咲-Saki- 恋愛物語   作:ケイ22

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いやー今週はなぜか、すぐに書きたくなりました!!

え?テスト期間?あぁあの、テストで余った時間を全部想像に注ぎ込んだヤツですね!!

あとあと!お気に入り100越えです!!!

ちょー嬉しいーよー


アフターストーリー 〜夏休み〜①

『サキ荘』。このアパートに俺の彼女であるシロさんが、現在住んでいる。夏休み初日に始発の新幹線に乗ったりして俺は、彼女の元へとやってきていた。

 

ーー この夏休み中、彼女と同居するタメにーー

 

シロさんは既に大家さんに許可を得ていてあり、女子寮でもないタメ、手続きはスムーズにいったので何の問題もなく俺は来れた。そして、久々に彼女に会うといきなりキスをされるとか、エロいことをしてやる(仕返しする)と言われたり……驚きの連続に浴びた。

 

「シロさん……」

「……何?……」

 

俺は取り敢えずその後、すぐに荷物を軽く整理し。俺が来てもなお座っていたソファーから立ち上がらないシロさんに話しかけた。

 

「あの……久々に会った彼氏に、冷たくないですか?」

「……夏だし、ちょうど良いと……」

「なにちょっとうまいこと言ってるんすか……」

「……キスしたじゃん」

 

シロさんは、顔を赤くしながら小さくそう言った。

 

「……ご、ごちそうさまでした……で、でも!それだけじゃないっすか!?もうちょっとお話しとか!抱き合うとか!……宮守ではいっぱいやってたじゃないっすか!」

「……ダル」

「そうくると思いましたよ!」

 

シロさんは、久々に会った俺に対してどうリアクションすればいいかわからないと心の中で勝手に決め、彼女に近づき横に座った。

 

「ッ!!……シロさん、このソファー」

「……」

「……このソファー、少し前に流行った『人をダメにするソファー』ってやつですよね」

「……塞がダメ元でなんかのキャンペーンに応募したら、当たったらしい……」

 

ーーそして、使わないからシロさんに渡したとーー

「……シロさん、好きです」

「……なんで、今言うの?」

「このソファーに負けた真実から、目を背けたくて」

 

などとふざけあっているが、シロさんはそっけなく俺の手を繋いでくる……そうしてもらったタメ、俺は彼女の温もりと愛を確かめられた。

 

「……ダル」

 

 

 

 

 

いつまでもこの時間が続ければと思い始めてしまう前に、俺はやるべき事を片付けようと思った。

 

「シロさん、食事ってどうします?」

「……陸がーー」

「毎日は作りませんよ」

「ーーなら手伝って……」

 

それならいいです。そう言いながら俺はソファーから立ち上がり、何の躊躇もなくシロさんの冷蔵庫を開いた。岩手にいた頃に、一人暮らしの俺の冷蔵庫を勝手に開いていたのは、何を隠そうシロさんを始めとする麻雀部メンバー全員(先生も)だ。その仕返しも兼ねて俺は冷蔵庫を開いた……現にシロさんも何も言ってないし。

 

「まぁ、想像できたな……シロさん、久しぶりにデートしましょう」

 

案の定、シロさんの冷蔵庫の中の食材は充実していなかったタメ、シロさんを誘い買い物に行く事にした。

 

ーー久しぶりのシロさんとのデートだーー

 

 

 

 

その後、シロさんをソファーから立たせるタメに少し時間を潰しながらも俺たちは(シロ曰く)近くのスーパーへと向かっていた。

 

「シロさん、少しそのアイスください」

「……交換なら」

 

シロさんの冷蔵庫には食材は全然なかったが、アイスは大量にあったタメ少しもらいながら外へ出かけて行った。

 

「……シロさん、 いつも1人で買い物してるんすか?」

「たまに」

 

シロさんとの会話は続かない。コレは宮守にいた時期から知っていることだが、久々にあったタメ俺はできるだけ彼女と話したいタメか何度も話しかけた。

 

「……陸ーー」

「ん、なんすか?」

 

突然、シロさんの方から話しかけてきたので俺は少し驚いたが。ちゃんと彼女に返事はした。

 

「ーーコレで我慢して……」

 

そう言いながらシロさんは、アイスを持ってない方の手で俺の手を繋いだ……恋人繋ぎで。

 

