原作を放って置くとバッドエンドになるんですが、どうしたら良いですか?   作:月の光

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17_ミスト[フラグって言うやつですよね]零冶「やめてくださいしんでしまいます」

 ライの砲撃魔法によってゼロが消えたことでゼロが張っていた封時結界が消え去った。そして、葵の魔法で氷の大地となっていた海は元通りになった。

 

竜の紋章(ドラゴンのもんしょう)解除」

 

 ライは竜の紋章(ドラゴンのもんしょう)を解除し、フェイトとなのはの元に移動した。

 

「二人とも怪我h「フェイトォォ!」……」

 

 ゼロが消えたことで、エムゼロルームも消えたため、プレシアがフェイトに駆け寄る。

 

「大丈夫!? 怪我はない!? ああ! こんな所から血が! 大丈夫、母さんが直ぐに

 治してあげるわ! 何してるのリニス! 早くメディカルカプセルを持って来なさい!」

 

「落ち着いて下さい、プレシア。そんなにひどい怪我ではないじゃないですか。

 それにメディカルカプセルなんて持って来れませんよ」

 

「何言ってるの! 痕が残ったらどうするのよ! フェイトの綺麗な肌に傷を残すつもり!?」

 

「か、母さん。恥ずかしいよ」

 

 プレシアの過剰な親バカを止めるリニスと顔が真っ赤になるフェイト。

 

「……なのは、怪我はないか」

 

「はい! 助けてくれてありがとうございました。ライさん」

 

「なら良かった。遅くなって悪かったな」

 

「いえ、その…………カッコよかったです……」ぼそ

 

「ん? すまない、後半がよく聞こえなかった」

 

「いえ! なんでもないです!」

 

「そうか? ん? 手を怪我してるじゃないか、診せてみろ」

 

 ライはなのはの手を掴み、怪我の具合を診る

 

「はわわわ!」

 

「ん、傷は深くはないみたいだな。とりあえず包帯d「すみません。少し良いですか?」ん?」

 

 なのはとライが会話しているところへクロノがライに話しかける。

 

――クロノ君、よくも邪魔してくれたの……

 

 

ゾク

 

 

――何だこの悪寒は!?

 

「何か用があったんじゃないのか?」

 

「あ、ああ、すまない。僕は管理局執務官クロノ・ハラオウンです。

 失礼ですが、貴方が零騎士ライですか?」

 

「ああ、そうだ」

 

「貴方が……この度はご協力ありがとうございました。我々だけではゼロに勝てませんでした」

 

「気にするな。こちらこそ到着が遅くなってすまなかった。さっきまでやっていた依頼で

 トラブルがあってな。少し手こずった」

 

「そうですか、これから我々の次元艦に戻って状況のまとめを行いたいのですが、

 ご同行願えますか?」

 

「分かった。だが、その前に」

 

 ライは周囲を見回し、他の魔導師たちが集まってきていることを確認する。

 

「命を照らす光よ、ここに来たれ、ハートレスサークル」

 

 突如出現した光の円に包まれるなのは達。

 

「ふあ~! あたたかい光」

 

「すごい、傷がみるみる治っていく」

 

「魔力まで回復してるよ」

 

 なのは・フェイト・ユーノの順に感想を言う。

 

「はぁ~あんた、回復魔法も使えるんだね」

 

「良くやったわ! ライ! その調子でフェイトの傷を完治させなさい!」

 

「プレシア…本当に落ち着きなさい!」

 

「まだやってたのね……」

 

「この回復魔法にあの戦闘力……俺はまだまだだな」

 

「お前でまだまだなら俺はみそっかすだな……へこむわ~」

 

「まだ僕達はこれからだ。また来るいつかのために強くなればいい」

 

「さて、こんなところかな。それでは案内してもらおうか」

 

「分かった。エイミィ、転送を頼む」

 

『りょうか~い』

 

 ライ達はアースラへ転送された。

 

『クロノ、皆さんを会議室へ案内して』

 

「了解しました」

 

 そして、クロノに案内され、会議室に着いた。

 

「良くいらっしゃいました。この度はご協力ありがとうございました。零騎士ライ」

 

「その呼び方は止めて貰いたい。前にも言ったが俺がその二つ名を名乗っている訳ではない」

 

「失礼しました。ではライと」

 

「それと依頼が終わってから直ぐにこちらへ来たので一睡もしていないんだ。

 出来れば手短に頼みたい」

 

「分かりました。それでは早速会議を始めます」

 

 

~会議中~

 

 

「~以上です」

 

