。貴方は裏でプロジェクトFの研究を行っている。

 だから、研究を破棄されたのが許せないのでしょう?」

 

「な、暴言だ! おい! こいつを早く摘み出せ!」

 

『ライ、続けて下さい』

 

「な!? ミゼット統幕議長!」

 

 ライに続きを促すミゼット統幕議長。

 

「はい、貴方はプロジェクトFの成功体であるアリシアとフェイトをなんとしても手に

 入れたかった。それもそうだ。自分の研究の答えが目の前にあるのだ。

 喉から手が出るほど欲しかったことでしょうね。ですが、第69管理外世界にある貴方の

 研究所は既に管理局に押さえられていますよ。ファンロット提督」

 

「な!? ふざけるな! 私がその研究にどれだけ! しまっ!?」

 

「貴方の主張は貴方の私欲によるものだ。そんな裁判が不正でないとまだ言い張りますか?

 次にジュエルシード事件についてだが、プレシア氏の体はプロジェクトFの研究の無理が

 たたり、病に侵されていた。その病を治せると踏み、ジュエルシードを欲した。だが、

 彼女が研究で無理をしたのも元をたどれば管理局のせいだ」

 

 ライは一呼吸置き、続きを話す。

 

「その病もアリシアとその使い魔リニスが医者を探しているときに偶然私に出会い、

 私が治療した。残念ながら、ユーノ・スクライアの次元艦を強襲した後だった訳だが」

 

 ライが私達と口裏を合わせた内容を話す。

 

「彼女が犯した罪はそれだけだ。そしてそれは裁かれなくてはならないほどのものなのか?

 彼女が欲したのはロストロギアではない。その先にあった家族との幸せだ。

 そんな彼女を誰が責められる」

 

 ライは言葉を一度切り、裁判長を見る。

 

「よって私はプレシア・テスタロッサの無罪を主張し、管理局側からの謝罪を要求する」

 

「な!? そんなふざけた話があるか!? そもそも傍聴人の貴様は部外者だ! そんな主張が

 通るものか!」

 

「ミゼット統幕議長」

 

 ライがミゼット統幕議長を見る。

 

『分かっています。本局統幕議長ミゼット・クローベルの名の下に宣言します。

 この裁判においてライの証言を有効なものとし、その主張を全面的に認めます』

 

「そ、そんな……馬鹿な……」

 

『その上で判決をお願いしますね。裁判長?』

 

「は、はひっ!」

 

 ミゼット統幕議長は裁判長に微笑みという名の脅しをかける。怖いわね。

 

「こ、こほん。それでは判決を言い渡します」

 

 裁判長が咳払いをし、言葉を続ける。そして

 

「主文、被告は無罪」

 

 私は無罪となった

 

「判決理由について述べます。本件は、被告がスクライア部族、ユーノ・スクライアが

 ロストロギア【ジュエルシード】を運搬していた次元艦を――」

 

 

~裁判後~

 

 

 私達はミゼット統幕議長に呼ばれ、本局の一室に来た。

 

「「ライ!」」

 

 ライを見つけたアリシア、フェイトがライに駆け寄った。

 

「二人とも、久しぶりだな」

 

「ライ、お母さんを助けてくれて本当にありがとう」

 

「ライが居なかったら今頃」

 

 アリシアとフェイトがライに礼を言う。

 

「ライ、この度はありがとうございました。貴方には何度も迷惑をかけてしまって

 申し訳ありません」

 

「助かったよ、ライ。フェイト達が悲しい思いしないで済んだよ」

 

「いや、気にするな」

 

 リニスとアルフがライにお礼を言う。

 

「ライ……」

 

 私はライに話しかけようとしたが、申し訳なさで言葉が出てこなかった。

 

「プレシアさん、この度は申し訳ありませんでした」

 

「「「「「え?」」」」」

 

 どうしてライが謝るのかしら? 寧ろ私の方が謝らなくてはいけないのに……

 

「今回、私が提供した情報が貴方を更に追い詰める結果となってしまいました。

 私の不徳が致すところです。本当に申し訳ありませんでした」

 

「そ、そんなことはないわ! それにこんな事誰にも予想できなかったもの。

 貴方のせいではないわ」

 

「そう言って頂けると助かります。私は傭兵ですからね。信用が無くなっては困るので」

 

「そうですよ。ライ、今回の件は管理局側に問題があります。貴方が謝ることではありません」

 

 一室の扉が開き、ミゼット統幕議長が姿を現した。

 

「ミ、ミゼット統幕議長! こ、この度はありがとうございました」

 

 私は早速お礼を言い、頭を下げる。

 

