原作を放って置くとバッドエンドになるんですが、どうしたら良いですか?   作:月の光

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15_ミスト『それをマスターが(ry』零冶『略すな』

零冶 サイド

 

 

「ウボァーー!」

 

「だから! 一人で突っ込むなと言っているだろう!」

 

 はぁ~またか、相変わらず成長しないな踏み台は……ジュエルシードの思念体に真っ先に突っ込んでやられる……もう定番だ。なのは達も諦めているらしくもう止めすらしていない。慣れていないクロノはまだ止めている。いや、上に立つ者の責任感からそうさせているのかもしないな。

 

「もういい! みんな、気を引き締めて行くぞ! それと春兎は神宮寺を回収してくれ!」

 

「「「「「「了解」」」」」」

 

 もういいと言いつつも気に掛けている辺り責任感の線が濃厚だな。だてに執務官をやっている訳じゃないってことか。

 

「リリカル、マジカル! ジュエルシード封印!」

 

 そして、ジュエルシードが封印された。

 

「お疲れ、なのは」

 

「うん、葵ちゃんもお疲れ様」

 

「みんなご苦労様。みんな優秀だから助かるよ……一人を除いて」

 

「気にしないで、元はといえば私達家族のせいなんだから」

 

「それにしてもあの日以来ゼロが現れないな……」

 

「確かに不気味だねぇ」

 

「もしかしたら何か企んでいるのかもしれない。警戒して行こう」

 

「これで残りは7つ、そしてゼロが持っている2つか……」

 

 ジュエルシードの回収は順調だな。さて、あの桜羽とオリ主が決意を新たにしてからの状況を説明しておこうか。

 

 まず、なのはだが、士郎さん達に相談してジュエルシードの回収に専念する許可をもらった。

原作通り学校を休んでジュエルシードの回収と訓練をしている。

 

「スターライトブレイカーをもっと強くするの!」

 

{いや十分だから!}

 

 と全員から言われていた。

 

『それをマスターがくらう訳ですね』

 

『なにそれこわい』

 

 だが、実際ゼロの絶対守護領域なら防げるけどね。

 

 フェイトは日中のジュエルシード探しと訓練をしている。ゼロに対抗するため、速さを磨いているようだ。うん、長所を伸ばすのはいいことだ。しかし、それ以上露出はしないように! お父さん、君の将来が心配だよ。

 

 アルフはフェイトの手伝いと訓練だ。腕力を鍛えて攻撃力のアップとフェイトとの連携を訓練している。

 

 ユーノは管理局の手伝いと防御魔法の訓練だ。バインドでゼロを抑えることは無理だと判断し、みんなを守れる防御に専念するらしい。

 

 アリシアはアースラに匿われている。切り札であるプレシアさんの弱点になる娘を人質に取られるのを避けるためだ。悪くない判断だと思う。アースラの訓練室でリニスの訓練も受けられるしね。魔力を制限してから大分魔力の扱いに慣れてきてかなり成長している。大魔導師の娘だけあるな。今リニスがデバイスを製作中だ。だが、今回の事件に関わることは出来ないだろう。

 

 そして転生者組みだが、桜羽もなのはと同じく親に許可をもらい、ジュエルシードの回収を続行。学校を休んで訓練をしている。前から開発していた魔法を完成させると言っていた。

 

『それをマスターが(ry』

 

『略すな』

 

 次にオリ主だが、クロノと必死に訓練している。そして闇の魔法(マギア・エレベア)の練習中だ。やっとまともになってきたって所だな。今度の戦闘が楽しみだ。

 

『随分余裕ですね。闇の魔法(マギア・エレベア)はかなり強力だと思いますが?』

 

『それだけで負けるほど、俺も柔な訓練をしてないぞ』

 

『そうでしたね。バグチートさん』

 

『ありがとう。最大の褒め言葉だよ』

 

 最後に踏み台だが、冒頭の通りだ。まったく変わっていない。アースラが来てから4つ目のジュエルシードだったんだが、いつも通りだ。ある意味凄いな。当然か……あいつは自分のことがまるで分かっていない。何が出来て、何が出来ないのか、自分に何が必要なのか、それを分からせないといけないんだが、その機会がまったくやって来ない。

 

『やはり【あれ】しかないのでは?』

 

『やっぱりそう思うか?』

 

 やだな~【あれ】って完全に悪役じゃん。胸くそ悪いんだよな~

 

『ですが、今の内に何とかしておかないと後々面倒では?』

 

『……分かった。【あれ】で行こう』

 

『了解しました。準備しておきます』

 

『頼んだ』

 