 クロノがリンディに状況の報告を行った。

 

「分かりました。報告ありがとう。しかし、ゼロは死んだのでしょうか?」

 

「いや、まだ生きている。砲撃の中で転移反応があった。おそらく、

 デバイスに脱出用の緊急転移機能があったのだろう」

 

 リンディの質問にライが答える。

 

「それではまた、ゼロはジュエルシードを奪いに来るという事でしょうか?」

 

「いや、俺の砲撃をまともにくらっている。しばらくは動けないでしょう」

 

「そうですか、それを聞いて安心しました。しかし、彼に取られた9つのジュエルシードは

 奪われたままという訳ですね。これは失態だわ」

 

「ジュエルシードならここにあるぞ」

 

≪は?≫

 

 ライはポケットから9つのジュエルシードを取り出し、机に置いた。

 

「な! い、いつの間に!?」

 

 峯岸が驚愕する。

 

「剣でやりあっている時に掏った」

 

≪ええええ!≫

 

「あのスピードの中で、しかもあのゼロから気付かれないように盗んだのか!」

 

「そうだと言っているだろ」

 

 あまりの事実に全員開いた口が塞がらなくなっていた。

 

「ま、まあ良かったわ。これで全てのジュエルシードを回収できた訳ですね。助かりました」

 

「これがライ……管理局が最強を称する訳だ」

 

 クロノが言葉を漏らす。

 

「そういえば、エイミィさん。ライさんが放った砲撃魔法のランクはいくつだったんですか?」

 

 葵がエイミィに疑問を聞いた。

 

「……よ」

 

「え?」

 

「……測定不能だよ」

 

「は?」

 

「測定不能ぅ! 計測器を振り切ってドカンだよ! ああ、私の計測器ちゃんが~」

 

 再び、全員口が塞がらなくなった。

 

「あれでも抑えて撃ったんだがな」

 

≪…………≫

 

「あんた、本当に人間かい?」

 

「失礼な、歴とした人間だよ」

 

「しかし、今感じる限りでは魔力量それほど高くないようなんだが……せいぜいAくらいだよな。

 それで何であんな砲撃が撃てるんだ?」

 

 峯岸がライの魔力量を感じ取るが、測定不能の砲撃を撃てるとは思えなかったので、ライに聞いた。

 

「もしかして、あの手の甲に浮かんでた紋章に何かあるの? ライ」

 

 フェイトがライに質問する。

 

「出来れば、話したくないんだが……」

 

 ライはフェイトの質問に対して答えるのを渋る。

 

「答えたくなければ、答えなくても構いませんよ」

 

 リンディが答える。

 

「……絶対に口外しないと約束して頂けるなら、話しても良いです」

 

「約束します。絶対に口外しません」

 

「分かりました。フェイトの予想通りだよ、あれは俺のレアスキルだ」

 

「やはりレアスキルか……いったいどんな能力なんだ?」

 

 クロノがライに質問する。

 

「俺の能力を二乗倍する能力だ」

 

≪は?≫

 

「す、すまない。もう一度言ってくれるか?」

 

「俺の能力を二乗倍する能力だ」

 

≪はあああああああ!?≫

 

「え? え? 何でそんなに驚いてるの? フェイトちゃん分かる?」

 

「ううん、分からない。葵は分かるの?」

 

「え、ええ(そ、そっか…二乗なんて小学生に分かるわけないわよね)」

 

「そうなんだ。どういう意味なの?」

 

「え~と、掛け算は分かるわよね?」

 

「「うん」」

 

 葵がなのはとフェイトに確認する。

 

「例えば、2を二乗すると2×2で4になるの」

 

「え? つまり、ライは強さが2倍になるってこと?」

 

「それは確かに強いの……」

 

「いえ、二乗は元になる数値同士の掛け算なのよ。つまり10の二乗なら10 × 10 で100になる」

 

「「へ? ええええええええ!」」

 

「まあ、そういうことだ。今の俺の魔力量はA。それを二乗倍すると約S~SSだ」

 

「す、すごい……」

 

「だが、その魔力量で測定不能なほどの砲撃魔法を撃てるのか?」

 

 ユーノがその事実に驚愕し、峯岸が更にライに問い掛ける。

 

「俺の右手に一つの紋章、左手にもう一つの紋章が浮かんでいただろ?

