転生先生テリま   作:物書き初心者

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創設 麻帆良学園

 

時代は明治1879年

 

 

幕府は倒れ明治政府が発足し、色々とあったが俺達は余り変わりが無い。

 

埼玉一帯の土地は天皇家やら政府やらと裏取引をして、分割し使い魔が管理している。

 

なので正直ヒマである。

 

エヴァも、もう俺の手から離れている。今度、暇つぶしに最終試験みたいな物を課そうと思っている。

 

そう言えば、ブラックロッジは、秘密結社に進化した。

 

使い魔に運営を任せただけであるが、その使い魔、総て世界有数の企業や財閥のトップである。

 

そのせいでブラックロッジは裏から世界経済を支配している秘密結社となった。

 

 

 

そんな暇を持て余している時に、使い魔から連絡が入る。

 

一人の老紳士が、世界樹一帯の土地を言い値で買い取りたいと、これは、久しぶりの原作関係かと思いながら、エヴァとエセルを呼び出す。

 

 

俺はマギウス・スタイル、仮面、ローブ付きになり、エヴァは仮契約のドレスを着て貰う。

 

「エヴァ、世界樹一帯の土地を言い値で買い取りたいと言う奴が現れた。で、今からそいつに会いに行く。」

 

「ほ~う、私まで、呼んだと言う事は、ブラックロッジのトップとして交渉するのか、大導師殿」

 

面白そうだ、と言う顔をした。

 

普通交渉は使い魔を介して行われる。なので俺達がでる場合は、ブラックロッジ幹部として出る事になるのである。

 

ちなみに、エヴァはこの手のことは初めてである。

 

「ナンダ敵ジャネーノカヨ、旦那」

 

とナイフ片手に残念そうな雰囲気で言ってくるので一応注意しておく。

 

「チャチャ、交渉が決裂したらそうなるかも知れんが、期待するな、俺自身は蹴るつもりは無い」

 

「そうなのか、私はてっきり威圧して追い返して、相手から手を出させてから叩き潰すのかと思ったぞ。それに、アレイはあの巨木が目的でここら一帯を専有したのではないのか?」

 

と真面目に聞いてくる。

 

「エヴァはいったい俺を何だと思っているんだ。それと目的だった、だ。今はもういい。エセル調査は終了したんだろう。」

 

「イエス、マスター。地下構造物から性質まで調べ終えています」

 

と頭の上から声が聞こえる。

 

「地下が在ったのか。・・・大理不尽だろう、アレイは。と言う事はまた旅にでるのか?」

 

呆れ顔の後に少し残念そうなエヴァ。

 

この国には長いこと居るから思う事もあるだろう。

 

「いや、まだ決めてない。せっかく350年も一つの国に留まっているんだ。この国を住み易くして、本拠地をここに置くのもいいと考えている。」

 

「そうか、好きにするがいい。今も昔も、私はお前の物なんだからな、お前に付いて行くさ。」

 

頬を綻ばせ、少し恥ずかしそうなエヴァ。

 

「イエス、マスターの御心のままに」

 

いつも道理に涼やかだが、少し嬉しそうに聞こえる。

 

「ケケッ、旦那、愛サレテルジャネーカ」

 

とからかう様な感じに言って来る

 

「当たり前だ。俺も愛してるんだからな。と、そろそろ行くぞ。あの木の下に呼び出したから、あと、蹴る気はなくても交渉だからな。相手が青くなって震える位は威圧してくれ。」

 

と不敵な笑みを浮かべて言う。

 

「アレイ・・・、それは交渉ではなく、恐喝と言うんじゃないか。」

 

何言ってるんだこいつは、言う顔をしているエヴァに、

 

「何言ってるんだエヴァ、ガン付けて、威圧して、こちら言い分を押し通すのが、交渉の基本だぞ、なぁ、エセル」

 

逆に呆れた感じに言ってみる。

 

「イエス、マスター。それが基本なんですよ、エヴァ」

 

物知らない子供に諭すように言うエセル。

 

「ケケ、知ラナカッタノカ、御主人」

 

さも当然と言うチャチャ。

 

「私か!私がおかしいのか!!」

 

愕然とし、半泣きになるエヴァ。

 

「ほら、さっさと行くぞ」

 

そのまま俺は世界樹に向った。

 

 

 

巨大な木陰の中、背もたれの長い黒い玉座に俺は肘を付いて座っている。右には品のいい黒い椅子にチャチャゼロを足に乗せたエヴァが座って、前には、丸いくて薄い黒大理石の板が浮いている。その上にティーカップが三つ、対面には、初老の英国紳士が品のいい白い椅子に座っている。

 

 

ちょっと前セッティングを終えて、座って紅茶を飲みながら待ていると、シルクハットを被った。初老の英国紳士が現れた。

 

「初めまして、私、アーロン・ロックハートと言うイギリス人です、今日はこちらにこの土地を統括されている方に会いに来ました。」

 

と椅子の横に立ち、自己紹介をした。

 

「ふむ、まあ座り給えよ。魔法使い殿。紅茶でも飲んで話そうではないか」

 

と微笑を浮かべながら椅子を勧める。

「ありがとうございます。あなたがたのお名前を教えて貰ってもよろしですかな。」

 

少し驚きながら椅子に座り紳士が人の良さそうな笑顔で聞いてくる。

 

「ああ、すまない、名乗りが遅くなった。余はブラックロッジが大導師、マスターテリオン」

 

不敵な笑みをもらす 。

 

「私は、アンチクロスが一人、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルだ。そして、従者のチャチャゼロだ。よろしくしなくていいぞ、ジジイ」

 

