咲-Saki- 恋愛物語   作:ケイ22

7 / 10
いやー、やっぱり咲-Saki-はすばらですね!

ほとんどのキャラは可愛い!

今回はトキちゃんです!

あと、トキちゃんの口調が変化もしれませんが温かい目で読んでもらえると嬉しいです。


園城寺怜
病室で出会った天使


我が家、遠夜家は4人家族だ。両親と姉が1人そして俺……遠夜明(とおやあきら)で構成されてる。俺たちは理想の家族だった(・・・)。ご飯を食べるときはいつも一緒、趣味が似ているせいかチャンネル争いなどしたことがない、部屋で1人で何かをするよりダイニングで家族の誰かと話してた方が楽しいと本気で思っていた。でも今では……そう、あの時姉さんに呪われる(・・・・)までは。

 

 

 

 

 

 

 

高校二年の夏休み最後の日、俺は交通事故にあい入院した。幸い右足と左腕が骨折程度だったが……これからはどうなるかわからない(・・・・・・・・・・・・・・・)。下手したら次は本当に死ぬかもしれない……そう今回はただ俺に少し運が残っていた(・・・・・・・)だけだ。

俺の病室で1人、横になっていた。さっきまで、両親が来ていたが姉さんが来ないように帰ってもらった。父さんがこの病院のお偉いさんと知り合いらしく、せめて物の償いの為に1人部屋になるよう計らってくれた。でないと他人の目を気にして、泣けないからだ。

その日の内は、身体検査をするだけですごし。翌日の昼過ぎ、絶望に浸ってると。父さんの知り合いで、俺のかかりつけの先生が突然病室へやって来た。

 

「明くん、ちょっとお願いがあるけどいいかな?」

 

先生の無駄に渋い声が俺の耳に入った。

 

「はい、なんでしょうか?」

「今から緊急で明くんと同じ年の女の子が入院するんだ」

「……はぁ」

「でも今、病院の女性用の病院室が全て埋まってるんだ」

 

なるほど、だからこの病室(ここ)にその子を入れて欲しいと。俺は一行に構わないが。

 

「別に構いませんが、俺は知っての通り男ですよ。おまけに同い年ですし……その子と、親とかが」

「さっき言った通り、今その子とても危なく余裕がないほど緊急な状況なんだ。それに、君は何もしないと思うよ。あいつの息子だし」

 

先生の俺への評価は正直嬉しかったが、罪悪感も感じた。父さんの人柄は良く、多くの人から愛されてる。『その人の息子』と言う理由で、俺の人様からの評価は高かった。でも今の俺は……

その後先生は病室から出ていき、俺はベッド周りのカーテンを閉めた。多分今からその子と先生など多くの人がここに来るだろうと考え、邪魔にならないように静かにしてようと決めた。

数分後、考えた通り突然病室の扉が開かた。カーテンを閉めてるタメ、様子は見れないし。興味もわかなかった。そして俺は、話し声が聞こえてしまうといろいろマズイと思い、イヤホンと携帯に手を伸ばし曲を流した。携帯を操作してる途中にメールが何件か来てたのに気づいたが、無視をした。友人たちからの心配のメールがほとんどかもしれないが、もし間違えて姉さんのメールを見てしまうとまた、恐怖感に落ちると思った為。そうならないようにメールを無視した。曲を流した途端、急にカーテンの隙間からあの先生の顔がでた。ビックリしながらも、慌てて俺はイヤホンととった。

 

「じゃー明くん、よろしくね」

「はい」

「時々、看護師さんが様子見に来るから」

(つまり、見張られてると……)

 

そう言い残して、先生はカーテンを閉じ。他の人たちと一緒に病室から出て行った。すぐにイヤホンを耳に付け、曲を聴こうとしたがつい頭をよぎってしまった。「女の子と2人っきり」……まぁ意識しなかったわけではなかったが、急に頭をよぎった為いきなり興味がでた。でも、すぐに理性が働き俺はそのままイヤホンを耳に付け、天井のシミを数え始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……ご……んね………め………ね』

 

とても暗い空間、俺はそこに居た。周りは暗い、行ったことがないが深海の中にいる感じだ。何も見えない、アレ(・・)以外は。

 