 一つの紋章につき一回の二乗倍だ」

 

≪はあああああああ!?≫

 

「え? え? どういうことなの?」

 

「つまり、その子の例えで言うと、右手の紋章で10 × 10 の 100、左手の紋章で

 100 × 100 の 10000だ。魔力で言えばS~SS の二乗倍で軽くSSSオーバーだ」

 

「「えええええええええ!?」」

 

「もちろん上がるのは魔力だけではなく、身体能力も同じように上がる」

 

「あんた、やっぱり人間じゃないよ」

 

「なんて失礼な。まあ、この話はもういいだろ。さて、話は以上かな?」

 

「と、とんでもないわね。あっ、そういえばまだ自己紹介がまだでしたね。私は桜羽葵です」

 

「あっ、俺は峯岸春兎です」

 

「神宮寺王我です」

 

「桜羽と峯岸と神宮寺か、分かった。覚えたよ。しかし、君達は見たところ小学生くらいだろ?

 よく二乗なんて知っていたな。あれは中学生レベルだったと思ったが?」

 

「え、ええ、魔法の勉強をしてた時に親に教えて貰ったので、それくらいは……

 (前世の記憶があるなんて言えないわ)」

 

「お、俺も似たようなもんだ」

 

「二乗くらい知ってる。なんせ前世のk「「わあああ!」」ふご!」

 

 神宮寺が口を滑らそうとしたのをあわてて葵と峯岸が抑える。

 

(何考えてるの! 転生者だってばらすつもり!?)

 

(もう少し考えてものを言え王我!)

 

(ご、ごめん。でもあいつも転生者なんじゃないのか?)

 

(え? でも私達と年齢が違うし……)

 

(それにいくら転生者でもあそこまで強くなるには時間が無さすぎるだろ)

 

(で、でも俺達よりもっと早く転生して修行したかもしれないじゃん)

 

(そ、それは……)

 

(確かに……)

 

「三人ともどうしたの?」

 

「い、いえ。なんでもないわ、なのは」

 

 なのはに突然話しかけられ、答える葵

 

――確かめてみようかしら……

 

「ライさんって今いくつなんですか?」

 

「何だ藪から棒に……今は二十歳だ」

 

「生まれた時の記憶はありますか?」

 

「この年になると流石に子供のころの記憶は薄れてるな」

 

「前世の記憶があったりは……」

 

「前世? もしかして輪廻転生のことか? さあ、そもそも死んだことが無いからな……

 前世と言われても」

 

「そう……ですか(分からないわ、隠しているだけ? それとも本当に関係ないのかしら……)」

 

「もういいのかな?」

 

「はい。あっ、最後に一つだけ」

 

「何かな?」

 

「何で仮面を着けてるんですか?」

 

「ああ、これか? 実はな、これ外すことが出来ないんだ」

 

≪へ?≫

 

「この仮面は呪われていてな、外すためにはあることをしないといけないんだ」

 

「あること?」

 

「ああ……愛し合った者同士でキスをしないと外れないんだ」

 

「は?」

 

「「「「キ、キスゥゥゥ!?」」」」

 

「ああ、だが生憎そんな相手がいないのでな、外せないんだ」

 

――ちょ、ちょっと待って欲しいの、キ、キスってあれだよね。チュ、チューだよね!

  ライさんとチューなんて……ドンと来いなの!?

 

 顔を真っ赤にしたなのはが何か決意を決めたような顔になる

 

――ちょっと待って下さい。ラ、ライとキス!? 沈む夕日をバックに見つめ合う二人、

  そして互いの唇が……ハ、ハレンチですぅぅ

 

 リニスが真っ赤な顔でうずくまる。

 

――ライとキスか~、悪くないね~、子供は何人がいいかな?

 

 アルフがライとの未来を妄想する

 

――キス一つで素顔が見れるなら安いものね。今度襲っちゃおうかしら……

  そして、三人目の子供を……

 

 プレシアが何かを企んだような顔をする

 

「ねぇ、ライ」

 

「なんだ、フェイト」

 

「キスって何? 魚?」

 

「むしろ何故、魚の鱚を知っているのか……」

 

「えっと、リニスが教えてくれたの、美味しい魚があるって。そのテンプラ? が美味しいって」

 

「リニス……」

 

「い、良いじゃないですか、好きなんです。鱚の天ぷら」

 

「まあいい、フェイト。俺が言ったキスは接吻のことだ。愛し合うもの同士の口づけってこと」

 

「へ? く、口づけ? ライと……そ、それ本当?」

 

 上目使いでライを見つめるフェイト。

 

「いや、冗談だ」

 

≪へ?≫

 

「これは俺のバリアジャケットの一部だ。俺の意思で外せるよ」

 