「頭を上げて下さい、プレシアさん。寧ろ私達の方が謝らなくてはいけません。

 申し訳ありませんでした。管理局を代表し、お詫び申し上げます」

 

「い、いえ……」

 

 これが伝説の三提督の一人、雰囲気が違うわ

 

「ありがとう! おばあちゃん」

 

「こ、こらアリシア!」

 

 アリシアがミゼット統幕議長に言う。

 

「ふふふ、どういたしまして♪」

 

「も、申し訳ありません」

 

「気にしないで良いのよ? 私も孫が出来たみたいで嬉しいわ」

 

 機嫌を損ねてないみたいで良かったわ。

 

「それで私達を呼んだ理由は何なのでしょうか? ミゼット統幕議長」

 

「ええ、もうちょっと待ってもらえるかしら? それと私のことは呼び捨てで構いませんよ」

 

 よ、呼び捨てなんて恐れ多い。

 

「そ、それではミゼットさんと」

 

 

コンコン コンコン

 

 

 私達が話をしていると一室の扉がノックされた。

 

「どうぞ」

 

 ミゼット統幕議長が入るよう促すと

 

「「失礼致します」」

 

 扉からリンディとクロノ君が入ってきた。

 

「リンディ、クロノ君」

 

「ッ! プレシアさん」

 

「こ、これはどういうことでしょうか? ミゼット統幕議長」

 

「俺がミゼットに頼んだんだ」

 

 ライが言った。って呼び捨て!?

 

「ラ、ライ。さすがに呼び捨ては不味いのでは?」

 

「ミゼットも呼び捨てで良いと言っていたでしょう? それに俺はいつもこうですよ」

 

「そ、そう」

 

 私がライに聞いたが、そんな答えが返ってきた。

 

「貴方は昔からそうでしたからね。そろそろお母さんと呼んでいいのよ?」

 

「そもそも養子になった覚えなどありませんが?」

 

「私はいつでもウェルカムよ?」

 

「ノーサンキューだ」

 

 ミゼット統幕議長とこんなやり取りが出来るなんてライって何者なのかしら……

 

「それで、何故私達を?」

 

 リンディがライに聞いた。

 

「色々言いたいことがあると思ったので、特にリンディ提督には」

 

「そう……ですね」

 

 リンディとクロノ君は私達に向き直り、

 

「プレシアさん、この度は私の力が足りず、申し訳ありませんでした。

 ミゼット統幕議長やライさんが居なかったら、取り返しのつかないことになる所でした」

 

「僕も結局何も出来ず、申し訳ありませんでした」

 

 リンディとクロノ君が謝ってくる。

 

「もう過ぎたことだもの。良いのよ。これからもよろしくね。リンディ、クロノ君」

 

「プレシアさん……はい! こちらこそよろしくお願いします」

 

「これにて一件落着だな。ミゼット、協力感謝する」

 

「い~え、貴方に貸しを作れて良かったわ♪」

 

「それはあの時の貸しでチャラにしてくれ」

 

「裁判で嘘の証言をしたんだもの。あの件はそれでチャラよ。

 今回のプレシアさんとリンディちゃんの和解は別よ?」

 

「ちっ、やっぱり食えないばあさんだな」

 

「褒め言葉として受け取って置くわ♪」

 

「嘘の証言って?」

 

 フェイトが疑問に思ったことをライに質問した。ライはミゼット統幕議長をチラッと見て、ミゼット統幕議長は小さく頷いた。

 

「元々26年前のヒュードラ事件の真相の情報はミゼットから正式に提供してもらったものでは

なく、俺が管理局のメインサーバーにハッキングして盗んだ情報だったんだ」

 

≪え!≫

 

 ミゼット統幕議長以外の全員が驚いた。

 

「だが、あのままではその事を俺が証言してもプレシアさんの死刑は変わらなかっただろうし、

 俺も管理局に追われることになるからな。ミゼットに事情を話して協力してもらったんだ」

 

「そうだったんだ……」

 

 フェイトが納得した。

 

「まあ、私としてはライに借りを返せる良い機会だったと言う訳ね。

 それにプレシアさんの件は管理局の人間として見過ごす訳には行きませんでしたし……」

 

 ミゼット統幕議長が言った。そういえば……

 

「ミゼットさんとライはどういう関係なんですか?」

 

 私は気になっていたことを聞いた。

 

「ミゼットは俺のお得意様って所だな……管理局の人間でも信用できる数少ない客だ。

 俺が傭兵家業を始める時の一番最初の依頼が護衛任務だったんだが、その時の相手が

 ミゼットだったんだ。その時からのお得意様という訳だ」

 