『ごめんね……ごめんね……』

 

とある女性がとある男性に抱きつき、謝ってた。

 

『こんなことになるなんて……わかんなくて……こんなことになって、ごめんね』

 

あ……あの2人は、俺と姉さんだ。

 

『ごめんね……また前みたいに……みんなで…………もうやらないから、許して!!』

 

姉さん、もう無理だよ……だって俺、姉さんが怖い(・・)んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ん……夢……」

 

最初に見えたのは、シミが少ししかない白天井。でも周りは薄暗い。その事が頭に入りやっと、俺が寝て居たことに気づいた。耳に付けてたイヤホンはいつの間にか外れていた為、耳に負担はかからず痛みはなかった。少しぼーっとしてるとカサカサ!と音がし、慌てて音が出た所を見ると……カーテンの隅から出てる女の子と目が合った。ちなみにその女の子はジト目であり、おっとりとした雰囲気をしており、髪型はショート。10人中10人がその子の事を可愛いと言うほど『可愛い』が似合う子だ。姉さんの友人がキレイ系が多く、たまに家にするせいか可愛い系の女子はあんまり慣れてなかった為、目の前の子がとてつもなく魅力的にみえた。

 

「ジーー」

「……」

 

俺はいろんな意味で言葉が出なかった。だが、その子は違ったようだ。

 

「……自分なんで泣いておるん?」

「え?」

 

そう言われ慌てて手を目の下にあてようとしたが、間違え骨折してた左手をあげてしまい、痛みが体中を走った。

 

「……大丈夫?」

「だ、大丈夫」

 

痛みを我慢して、右手を目の下にあてたら水の感触をした。

 

「俺、泣いてたのか……」

「そうみたいやで」

 

そのままその子はカーテンを開け、ベッドの横に置いてある小さな椅子に座った。彼女は薄い青色をした病衣をしていて、右手には点滴の針が刺さってあった。一応これから彼女と話す流れができたと思い、寝ていた上半身を起こそうとしたら左腕と右足に負担がかかりさっきの痛みを超える痛みが、体中を走った。

 

「いっ!!」

「あ、無理せんでもえーで」

「わ、わるい……」

 

あれ?なんで俺は今謝ったんだ?

 

「……その……君は?」

「あ、私は園城寺怜。よろしく、遠夜明くん。トキちゃんって呼んでーな」

「おい、まて。なんで俺の名前知ってるんだ……」

「病室の名札を見たんや」

 

そうか、病室の名札には誰がここにいるか書いてあるだっけ?

 

「なんでカーテン開けた?」

「同じ病室ですごす人の顔でも見ようかと思ってカーテン開けされてもうた。でもまさか男の人がおるんなんで思わなくて……」

「知らなかったのか?」

「うん、私ついさっき目が覚めて」

 

つまり園城寺さんは、今の状況が全くわかってないと……

 

「目が覚めたら同室の人の顔を見るより、先にナースコールだろ」

「せやな、おおきに」

 

そう言い残して、園城寺さんは「これ邪魔やな」と言いながら、カーテンを全開にする嫌がらせ以外の何もでのもないことをして。自分のベッドに戻りナースコールをした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、夏休みが終わり学校で始業式が行われる日だ。もちろん俺は学校には行けず、病室のベッドで寝てるのみ。

 

……つまらん……

 

入院していると、暇で暇で仕方が無い。携帯は怖くて使いたくなく、テレビを見るには。入院者が使う広間に行かないと行けないが、俺は足が骨折してる為。先生に許可をもらわないと出歩けない。頼みの綱の同室の園城寺さんは、朝から診察で今はいない。そんな時、天からの計らいか先生が病室へやって来てくれた。

 

「調子はどうかな?」

「ここまで暇だと、逆に病気になりそうです」

「あはは、それもうだね。せっかく入院してるのに病気にかかったら悪いから、明くんには出歩ける権利をやろう」

「ホントですか!?」

「あぁ、でも病院内だけだよ」

 