「なんだ~」

 

「そ、そうですよね」

 

「さ、最初からわかってたよ。ほんとだよ」

 

「まあ、それは関係ないからキスしましょうか。ライ」

 

 がっかりするなのはとリニス、強がるアルフ、暴走が止まらないプレシア。

 

「ははは! 悪かったよ。それとプレシアさんは落ち着いて下さい。お願いします」

 

「仕方ないわね」

 

「で、でもライとだったら私……」

 

 顔を赤くして言うフェイト。

 

「フェイトちゃん! 落ち着いて!(それ以上は言わせないの!)」

 

「はいはいは~い! 私もライとチューした~い!」

 

 会議室の扉から突然入って来るアリシア。

 

「こら、アリシア。そういうことは人前で言っちゃいけません。

 言うなら二人っきりになった時にね」

 

「貴方が言ってもまったく説得力はありませんよ。プレシア」

 

「なにこのカオス」

 

 葵が今の現状に感想を言う。

 

「まあ、そういう訳だ。桜羽。俺は強力なレアスキルを持っているからな。正体を隠すために

 この仮面を着けてるんだ」

 

「どういう訳かは、分かりませんが、とりあえず分かりました」

 

――何だか、はぐらかされた気がするけど。もういいわ

 

「しかし、それほどのレアスキルがあって手こずるって……やっていた依頼って何だったんだ?」

 

 今度は峯岸がライに質問する。

 

「ふむ……まあ、すぐに知られることだし、良いだろ。俺はさっきまでアルティナに居た」

 

「え! アルティナって第66管理世界のアルティナですか?」

 

「そうだ」

 

 クロノが驚いたように質問し、答えるライ。

 

「クロノ、どうかしたのか?」

 

 峯岸がクロノに質問する。

 

「ああ、アルティナは現在、戦乱の真っ只中だ。帝国とレジスタンスとのな」

 

「ああ! 思い出した。たしか、管理局は帝国側に付いてるんだよね?」

 

 クロノが峯岸の質問に答え、エイミィが思い出したように話す。

 

「ああ、そうだ。管理局が付いたことで戦況は帝国側に傾いた。しかし、レジスタンス側も

 勢力が強大で5年は続くと言われている」

 

「そうなのか……そんなとこで何をしてたんだ?」

 

 峯岸が改めてライに質問する

 

「もちろん、その戦争に参戦していた」

 

「え!? ちょ、ちょっと待ってくれ! 確か依頼は終わったって言ってたよな?

 ということは戦争は終結したのか?」

 

「そうなるな」

 

「いったいいつから参戦していたかは分からないが、5年は続く戦争をもう終結させたのか……」

 

「参戦したのはつい1週間前だな」

 

≪たったの一週間!?≫

 

「5年続く戦争をたった一週間で終結? 冗談みたいな内容だな」

 

「あ、あのバレイルファミリーを1ヵ月で捕らえたって噂は本当みたいだね」

 

 クロノがあまりのことに遠い目をする中、エイミィは噂が本当だったと確信した。

 

「その噂は間違っているな」

 

「そ、そうだよね。流石に1ヵ月は無いよね」

 

「正確には1週間だ」

 

≪そっちかよ《なの》!≫

 

「もうこいつ一人で良いんじゃない?」

 

 神宮寺があまりのことに言葉を漏らす。

 

「ま、まあ、何はともあれ戦争が終結したのは良いことです。これでアルティナも安泰でしょう」

 

「そうですね。レジスタンスとは言っても所詮テロリストです。これで帝国もさらに発展する」

 

「何か勘違いしているようだが、俺が手を貸していたのはレジスタンス側だ」

 

「「な!?」」

 

「悪に手を貸したって言うのか!?」

 

「ふぅ、少し落ち着け。クロノ・ハラオウン」

 

「これが落ち着けるか! 管理局が負けたなんて!」

 

「管理局は6日前に帝国から手を引いたぞ」

 

「な! いったい何故!?」

 

「それについては順を追って説明しないといけないんだが。まず、アルティナはどういう星だ?」

 

「アルティナは人と幻獣が共存する自然豊かな星だ。そして帝国は暮らしを楽にするために

 魔導技術を発展させていった」

 

「正解だ。では何故戦争が起こった?」

 

「帝国の魔導技術によって自然が破壊され、幻獣が住めなくなる可能性があったため、

 反対派のレジスタンスが帝国に宣戦布告したからだ」

 

