アルドノア・パニック!?   作:灰音穂乃香

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FAZE05 『サテライトベルトの戦い』

2016年2月14日 11時30分 トライデントベース11番埠頭‐トゥアハー・デ・ダナン/優真の私室。

 

 

『地球は、幼い頃からの憧れでした。

 

青い海、青い空、水と空気と太陽の恩恵を受け、たくさんの生き物と豊かな資源に恵まれた世界。

 

 

私は、その地球で一度命を失いました。

 

そして、真実を悟りました。

豊かな大地で、無思慮に生きる地球人のいかに傍若無人なことかー。

 

資源を貪り、自然を破壊して興に耽る、愚かな民族。

彼らに、大切な地球を自由にさせてはなりません。

私、ヴァース帝国第一王女。

アセイラム・ヴァース・アリューシアはその義に伏し、偉大なる勤めに殉じる軌道騎士の諸侯等を称え、賞賛します』

 

モニターに映る少女‐火星ヴァース帝国の王女であるアセイラムがそう告げる。

 

 

「でっ?どう思う?」

「わからん…だが、今俺達がやるべきことは変わらん」

 

モニターを見ながら、尋ねた和哉に宗助が答える。

 

現在、和哉達がいるのは地球の周回軌道上…破壊された月の破片が散らばるサテライトベルト。

その小惑星の一つに作られた基地であるトライデントベースだ。

ロシアでの敗戦後、地球連合軍と共同でアーバレスト、クレイモアと共にトゥアハー・デ・ダナンを宇宙戦仕様へと改修を終え、先ほどこのトライデントベースへと入港を終えたのである。

 

「今回はかなり戦力が集まっているらしいな…」

 

「それだけ、今回の作戦が大規模だからということもあるのだろうな…」

 

演説の動画から船外の様子へと映像切り替えながら和哉と宗助が呟く。

 

現在、トライデントベースにはトゥアハー・デ・ダナンやデューカリオンのみならず数十隻もの宇宙船が集まってきていた。

地球軍‐ノヴォスタリスク基地で行われた戦闘を遥かに上回る戦力である。

このサテライトベルトに浮遊する無数の岩石は地球を中心として楕円軌道を描いて集会している。

この地球軍基地であるトライデントベースもその一つである。

そして火星の前線基地であるマリネロス基地もトライデントベースと同様に楕円軌道を描いている。

この二つの基地は72時間後に接近し、その距離は僅か7km。

互いに視認できる距離である。

大規模な戦闘が行われることが予想されるため、これだけの戦力が集結したのである。

 

「無事に作戦が開始できれば良いのだがな…」

 

「どうだろうな…俺が向こうの指揮官ならば…」

 

和哉の言葉に宗助が答えようとする。

 

ーそこで彼の言葉を遮るかのように敵の接近を知らせるアラートが艦内にけたたましく鳴り響く。

 

「作戦前に奇襲をかけるさ…」

 

だが、宗助はそれを意に介さぬようにそう言葉を継いだー。

 

 

2016年7月24日 12時00分 クレイモア…コックピット

 

「しかし…宇宙戦仕様になれる間も無く、戦闘とは参ったな…」

『どうした?びびってるのか?』

 

「言ってろ…」

 

宗助の言葉に苦笑して答えると和哉は機体を操作して配置につき、アサルトライフルを構える。

 

トライデントベースの真下を通る形でヴァースの宇宙艦と量産型のカタクラフトが向かっているのだ。

 

『敵との相対速度は秒速約三キロメートル。

一瞬の攻防になる』

 

「了解…」

 

無線から聞こえる宗助の言葉に答えると射撃補正をフレイアへと任せ、敵カタクラフトに向けて銃弾を放った。

 

ー同時刻 スレイプニル‐コクピット

 

『へぇ…』

 

太陽風によりどちらの陣営の攻撃も当たら中、貝塚伊奈帆は驚愕の声を心の中で上げる。

宗助の乗るアーバレスト、和哉の乗るクレイモアの攻撃が量産型カタクラフトを的確に撃ち落としているである。

 

『二機ともラムダドライバを使用している様子は無い。

となればパイロットである二人の技量腕が優れているのか…。

優れた支援システムを積んでいるのか…どちならにせよ…』

 

心強いと思いつつ射撃を開始したー。

 

2016年7月24日 12時05分 クレイモア‐コックピット

 

『敵小型機の破壊を完了』

 

「了解、これより敵の大型艦へ向けて攻撃を開始する」

 

フレイアの声に裕也は答えるとスレイプニル、アーバレストと共宇宙艦へ向かう。

 

敵艦より連続して放たれるビームを月の破片を壁にして避けつつ、銃弾を放つ。

 

三機が撃った弾丸は 確実に大型艦を捉えいた。

ーーーーーだが。

 

『ちっ…』

 

宗助が小さく舌打ちをする。

 

何かが弾道を横切り、銃弾を全て撃ち落としたのだ。

 

白いカタクラフトである。

 

『大型艦は後続部隊に任せ、先ずは敵カタクラフトを最優先で破壊します』

 

 

「了解!」

 

伊奈帆の言葉に答えると共に、白い機体に向けて弾丸を放つ。

 

『なっ!』

 

 

『避けただと!』

 

弾道は計算しつくされており、普通ならば避ける事が不可能に近い正確無比の銃弾である。

 

だが、白いカタクラフトはまるで弾道を読んでいるかのように回避したのである。

 

『くっ…』

 

和哉は舌打ちをすると射撃を続行する。

 

アーバレスト、 スレイプニルも共に銃弾を放つがまたも全弾を回避、機体の距離が接近していくにも関わらずどちらも銃弾は掠りもしない。

 

「ちっ…」

 

再度舌打ちをする和哉を尻目に白いカタクラフトは四隻の宇宙艦と共に宙域を離脱していったー。

 




どうも皆さんお久しぶりです。
灰音穂乃香です。
アルドノアパニックの内容も二期編へと入りましたー。

ASやダナンって、宇宙で戦えたっけ?っという疑問もありそうですがスパロボで宇宙で戦ってたから大丈夫ですよねー?

次の話では敵としてフルメタルパニックからあの人を出す予定ですのでお楽しみ下さいー。

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