ソードアートオンライン~過去からの転生者~   作:ヴトガルド

13 / 30
今回は視点が変わります。混乱させてしまったらすいません。
※10月2日修正済み


第四層
情報屋


お頭達が第四層へ到達し攻略を始めた頃、拙者は鼠のアルゴと行動を共にしていた。

 

元々コタローと共に忍者として戦うつもりでいた拙者でゴザルがお頭より承った指令は忍者本来の諜報活動……ビルド的にはむしろこちらのが向いているのも確かでゴザル。

 

拙者は指示のあった要監視者の内、名のしれているPoHとモルテを探していたがなかなか見つけられない。

鼠のアルゴと違いネットワークの無い現状では効率が悪いでゴザル。

 

拙者はそう考え鼠に情報屋のノウハウを学ぶためにこうして行動を共にしているわけだが……アルゴはその行動の全てが情報屋としての動きしかしていない。…………にも関わらず、ノウハウはさっぱり分からないでゴザル…………。

 

「まだ着いて来てたのカ。オレっちの索敵にもかからずに隠れる隠蔽スキルはスゴいけどそもそも情報屋は面割れする仕事ダ。イスケには向かないヨ。」

 

「しかし諜報も忍びの任務でゴザル。お主の技術、話術、洞察力は必須と考えるのでゴザルよ。」

 

「ふ~ン……ま、良いけどナ。でもオレっちの仕事の邪魔になるなら全力で撒くからナ。」

 

そう言いながら走り出すアルゴを追いながら自分に足りない物を考えるもよくわからない。いや、それを知るためにも今はアルゴと行動すべきでゴザル。

 

 

 

 

アルゴは考える……めんどくさい。正直情報を扱う以上機密は絶対なのニ。暫くは直接の情報収集は最低限にしてアー坊のスキル検証を主に行うしかないナ……。

そう考えながら始まりの町にいるー二層時点ではーネズハに次いで鍛冶スキルが高く、恐らくはそろそろNPC鍛冶屋を抜いたであろうプレイヤー鍛冶屋リズベットを訪ねた。

 

「やぁリッちゃん。調子はどうかニャ?」

 

「アルゴ……その呼び方はやめなさいって言ってるじゃない。だいぶ鍛冶スキルも上がってきたしもう少しで前線でも使える武器を作成出来るようになるわよ。」

 

……相変わらずイスケの姿は確認できないナ。素顔でこうゆうプレイヤーとの繋がりを作ればアー坊の依頼もこなせるようになるだろうにと考えながら話を進める。

 

「それは良かっタ。ならオレっちにクローとそれと同レベルの短剣を作成して貰えるかナ?」

 

そう言いながら必要数の素材と相場より少し高めのコルをトレードウィンドウに入力して提示する。

彼女としてもリズベットのようなプレイヤー鍛冶屋や雑貨屋のような生産スキルプレイヤーは貴重な情報源になるため投資は惜しまない。

 

「良いけどアンタ、短剣スキルなんて持ってるの?クロー使うなら必要ないでしょうに。」

 

「ん~……オレッちは使わないんだけどね。まぁ依頼の一環だヨ。ちなみにこれ以上は情報料1000コルだナ。」

 

すると即座にリズベットは1000コルを支払う。

これにはアルゴも驚いたようで目をパチクリさせた。

 

「見くびってもらっちゃ困るのよね~。駆け出しとはいえ私はこの仕事に誇りを持ってるんだから。さぁこれで話してくれるのよね?」

 

「にゃハハハハハ。良いネ。オレっちそうゆうの大好きだヨ。これは検証の為に必要なんだよネ。ソードスキル禁止での縛りプレイの検証だから質のいい装備が必要なのサ。」

 

「し、縛りプレイって……デスゲームになったここでそんな事してる奴居るの!?」

 

「ま、縛りでやるのは15~20までだけどネ。依頼してきた奴は15だったから多分それ以降はないだろうサ。」

 

「ふ~ん。それで短剣は誰が使うのよ?」

 

「シリカってプレイヤーだナ。というかリッちゃんにとってはこっちの使用者の方が知りたいんだロ?」

 

リズベットはもちろんとばかり頷いた。

とりあえず素材、代金を置いて短剣使いになる予定の少女、シリカと合流すべく歩を進める。

 