「でも、帝国も幻獣の住む自然を破壊しないために、幻獣の住む自然から離れたところでのみ

 使用することと領域を侵食しないことを誓ってたし、それは破ってなかったはずだよ?」

 

 ライの質問にクロノが答え、エイミィが補足する

 

「そうだ、だからレジスタンス側の主張は間違っているから管理局は帝国側に付いたし、

 帝国の皇帝ガスディラ陛下とは管理局も古くからの付き合いだ」

 

「正解だ。表向きはな」

 

「表向き? どういうことだ?」

 

「レジスタンスが宣戦布告したのは自然破壊が理由じゃない」

 

「それでは何だと?」

 

「レジスタンスが求めたのは、人権と幻獣の保護だ」

 

「何を言って……」

 

「帝国は人間と幻獣の融合体を作る人体実験を行っていたんだ」

 

「そんな馬鹿な!?」

 

「事実だ。そしてレジスタンスのリーダー、セリナ・シェフィールはその被験体だ」

 

「う、嘘だ……」

 

「嘘じゃない。帝国はある少女を捕らえた時にこの実験を思いついた」

 

「ある少女?」

 

「名前をティアニス・ランフォード。その子は人間と幻獣のハーフ。つまり人間と幻獣との

 間にできた子供だったんだ」

 

「「「まさか!」」」

 

「帝国は幻獣界で密漁を行った際にその少女を捕らえた。そしてその少女にはとてつもない

 魔法の才能を秘めていることが判明した。そして、人間と幻獣を融合させることで

 強力な戦士を作ることができると踏んだ帝国はその人体実験のため、人間や幻獣を

 秘密裏に捕らえ、実験を行っていたんだ」

 

「そ、そんな……」

 

「その人体実験から命からがら脱出したセリナはレジスタンスを結成し、研究所を

 襲撃。被験体たちを保護した。だからレジスタンスの半数はその被験体たちだ」

 

「なら、何故管理局を頼らなかったんだ」

 

「それにも事情がある」

 

「いったい何があったんですか?」

 

 クロノがレジスタンスの行動に疑問を持ち、リンディがライに質問をする。

 

「その人体実験を裏で糸を引いていたのが管理局上層部の人間だったからだ」

 

「そんなの嘘だ!」

 

「嘘ではない。その人物は管理局提督バルド・ベルトランだ。いや、元提督だがな。

 今、ミッドチルダでトップのニュースになっているぞ」

 

「エイミィ、確認を」

 

「了解です、艦長。……………残念ながら、本当のようです」

 

「そうですか……」

 

「嘘だ……管理局がそんなこと……」

 

「光があれば影は必ず存在する。そして光が強くなればなるほど影も色濃くなる。

 この依頼が俺のもとに来たのは約1ヵ月前、地球にジュエルシードが落ちてきた頃だ。

 俺はレジスタンスと帝国のどちらに義があるかを調べ、レジスタンス側が正しいと判断し、

 その依頼を正式に受けた。それが1週間前だ。その後、今の情報を管理局にリークし、

 帝国から手を引かせた。そして、総力戦で帝国を制圧した」

 

「「「…………」」」

 

 ライの話を聞き、言葉を失うリンディ・クロノ・エイミィ。

 

「クロノ・ハラオウン」

 

「な、何だ?」

 

「お前はさっき、悪に手を貸したと言ったな」

 

「あ、ああ」

 

「では、正義とは何だ?」

 

「間違ったことを正すことだ。悪を懲らしめ、犯罪者を捕らえ、秩序を守ることだ」

 

「それは管理局の正義だ。なら、お前の正義は何だ」

 

「それは……」

 

「お前の中の正義が管理局の正義と同じなら考えを改めた方が良い。

 管理局は決して正義の機関では無い」

 

「そんなことは無い! 管理局は「正義とは」!?」

 

「正義とはとても曖昧なものだ。その人の視点によって如何様にも変わる」

 

「…………」

 

「レジスタンス側の正義。帝国側の正義。管理局側の正義。自分の中の正義。

 人の数だけ正義はある」

 

「自分の中の正義……」

 

「正義とは自分の決めた信念だ。その信念を貫き通すことが自分の正義となる。

 だから、他人に正義を求めるな」

 

「信念……貴方の」

 

「ん?」

 

「貴方の信念は何ですか?」

 

 クロノがライに尋ね、その場の全員がライを見た。

 

「他人に求めるなと言ったばかりなんだがな……まあいい、俺の信念は」

 

 全員がライの言葉に耳を傾ける。

 

「自由に生きることだ」

 

≪は?≫

 