そういい、先生は松葉杖を俺に渡して来た。先生に手伝ってもらいながら、立ち上がり松葉杖を装備し俺は病室から出た。

病室から出てもすることがないのを思い出し、無駄にぶらつくより。広間に行き、テレビでも観ようと考えそこへ向かった。広間に着くと、ご老人が中心で十数名の入院者がいた。そしてみんなはテレビを面白そうに観ていた。何を観てるか気になり、テレビに目を向けると。プロ麻雀の試合をやっていた。この日本では麻雀はスポーツで言う所の、野球やサッカー並みに人気であり、そのプロの試合となるとテレビの視聴率は、下手なバラエティー番組を余裕に超える。そして俺も麻雀は好きだ。帰宅部である俺は、放課後暇な時は友人たちを家に招き、麻雀をしたり。家族で麻雀をするのは日常であった。だが、今はただの嫌な思い出(・・・・・)である為。俺はそのまま物音を最小限に抑え、広間から出た。

広間の事を忘れる為、違うことに頭を使おうと販売店の所へ向かった。幸い俺の財布には、お菓子が数個買えるほどのお金が入ってた為、小腹を満たし気持ちを切り替えようと考えたからだ。だが問題が一つ、販売店へ行くには階段を降りないと行けない。エレベーターを使っても良かったが、なぜか使う気になれなかった為俺は手すりに捕まりながら階段を降りた。

普通なら数秒しか、かからないのに今の俺では約1分弱も時間を掛けてしまったが怪我を悪化させず俺は見事。お菓子を2つ買えた。またあの階段を登ると思うと足は重くなるが、なぜかまた俺は手すりに捕まりながら階段を使った。

 

「ん?」

 

階段を登っていると上の階に1人の女性がいることに気づいた。そして注意深く見るとその女性には見覚えがあった。

 

「……園城寺さん?」

 

同じ病室の住人の園城寺怜がそこにいた。そう言えば昨日はナースコールをして以降1度も話さなかったと思い出し。少し話しかけようと思い、彼女に話しかけようとしたが……少し様子がおかしい。彼女は階段の手すりに捕まりながら……いやしがみつきながら立っていた。

 

「園城寺さん!」

 

彼女の具合が悪いと思い声をかけたら、彼女は無理向いた。

 

「……あ……と、とおや……くん」

 

彼女が振り向き、彼女の顔を見ると。彼女が相当ヤバイのがわかった。

 

「おい!大丈夫か!?」

「だ、大丈夫……け、け仮病……あ!」

 

「仮病」と言った瞬間、園城寺さんはバランスを崩し。階段から落ちた。今彼女足は何も踏んで無く、そのまま床に激突するのは目にみえてた。そして園城寺さんが俺の横を過ぎた時に、俺はとっさに彼女のお腹あたりに右腕を回し、掴もうとした。でも、俺が掴んでしまったのは彼女の胸部だった。一般男子高校生なら同い年の女子、特にここまで可愛い女子の胸部を触ったらとても喜ぶはずだ。俺も一般男子高校生だと自負してるので、俺も例外ではなかったがすぐにその喜びは、驚きへ変わった。

 

(かる)

 

軽い……確かに彼女は小柄なので軽いのは当たり前だが、彼女は軽すぎる(・・・・)。そして俺はつい、そのことに驚き骨折してない左足の踏ん張りを忘れてしまい……園城寺さんと一緒に階段から落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後は物事は人ことで言うと「速い」だった。俺たちが階段から落ちたら、すぐに看護師などやって来て。俺たちは別れ、各個人で診察を受けた。園城寺さんは知らないが俺はすぐにレントゲンを撮られ、ベッドに横になって結果を待っていた。

 

「……」

 

ベッドで横になって先生を待っていると、園城寺さんが看護師に抱えられながら病室へ帰ってきた。

 

「園城寺さん大丈夫だったか?」

 

俺は腕と足が痛い事を気づかれないように振る舞いながら彼女に話しかけた。

 

「……私は大丈夫やった」

「それは良かった……」

「……遠夜くんはどうなん?」

「ん、俺か?まだ結果待ち」

 

見るからに園城寺さんは今回の事をしにしてた為、俺は平然を振舞った。現に怒ってるわけではないし。

 