シリカは今回依頼するまでずっと宿屋で泊まり、流石にそろそろ手持ちのコルがなくなってしまったプレイヤーだ。

本来ならばその後は本人がどうするかを決めるのだが、ちょうどフィールドに出てないまっさらなビギナーを探していたアルゴが声をかけたのだ。

ちなみにシリカにした理由はその容姿にあった。教会に暮らしている子供プレイヤーよりは若干大きいが明らかに若く、見た目からいって12、3歳といったところだったのだ。放っておいて暫くすれば誰かが連れ出すだろうが、この街に残る連中は基本的には自分達を危険に晒すことはしない。

故にいざとなれば囮や餌などにされてもおかしくなく、逆に自分に対してそういった事をしてくる可能性も極めて低いと踏んだのだ。

 

やがて待ち合わせ場所にビクビクしながら近付いてくるツインテールの少女の姿が見えた。

 

「オ~イ、こっちだヨ。」

 

手を振りながら近付くとシリカはぺこりと頭を下げた。

 

「あ、あの……よ、よろしくお願いします……。」

 

ぎこちない挨拶をしたシリカを連れ、再度リズベットの店に向かう。

……恐らくはイスケも着いてきているんだろうが気にしない。気にしても仕方ない。

 

待ち合わせ場所からさほど遠くない位置にあるリズベットの店につき、依頼の物を受け取る。

 

「こちらプレイヤー鍛冶屋のリズベット、こっちは今回一緒に回るシリカだヨ。」

 

「あ、あの、よろしくお願いします。シリカです。武器大事に使わせてもらいます。」

 

「いや、それはありがたいんだけどさ、シリカ……だっけ?レベルはいくつなの?縛りプレイ出来るように見えないんだけど……。」

 

「当然1だヨ。じゃないと検証にならないんダ。もちろん最初はお使い系の経験値の良いクエでレベルを3位は上げるけどナ。」

 

「……ねぇ、あたしもついて行っちゃダメ?目標レベルまでは上げるんでしょ?」

 

「……ん~……まぁ良いけどナ。リッちゃんは今レベル10だったよネ?自分の身は自分で守ってくれるならオレっちとしては戦闘メンバーが増えるのは嬉しい限りだネ。」

 

ちらりと辺りを見渡し恐らくは聞いているであろうイスケにもそう伝える。

確かイスケは14は有ったはずだ。一応戦闘要員に6人ほど人格のいい連中を雇ってはいるが彼らも確かリッちゃんと同じく10前後だったはずだし……。

 

 

とりあえず2人を引き連れて転移門を経由して第二層に向かう。

主に二層主従区で受けるクエでシリカは3位には上がるだろう。

主従区に向かった後、昼から夜にかけての七時間で立て続けにクエストをクリアする。ついでにリッちゃんの素材集めに使えるクエストもクリアし4つこなした所でレベルは4まで上がった。4つ目の収集クエはフィールドに出るため他よりも経験値が多く、3から4ならば一度で上がる。

稼いだ分のコルを第四層で購入出来る防具一つに変え(最も安い物だが……)宿屋に泊まった。

 

深夜オレっちの元にメッセージが届く。

差出人は……キー坊か、どうやら情報を買いたいらしい。

《今から行くから待ち合わせ場所に30分後ナ。》

 

簡単に返しベットから出て索敵スキルを発動させる。……どうやらイスケも隣を借りて寝ているらしい。

 

ベットを素早く出て物音を立てずに部屋を出て転移門でキー坊の待つ第四層主従区ルフランへと向かう。

主従区の転移門そばのNPCハウスが待ち合わせ場所だ。

どうやらキー坊はまだ着いていないらしい。

 

待つこと5分、キー坊が現れた……アーちゃんと一緒に。

 

「悪い、待たせたか?」

 

「十秒の遅刻だナ。……それにしても……。」

 

キー坊とアーちゃんを交互に見てからやはりというか……この2人はずっとコンビを組んでるんだなナと考える。

 

「違うぞ。」

 

「違いますからね。」

 

2人とも全く同じタイミングの発言。息もぴったりだナ。ほんわかと笑顔がにじむ。

 