「ここで言っている自由とは、自分勝手にとか、わがままにとかではないぞ。

 自分の正しいと思ったことをやり、正しくないと思ったことには全力で抗う。

 つまり、他人に左右されないってことだ。もちろんそれが行き過ぎればただの傲慢になる」

 

「…………」

 

「変化無き日常を、生きているとは言わない。それは、ただの経験だ。

 自分の意思を持たず、他人に流されて生きるのは楽だろう。

 だが、それは生きていると言えるだろうか?」

 

「…………」

 

「例えば、こんな話がある。ある世界の話だ。その世界には男女2人の英雄がいた。

 男の英雄は善人を助けて、悪人を徹底的に倒すことを信念としていた。

 女の英雄は善悪に関わらず、人を助けることを信念としていた。

 そして、悪人を倒そうとする男の英雄とその悪人を助けようとする女の英雄は衝突した。

 男の英雄は尋ねた」

 

男「何故、悪を助ける? そいつを助けても後でまた悪事を働く、ここで徹底的に倒すべきだ」

 

「女の英雄が答える」

 

女「それでは半分の人間しか助けることが出来ない。私は全員を助けたい」

 

「男の英雄は少し考え言った」

 

男「この世から悪人を全て倒せば、残りは善人。その後は全員を助けることができる」

 

「女の英雄は少し考え答えた」

 

女「なら貴方が善人を助ける。私が悪人を助ける。そうすれば私達は全員を助けることが出来る」

 

「っとな」

 

「そんなの……」

 

「夢物語だと思うか?」

 

≪……≫

 

「さて、悪人を助ける女の英雄は正義か悪か? それは誰にも分からないし、どう思うかは

 人それぞれだ。その評価を下すのは後世であり、その英雄達ではない」

 

≪……≫

 

「だが、2人の英雄はそのまま信念を貫き、女の英雄に助けられた悪人は改心し、

 やがてその世界は平和になった」

 

≪……≫

 

「俺はな。他人から間違いだと言われても、俺の意思を貫き通す。それが俺の信念だ」

 

 ライの言葉を聞き、全員が神妙な顔つきになる。

 

「後は自分で考えることだ。クロノ・ハラオウン」

 

「……分かった」

 

――やっぱり、ライさんはカッコ良いの

 

――それがライの信念……私は今を必死に生きて、未来に進むこと。それが私の信念だよ

 

――無理です。これは惚れるなという方が酷です。きっと私の顔は真っ赤になっているでしょう

 

――あたしの信念はフェイトを守ること。どう言われようとこれは曲げないよ!

 

――流石ね。これだけの力があれば欲望に飲まれても可笑しくないのに……私とは違うってことね

 

――信念……私は家族が一番大事、それを守ることが私の信念になるのかしら……

 

――俺は浮かれていたのかもしれない。転生して力が手に入ったことで……

  俺は何のために生きるのかちゃんと考えないと

 

――何こいつカッコ良いんだけど……信念か~、いつか俺も持てるようになるかな?

 

――管理局は決して正義の機関ではない……か、私も考え直さないといけませんね

 

――うぅ、空気が重いよ~私が何とかしないと!

 

「い、いや~勉強になるな~私もちゃんと考えないとな~、ねっ! クロノ君」

 

「そうだな……」

 

 エイミィが場の空気を和ませようとおちゃらけてみるが、効果がなかった。

 

「うっ、そ、それにしてもライさんは凄いよね! さっきまで戦争に参加してたのに……

 ってあれ? この記録見ると戦争が終結したのって昨日なんだけど? 間違いかな?」

 

 エイミィが記事を見ているとおかしな点を発見し、疑問に思う。

 

「いや、間違っていない。戦争が終結したのは昨日だ」

 

 それにライが答える。

 

「あれ? でも、依頼が終わってからすぐにこっちに来たって言ってなかったっけ?」

 

「だから、トラブルがあったと言っただろ。それに少し手こずったんだ」

 

「それって戦争の事じゃなかったの? ライ」

 

 フェイトが疑問をライに問いかける。

 

「ああ、問題があったのは戦争が終結した後でな」

 

「これほどの人が手こずるって……いったい何があったんだ?」

 

 峯岸が純粋に思った疑問を言う。

 

「ああ、実は……セリナとティアニスが結婚しろ、結婚しろとしつこくてな。

 それを断るのに1日掛かったんだ」

 

≪は? それだけ?≫

 

≪ちょっと待ってその話もっと詳しく《なの》≫

 

「それだけとは言うがな。断ったらレジスタンスの総力を結集して俺を捕らえに掛かったんだぞ?