「……はい」

 

そのまま俺はシロさんから手を繋いでもらって嬉しかったので、スーパーに着くまでずっとその嬉しさを噛み締めていた。

 

 

 

 

 

 

「シロさん、昼は外でとるとして。晩飯はどうします?」

 

せっかく外に出かけてるので、俺の奢りって事で外食することを決めたが。晩飯は決めてなかったので、その事をシロさんに訊いた。

 

「……土日の晩御飯は、管理者(桜井)さんが作ってくれる……」

「マジっすか?」

「……うん、ただし。『サキ荘』の住人全員で、管理人さんの部屋で食べる……」

 

因み夏休み初日は土曜日だ、今日と明日の晩飯は大家さんが作ることとなる。

 

「わかりました、ならその時に俺は適当にとってきますね」

 

だが『サキ荘』の住人でない俺はその食事会に参加できないと思うので、俺は適当にコンビニで買い食いをする事となる。

 

「……いや、陸も一緒に食べる(・・・・・・・・)……」

「はい?」

「……大丈夫、桜井さんが連れてこいって言ってきたから。迷惑とかじゃない……」

 

管理人さんもとい、桜井さんは俺の事に少なからず興味があると考えた方がいいだろう。まぁ、その内挨拶するつもりだったので手間が省けれたので、良しとするか……

 

その後適当に食事と買い物を済ませ、そのまま寄り道もせずまっすぐシロさんの部屋に向かった。アパートに近づくとシロさんの部屋の前に数人の人影に気づけた。

 

「シロさん、お客さんがいるみたいですよ」

「……ダル」

「行かなくていいんすか?」

「……行ってきます」

 

俺は荷物と一緒にその場に立ち止まり、シロさんはそのまま歩いて行ったが。少しすると、シロさんの部屋の前に立っていた人たちの1人がこちらに気づき、走りながらこちらへ向かってきた。そして残りの人たちもそれに気づき、続けてこちらへ向かってきた。それに気づいたシロさんは歩くのをヤメた。

因みに今のシロさんと俺との距離は5メールぐらいだ。

 

「おーい!白望ちゃーん!!」

 

そう言ったのは、小さなポニーテールを揺らしながら走ってきてる活発的そうな女子だった。彼女はすぐにシロさんの目の前につき、シロさんと話し始めた。

 

ーーシロさんの新しい友達かな?ーー

 

そのあと突然冷たい汗が流れたのを俺は感じれた。理由はきっと、シロさんの部屋の前にいた人たちが続々とシロさんを囲むように彼女に近づき、ちょくちょく俺の方とチラ見してるからであろうと結論づける。もしかしたらその中に男性がいて(・・・・・)おまけに、あきら様に1人だけ敵意をもって見てくる(・・・・・・・・・・)のが最大の原因なのかもしれないが……

 

「おーい!」

 

冷たい汗を感じていると不意に、ポニーテールの娘が俺に向かって手を振ってるのに気づいた。多分アレは近づけという事だろう。そして俺は、荷物を持ってその集団に近づいた。

 

「どうもです」

 

集団に近づくと、できるだけ自然にシロさんの横に立ちながら俺は皆さんに挨拶をした。

 

「ねぇ!ねぇ!ホントに君、白望ちゃんの彼氏なの!?」

 

そしてやはりポニーテールの娘が一番最初に質問してきた。

 

「はい、そうですよ……ですよね、シロさん?」

 

シロさんの名前を呼んだ瞬間、さっきの男性が少し反応したのを俺は見逃さなかった。

 

「……さっきからそう言ってるけど、信じてくれなくてーー」

「んで、説明すんのだるくなったから俺をここまで呼んだと?」

「ーーうん……」

「す、すごい……だった1つの行動で、白望ちゃんの思考を読み取るとは!!信じるしかないのかぁ!!!」

 

ーーうわーこの人面白い、まるで胡桃ちゃんだーー

 

いじれそうな人を見つけた俺は、また少し昔の事を思い出していた。でもそろそろ違うことが気になりだした。

 

「あの、すみません。ここで立ち話もなんですし部屋に入りませんか?……俺はともかくそろそろシロさんが耐えれたくなりますんで……」

「……陸、おんぶして……」

「少し汗かいてる背中ですけど、どうします?」

「……私はここで待ってるから、シャワー浴びてきて……そして迎えに来て……」

「前みたいに正常運転をしてもらってて、俺は嬉しいけど……ダメです。さっさと戻ってシャワー浴びてきてください」

「……ダルい」

 

