転生先生テリま   作:物書き初心者

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閑話 2

<エヴァの修行 その3>

 

 

 

それは江戸時代に入って、70年位。某森の中の広場で

 

 

 

 

「さて、エヴァも大分強くなったな」

 

「あれだけ、毎日戦っていれば嫌でも強くなるわ!!」

 

とエヴァが両手を上げて、うがぁーーーとこちらに詰め寄ってくる。

 

訓練の後これだけ元気なら、次の段階に行っても大丈夫だろ。

 

「そこで、恒例の卒業試験をしようと思う」

 

「何だ、前みたいにゴン君を撃破しろとか。そういうやつか」

 

エヴァがジト目で俺を見てくる。今回はは更にしんどいと思うぞエヴァ。

 

「今回は、長期間かけてやる」

 

「何をやらせる心算なんだ」

 

少々不安そうなエヴァ。色々無茶をやらせて来たから不安なんだろう。

 

「地球を一周してきてくれ」

 

「・・・・は・・・」

 

エヴァの目が点になり、茫然自失になっている。行き成りあんこと言ったらこうなるよな。

 

「だから、世界一周してきてくれ。自分の足のみで」

 

「ちょっと待て、試験にいったいどれだけの時間を掛ける心算だ!」

 

正気に戻ったエヴァが慌てて聞いてくる。

 

ふむ、少し多めに見ておくか、何があるか分からんし。

 

「予定としては150年と言った所か」

 

「・・・150年」

 

エヴァの背景に雷が落ちた。何がそんなにショックなのか分からないが、エヴァが固まってしまった。

 

「エヴァ如何した?」

 

「・・・アレイは、私が嫌いになったのか」

 

と俯いて聞いてくる。何でそんな結論に至ったエヴァよ。

 

「何を言っているんだ、エヴァ?」

 

行き成りエヴァがしがみ付いて来て、俺の胸倉の掴んでガクガク俺を揺さぶってくる。

 

「じゃあ何で150年も私を遠ざける!ッハ、私の身体に飽きたのか!」

 

「嫌っても、飽きてもいない」

 

「なら、女か!新しい女が出来たんだな!!」

 

「違う、新しい女が出来たらちゃんと紹介する。っていい加減落ち着け」

 

錯乱して、落ち込んで、黒いオーラを纏ってと百面相をするエヴァ。もうちょっと見ていたい気もするが話が進まないのでエヴァにチョップを落とす。

 

「もひゅ」と言いながら、地面にズルズル落ちていった。よっぽど痛かったのか暫らく頭を抑えて、うんうん唸っていた。

 

 

 

「落ち着いたか、エヴァ」

 

「ああ、落ち着いた」

 

と言いながら恨めしそうに見てくる。俺は機嫌を取る為に頭を撫でる。

 

「これまで俺達は3人で旅をしてきた。今度は、一人で世界を見て見聞を広めてきて欲しい。今まで見えなかった事が見えたりするはずだ。」

 

「納得は出来んが、理解はする」

 

と不満そうでは在るが、一様納得してくれたようだ。

 

「そうか、なら今回のご褒美は何がいい?」

 

「なんでもいいのか?」

 

「ああ、叶えられる事ならな」

 

エヴァはしばし考え

 

「・・・ミドルネームを付けてくれ」

 

モジモジしながら、頬を赤らめ言ってくる。正直凄く愛らしい。

 

「分かった。考えておく」

 

と答えるとエヴァはうれしそうに微笑んだ。

 

 

 

そして、エヴァが旅に出て暫らくたったころ。

 

俺は魔導書を読みながら、エセルに入れてもらった紅茶を飲んでいた。

 

「エセル、エヴァは今頃如何してるんだろうな」

 

「エヴァはアフリカで賞金首をやっています。」

 

俺はそれを聞いて固まった。エセルはサラリと言ったが、エヴァがまた賞金首になたらしい。

 

「それでどんな感じに手配されているんだ」

 

「子供姿で金髪の吸血鬼としか分かてないそうです。あと、やたらと魔法に精通していて普通の人間には対抗できないそうです。」

 

今のエヴァが負けるとは思えないが注意はしておこう。

 

「エセル、エヴァが死んだり、捕まったりしない様にだけ注意しておいてくれ」

 

「イエス、マスター」

 

 

 

 

「ちなみに額はいくらだ」

 

「現在、300万ドルです。マスター」

 

 

 

 

 

 

<チャチャゼロ改造計画>

 

 

 

 

 

チャチャゼロ、それはエヴァが、修行の旅の途中で作った従者人形である。

 

「エヴァ、チャチャには刃物しか攻撃手段が無いのか?」

 

俺は丁度ウェストが残した走り書きを呼んでいて、人形つながりでふと疑問に思った事を聞いてみた。

 