 それを抑えるのに1日掛かったんだ」

 

「ちょっと待て、一国を制圧する勢力を1人で、しかも1日で抑えたのか?」

 

「そうだと言っているだろ」

 

「……もう何を言われても驚かないわ」

 

 クロノがその事実に驚愕し、葵は悟りを開いた。

 

「そんなことより! ライさんその結婚の話をもっと詳しくなの!」

 

「そうだよ! ライ! ま、まさか結婚しちゃったの!」

 

「どこの馬の骨だい!」

 

「プレシア! 戦争の用意です! 私も全力で行きます!」

 

「ええ! 最初からクライマックスよ!」

 

「う~ん、ならみんなでライと結婚したら良いんだよ!」

 

「「「「「その手があった《の》!!」」」」」

 

 アリシアの突拍子もない提案に賛同するなのは達。

 

「ねーよ! っとアリシア、ちょっとこっちに来い」

 

 ライがアリシアを手招きで呼ぶ。

 

「なに~?」

 

「この間渡した、グロウリングを返してくれ」

 

「ええ!? やだやだ! あれが無いと私フェイトのお姉ちゃんじゃなくなっちゃう!」

 

「そのかわりこれをやる」

 

 ライは懐に手を入れ、人から見えないように王の財宝(ゲートオブバビロン)から瓶を取り出す。

 

「何それ?」

 

「これは成長促進剤(イチゴ味)だ。一粒で1年分成長する」

 

≪へ?≫

 

「それじゃ、それ飲めばフェイトと同じ年になれるの?」

 

「そういうことだ」

 

「わーい!」

 

 喜びながら、グロウリングを外すアリシア、そして体が小さくなる。

 

≪ええええ! どういうこと《なの》!≫

 

「アリシアは最近生まれたばかりでな。年齢は5歳だったんだ。だが記憶は26年前のアリシアの

 の物だからな。フェイトと同じ年にしてくれって言われていたんだ。それでこのグロウリング

 を渡していたんだが、これは使用中常に魔力を消費し続けるからな。あまり長時間使用するの

 は好ましくないんだ。それでこの成長促進剤を作った」

 

「なにこのチートさん、なんでも出来るじゃん。俺達もう要らなくない?」

 

 神宮寺が光の無い目で言った。

 

「諦めるな王我! 俺達にしかできないことはきっとあるさ! たぶん……」

 

 峯岸が自分に言い聞かせるように神宮寺を慰める。

 

「悪用を避けるため、必要な4年分しか作っていない。このことは他言無用でお願いします」

 

「もちろんです。むしろ話したところで誰も信じないでしょうが」

 

 ライがリンディにお願いし、リンディがそれを了承する。

 

「それじゃ、グロウリングを返してくれ」

 

「やだ!」

 

「は? 何でだ」

 

「だって使わなければいいんでしょ? だったら返さなくてもいいよね?」

 

「使わないんだったら必要ないだろ、返しなさい」

 

「違うもん! ライから貰ったってことが重要なんだもん!」

 

「……なら、変身機能を削除し、そのリングだけにする。それならいいか?」

 

「いいよ!」

 

「分かった。少し貸してくれ」

 

「はい!」

 

 ライはアリシアからグロウリングを受け取り、操作する。

 

「変身機能削除っと、これで良い。ほらアリシア」

 

「うん! えへへ! ライ、大好き!」

 

「「な!?」」

 

 アリシアの発言になのはとフェイトが反応する。

 

「はいはい」

 

「ぶぅ~ほんとだよ!」

 

「分かった分かった。それとなのは、マジカルブースターを返してくれ」

 

「え、ええっと、私もアリシアちゃんと同じようにして欲しいな~なんて」

 

「悪いな。それは俺もたまに使うんだ。そういう訳にはいかない」

 

「うぅ……分かったの」

 

「……ねぇライ、なのはにも何かプレゼントして貰っちゃダメかな?」

 

「フェ、フェイトちゃん!?」

 

「ほら、私と姉さんばかり貰ってちゃ申し訳ないし……」

 

「……分かった。何か考えておく」

 

「ほ、本当ですか!」

 

「ああ、だからそれは返してくれ」

 

「分かったの!」

 

 なのはからマジカルブースターを受け取り、懐にしまうライ

 

『ありがとフェイトちゃん!』

 

『気にしないでなのは、友達でしょ』

 

『うん!』

 

――また、面倒なことになったな。自業自得だが

 

「さて、もうなければ、帰りたいのですが?」

 