「まぁ良いけどナ、それで何を聞きたいんダ?」

 

「キバオウのところにいるジョーさんについて聞きたい。一層、二層、三層に続いてここ四層でも火種を撒いてるんだ。今のところキバオウが抑えているようなんだけど今後も続くようなら警戒しておきたい。」

 

「私はリンドさんの所にいるジンさんの情報が欲しいわ。二日前にリンドさんに頼まれてこの人と2人リンドのメンバーのパーティーに入ってフィールドボス戦に参加したんだけどその人その戦闘で計3回私とこの人を含む3人に誤って斬りかかっているの。」

 

「ちょうど昨日アー坊もその2人の情報を買ってたナ。先ずジョーは通称だ。本名はジョニー・ブラック。キー坊の言う通り毎回扇動をしているナ。小さなところでも何度も扇動をしているから特に目立つ奴ダ。とはいえ今の所犯罪らしい犯罪は犯していなイ。扇動についてはギルドマスターであるキバオウにも注意を促しているヨ」

 

それを聞いたキー坊からはジョニー・ブラックと呟く声が聞こえる。

 

「さて次にアーちゃんの依頼してきたジンだけど、こいつもジンは通称、本名はジンエだな。第二層フィールドボス戦後にリンドのドラゴン・ナイツに入隊。入隊前はよく半減決着のデュエルでプレイヤーとの戦闘を繰り返していた戦闘狂で何度かプレイヤーのライフを一割以下まで削ったこともあるナ。同じくリンドにも注意を促しているゾ。」

 

2人はしばらく考え込んでいた。しかしやがて考えがまとまったのか顔を上げる。

 

「悪いな。これ、情報料だ。」

 

2人がコルを払おうとするのを手で制する。

 

「2人とも軽装タイプだロ?一つ前に使わなくなった防具とか無いか?特にアーちゃんの。」

 

「あ~……というか明日の朝新調するんですよ。だから今装備してるやつなら……。」

 

「それは助かるナ。それを情報料として貰えるかナ?」 

 

アーちゃんからは胸当てを、キー坊からは何でも四層のMobからのドロップ品のブーツを貰い2人とは別れタ。

 

恐らくは今、攻略組の内部にいるというPoHの仲間を割り出そうとしているんだろうナ。

 

アルゴは自分の泊まっていた宿屋に戻ると隣のイスケの反応が消えているのに気付いた……が、出る際に気付いていなかったイスケが移動している自分を尾行できるはずもないナ。よし、寝よウ。

 

 

次の日キー坊とアーちゃんからの貰い物をまとめてシーちゃんに渡し装備させル。

これで+2程度のレベルの底上げにはなル。アーちゃんのはそこそこ強化されているシ。

 

2人ーと多分1人ーを連れ、待ち合わせしている場所に向かう。

昨日ようやく無理をして組んだというギルド“風林火山”にシーちゃんのレベル上げを手伝ってもらうように依頼を出しておいたのだ。

 

ギルドリーダーのクラインのお兄さんは人となりが良く信頼できる人物ダ。

 

 

「お、アルゴじゃねぇか!お、その子達が依頼にあったレベリング対象かい?」

 

「ヨ!クラインのお兄さんの言う通り……って言いたいところだけどナ、依頼したレベリング対象はこっちの小さな方の子だヨ。」 

 

「よ、よろしくお願いします。シリカといいます。」

 

「おらぁクラインってんだ。よろしくな、シリカちゃん。」

 

こうして9人の大所帯であることを生かしあまり知られていない第三層のレベリングスポットへと向かった。

ちなみにクライン達への報酬はレベリングスポットの情報とギルドクエストの情報、更に日当10000コルを支払う事になっている。

 

予想ではレベリングスポット二つ~三つも潰せば確実にレベルは足りるはずだ。

うまく進めば1~2週間程度だろう。

 

四層が開通して今日が三日目なので攻略の進み次第で5層にはレベリングは間に合うはずだ。

そう考えながらレベリングを進めるのだった。

 

 

 

 




四層から暫くは一話アルゴ達MORE DEBAN組が一話、アオシ達攻略組が一話で進めていきます。

また評価の方とても嬉しいです。より良い評価が付くように頑張らせていただきます。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。