「ええ、懐かしいですね。最初にライを見たときは変な仮面を着けている傭兵と思ったものです」

 

「変で悪かったな」

 

「ですが仕事は一流、いえ超一流でした。あの時は本当に助かりました。

 ライが居なかったら、私は今ここに居なかったでしょう」

 

 居なかったって一体何があったのかしら……

 

「いや、俺としても良いお得意様が出来てよかったよ。さて話は変わるが、プレシアさん」

 

「何かしら?」

 

「貴方達はこれからどうしますか?」

 

「そうね……」

 

 そう、私達はこれから身の振り方を考えなくてはならない。少なくとも管理局に目を付けられたと考えるべきだわ。だとしたら、また狙われかねない。困ったわね

 

「これは提案なのですが」

 

 私が黙っているとミゼット統幕議長が言ってきた。

 

「プレシアさん、管理局に入りませんか? もちろん私の直属として」

 

「それは……」

 

 私が言い淀んでいると

 

「確かにそれが良いかもしれませんね。プレシアさんは今、管理局に目を付けられています。

 ミゼットの後ろ盾があれば、狙われることはほぼ無いでしょう」

 

「……」

 

 ライがミゼット統幕議長の提案を補足してきた。確かにそうね。これ以上ライに迷惑は掛けられない。

 

「プレシアさん。もし俺に迷惑を掛けたくないから管理局に入ると言うならその必要は

 ありませんよ」

 

「え?」

 

「例え貴方が管理局に入らず、今後管理局に狙われたとしても、その時は俺が貴方達を

 全力で守ります。この命に代えても」

 

「ッ!?」

 

 まずいわ。絶対私の顔は赤くなっている。

 

「まあ、その時は管理局を潰したほうが早いですがね」

 

≪は?≫

 

「止めて下さい、ライ。貴方が言うと冗談に聞こえません」

 

「冗談で言っているように見えるか? 管理局に代わる新たな機関を作ったほうがましだと

 思っているのは本当だが? そうならないためにも俺を失望させるなよ。ミゼット」

 

「分かっています。貴方を敵に回したら管理局もただでは済みませんからね」

 

 じょ、冗談じゃなかったのね。でも……

 

「ミゼットさん。先ほどの話、お受けいたします」

 

「良いのですか? プレシアさん」

 

「ええ、管理局には良い思い出はないけれど、ミゼット統幕議長は信用できますので。

 貴方が信用しているようにね」

 

 やっぱりこれ以上迷惑は掛けられないわ。少し惜しい気もするけどね。

 

「そうですか。助かったな、ミゼット?」

 

「ええ、本当に助かりました。これからよろしくお願いしますね。プレシアさん」

 

 ミゼット統幕議長が手を差し伸べてきた。私はその手を取り、

 

「こちらこそよろしくお願い致します。ミゼット統幕議長」

 

 私達は固い握手をした。

 

「これで一件落着だな。これから色々手続きもあるでしょう。俺はこれで失礼します」

 

「ライ、本当にありがとう」

 

「お気になさらず、では」

 

 ライはパッと姿を消した。

 

プレシア サイドアウト

 

 

零冶 サイド

 

 

「ただいま~」

 

[おかえり~]

 

 俺は飛雷神の術(ひらいしんのじゅつ)で自宅に転移した。

 

「あ~、疲れた~」

 

[お疲れ様でした。マスター]

 

「ああ、ミストもお疲れ。まあ、お前は裁判では何もしてないけどな」

 

[ええ、ポテチ片手に見てました]

 

「お茶の間気分か! だが、これでテスタロッサ一家の件は大丈夫だろう」

 

[そうですね。しばらくしたらアースラでこちらに来るでしょう]

 

「ミゼットに借りを作ったのは計算外だったが、これで懸念事項は一つ減ったから良しとしよう」

 

 さて、そろそろ闇の書にも関わりますかっと

 

「ただいま戻りました」

 

 おっ、帰ってきたな。今回の功労者が

 

「おかえり~、今回はすまなかったな」

 

「いえ、ほとんどお役に立てず申し訳ありません」

 

「そんな事は無いさ。お前が時間を稼いでくれたから間に合ったんだ。謙遜するな。

 クリス・ハーキュリー弁護士? いや、コピーパペット」

 

 そう、今回の件で引き受ける弁護士が居ないせいで早期決着してしまった裁判を少しでも長引かせるためにコピーパペットに弁護士役を頼んだ。え? 資格はどうしたって? 俺はこんな日のために別名で弁護士資格を取得していたんだよ、クリス・ハーキュリーとしてな。ちなみに女弁護士だ。

 

「いえ、主のお役に立てて何よりでした」

 

 コピーパペットが変身魔法を解き、俺と同じ姿になった。

 

「それじゃ、戻すぞ?」

 

「あ、あの! 主」

 

「どうした?」

 

 コピーパペットが止めてきた。どうした?