「ええ、もうありません。ご協力ありがとうございました」

 

「いえ、それと先程の件は他言無用でお願いしますね。もし、漏れた場合は今後一切管理局の

 依頼を受けませんので、そのつもりで」

 

「分かりました。肝に銘じます」

 

「では」

 

 そう言い残し、ライは飛雷神の術(ひらいしんのじゅつ)でその場を後にした。

 

 

 

零冶 サイド

 

 

 久しぶりに俺の視点だなっと、え? メタイ? 関係ないね。俺シリアスって苦手なんだよね~。さて、部屋に行きますか

 

 俺は自分の部屋の扉を開けた。そこには机に置かれた黒い宝石とベットを背もたれにして動かなくなったゼロの姿があった。

 

「お疲れ、ミスト、久しぶり」

 

[お久しぶりです。マスター]

 

竜闘気砲魔法(ドルオーラ)をくらって損傷しているかと思ったんだが、直っているようだな」

 

[ええ、コピーパペットが最後の力で完全修復(パーフェクトリカバリー)を掛けてくれました]

 

「そうか……」

 

 俺はコピーパペットに近づき、首の裏に手を掛け、人形に戻す。

 

「やはり、大分損傷しているな。完全修復(パーフェクトリカバリー)

 

 俺は完全修復(パーフェクトリカバリー)でコピーパペットを修復する。

 

「助かったよ、コピーパペット。今はゆっくり休んでくれ」

 

 俺はコピーパペットを王の財宝(ゲートオブバビロン)に収納しようとした。

 

『またお会いできるのを楽しみしております。我が主』

 

「ッ!? ああ、本当にありがとう」

 

 さぁて、これでジュエルシード編は完結だ。転生者たちも十分育ったし、なのは達は原作以上に強くなった。これで懸念事項は全てクリアされた。闇の書は完全に傍観するだけで問題無いはずだ。全て俺の計算通り。零冶君、大勝利~

 

[何か見落としが無いと良いんですがね]

 

「大丈夫だろ? 後は転生者たちでも」

 

[私、そういうの知ってます]

 

「何が?」

 

[フラグって言うやつですよね]

 

「やめてくださいしんでしまいます」

 

 まあ、少なくとも闇の書さえ終われば、後はStrikers まで何もないんだ。もう少しの辛抱だよ。

 

 俺は今後の計画を立てていくのだった。

 

 

零冶 サイドアウト




零冶の念能力紹介のコーナーです。

ちなみにハンター×ハンターから念能力については紹介コーナーから除外します。
それは私にはわからないので、勘弁して下さい。

次の念能力は~これだ!


3、影分身の術(かげぶんしんのじゅつ)
 系統:放出・変化系
 説明:オーラで自分自身の分身体を作る能力。
    分身体は自立行動が可能で、分身体の意思で動く。
    分身体の作成には予め顕在オーラで消費オーラを決め、
    その消費オーラを分身体の数だけ均等に分散しなくてはならない。
    また、分身体には最低でもFランク以上の顕在オーラ量が無くてならない。
    分身体は致命傷に近い攻撃をくらうと消えてしまう。
    消えた際はその分身体が経験したことが零冶本人に返ってくる。
    零冶本人が気を失っても分身体は消える。
    
 制約
  1、分身体は最低でもFランクの顕在オーラが無ければならない
  2、複数の分身体を作る場合は顕在オーラを均等に分散させなくてはならない
  3、分身体が致命傷に近い攻撃を受けた場合は消える
  4、神の遊戯(キャラクターメイキング)だけは使えない

 誓約
  なし

 零冶が修行のために作った2つ目の能力ですね。
零冶本人の分身体なので、神の遊戯(キャラクターメイキング)以外の念能力は使用できます。

 高速自動回復と合わせると凶悪な能力になります。何せ100秒後にはあのバグチートが複数いることになるわけですから、これだけで管理局を落とせます。

 しかし、零冶は人前では多様しません。これがばれると零冶のアリバイが簡単に崩れるからです。

 例えば、学校に零冶が居て、ミッドチルダにライが居る。そうすると、零冶=ライではないとアリバイができますが、これがばれると零冶=ライの可能性が出てくるからです。

 ゼロ役を演じるのをコピーパペットにしたのはこういう理由もあります。
コピーパペットなら致命傷をくらっても消えませんので、この能力の存在がばれません。ですので、零冶の正体がばれる可能性が少なくなります。 なるよね? 無理があるかな? そういうことにしておいてください。

って感じです。では

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