「ケケケケ」

 

エヴァはニヤリと笑い、チャチャ面白そうに笑った。

 

俺達は名乗りを済ますと抑えていた力を少し解放する。

 

アーロンは驚愕し徐々に青くなり小刻みに震えだした。そして、ちらりとエヴァを見た。

 

彼が驚くのも無理はない。

 

ブラックロッジは表では一切知られていないが、裏では知らないとモグリと言われるほど有名である。しかし、組織の内情はほとんど知られていない。

 

分かっているのは、強大な権力が有る事、トップが大導師と呼ばれている事、幹部はアンチクロスと呼ばれている事、そしてこれらの名前を騙ると翌日には行方知れずになる事だけである。

 

さらに、エヴァは現最高額の賞金首として200年位前から手配されている吸血鬼である。

 

「用件を聞こうか。魔法使い殿」

 

と俺は脚を組み、頬杖を付いて聞く。

 

「私は、魔法世界はメガロメセンブリアから来ました。この世界樹一帯の土地の確保をするように指示されています。この土地を譲って頂けないでしょうか」

 

冷や汗を流しながら、必死に言って来る。

 

「ほう、中々剛毅ではないか、魔法使い殿。余らにここから去れとは」

 

更に威圧する。

 

「いいえ!そのような事は!!」

 

彼は顔を引き攣らせ、慌てた様子でいってくる

 

「ないと、魔法使い殿は土地を譲ってくれと言ったではないか。この土地で好き勝手できる権利が欲しいのであろう。もし譲ったとして余らがここにいれば邪魔に成ろう、排除するしかないではないか。なあ、魔法使い殿」

 

「いえ!土地さえ使えれば!!」

 

「ふむ、土地を借りたいと言う事かな、魔法使い殿」

 

「・・・はい」

 

俺はニヤリとし、彼は少々苦虫を噛んだ顔をした。

 

「その土地を何に使うね」

 

「学園を、一般人と魔法使いが一緒に学べる学園を創りたいのです。」

 

少し考える振りをして、

 

「いくつか条件を呑むのなら土地を貸そう。如何する魔法使い殿」

 

「・・・私は、国より全権を預かっています。条件を教えていただけますか」

 

「ふむ、では言おう。

ひとつ、ブラックロッジの支部を置く事。

ひとつ、その支部に可能な限り便宜を図る事。

ひとつ、何かしらの不祥事が起きた際、総てそちらが責任を持つ事。

ひとつ、毎年決められた日に2千5百円(現代価格5億円)相当の金を納める事。

以上だ。

どうだね、魔法使い殿。世界樹付きの土地としては、破格だと自負するが。」

 

「・・・本当にその条件でよろしいのですか。」

 

とエヴァの方をチラリと見る。エヴァはそれに気付きニヤニヤしている。

 

「ああかまわんよ。ただ、違反すればそれ相応な罰は受けて貰うがね」

 

アーロンは驚愕していた。本当に破格の条件なのだ。真意を探ろうとするが、放たれているプレッシャーで全く分からない。それに、この土地を手に入れられる機会はもう無いかもしれない。いくら本国が強大な力を有していようと、目の前の2人には勝てるような気がしないからだ。

 

「ありがとうございます。本国にいい返事を持って帰れます」

 

「では、契約書を作るとしよう」

 

そういいながら、俺はどこからとも無く、彼の前にに契約書を作り出した。

 

「サインしたまえ、それで、この土地は君達の自由に使える。支部は、出来たら連絡を入れよう。」

 

彼がサインして、この話し合いが終わった。

 

 

 

 

アーロンが本国に報告に帰り、今後の話は使い魔を介して進めることにした。

 

「よかったのか?あんな条件で、魔法世界の一国家にこの土地を任せて。創設した学園、その国の出先機関になるぞ。間違いなくひと悶着あるな」

 

エヴァが意地悪そうに目を細める。

 

「ああ、あれでいい。俺としては静かに暮らせる場所と、ある程度口出しできる手段が欲しかっただけだしな。それに、これで間違えなく魔法世界と関わりを持つことになる。敵のなるか味方になるかは分からんが。どちらにしろ大歓迎だ。暇をつぶすいい玩具になってくれそうだ。」

 

俺はマギウス・スタイルを解いて、エヴァのほうを見て片頬を上げる。

 

そして今気付いたと言う感じに、

 

「悶着と言えば、京の退魔師とかとなんかありそうだな」

 

「ああ、あいつ等か。奴らの所為で京に住めなかったんだ。今思い出しただけでも腹が立つ!」

 

忌々しそうに、エヴァが言い放つ。

 

仕様が無い。あんまり近くで暮らすと人外なのがばれてしまう。

 

京に今回の事、伝えるべきか・・・

 

「まあ、いいか。あいつ等とは敵対はしてないが、味方でもないからな。エセル、支部は町並みが決まってから立ててくれ。西洋風ならログハウス、東洋風なら武家屋敷で頼む。あと、ばれない様に魔術的かつ魔法的に要塞化してくれ。」

 

「イエス、マスター。家の規模は如何されますか?」

 

「ちょっと待てアレイ、戦争でも起こすつもりなのか」「オ、オモシロソージャネエカ」

 

「備えておくだけだ。今は、戦争をする気はないよ。規模は10人位が楽に暮らせる大きさにしてくれ。名目上、支部なんだ。そこそこの大きさがあったほうがいい。」

 

「イエス、マスター。準備しておきます」

 

それから、何度かの話し合いがあり、麻帆良学園が創設された。

 

 

 

 

ちなみに、支部はログハウスになった。

 

エヴァは少々残念そうにしていた。

 


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