 

「その……このまま主の身の回りのお世話をさせて頂けないでしょうか?」

 

「は? 何で?」

 

 急にどうした?

 

「出来れば主の傍に居たいと思いまして……」

 

 いや、俺の顔で顔赤らめるなし。

 

「だが、お前は俺の切り札中の切り札だ。必要な時に使えないというのは避けたいんだが」

 

「そうですか……」

 

 明らかに落ち込んでるコピーパペット。

 

[良いじゃないですか、マスター。コピーパペットもずっと待機では暇になるだけですよ]

 

「ミスト様……」

 

[マスターの声でミスト様って、何だか興奮しますね]

 

「分かった、分かったから何か他の姿に変身してくれ。俺のキャラが崩れる」

 

「ほ、本当ですか!? ありがとうございます。主!」

 

 お礼を言って俺に抱きついてくるコピーパペット。

 

「自分に抱きつかれるのも不思議な体験だ。離れろ」

 

「も、申し訳ありません。主」

 

 また顔が赤くなるコピーパペット。俺の顔で……

 

「はあ、これをやるからサッサと変身しろ」

 

 俺は王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)からブレスレットを取り出す。

 

「これはメタモルリングですか?」

 

「そうだ。変身する姿を記憶し、大気中の魔力で維持し続けるリングだ。

 変身してこれに記憶させろ」

 

「ありがとうございます」

 

「それとこれから俺を主と呼ぶのを禁じる」

 

「え? ダメですか?」

 

「ああ、零冶と呼んでくれ」

 

「え~と、何故ですか?」

 

 不思議そうに首を傾げるコピーパペット。うん、サッサと変身しろ。

 

「そりゃ、これから家族になるんだから主は違うだろ?」

 

「家族ですか? 私が?」

 

「ああ、いやか?」

 

「いえ! 嬉しいです! ありがとうございます。ある……零冶さん」

 

「分かったからサッサと変身しろ」

 

「はい」

 

 コピーパペットの体が光り出す。

 

「ではこの姿で」

 

 いや何でシェリアなの? テイルズの

 

「何でシェリア?」

 

「え? 確か零冶さんの好みだったと記憶していますが?」

 

「いやそうだけどさ」

 

[なるほど、マスターは母性的な女性が好みですか……プレシアさんを助けた理由はそれですか]

 

「いや否定はしないけどさ。まあ良いや。これからよろしく頼むぞ。シェリア」

 

「はい、これからよろしくお願い致します。零冶さん」

 

 

零冶 サイドアウト




零冶の念能力紹介のコーナーです。

次の念能力はこれだ!

10、絶対遵守(ギアス)
  系統:操作系
  説明:瞳にV型の鳥のような紋章浮かび上がり、言葉と共にその鳥が羽ばたき、
     光情報に命令を乗せ、相手の目に入ることでその命令を遵守させる能力。
     この光が相手の目に入れば、相手はその命令を完遂する、または完遂が絶対
     不可能な状態になるまで操作される。
     光が相手の目に入れば良いので、言葉の声が聞こえなくても操作される。
     またこの命令は相手にやらせたいことを光情報に乗せているため、相手が
     知らないことでも遵守させることができる。
     消費オーラによって光の強さの調整し、射程範囲が変わる。
     光情報なので、鏡で反射も可能。
     原作では同じ相手に一回しか使えなかったが、レアスキル強化で
     同じ相手でも複数回の使用が可能となっている。

  制約
   1、光が相手の目に入らないと操作できない
   2、一度使用した相手には24時間空けないと再度使用できない
   3、一度操作したらキャンセルできない

  誓約
   なし


 説明にあった相手が知らなくてもやらせることが出来るというのは、例えば腕立て伏せを知らない人に腕立て伏せを命令した場合、腕立て伏せのやり方を光情報に乗せているので、その命令をやらせることが出来ます。

 原作では悲劇を呼んだギアスですが、零冶がギアスキャンセラーを持っているのでそんな事は起きません。起きないったら起きません。

 零冶もめったに使いません。これは原作通り操作された相手の操作中の記憶はなくなるので、矛盾が残ると疑われるため、めったに使いません。使った場合は矛盾がなくなるように裏工作がめんどくさいからです。(作者の言い訳)

って感じです。

更新遅れてすみませんでした。
感想にもその内返します。

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