最後にそう言い残し、シロさんはそのまま自分部屋へ向かって行った。

 

「では、皆さんもどうぞ」

「はーい!あ、自己紹介は部屋でいいよね?」

「大丈夫です……でもシロさん今からシャワー浴びると思うんで、1時間後に来ていただけるとありがたいんすけど……」

「その間、彼氏くんはどうするの?」

「シロさんの部屋で、自分の荷物整理しておきます」

 

俺は『自分の荷物』の所を、うまい具合に少し強調して言った。

 

ーーダルから、代わりに扉開けてーー

 

そう言ってそうな視線でシロさんは俺を見ているので、俺は皆さんに最後に軽いお辞儀をしシロさんの元へ向かった。

 

 

 

シロさんを風呂場に置いてから俺は1人『人をダメにするソファー』に座りながら考え事をしていた。

 

ーー恐れていた事がーー

 

シロさんの友人の中に1人、ねぇさんほど身長が高い男性がいた。俺はその人の俺を見るときの目が気になっていた。多分あの目は、『自分の敵に向ける目』だった。

 

ーーアレ絶対、嫉妬とか負の感情こもってたよなーー

 

最近話題になっている七つの大罪の一つである『嫉妬』を俺に向けるってことは……あの人はシロさんに好意を持っている。俺は勝手にそう結論ずけてた。

 

ーー大丈夫だ、まだ慌てる時間じゃないーー

 

某バスケ漫画のキャラのマネができるほどの余裕を持ってるフリ(・・)ができるぐらい、余裕はあった。それぐらいは正直想像つけれていた。自慢だが、俺の彼女であるシロさんは、とてつもなく魅力的だ。ちょっとクセがあるが、慣れればなんてことはない。彼女とイチャイチャできれば、そっとやちょっとの我儘など余裕でこなせる。

 

「あの人……かっこよかったな」

 

俺はいつの間にか、小さな言葉を口からこぼしていた。

 

「……陸もかっこいいよ」

 

そして突然後ろから声が聞こえたので、俺は行き良いよく後ろを振り向いた。

 

プニュ〜

 

右のほうから後ろを振り向いたら、右目の視界がまっくらになった。だがその代わりに顔の右側に柔らかい感触が広がった。

 

「……そろそろ、怒っていいよね……」

「ご、ご馳走さまでした!!じゃ、じゃなくてごめんなさい!!」

 

俺はシロさんの豊かな胸に顔を埋めていた事に気付いた。

 

ーーお、大きくなってる……だと!!ーー

 

「……また仕返しするの……ダルいかも」

「それはダメです!待ってますから!!」

 

たがシロさんと会話する事で、さっきまで悩んできた事がうっ飛んだことには気づきけかったが。

 

「多分そろそろくるから……」

「あーわかりました……そろそろ立ちますね」

「うん……」

「……」

「……」

「……」

「……どうした?」

「いや、ちょっと立つのダルくなりまして……」

 

ーーこのソファーは恐ろしーー

 

 

 

 

ピンポーン!

 

シロさんに迷惑をかけまいと、自分自身との戦いに勝った後。玄関のチャイムがなったので、シロさんの代わりに玄関の扉を開いた。

 

「あ!彼氏くんだ、さっきぶりー」

「こんにちは!お邪魔するわ」

「ど、どうぞ」

 

扉の前にいたのは、先ほどのテンションが常に高そうな茶髪の短いポニーテールの娘と、先ほど気づかなかったが金髪ロングの外国人がいた。俺は彼女たちを中に入れた。どうやら男どもはこなかったようだ。

 

「……いらっしゃい」

「あはは、白望ちゃんも相変わらずだね」

「白望さん、ワタクシが来たのよ!その態度は失礼ではなくて?」

 

ーーきっとこの人はお嬢様キャラだーー

 

耳に金髪ロングの人の声が入り勝手に彼女の性格を決めながら、俺は冷蔵庫から先ほど買ってきたばかりのオレンジジュースを人数グラスに注ぎ、彼女たちに持っていった。

 

「……」

「あんがとねー」

「ご苦労」

 