「明くん」

 

ちょうどその時、先生が病室へやってきた。俺は先生を見たときヤバイと感じた。俺の腕と足だ、ある程度ならわかる。そして俺の腕と足の痛みが増したのは嫌でもわかる。

 

「結果がでたよ」

「はい」

「……」

 

園城寺さんも一緒に先生の言うことに、耳を傾けた。

 

「正直に言うと、明くんは入院期間が長くなったしリハビリが必要になった。幸いにも頭とか強く打ってなあから大丈夫だけど、腕はともかく足に負担がかかり過ぎたから、松葉杖なしで歩くには結構の間リハビリをしないといけないよ」

「わかりました。あ、学校留年したくないんで松葉杖でも学校に行ける様になるまで、できるだけ早くリハビリしたいです」

「そこはちゃんと考えてある。それに家と学校には知らせてあるから」

「……はい、、ありがとうございます」

「あと、リハビリ以外で病室出るの禁止だから」

 

そう言い残し先生は、園城寺さんを連れてきた看護師を連れて病室を出て行った。そのまま病室内の空気が重くなったのは言うまでもない。

 

「遠夜くん、ほんまごめん!」

 

少しの沈黙の後、園城寺さんは俺の前で立ち。頭を下げながら謝って来た。

 

「いいよ、気にしてないし」

「で、でも私のせいで」

「リハビリすればいいだけだから、あんまり気にするな」

 

でも俺言葉は効果は無く、園城寺さんのテンションは低いままだ。

 

「……んーじゃあ交換条件する?」

「……私の体そんなにエロくないよ、それでもええんか?」

「お前は何を考えてるんだ」

 

もしかしたら園城寺さんの頭の中はお花畑かもしれないと、俺は疑った。

 

「俺の暇つぶし相手になってくれ」

「え!?暇つぶし!?私ってそんなレベルなん!?」

「よし、言い方を変える。俺の友達になってくれ」

「まさかそっち(・・・)の友達!?」

「なんでお前は、どう言ってもそっち系に行くんだよ!!」

 

ヤバイ、想像以上に園城寺さんの頭はヤバイ。

 

「冗談や、じょーだん。ほんまに怒んといて」

「……はぁ〜。それで、冗談抜きでどうするんだ」

「ええよ、私も明くんと友達になりたいし」

「おう、よろしくなトキちゃん」

「それ覚えておったの?」

「記憶の片隅にな」

 

そう言うと、トキちゃんは顔を逸らし。俺が見えないようにした。

 

「……よ、呼び捨てで……」

 

ちゃん付けは恥ずかしかったようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、なりたてほやほやの友達である怜と世間話などをしていると、看護師さんが晩飯を持って来てくれた。ちなみに、今日の事故が原因で見舞い禁止令が出されていて誰も見舞いには来なかった。まぁ、メールの量は増えたが……そして怜は「竜華の太ももが……」などとわけのわからん事を言っていたが、俺はスルーをした。

 

「明くんは、食べへんの?」

「……」

 

メールの事で頭を回していた為、横でご飯を食べてる怜に話しかけられてた事に気づきてなかった。

 

「おーい、あーきーらーくーん」

「……」

「……ほんなら最終手段や」

「……」

 

むにゅ〜

 

突然、右頬が引っ張れてる感じがし右を向くと。ほっぺを膨らませながら、俺の右頬を引っ張り続ける怜がいた。

 

「無視せんといて……何気傷つく」

「あぁ、悪い。つい現実逃避を」

「だからご飯に手つけへんの?」

「ん?あーそういことか。俺って左利きなんだよね」

 

そして俺は左腕を骨折している為箸がもてない。

 

「え?じゃーどうやって食べてたんの?」

「フォークとスプーンがついてきてたけど、なんかの手違いで箸しか出せなかったらしい」

「どうするん?」

「仕事が落ち着いたら、食べさせてもらうから待ってろだって」

 

この病室の看護師……いや、ここではナース(・・・)さんと呼ぼう……ここのナースさんの容姿レベルは高い!入院してから今まで、そこそこのナースさんをみてきたが全員レベルが高い!!なので何気楽しみだったり、しなかったり。