 仕方が無い、腹を括ろう。今度こそ踏み台の心をへし折る。いや粉々に粉砕する。

 

 

~数日後~

 

 

「艦長! ジュエルシードの発動を確認!」

 

「分かったわ! 皆さん、出動して下さい」

 

「今度こそ我の活躍を見せてやる!」

 

「待て! 神宮寺! 勝手に……ってもういない」

 

「まあ、落ち着けよクロノ、あいつにはいくら言っても無駄だって」

 

「しかし、僕には命を預かっている責任が!」

 

「そんなことは後で良いから! 行くわよ!」

 

「「わ、分かった」」

 

「流石葵ちゃん、強いの」

 

「私も見習わなくっちゃ」

 

 漫才みたいなやり取りだな。これから起きることも知らずにのん気な物だ。

 

『マスター、踏み君が転送されました。あれを発動します』

 

『任せた』

 

「エイミィ、転送してくれ」

 

「了解! ……ってあれ?」

 

「? どうした? エイミィ?」

 

「た、大変です! 艦長! アースラの制御が乗っ取られました!」

 

「な、何ですって!」

 

「そんなバカな!」

 

「いったい誰が!」

 

『ごきげんよう。管理局並びに民間協力者の諸君』

 

≪ゼロ!≫

 

「貴方! いったいどうやってアースラのコントロールを!」

 

『それを一々話すと思っているのか? だとしたら馬鹿を通り越して大馬鹿だな。

 バカんちょう殿?』

 

「何ですって!」

 

「お前! いったい何が目的だ!」

 

『目的? 聞かなければ分からないのか? 少しは頭を使ったらどうだ? おチビちゃん』

 

「な! し、身長は関係ないだろ!」

 

≪(気にしてたんだ)≫

 

『では、本題に移ろう。ジュエルシードを私に譲って貰えないだろうか?』

 

「バカは貴方です。はい分かりましたと譲ると思っているのですか?

 (エイミィ、なんとか転送装置の制御を奪い返して下さい)」

 

「(了解しました)」

 

『それは残念だ。しかし、自分達の立場が分かっていないようだな。この艦は今私の制御下に

 あることを忘れてもらっては困る。その気になればこの艦を自爆させることもできるのだぞ?

 そこの女がいくら優秀でも1時間はコントロールを奪い返すことは不可能だ』

 

「くっ!」

 

『しかし、私も鬼ではない。チャンスをやろう』

 

「チャンス?」

 

『今からの余興を見て、それから譲るか譲らないかを選ばせてやると言う事だ。

 そこには未来ある若者達が多数乗っているのだ。私としてもそれを散らせるのは本位ではない』

 

「余興ですって?」

 

『では、存分に楽しんでくれたまえ。ふはははははははははは!』

 

 俺はアースラのモニターに発動したジュエルシードを写し、ジュエルシードの所へ転移した。

 

 

零冶 サイドアウト

 

 

 

 

「何で誰も来ないんだ? まあいい、我がジュエルシードを封印すれば良いだけだ!」

 

 神宮寺がジュエルシードの思念体に向かおうとしたとき封時結界が展開された。

 

「封時結界も展開しないでどうするつもりかな?」

 

「!? 誰だてめーは!」

 

 ゼロが上からゆっくりと思念体と神宮寺の間に下りて来た。

 

「はじめまして、金髪の少年、私はゼロ」

 

「てめーがなのは達が言ってた仮面野郎か!」

 

「その通り、以後お見知りおきを」

 

「はっ! 誰がてめーなんか覚えておくかよ!」

 

「それは残念」

 

 ゼロと神宮寺がそんなやり取りをしていると

 

「GAAAAAAAAAA!」

 

 ジュエルシードの思念体はゼロに後ろから襲い掛かった

 

「ふっ」

 

 ゼロはまるで見えていたかのように後ろに振り返ることもなく思念体の攻撃を左に移動してかわし、右腕を横に振りぬいた。

 

「GAAaaa……」

 

 そして思念体は消え、ゼロの右手にはジュエルシードが握られていた。

 

「ジュエルシード封印」

 

「な! てめー、そいつをよこしやがれ!」

 

「何故、貴様に渡さなければならない? 欲しいのなら力尽くできたらどうだ。坊や」

 

「後悔すんじゃねーぞ! この雑種がぁぁぁ!」

 

 王の財宝(ゲートオブバビロン)で数多の武器を展開する神宮寺

 

「消えろ!」

 

 武器が投射される

 

 

ヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュ……

 

 

グササササササササササササ……

 

 

 数多の武器がゼロに射出され、土煙で姿が見えなくなった

 

 

ヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュン

 

 

グサササササササササ

 

 

 そして、投射が止み、しばらくして土煙が晴れると

 

「おしまいか?」

 

「な!」

 

 そこには無傷のゼロがいた。

 

「て、てめーいったい何しやがった!」

 

「何も……ただ立っていただけだ」

 

「はっ! 騙されるかよ! あれだけの投射で当たらねー訳ねーだろ」

 

「バカが……お前のは碌に狙いも付けず、闇雲に武器を射出しているに過ぎない。

 元々当たらないものを避ける必要がどこにある?」

 

「う、うるせー! だったらこれだ! ギル!」

 

[……イエス、マスター]

 

「はああああぁ! エクスカリバーァァァ!」

 

 神宮寺が砲撃魔法を放つ

 

「……そこだな。ハドロンショット」

 

 ゼロが通常の魔力弾より大きめの魔力弾を放つ

 

「はっ! そんな小っちぇえ魔力弾に我のエクスカリバーが負けるか!」

 

 エクスカリバーとハドロンショットが衝突し、

 

 

パアアアン

 

 

 神宮寺の砲撃魔法が飛散した。

 

「バ、バカな! 我のエクスカリバーと相打ちだと! それほどの魔法を!」

 

「(あいつ本当にバカだな。相殺したと思っているらしい)」

 

[マスター!]

 

「あぁ? グボァ!」

 

 そして、エクスカリバーを突き破ったハドロンショットが神宮寺に当たり、吹き飛ばされる。

 

「ゴホッゴホッ! バカな、あんな小さい魔力弾が我のエクスカリバーを突き破っただと!」

 

「貴様の砲撃魔法の弱所に叩き込んだ。だが、その必要すらなかったようだな。

 砲撃魔法において必要な魔力の収束と凝縮がまるでなっていない。お前のはただでかい魔力を

 放っているに過ぎない。お遊びなら家に帰ってやるんだな」

 

「ふ、ふざけるな。我はオリ主なんだ! 我が最強なんだ!」

 

「オリ主? 何だそれは?」

 

「我は選ばれた人間なんだ! 我がこの世界の主人公なんだ! てめーのような雑種に負ける

 訳ないんだ!」

 

「……ふ、ふははははははははははは! 主人公だと! その様でか! 実に愉快だ!

 はっはっはっはっはっはっ!」

 

「な、何が可笑しいんだよ!」

 

「お前はこの世界を物語の中だと勘違いしているんじゃないか?」

 

「は? 何言って?」

 

「この世界は現実だぞ? 怪我をすれば痛いし、人は殺せば死ぬ」

 

「だ、だがこの世界は」

 

「例えば、お前がさっき放った武器……あれは質量兵器だ。人に当たれば怪我をするし、

 当たり所が悪ければ簡単に死ぬ」

 

 ゼロは槍を拾い上げ

 

「こんな風にな」

 

 槍を投げた

 

 

グサァ

 

 

「え?」

 

 槍は神宮寺の腹部を貫いた。

 

「ガアアア!」

 

「おや? 如何したんだ? オリ主様、その程度で悲鳴を上げて」

 

「はぁはぁ、痛でーよー!」

 

「当たり前だ。この世界は現実なのだから。だが、もちろんこうなる覚悟があって

 あの能力を使っていたのだろ?」

 

「は?」

 

「撃って良いのは撃たれる覚悟がある奴だけだ」

 

「あぁぁ……うわぁぁ」

 

 逃げ出す神宮寺

 

「ダークネスバインド」

 

 バインドで捕らえるゼロ

 

「は、放せ! 放してくれ!」

 

「お楽しみはこれからだ。さあ存分楽しんで逝ってくれたまえ。

 ふはははははははははははは!」

 

「ひぃ~~!」

 

「バルギルド・ザケルガ」

 

 上方から巨大な電撃が降り注ぎ、神宮寺に襲い掛かる

 

「ギャアアアアアア」

 

「その雷は貴様の体に苦痛を与え続ける。気絶することすら出来ない」

 

「ギャアアアア! 痛だい痛だい痛だい痛だい痛だい!」

 

「ふはははははははははは! どうだ管理局諸君! 君達がつまらない意地を張ったおかげで

 善良な市民が悲鳴を上げているぞ! 実に素晴らしい光景じゃないか!」

 

[マスター]

 

「ん? おっといかんいかん」

 

 

パチン

 

 

 ゼロが指を鳴らすと雷が止んだ。そして神宮寺に近づき、腹部の槍を強引に引き抜く

 

「ガハッ!」

 

 神宮寺が血を吐き、ゼロが魔法を唱える。

 