みんなにグラスを渡した後、俺はシロさんの横に座りちょうど2対2の形で向かい合った。

 

「あの、先ほどいた他の方々は?」

「ん?あぁリョーマたちね。なんか桜井さんが今晩は豪華にするからって、あいつらをパシリに使ったんだよ」

「ふん、男どもが力仕事をするのは当然ですわ」

 

どうやら、今は合わなくてすみそうだ。そう考えてると、ポニーテールの人が目を輝せながら俺の方に向かって質問してきた。

 

「ねぇ、そろそろ自己紹介しよっか?」

「あ、すみません申し遅れました、石井陸です。高3です」

「え!!高校生!?てっきりタメだと思ってた」

「ふん、ワタクシは最初から歳下だと存じてたわ!」

 

ーーどうやら金髪ロングの人は、数秒に一回喋らないと死んでしまう病気にかかってるようだーー

 

「……」

 

俺が自己紹介してる間も、シロさんはソファーでダラっと座っていた。

 

「じゃ次は私ね。私は大北加奈、白望ちゃんの友達やってまーす!あ、加奈でいいよ」

「よろしくです、加奈さん」

 

自衛隊の敬礼みたいに、頭に手をつけながら加奈さんは俺に自己紹介してきた。

 

「ワタクシは、ルーシー・ヴァネッサですわ。両親は2人ともフランスで弁護士をやっていますわ。ワタシもルーシーでよろしくてよ、陸」

「ルーシーさん、よろしくです」

 

ーー弁護士かぁ、なるほど金はあるとーー

 

この人は見てると面白い人だと俺は感づき始めた。

 

「それにしても、彼氏がいたんて。白望ちゃんも隅に置けないねぇ〜」

「まったくですわ。ワタクシたちには『知り合い』としか言わず」

「……桜井さんには、『恋人』って言ったはず」

 

シロさんが『恋人』と言った瞬間、嬉しさで俺の体温が上昇したのを感じれた。

 

「おまけに歳下なんて……でも白望ちゃん女子校だよね?いつ知り合ったの?まさかお笹馴染みとか!?」

「一年前、交換留学として俺がシロさんの高校に来たからですよ」

 

シロさんは答える気がないと知ってるので、代わりに俺が説明した。

 

「その、よろしくて?さっきから気になってましたが、シロさん(・・・・)とわ?」

「あ、それそれ!私もなーんか引っかかってたんだよ!」

「……高校にいた時、そう呼ばれてた」

 

シロさんは俺が答えるよりも早くそう言った。シロさんにとってその呼び名はとても大事なモノだと、改めて感じられた。

 

「へぇー初知り。ねぇねぇ、白望ちゃんとのなり始めとか教えてよ」

「……ダル」

 

その後、日が傾くまで俺とシロさんは彼女らに質問攻めになっていた。

 

 

 

ピピ!ピピ!

 

日が傾かけた時に、突然加奈さんのスマホがなった。

 

「あ、ごめんメールきた」

 

そしてそのまま加奈は慣れた手つきでスマホを操作しだした。

 

「桜井さんが晩御飯できたから来いって!」

 

蔓延の笑みで、加奈はそう言った。

 

 

 

シロさんが住んでるこの『サキ荘』は二階建てで、一階に4つの部屋があり計8部屋あるアパートだ。シロさん自身は一階の102号室で暮らしており、今晩ご飯をご馳走してくださるこの『サキ荘』の寮監である桜井さんの部屋は、シロさんの真横の101号室だ。シロさんの部屋で話していた俺たち四人は揃って101号室の前にいた。

 

ピンポーン!

 

加奈さんが真っ先にチャムを鳴らして数秒後、玄関の扉が開かれそこから現れたのは初老に入りかけたばかりの優しそうな女性だった。

 

「いらっしゃい……貴方が白望(しーちゃん)が言ってた、陸くん?」

「はい、石井陸です。今日から約1ヶ月の間お世話になります……あ、コレ地元のお土産を」

「あらあら、しっかりした子ね……しーちゃんか羨ましいわ」

「……桜井さんの番」

「そうだったわね。私は桜井よ、よろしくね陸くん」

「よろしくお願いします」

 

桜井さんが挨拶をし終わった後お辞儀をしたので、俺はそれにつられお辞儀をした。

 

「(桜井さんの下の名前……誰も知らないんだよ)」

 