 

「ふーん。羨ましいなー」

「なんで?」

「だって、ナースさんに『あーん』してもらえるんやろ?運がええなー(・・・・・・)

 

怜は悪気があって言ったわけではない、そう頭ではわかってたが心の内側から怒りの感情が湧き上がってきたのを感じた。怜に八つ当たりとかしたく、そして負けたく無く(・・・・・・)俺は利き手ではない右手で箸をもち。不恰好ながらも時間を長く使い、箸でご飯を手をつけた。

 

「どうしたん?」

「運なんかに俺は任せない。今までそうしてきたし、これからもそうする。だから、か……ナースさんはまたん」

 

後後考えたら、俺があってたことはただのワガママだとわかった。でも今の俺は意地になっていた。

 

「なら、だべさせてやるわ」

「はい!?」

そう言うと、怜は俺から箸を奪い。俺の食器皿にのってある鮭をひとつまみとり、俺の口の前まで持ってきた。

 

「あーんしいや」

「怜さん、なんすかこのイベント」

「あれや、あれ。今日の事故に巻き込んだお礼や。それな運とか関係あらへん」

 

きっと怜は俺の気持ちに少し気づき、やってくれてるんだろう。なら仕方ない、食べてあげないとな……そう自分に言い聞かせていたが、ホントはこんなに可愛い子に食べさせてもらえると嬉しかっただけである。

 

「あーんや」

「あーん」

「どうやった?」

「……美味い」

 

どこの恋人達の会話だー!!!そしてありがとー!!!

 

食べさせてもらい、心の中で叫んでいると病室の扉が開かれた。あぁ、ナ……看護師さんが来たのか。残念に思いながら、来た人をみると……看護師じゃない人がいた。そして、病院の先生でもない事も気づいた。だからと言って、俺の友達でもなく、俺の両親ではない。怜さんの友人でも無いだろ、なぜならその人は俺の姉さん(・・)だからだ。

 

「……明……」

 

名前を呼ばれ、嫌な汗が背中を流れたと感じた。

 

「明くん知り合いなん?いや、まさか彼女とか!?」

 

横で怜が変な誤解をしていたのには気づけたが、そんな事はどうでも良かった。

 

「明、大丈夫だった?私とっても心配で……メールや電話も出ないから」

 

そう悲しそうな顔をしながら、姉さんはだんだん俺に近づいて来た。最初はその事を認識できなかったが、認識できた時に。

 

「くるな!!」

 

俺は叫んだ。

 

「くるな!くるな!くるな!こっちくるな!出てけ!出てけ!出てけーー!!!」

「……」

「ちょ、明くんどないした!?」

 

姉さんは立ち止まり黙り込んで。怜さんは俺の突然の変化に驚いている様子だ。

 

「……明、ごめん。ごめんなさい!なんでもするから、私なんでもするから前みたいに『姉さん』って……私を呼んでよ」

「出てけ、出てけ!『あんた』なんてみたくも無んだよ!!」

「……」

 

恐怖が俺の全身を侵略してるのが、怖いほどわかる。事故の時の記憶が……その時の映像が頭を埋める。

 

「どうした!?」

 

俺の叫び声が聞こえたか、先生が扉を慌ただしく開け病院に入ってきた。先生は俺の父さんから事情を聞いていて、この場に姉さんがいることをマズイと感じた。

 

(めい)くん。今日は誰も見舞いは禁止だ、どうやって来れたのは聞かないが……素直に今出て行かないと、警備の方々を呼ぶがどうする」

「……はい、すみません。もうしません」

 

姉さんは俯きながら、そう言いそのまま病室から出て行った。先生は近くの看護師を呼ぶ為と、姉さんを見届け為に出て行った。

 

「……」

「……明くん」

 

その時の俺には怜の言葉は届かなかった。

 

「怖かったやろ、もう今日は休みなぁ」

 

そう言い、怜は俺を優しく抱きしめてくれた。

 

その時の怜のあたたかさと、怜の声は俺に届いた。




今回は最初から少しシリアスです。

感想、希望、誤字脱字などのコメまってます

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