「ヒーリングフォース」

 

 そして、神宮寺の傷を癒す。神宮寺は助かったと思い、涙でクシャクシャになった顔を上げる。

 

「このままでは出血多量で死んでしまうからな。死んでしまっては拷問のし甲斐がない」

 

「あ……あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」

 

「さあ、存分に泣き叫んでくれたまえ、少年。バルギルド・ザケルガ」

 

 再び、神宮寺を巨大な雷が襲った。

 

『やめなさい!』

 

「おや? 随分遅い登場じゃないか? ようやく通信機能の制御を奪い返したと言う所かな?」

 

『いいからその攻撃をやめなさい!』

 

「では、ジュエルシードを渡す決心がついたということだな?」

 

『そ、それは』

 

「聞いたかね、少年。君の命はロストロギア以下だそうだよ。大した主人公じゃないか!

 ふはははははははははははははは!」

 

「ギャアアアアアア! たずげでたずげでたずげでたずげでえぇぇ!」

 

「聞こえていないようだよ。良かったではないか提督殿?」

 

『分かりました! ジュエルシードを渡します! ですから攻撃を止めて下さい!』

 

「ジュエルシードが先だ。ここに持って来い」

 

『ですが、この艦の制御は』

 

「だから頑張って制御を奪い返してくれたまえ。ふははははははは!」

 

『そ、そんな……』

 

『どうしてそんな酷い事ができるの!』

 

『貴方は人間じゃないわ! この悪魔!』

 

「悪魔か……違うな、間違っているぞ。私は魔王! 世界を壊し! 世界を作る男だ!」

 

「止めろって言ってんだろうが! 斬岩剣!」

 

「む?」

 

 峯岸がゼロに切りかかる。しかし、それをかわすゼロ。そして雷が止んだ。

 

「おや? 何故君がここにいるのかな?」

 

「ブレイズキャノン!」

 

クロノの砲撃魔法を絶対守護領域で防ぐゼロ

 

「チビ執務官まで……」

 

「チビって言うな!」

 

「何故……そうか、貴方の仕業か、プレシア・テスタロッサ」

 

『よく気が付いたわね』

 

「私のウイルスをこれほど早く解除するとは少し甘く見ていたよ。

 そして、まだ奪い返していないと芝居を打った提督殿もな。

 あの状態で冷静な判断、いや冷酷な判断をする。見事なものだ」

 

『黙りなさい! 貴方に言われたくはありません!』

 

「君達に敬意を評しここは退こう。だが、今度こそジュエルシードを頂く、ブラック」

 

[転移開始]

 

「では、ごきげんよう」

 

「待て! ゼロ!」

 

 ゼロは転移でその場から姿を消した

 

『エイミィ、探知は?』

 

『ダメです。まったく足取りが掴めません』

 

『そう……ならそちらはもう良いわ。早く神宮寺君を回収して』

 

『了解です』

 

「神宮寺! 大丈夫か!」

 

「痛い助けて痛い助けて痛い助けて痛い助けて――」ガタガタガタ

 

「じん、ぐうじ……くそ! 何でこんな酷い事ができるんだ! ゼロ!」

 

「犯罪者の気持ちなんて分からないさ。早く彼を医務室に運んでやろう」

 

「……ああ、分かった。神宮寺立てるか?」

 

 神宮寺に手を差し伸べる峯岸

 

「みね、ぎし?」

 

「ああ、俺だ。もう大丈夫だ」

 

「……あっ」

 

 突然倒れる神宮寺

 

「お、おい!」

 

「大丈夫、気絶しただけだ。エイミィ! 転送を!」

 

『了解』

 

 三人を光が包み、その場から転移した。

 

 

 

零冶 サイド

 

 

 ふう、終わったな……これで踏み台の心を粉砕した。後はどう転ぶかな。正直足手まといにならないなら、戦いを放棄してもらって構わない。だが、戦いを続けるなら今の自分では弱いと分かったはずだ。後はオリ主に任せよう。

 

[お疲れ様でした]

 

「疲れてなんかないさ。俺を疲れさせたら大したもんだ」

 

[ごもっともです]

 

「何だ、随分大人しいじゃないか」

 

[……無理しないでくださいね。マスター]

 

「……悪いな。一人にしてもらえるか?」

 

[畏まりました。スリープモードに移行します]

 

 ミストがスリープモードに入ったの確認し、王の財宝(ゲートオブバビロン)に収納する。

 

「ふう……やっぱり胸くそ悪いな……もう二度とやらない」

 

 俺はベットに横になり、目を瞑った。

 

 

零冶 サイドアウト

 


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