そしてすぐ後ろに立っていた加奈さんが俺に、小言を言ったのだがここはあえてスルーする事にした。

 

「ささ、みんな。上がって、上がって、今夜は自信作よ」

 

そう言われ、先に女性方3人を前にその後ろに俺が付くような形で部屋の中に入った。中はシロさんの部屋とは違い、和式中心である。ダイニングには畳であり、その上には机と座布団が八つ置いてあった。

 

「お、小瀬川の彼氏じゃん!!」

 

その座布団に座ってる人は3人いた。全員男性であり、その中に先ほど俺の事を睨んだ人もいた。目が合うと、目をそらされて代わりにその人の右横に座ってる金髪の男性に声をかけられた。ちなみに、ルーシーさんみたいに天然の金髪ではなく、加奈さんみたいに染める感じが出ている金髪だ。

 

「どうもッス」

 

男性なので、運動部のノリで俺は挨拶をした。

「立ち話もなんだし……ささ、みんな座って。今から料理運ぶから」

 

そう言われ、女性陣の方々は慣れな動きで縦長の机の片側に並んで座った。形にすると男性陣と女性陣は合コンみたいに向かい合った形になっていた。

 

「あのすみません、俺はどこに座れば?」

「ん?あぁ、しーちゃんの横でいいんじゃないのかしら?」

 

長方形の机の、長くない側に人一人分のスペースがあり。俺は言われるがままにそこに座った。俺から見て右斜め上にはシロさんがいて、左斜め上には身長が高い男性でも、さっきの染め金髪の男性でもない、身長が少し小さい男性が座っていた。

 

「よろしく」

「よ、よろしくです」

 

コレもまた挨拶をされたので、俺も挨拶を返した。

 

「さぁ、皆んな揃ったことだし。料理を並べるわね」

 

 

 

 

 

 

 

 

料理が並べられ、俺たちが『いただきます』をしてから数分経っていた。そしてその間、この部屋の空間は沈黙に包まれていた。だが、気まづいからとかの理由ではなく、理由は桜井さんの料理がとてもうまいからだ。正直、自分が知る母の味を軽々と超えられていて、母さんに心の中で謝りながらも俺は料理に箸をのばしていた。

 

ーーシロさんいつもこんな料理食べてたんだな……や、やばい。ちょっと料理が前よりもできるようになったから浮かれて、食べさせようとしてたけど……コレ相手じゃ俺の料理なんてーー

 

現にシロさんは美味しそうに、黙々と料理を食べてる。そう思うと、少しだけ桜井さんの料理に嫉妬してしまうが、それで俺は料理を食べる。

「桜井さん、おかわり!!」

「はいはい、男の子はいっぱい食べないとね」

「桜井さん……俺のもお願いします」

「俺も」

 

沈黙も破ったのは、『サキ荘』の男性陣メンバーの方々だった。

 

「陸くんも、遠慮しなくてどんどんおかわりしていいよ」

「なんでお前がそれ言うんだよ」

「いいじゃない!桜井さん、お椀にご飯盛ってるから忙しいって思ったからよ!!」

「食事中にうるさいですわ、そう思いませんこと白望さん?」

「……モグモグ……」

「さすが白望さん、言葉ではなく態度で示すと!」

 

ーーコレが『いつもの空間』なのかな?ーー

 

先ほどの沈黙より一転、今度は明るい騒がしさが空間を侵略し始めた。

「いい具合に和んだ事だし、そろそろ自己紹介をしないのかい?」

 

確かに、なんだか柔らかい空気に変わっていたことに気づけた。

 

「はい、はーい!俺から俺から」

「はいはい、じゃまずはリョーちゃんから」

 

桜井さんに『リョーちゃん』と呼ばれた、染め金髪の人だ。

 

一之瀬(いちのせ)リョーマだ。趣味はゲームで、ゲーム関連なら大抵好きだ。あ、あと彼女募集してるから知り合いに可愛い娘がいたら、紹介よろー!」

「こいつの言うこと気にしなくていいよ」

「おい、加奈どういう事だ!」

「べー」

 

そのまま加奈さんは右目の下に人差し指を置き、下をだした。一瞬一之瀬さんの言葉に、宮守メンバーの顔が浮かんだが。俺は全力でその事をなかった事にした。

 