「うん?ああ、あれには前衛を任せるために造ったからな、高速戦闘が出来るように余分な物は一切つけてない。それがどうかしたか?」

 

エヴァが趣味の裁縫の手を止めた。

 

「いやな、古い知り合いの書いた物を読んでいて自動人形の記述があってな。それで気になった」

 

「前々から疑問に思っていたが、そのよく読んでいる本、その知り合いとやらが書いた手記なのか?」

 

エヴァが興味深そうに本を覗き込もうと此方にやって来る。俺はエヴァが見る前に本を閉じた。

 

「これは少々特殊な本でな、俺以外が読むと無差別に発狂死する呪いが掛かっている。だから、間違っても開くなよ」

 

所謂、魔導書だ。いくら吸血鬼と言えども発狂するだろう。

 

エヴァは俺が本を閉じたのを不満そうにしていたが、その話を聞くと顔が蒼白になり、コクコク頷いた。

 

そして、エヴァがフゥと息を吐いて気を取り直して聞いてきた。

 

「で、その自動人形とやらがチャチャゼロの武装とどう関わる。」

 

「そいつが射撃武器を使っていたのを思い出してな、チャチャがどうなのか気になった。」

 

エヴァが腕を組み少し悩んだ後で、

 

「今後どうなるかは不明だが今はないな」

 

「今後という事は強化を考えてるのか。どんなのを考えてるんだ」

 

と興味本位で聞いてみる。すると本人?がやって来た。

 

「オイオイ、御主人モ旦那モ、ソウイウ話ハ本人モ交エテスルモンジャナイノカヨ」

 

とチャチャが酒を片手にフヨフヨ飛んでくる。

 

「なら、チャチャはどうしたいんだ?」

 

俺は片手にグラスを二個作り出し、一個エヴァに渡してチャチャに酒を分けて貰いながら聞いた。

 

チャチャは酒を注ぎつつ、

 

「旦那ヲ切レル刃物ヲクレリャア其レデイイ」

 

と言って来た。行き成り物騒な事だ。

 

この殺人人形、出会い頭に切り掛って以来、暇な時は俺を切る為の刃物を探しいているのだ。

 

「確かに、アレイを傷つけられる刃物なら攻撃面には最適だろうが。存在するのかそんな物?」

 

「存在するかは疑問だが、俺の防禦陣を純粋な攻撃力か、効果かで抜けれれば可能性はあるぞ」

 

「いや、無理だろう。私の全力攻撃に耐え切る理不尽な防禦陣だぞ。どうせ、お前の事だ、抜けたとしてもまだ何かあるんだろ」

 

白け切った感じで聞いてくる。

 

「確かに、いくらでも手段はあるが。ふむ、取り敢えず攻撃面は置いておこう。他に何かないのか」

 

「いくらでもって・・・いや、いい。他か、防御力と機動力だな。この二つは、私の魔法に依存しているから直ぐには如何し様も出来んな。」

 

少し呆れた顔をした後、真面目に考え答えてくれるエヴァ。

 

ふむ、手詰まりか。俺も思いつかんし他に意見を聞いてみるかと、手元の魔導書を見る。

 

「エセル、何か良い案はないか」

 

すると、俺の手から本が消え、俺の隣に転移して来た様に現れる。

 

「イエス、マスター。2m位の破壊ロボを着ぐるみの様に着せれば良いのではないでしょうか」

 

エセルは涼やかに言った。

 

俺は固まり、頭の中では破壊ロボの顔がチャチャに変わり破壊の限りを尽くす映像が流れた。

 

「ナンダソリャァ」「何なのだその破壊ロボとは」

 

二人が同時に聞いてきた。そりゃ疑問だろう。そもそもロボという物が無いだろう。

 

「これです」

 

とエセルが何処からか破壊ロボのCGがプリントされたボードを出してきた。

 

二人とも呆然としていたが、エヴァが立ち直りもう一度見て口を開いた。

 

「こんな鉄の塊みたいが強いのか?防御力は有りそうだか、機動力ゼロでは話にならんぞ」

 

エセルを疑わしげに見るエヴァ。

 

「見た目はこんな鉄の円柱に――――――――――――――――」

 

なぜか破壊ロボを猛プッシュするエセル、それを聞き徐々にそれも良いかもッと言う感じになるエヴァ。

 

それを横で聞いて「アレヲ着ルノカヨ」と顔に縦線が入るチャチャ。

 

俺は哀れチャチャと思ったがあえて放置する事にした。

 

 

 

 

 

 

その後、結局、破壊ロボを2mサイズにするのは無理という結論に達した。

 

それを聞いて、少し残念そうにするエヴァと横で心底ホッとした感じのチャチャが印象的であった。

 

 

 

 

 

 


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