「……」

 

そして一瞬シロさんの方を向いたら、シロさんも同じように『ない』と思ってることに気づけた。

 

「じゃ次はたっくんね!」

「……鈴木拓也(すずきたくや)だ、よろしく」

「……よろしくお願いします」

 

たっくんこと、鈴木さんはあの身長が高い男性だ。身長も高く、ガタイがよく『ザ・スポーツマン』と言うしかない。

 

「拓也はね、バスケ部の特待生なんだよ」

 

そしてまた、ポニテをぴょんぴょんと飛び跳ねさせながら加奈さんが一言。

 

ーー物理的な攻撃を受けたら、ひとたまりもないなーー

 

いつもなら敵にしないよう気をつけるが……運が悪いことに、今回はすでに遅いと心の中で思う。この人は危険と思ってると突然、桜井さん以外の人が口を開いたーー

 

「最後は俺っぽいな」

 

そう言ったのはまだ自己紹介をしてない、俺から見て左斜め上にいる小柄な男性だ。

 

河口遊(かわぐちゆう)だ。さっきも言ったけどよろしくな、遊でいいよ……あと、俺とは(・・・)仲良くなろうな」

 

ーー修正、この人がこの中で一番危険な人だ。最後に付け加えた一言が、全てを物語っている。

 

「その爽やかな笑顔に騙されないのをオススメするよ……遊はね、とっても腹黒んだよ」

「ほう、お前は課題を手伝ってもらってその態度か」

「ごめんなさい!ごめんなさい!遊様!!だから私を見捨てないでー!!」

 

うん、この人危険だ。

 

「じゃー終わった事だし、陸くんの自己紹介ね」

「……あ、はい。石井陸です、よろしくお願いします」

遊さんがどれほど危険か観察しようとしていると、桜井さんに声をかけられたが。気づけなく少しぼーっとしていたら、シロさんが机の下で俺の足を突いてきたので気付けれた。

 

ーーシロさん、あざっすーー

 

「はーい!質問、質問!」

 

突然、一之瀬さんが手を挙げ、質問をしたいと言ってきた。

 

「陸はどこで寝泊まりすんの?やっぱ201号?」

「201号室は物置部屋よ……陸くんはしーちゃんと同じ部屋で寝泊まりするのよ」

「「「「はーー!!!」」」」

 

桜井さんの発言に、質問をした一之瀬さん以外に加奈さんとルーシーさんと、遊さんが大声を出して驚いていた。

 

「え、マジ!?小瀬川さん、陸と一緒に寝るの?」

「……うん」

 

当然俺も夜の事(・・・)を考えてないと言えば嘘になる。だが、俺はシロさんの事がホンキで好きなので、そういうのはシロさんを尊重すると決めている。なので普通に俺はソファーなどで寝るつもりだ。だがシロさんの発言には、言葉足らずでまるで2人で一つのベッドで寝る。と捉えられる。

 

「……あ、拓也。箸落としてるぞ」

 

そう言いながら、遊さんは拓也さんがいつの間にか落としていた箸を拾ってあげてた。……ニヤニヤしながら

 

ーーこの人、絶対気づいてるーー

 

「あ、ああ悪い。桜井さん、ちょっと席立ちます」

「箸落ちちゃったんなら仕方ないわね」

 

そのまま鈴木さんは席から立ち上がり、洗い場まで歩いて行った。

 

「じゃじゃ、小瀬川さんと陸ってもうヤったの(・・・・)?」

 

食事中でのまさかの爆弾発言をしたのはやはり、一之瀬さんだった。皆んな唖然として動けなかったが、例外が俺を含め2人(・・)いた。

 

ーーあ、あっぶねーー

 

俺は箸で掴んでたご飯を、箸から落としたが。左手で持っていたお椀を反射的に動かし、ご飯をお椀の上にのせれた。そして、もう一人のほうはーー

 

「(っぶねー)」

 

ーー小言でそう言いながら、左手に握りしめていた箸見ていた。どうやら右手で持ってた箸が落ちて、左手でキャッチしたのだろう。

 

「もう、サイテー」

「ふん、とても不愉快な気分ですわ!」

「……下品」

「リョーくん、次またそのような発言したら……」

「は、は、はい!ごめんなさい!!もう言いません!!!」

 

女性陣にそう言われた一之瀬さんは、目に涙を浮かべながら土下座をしだした。

 

「さすがに今のはまずいって……まぁ、そう思うの仕方ねぇと思うけど……なぁ拓也?」

 

先ほどから何度も鈴木の名前を呼ぶゆ遊さんは、一之瀬さんの背中をそそりながら鈴木さんに話題をパスした。

 

「そうだな、さすがに男女が同じ部屋はどうかと思うぞ。なんかあったら危ねぇし(・・・・・・・・・・・)

 

鈴木さんの悪意のこもってるか、こもってないか知らないその一言。たったその一言で、俺は聞いた瞬間。体の内側からドス黒気持ちがこみ上げられた。どんな事を考え言ったか知らないが、俺は彼を恨んだ。

 

ーー何も知らいくせにーー

 

「……ッ」

「……陸に謝って」

 

思い、そして行動にしようとしたとたん。俺よりも早く、シロさんが先に行動をした。

 

「こ、小瀬川?」

「陸は危なくない、私の好きな人……私の大事な人。だから陸に酷いこと言っのに対して、謝って……」

 

ーーシロさん……ーー

 

さすが、おっぱいのつけたイケメン。などと素で考えてる暇などない!!早くなんとかしないと。

 

「あ、う……わるーー」

「シロさん、こう言うのは男特有の冗談ってヤツですよ。ですよね、鈴木さん?」

「ーーあ、ああ。誤解の招くような事を言って悪かった」

「……ホント?」

「そうなんすよ、でも。俺の為に怒ってくれてありがとうございます」

「……鈴木、くん。変なことで誤解してごめん」

「あ、いや気にしてないし。元わと言えば、このアホの変な発言のせいだ!!」

「え!?まさかの俺に責任があるの!!」

「まぁリョーマだしね……」

「うん、アホが近くにいるこっちの身にもなってもらいたいですわ」

「うん、リョーくんにはもう少し、ほんのもう少しの常識が欲しいわ」

「リョーマ、俺は今のままのお前でも(・・)いいと思うぜ!」

 

皆んな、加奈さんの冗談に乗りなんとか先ほどのピリッとした空気がなくなった。

 

ーーやべな、この1ヶ月ーー

 

最先が不安になる食事会をだった。

 

「……ダル」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

食事会が終わり、シロさんと俺は102号室へと戻っていた。

 

「シロさん、お風呂上がりました」

「……うん」

 

おれが風呂場から出て見ると、シロさんはお気に入りのソファーに座りながらテレビを観ていた。

 

「シロさん、横いいっすか?」

「……うん」

 

許可が得たので、俺はシロさんの横に座った。テレビではお笑い番組が流れていた。そのままシロさんと俺は、黙ったままテレビを観続けた。

 

ーーなんか、幸せって感じだなーー

 

久々にシロさんと出会い、約1日一緒にいたが。今、二人してダラけるのはとてつもなく幸せな気持ちになる。

 

「シロさん、明日どうします?明日こそ、一日中ダラけますか?」

「……明日、午前中加奈と学校に行く」

「用事ですか?」

「今日あった用事を、明日に回したから」

「その……俺のワガママですみません」

「大丈夫、私もできるだけ早く陸と会いたかったから……」

 

ーーホント、この人はーー

 

「なら明日は午後からダラけますか!」

「……うん」

「あ、でも夏休み中ダラけるのは無しですよ」

「ん?」

「せっかくの夏休みですから、シロさんといっぱいデートがしたいです!」

「……室内デート」

「シロさん、そう言うのはすぐ覚えますね……」

「褒めても何も出ない……」

「あはは、シロさんらしい。でもシロさん、何回かお願いしますよ。思い出作りたいです」

 

俺はシロさんの手を握りながらそう言った。

 

「……あの週(・・・)以外、各1週間に1回」

「ありがとうございます」

「……ダル」

 

そう言うと、シロさんは何も言わなくなった。きっと喋るのがダルくなったんだろう。でも俺は話しかけるのをやめなかった。

 

「デート楽しみだー!!どこ行きますか?」

「……」

「やっぱ、東京観光ですかね?シロさん、案内よろしくお願いしますよ?」

「……」

「あとは、あとは……プールとか()とか行きたいですね!」

「……ッ」

「シロさん?」

 

突然シロさんの空気が変わった気がして、俺は彼女に問いた。

 

「どうしたんですか?」

「……ッ」

「シ、シロさん!?………………ッ、ごめんなさい、俺のせいで」

「……陸は悪くない……」

 

また突然シロさんは俺に抱きついてきた。最初はついにキたか(・・・・・・)!?などとバカな事を考えた俺を殴りたい。なぜなら、抱きしめられ少しして彼女が震えてる(・・・・・・・)とこに気づいたからだ。

 

ーー俺のせいだ。海なんて言ったからーー

 

海……シロさんにとって、いろんな思い出があるモノだ。1年前の夏での海……つまり、インターハイ(祭り)で負けた翌日での海。彼女はきっとその事を思い出したんだろう。

 

「シロさん、大丈夫です。俺が受け止めますから、シロさんの想い受けとめますから」

「……でも、陸も辛くなる」

 

ーー確かにだんだんと思い出してきて、俺自身泣きたくなってきた……でも!!ーー

 

「大丈夫ですよ、なんせ俺は宮守麻雀部(みんな)の『サポート役』であり、シロさんの『恋人』ですから」

 

俺はそう言ったら、どさくさに紛れ。彼女の額に軽くキスをした。

 

「うん、ありがと……」

 

そう言ったシロさんの震えは、少しおさまってきてた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ん、ん?ここは?」

 

目をさますと、見知らぬ所にいて俺はつい独り言を言ってしまった。

 

「あ、そうか。俺、シロさんの家に……」

 

頭が正常に働きだし、俺はだんだんと昨日の事を思い出してきていた。

 

ーー確かシロさんが寝ちゃって、ベッドに運んだっけ?ーー

 

昨晩の事を思い出して、俺は寝ていたソファーから立ち上がり。シロさんの部屋へ向かった。

 

「シロさん!……ん、いない?……あぁ、学校だっけ?」

 

俺はシロさんが、加奈さんと一緒に学校行くと言っていたことを思い出した。そこで俺は自分のスマホにメールが受信されてることに気づいた。

 

『昼は私と食べるから、お昼は待たなくて良いよ。by白望ちゃん』

 

もちろんシロさんが送ってきたではなく、加奈さんからのメールだ。多分、シロさんが加奈さんに頼んで、代わりに送ってきたのだろう。

 

『はーい、学校ガンバです』

 

そう返信し、俺はやっと今の時間を知った。

 

「どんだけ寝てたんだよ……」

 

午前10時15分、結構長い間俺は寝ていたらしい。まぁ、昨日は始発の新幹線に乗るため全然寝ていなかったタメだろう。そんな事を考えながら身支度をし、朝食か昼食かどちらかわからない食べ物を軽く作り食べ始めた。

 

ピンホーン!

 

食事を終え、食器を片付けていると。突然玄関のチャイムが部屋中鳴り響いた。

 

ーーシロさんかな?ーー

 

そんな淡い期待をしながら、玄関にいきドアを開くと……鈴木拓也がそこに立っていた。

「……よう」

「こ、こんちわ」

 

シロさんではなく彼が来たのに対して、俺は驚きを隠せれなかった。

 

「……あ!シロさんなら、加奈さんと一緒に学校へ行きましたよ」

「……」

 

なぜか黙り。

 

「いやそっちの方がいいか……小瀬川じゃなくて、お前に用があるんだ」

「俺にっすか?」

「その……昨日は悪かったな」

 

いきなりの謝罪。

 

「あ、いえ。気にしてませんし……大丈夫っすよ」

「なら良いんだ」

「……」

「……」

 

ーーだけ!?ーー

 

「あの……他には?」

「……」

「……」

「その、俺はそこまで器用じゃねーんだ」

 

そしていきなり、語り出す。

 

「はい」

「だから単刀直入で言う……俺は小瀬川が好き(・・・・・・)だ。」

「……ッ」

「お前から奪うつもりだ」

 

そして最後に戦線布告。

 

ーー何でこうなった!?何でこうなった!!ーー

 

なぜこうなったから知らないが、ある事だけは知れたーー

 

「……ダル」

 

ーーと、口から溢れた影響はシロさんのせいだという事に。

 




次はアフターの続きです。

さぁて、次はいつかな?

あ、ちなみに12月6日は俺の誕生日っす!!

わーい(⌒▽⌒)!

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